放送人権委員会 判断ガイド 2024
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98放送人権委員会 判断ガイド2024企画・取材、制作、放送放送とインターネットする。第24号 警察官ストーカー被害者報道(2004.12.10)関 連匿名・モザイク処理の原則と例外(51ページ)被害者映像の使用に配慮が求められるケース(80ページ)​リアリティ番組では出演者が精神的負担を負うリスクが高いリアリティ番組の特殊性について検討すると、リアリティ番組には、出演者のありのままの言動や感情を提示し、共感や反発を呼ぶことによって視聴者の関心を引きつける側面がある。もっとも、実際には演出上の指示・要請や、本人の番組企画への過剰な同調によって、真意に基づく言動とは異なる姿が視聴者に示されることもある。しかし、ドラマなどのフィクションとは違い、真意に基づく言動とは異なる姿に対するものも含め、視聴者の共感や反発は、役柄として作られた登場人物にではなく、生身の出演者自身に向かうことになる。このように、リアリティ番組には、出演者に対する毀誉褒貶を、出演者自身が直接引き受けなければならない構造があるといえる。第76号 リアリティ番組出演者遺族からの申立て(2021.3.30)解 説委員会は、出演者の身体的・精神的な健康状態に放送局が配慮すべきことは、もともと放送倫理の当然の内容をなすものと考えられるが、リアリティ番組においては特にそれがあてはまると指摘したうえで、しかし本件においてはこうした配慮が欠けており、放送倫理上の問題があると判断した。​先行配信による予見可能な二次被害と局の責任本件では、ほぼ同一内容の番組が本件放送に先立ってNetixで配信されて誹謗中傷がわき起こり、K氏がそれを苦にして自傷行為に及んでいたことからすれば、本件放送によって少なくとも同様の結果が生じることは具体的に予見可能だったのではないかが問題となる。

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