114放送人権委員会 判断ガイド2024人権侵害名誉感情名誉感情名誉感情とは、人が自己の価値について有している意識や感情であり、要するにプライドや自尊心のことである。これは主観的なものであって、客観的な社会的評価である名誉とは異なる。名誉感情も法的保護の対象となりうるが、主観的なものであるだけに、名誉感情の侵害は、社会通念上許される限度(いわゆる「受忍限度」あるいは「許容限度」。以下「許容限度」という)を超えた場合に初めて法的な保護を受けることになる。第56号 大喜利・バラエティー番組への申立て(2015.11.17)関 連第60号 自転車事故企画に対する申立て(2016.5.16)名誉感情侵害の判断①一般的に名誉感情侵害が認められるのは、たとえば侮蔑的な言葉が被害者に対して直接浴びせられる場合などであり、そのような場合と本件放送の場合とでは大きな隔たりがある。本件放送では、申立人に対して、何らかの否定的な評価やコメントが直接的にも間接的にも一切なされてはいないからである。また、たしかに、本件ドラマ部分が、申立人の立場からすれば許しがたい内容であり、そのようなドラマを中心的に扱う番組と知っていれば自分は出演しなかったと思うとしても、すでに検討したとおり、申立人が出演するのは情報部分であるうえ、本件ドラマ部分と情報部分とは番組構成上区別され、その関連性は間接的なものにとどまる。第60号 自転車事故企画に対する申立て(2016.5.16)名誉感情侵害の判断②大喜利は、独特の形式によって世相を風刺し笑いをとる演芸であって、2名誉感情
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