放送人権委員会 判断ガイド 2024
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133人権侵害公人など政党・政治団体の役員政党や政治団体は、政治的な思想や信条に基づいて国家・社会に働きかけ、一定の目的を追求し、実現しようとする組織体であることから、もともと社会性が高く、公的な存在として国民からのさまざまな意見や批判を甘受すべき地位にあるといえる。その役員についても、たとえ公職にない場合であっても、同様であるといえる。第29号 若手政治家志望者からの訴え(2006.7.26)国立大学教授本件の申立人は、国立大学教授の地位にある。「公人」の定義は必ずしも明確ではないが、仮に申立人が、狭義の公人ではなく、また、申立人が金沢大学事件に係る民事訴訟の直接の当事者(被告)ではないとしても、同事件において証人として証言した等、同事件の密接な関係者であることは明らかであり、少なくとも公人に準じる立場にある者として、そのプライバシーの保護において一定の制約を受けざるを得ない。加えて、本件報道は、医療過誤の問題など現在の公共の関心事との関連から、申立人の過去の職務上の行為または職務に関連した行為について報じたものである。第46号 大学病院教授からの訴え(2011.2.8)解 説医療界の問題を取り上げた報道番組について、国立大学医学部教授が公平・公正な取材に基づかない事実に反する偏向報道だったと人権侵害を申し立てた事案。立法に関わった人物申立人A氏は、派遣法の立法過程で重要な役割を果たした審議会の小委員会等で座長を務めるなど、準公人として公務に関わっていたと考えられるし、申立人B氏は法律制定作業時の労働事務次官、申立人C氏は雇用政策係長であり、ともに公人として立法過程に関わっていた。公共的な事柄に関わる公人の場合、その行為に対する論評として受忍すべき幅が一般人よりも広がることは言うまでもないし、本件放送内容

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