放送人権委員会 判断ガイド 2024
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141放送倫理上の問題事実の正確性第27号 新ビジネス“うなずき屋”報道(2006.1.17)真実を伝えるべき報道が、過剰な演出によって事実でないことを事実であるかのように伝えた点において、視聴者に重大な誤解を与えたものであって、放送倫理に反するものといわざるを得ない。関 連過剰な演出(26ページ)第25号 産婦人科医院・行政指導報道(2005.7.28)日本放送協会と日本民間放送連盟は、その放送倫理基本綱領において、「報道は事実を客観的かつ正確、公平に伝え、真実に迫るために最善の努力を傾けなければならない」と定めている。当委員会としては、本件事案において、報道による人格権侵害を認めるか否かについては意見の一致を見ることはできなかったものの、その正確性を欠いたことにより深刻な結果を招いたことを重視し、名誉毀損をきたしかねない重大な放送倫理違反があったと認定する。関 連「いつ」の明示は報道の基本(38ページ)第3号 サンディエゴ事件報道(1998.3.19)申立人夫妻は既に離婚していたとか、現金で豪邸を購入し高級車を数台保有するなど大学教授の割りには派手な生活を送っていたなどの放送は、明らかな誤報を含む不適切なものであったといえる。また、そうした放送を連続して行うことにより、視聴者に対しあたかも申立人が疑惑の渦中にあるような印象を与える可能性があったことは認めざるを得ない。このうち特に、離婚についての誤報は、申立人の感情を著しく傷つけるだけでなく、本件においては権利侵害をもたらす可能性があったことも否定できない。(中略)先に指摘したように、個々の放送をとれば権利侵害とまでは言えないにせよ、本件放送を全体的・総合的にとらえれば申立人に対する疑惑を視聴者に与えかねない報道の在り方は、放送倫理上問題であり、場合に

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