放送人権委員会 判断ガイド 2024
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142放送人権委員会 判断ガイド2024放送倫理上の問題客観性、公平・公正よっては権利の侵害になることを留意すべきである。●●客観性、公平・公正客観性や公平・公正に欠ける放送、報道対象者やトラブル報道の際の一方当事者への取材を怠ったケースなどが指摘されている。第69号 芸能ニュースに対する申立て(2019.3.11)確かに、本件仮処分決定には具体的な理由が付されていない以上、決定そのものの理解としては、TBSのような判断に全く根拠がないとは言い切れない。しかし、パワハラの有無が主な争点の1つとなっていた中で申立人の地位保全が認められた以上、パワハラの有無又はその程度に少なくとも大きな疑問符がついたと理解すべきであり、TBSの主張は、この点についても説得力を欠くと言わざるを得ない。結局のところ、本件放送の制作過程では、本件仮処分決定のもつ意義が十分に理解されていたとは言えない。本件では、本件仮処分決定に言及しなかったことによって、当事者の主張が食い違い、司法の場に持ち込まれるほどの紛争・トラブルの事案を扱う際に特に求められる公平・公正性及び正確性を欠くことになった点について、放送倫理上の問題があると言わざるを得ない。第67号 沖縄の基地反対運動特集に対する申立て(2018.3.8)報道に当たっては、原則として、報道対象者に報道の意図を明らかにして取材をすることが必要であり、このことは委員会が再三にわたり指摘してきたことである(委員会決定第51号「大阪市長選関連報道への申立て」等)。「放送倫理基本綱領」では「放送は、意見の分かれている問題については、できる限り多くの角度から論点を明らかにし、公正を保持しなければならない」、「報道は、事実を客観的かつ正確、公平に伝え、

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