放送人権委員会 判断ガイド 2024
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107人権侵害名誉第39号 徳島・土地改良区横領事件報道(2009.3.30)解 説前項と同じ事案。ここで示された真実性の立証についての判断は下記の最高裁判決で示された。判 例〈真実性の立証についての判断〉最高裁第三小法廷判決「ロス疑惑北海道新聞社報道事件」2002年1月29日裁判所は,摘示された事実の重要な部分が真実であるかどうかについては、事実審の口頭弁論終結時において,客観的な判断をすべきであり,その際に名誉毀損行為の時点では存在しなかった証拠を考慮することも当然に許されるというべきである。けだし,摘示された事実が客観的な事実に合致し真実であれば,行為者がその事実についていかなる認識を有していたとしても,名誉毀損行為自体の違法性が否定されることになるからである。真実性の立証とは,摘示された事実が客観的な事実に合致していたことの立証であって,これを行為当時において真実性を立証するに足りる証拠が存在していたことの立証と解することはできないし,また,真実性の立証のための証拠方法を行為当時に存在した資料に限定しなければならない理由もない。他方,摘示された事実を真実と信ずるについて相当の理由が行為者に認められるかどうかについて判断する際には,名誉毀損行為当時における行為者の認識内容が問題になるため,行為時に存在した資料に基づいて検討することが必要となるが,真実性の立証は,このような相当の理由についての判断とは趣を異にするものである。信用毀損と免責信用の失墜については、それが他人の行為によって侵害され他の人格的価値が侵害されたのと同様な精神的苦痛を受けることも否定できないから、その侵害が社会通念上許された限度を超える場合には、不法行為としての法的保護が認められるが、上記(2)で述べた名誉毀損において違法性を阻却しまたは故意過失を欠く事由と同様の事由がある場合には、不法行為とはならない。第33号 広島ドッグパーク関連報道(2007.8.3)

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