138放送人権委員会 判断ガイド2024放送倫理上の問題事実の正確性●●事実の正確性放送内容の正確さが問題とされたケース。誤報や不正確な報道、視聴者に誤解を与えるコメントや映像表現などが指摘されている。第57号 出家詐欺報道に対する申立て(2015.12.11)記者は、取材協力者であるB氏の言葉を信用して申立人が「出家詐欺のブローカー」であると信じていたと思われ、本件映像で断定的に申立人を「出家詐欺のブローカー」として伝えた。実際に申立人が「出家詐欺のブローカー」であることの真実性についての裏付け取材が、そこには欠けていた。また、本件映像中に流れたナレーションは明確な虚偽を含み、実際の申立人とは異なる虚構が放送された。こうした検討から、委員会は「報道は、事実を客観的かつ正確、公平に伝え、真実に迫るために最善の努力を傾けなければならない」(「放送倫理基本綱領」日本民間放送連盟・日本放送協会制定)との規定に照らして、本件映像に放送倫理上重大な問題があったと結論した。関 連裏付け取材は直接本人に(23ページ)匿名化した場合、真実性の探求はより十全に行う必要がある(47ページ)第55号 謝罪会見報道に対する申立て(2015.11.17)本件放送のような情報バラエティー番組には、事実を事実として正確に伝えることも求められる。とりわけ、本件放送は、聴覚障害という一般視聴者の予備知識が乏しい専門的なテーマに関するものであることから、番組による不正確な説明内容によって視聴者が容易に誘導されうることに配慮が必要であった。また、こうした不正確な情報をもとにして個人的な知識・経験で語られる出演者の何気ない発言も、視聴者の誤解を強める結果となった。こうした問題は、本件放送が聴覚障害という人権に関わるセンシティブなテーマに触れるものであったことからすれば、より深刻である。そのような面に関し、放送倫理上十分な配慮を行
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