111人権侵害名誉ねたとして、申立人に対する強い非難感情が基底に存在しており、非行教師を教育界から排除すべきとの問題意識が先行した結果、取り上げたケースの具体的事実関係及び懲戒処分とその修正過程を客観的に調査し、申立人側の主張を丁寧にフォローすることを怠ったために、結果的には修正裁決において処分が軽減されたにもかかわらず、逆に「申立人に対する社会的評価をさらに低下させ、本件放送が申立人に対して教壇への復帰を一層困難にしたのではないかという強い不安を与えた」という点において、申立人の人権を侵害したものと考える。第22号 中学校教諭・懲戒処分修正裁決報道(2004.5.14)インタビュー編集と発言者の名誉毀損当番組を視聴した申立人を知る者の中には、番組内での申立人の発言に疑問やいらだちを感じた者がいたことが認められるが、一般視聴者の通常の見方からは、当番組での申立人の発言が必ずしも同人の社会的評価を貶めたとは認められない。なぜならば、名誉毀損とは発言内容がその対象者の社会的評価を傷つけることをいうのであるが、本件では発言内容の一部を削除して放送したものであり、放送された発言部分は本人の発言であって社会的評価を傷つけるものとまではいえないからである。このような場合で名誉毀損が成立するのは、放送された発言自体が虚偽の内容に捏造されたような場合である。第20号 女性国際戦犯法廷・番組出演者の申立て(2003.3.31)
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