放送人権委員会 判断ガイド 2024
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121人権侵害プライバシー第35号 “グリーンピア南紀”再生事業の報道(2007.12.4)関 連第66号 浜名湖切断遺体事件報道に対する申立て(2017.8.8)プライバシー侵害の判断①~メールの内容一般に、メールの内容を第三者に開示あるいは一般に公表されないことに対する社会的な期待が存在し、それは正当な期待であると言えるから、メールの内容はプライバシーに属すると考えられる。このことは、職務上付与されたメールアドレスを用いてなされた業務上のメールであっても、少なくとも第三者による公表との関係では、ひとまずは同様に考えられる。しかしながら、プライバシーに属する情報であっても、報道の自由との調整の観点から、公共性と公益性のある報道目的のために相当な範囲・方法で公表することは許される。相当な範囲・方法の検討にあたっては、報道目的との関連性・必要性の程度や当該メールの内容の秘匿性の程度も考慮すべきである。第62号 STAP細胞報道に対する申立て(2017.2.10)解 説本件放送について、申立人はメールの内容が無断で公開されたとプライバシー侵害を訴えた。委員会は、メールの内容は前置きのあいさつや論文作成上の一般的な助言に関するものにすぎず、秘匿性は高くなく、公共性と公益性のある報道目的のために相当な範囲、方法を逸脱しているとまでは言えないとしてプライバシー侵害を認めなかった。プライバシー侵害の判断②~住宅に干した布団や枕の映像映っている布団や枕は特異なものではない。だれでも見ることができる住宅の外部に干してある布団や枕は、少なくともそれ自体としては当然に保護されるべきプライバシー(他者に知られることを欲しない個人に関する情報や私生活上の事柄)には当たらないと考えられよう。

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