124放送人権委員会 判断ガイド2024人権侵害肖像権肖像権肖像権は、明文で規定されてはいないが、「何人もその承諾なしに、みだりにその容貌・姿態を撮影されたり、撮影された肖像写真や映像を公表されない権利」であり、人格権の内容をなす法的な利益として保護されることに争いはない。しかし、肖像権も他の人権や社会的利益との関係においてすべてに優先するわけではないから、表現の自由や報道の自由との関係においても、両者の調整が図られなければならない。「その承諾なしに、みだりにその容貌・姿態を撮影」とされているのにはそのような意味が込められている。第53号 散骨場計画報道への申立て(2015.1.16)肖像権侵害と免責肖像権の侵害となる行為があった場合でも、①当事者の承諾があるか、②諸般の事情から当事者の暗黙の承諾が認められるか、または、③報道・取材の自由が民主主義社会において国民の知る権利に奉仕するという重要な意義を有することから、当該取材・報道行為が公共の利害に関する事実に係り、もっぱら公益を図る目的でなされたものであり、かつ、当該取材・報道の手段・方法が目的に照らして相当性を持つ場合には、肖像権の侵害の違法性はない。(当委員会決定24号、35号)第39号 徳島・土地改良区横領事件報道(2009.3.30)解 説申立人は、前年の参議院議員の集会で発言する自分の映像が承諾なく使用されたと肖像権侵害を訴えた。委員会は、申立人が会長を務める全土連という組織の実態を明らかにするという目的に照らして相当性がないわけではないとして、肖像権侵害とまでは言えないと判断した。5肖像権
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