放送人権委員会 判断ガイド 2024
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140放送人権委員会 判断ガイド2024放送倫理上の問題事実の正確性関 連判決の不正確な要約①(34ページ)第41号 割り箸事故・医療裁判判決報道(2009.10.30)本件放送は、すでに詳述したとおり、民事裁判判決において申立人A医師の過失が否定された理由について綿密に検討することを怠り、その結果同判決の趣旨を正確に伝えておらず、これを前提とする論評・コメントが正確性や適切さを欠くものになったと判断する。また、判決理由の要旨のまとめ方、紹介の仕方に問題があったことはすでに詳細に述べたところであり、その手法にはそれ自体放送倫理違反が認められる。関 連判決の不正確な要約②(34ページ)第40号 保育園イモ畑の行政代執行をめぐる訴え(2009.8.7)本件放送が、申立人の名誉を毀損する疑いが強く、少なくとも同人の名誉感情を侵害していることは明らかであり、重大な放送倫理違反があったと認定する。なぜなら、ニュース素材の編集において配慮不足が見られたため視聴者に誤解を与えたうえ、その編集映像をもとにしたスタジオトークにおいては出演者が明らかな事実誤認をもとに発言を重ね、その誤りに現場スタッフが誰も気がつかなかったため、申立人の社会的評価を低下せしめたことが認められるからである。さらに、ニュース素材の扱いに関し、基本的な確認作業が行われていないなど事実の報道をしている自覚の希薄さなど、番組制作における基本的な問題に起因しているといわざるを得ない点もある。これらは、放送倫理基本綱領(1996年にNHKと民放連が制定)における「報道は、事実を客観的かつ正確、公平に伝え、真実に迫るために最善の努力を傾けなければならない」との定めに明らかに反する。関 連他局の素材を用いた放送(38ページ)撮影日の異なる映像は日付を明示(41ページ)出演者との打ち合わせと放送中のチェック体制(56ページ)

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