放送人権委員会 判断ガイド 2024
143/264

125人権侵害肖像権関 連資料映像の使用の注意(81ページ)第47号 無許可スナック摘発報道への申立て(2012.11.27)第35号 “グリーンピア南紀”再生事業の報道(2007.12.4)第24号 警察官ストーカー被害者報道(2004.12.10)肖像権と報道の自由の調整社会の正当な関心事をニュースとして報道することは報道機関の使命であり、報道の自由によって保障されている。このような場合、申立人の肖像権と、報道の自由が衝突することとなり、両者を調整する必要が生じる。そして調整のための具体的な方法はつぎのような考え方に従うこととなる。すなわち、申立人の承諾なしに撮影された申立人の映像を放送することは、原則として肖像権侵害となるが、そのような映像を含む放送の内容が、報道の自由の観点から、公共の利害に関する事実の報道であり(公共性)、その放送が公益目的でなされた場合(公益性)には、放送による肖像権侵害の内容や程度と、その放送の公共性の内容や程度そして取材と報道の手段・方法とを比較考量して、放送することの価値が高いと判断されるのであれば、申立人はSBSに対して肖像権侵害を問うことはできないと考えるのである。第53号 散骨場計画報道への申立て(2015.1.16)肖像権と事案の公共性散骨場建設計画が、自治体当局の対応も含め地域社会に大きな反響を生じさせ、すでに相当高い公共性を有する話題となっており、したがって、これに関する報道にも相当高い公共性が認められている状況において、散骨場の建設・運営を計画している会社の代表者が、個人的な肖像権を根拠に、自己の顔の映像を放送することを拒否できるかについては大きな疑問がある。企業の社会的責任が指摘される昨今、地域社会に現実に相当程度の影響を生じさせている事業を計画している会社の代表者が、自らの顔を露出することを、個人の肖像権を根拠に否定し得るとは思われないからである。

元のページ  ../index.html#143

このブックを見る