放送人権委員会 判断ガイド 2024
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106放送人権委員会 判断ガイド2024人権侵害名誉映像の内容、効果音、ナレーション等の映像及び音声に係る情報の内容並びに放送内容全体から受ける印象等を総合的に考慮して、判断すべきとされるのである。(最高裁平成15年10月16日判決民集57巻9号1075頁)第39号 徳島・土地改良区横領事件報道(2009.3.30)判 例〈テレビ放送における名誉毀損の判断〉最高裁第一小法廷判決「所沢ダイオキシン報道事件」2003年10月16日テレビジョン放送をされた報道番組の内容が人の社会的評価を低下させるか否かについても、同様に、一般の視聴者の普通の注意と視聴の仕方とを基準として判断すべきである。そして、テレビジョン放送をされた報道番組によって摘示された事実がどのようなものであるかという点についても、一般の視聴者の普通の注意と視聴の仕方とを基準として判断するのが相当である。テレビジョン放送をされる報道番組においては、新聞記事等の場合とは異なり、視聴者は、音声及び映像により次々と提供される情報を瞬時に理解することを余儀なくされるのであり、録画等の特別の方法を講じない限り、提供された情報の意味内容を十分に検討したり、再確認したりすることができないものであることからすると、当該報道番組により適示された事実がどのようなものであるかという点については、当該報道番組の全体的な構成、これに登場した者の発言の内容や、画面に表示されたフリップやテロップ等の文字情報の内容を重視すべきことはもとより、映像の内容、効果音、ナレーション等の映像及び音声に係る情報の内容並びに放送内容全体から受ける印象等を総合的に考慮して、判断すべきものである。名誉毀損と真実性の立証真実性の立証とは、摘示された事実が客観的な事実に合致していたことの立証であって、これを行為当時において真実性を立証するに足りる証拠が存在していたことの立証と解することはできないし、また、真実性の立証のための証拠方法を行為当時に存在した資料に限定しなければならない理由もない。他方、摘示された事実を真実と信ずるについて相当の理由が行為者に認められるかどうかについて判断する際には、名誉毀損行為当時における行為者の認識内容が問題になるため、行為時に存在した資料に基づいて検討することが必要となるが、真実性の立証は、このような相当の理由についての判断とは趣を異にするものである。(最高裁平成14年1月29日判例時報1778号49頁)

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