放送人権委員会 判断ガイド 2024
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119人権侵害プライバシープライバシー個人に関する情報について、本人が、自己が欲しない他者にはみだりにこれを開示されたくないと考えることは自然なことであり、これらの情報は、プライバシーに係る情報として法的な保護の対象となる(最高裁平成15年9月12日判決民集57巻8号973頁参照)。第35号 “グリーンピア南紀”再生事業の報道(2007.12.4)判 例〈プライバシーとは〉東京地裁判決「宴のあと」事件1964年9月28日いわゆるプライバシー権は私生活をみだりに公開されないという法的保障ないし権利として理解されるから、その侵害に対しては侵害行為の差し止めや精神的苦痛に因る損害賠償請求権が認められるべきものであり、民法709条はこのような侵害行為もなお不法行為として評価されるべきことを規定しているものと解釈するのが正当である。(中略)プライバシーの侵害に対し法的な救済が与えられるためには、公開された内容が(イ)私生活上の事実または私生活上の事実らしく受け取られるおそれのあることがらであること、(ロ)一般人の感受性を基準にして当該私人の立場に立つた場合公開を欲しないであろうと認められることがらであること、換言すれば一般人の感覚を基準として公開されることによつて心理的な負担、不安を覚えるであろうと認められることがらであること、(ハ)一般の人々に未だ知られていないことがらであることを必要とし、このような公開によつて当該私人が実際に不快、不安の念を覚えたことを必要とする。最高裁第二小法廷判決「早稲田大学講演会参加希望者名簿提出事件」2003年9月12日本件個人情報は、早稲田大学が重要な外国国賓講演会への出席希望者をあらかじめ把握するため、学生に提出を求めたものであるところ、学籍番号、氏名、住所及び電話番号は、早稲田大学が個人識別等を行うための単純な情報であって、その限りにおいては、秘匿されるべき必要性が必ずしも高いものではない。また、本件講演会に参加を申し込んだ学生であることも同断である。しかし、このような個人情報についても、本人が、自己が欲しない他者にはみだりにこれを開示されたくないと考えることは自然なことであり、そのことへの期待は保護されるべきものであることから、本件個人情報は、上告人らのプライバシーに係る情報として法的保護の対象になるというべきである。(中略)上告人らの同意を得る手続を執ることなく、上告人らに無断で本件個人情報を警察に開示した同大学の行為は、上告人らが任意に提出したプライバシーに係る情報の適切な管4プライバシー

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