127人権侵害肖像権第65号 都知事関連報道に対する申立て(2017.7.4)解 説番組は東京都知事(当時)の政治資金の私的流用疑惑を取り上げ、取材クルーが都知事の自宅・事務所前で夫人を取材したが、その際、2人の子どもは1メートルくらいの至近距離から執拗な撮影をされたと肖像権侵害を申し立てた。委員会は本項で示された判断基準で検討した結果、夫人の取材には高い公共性・公益性が認められ、子どもの撮影は、そのような取材に伴う付随的撮影として相当な範囲を超えるものではないとして肖像権侵害を認めなかった。関 連委員会審理と映像素材(159ページ)肖像の権利者は撮影者ではなく映像に映っている人肖像の権利者はビデオを撮影した少女の両親ではなくB氏C氏両名なのであるから、少女の両親から特段の要望・指示がなかったことによってB氏C氏両名の推定的な承諾があると被申立人が判断したのは、映像に関わる権利処理に細心の注意を払うことが求められる放送局の判断としてはいささか軽率であったと言わざるを得ない。第45号 機能訓練士からの訴え(2010.9.16)解 説車イスの少女を取り上げた報道番組で使用された機能訓練の映像について、機能訓練士(B氏とC氏)が肖像権侵害を申し立てた事案。事務所等の外観の撮影は肖像権と無関係肖像権とは「何人もその承諾なしに、みだりにその容貌・姿態を撮影されたり、撮影された肖像写真を公表されない権利」であり、専ら自然人の権利とされている。したがって、事務所等の撮影は肖像権とはかかわりないものである。事務所等の撮影が無断で行われたとしても、放送された映像によって何らかの権利侵害が生じるなど、特段の事情が存在しない限り非難に値するとは考えられない。(当委員会決定19号、35号)第39号 徳島・土地改良区横領事件報道(2009.3.30)
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