96放送人権委員会 判断ガイド2024企画・取材、制作、放送放送とインターネット(2)ソーシャルメディアでの反響などネットに流出した氏名が判読できるテレビ画像とプライバシー本件放送に含まれていた少年の氏名について、フジテレビは「極めて短時間、かつ氏名の文字の大きさも極めて微小であり、通常の方法の視聴形態では判読は不可能」と主張している。テレビ受像機を通じた動画として本件放送を見たとき、たしかに少年の氏名を判読することはできない。判読できない以上、テレビで流れたリアルタイムの映像そのものに限れば、プライバシー侵害の問題は生じない。しかし、録画した静止画像では少年の氏名を判読でき、これがインターネット上に流失した。この静止画像が少年のプライバシーを侵害していることは明らかである。第50号 大津いじめ事件報道に対する申立て(2013.8.9)解 説いじめ事件の報道で、加害者とされる少年の実名部分がモザイク処理されていない映像が流れた。放送では氏名は判読できなかったが、ネット上に流失した静止画像では判読可能であった。委員会は「テレビ映像に限れば、申立人の主張するプライバシー侵害には当たらない」とした一方で、録画機能の高度化やインターネット上に静止画像がアップロードされるといった新しいメディア状況を考慮したとき、静止画像にすれば氏名が判読できる映像を放送した点で、人権への適切な配慮を欠き、放送倫理上の問題があると判断した。関 連モザイク処理のミスと求められる人権意識(49ページ)ネットに流出したテレビ画像によるプライバシー侵害と局の責任申立人は、この静止画像がインターネット上で拡散した結果、少年の実名が広まり、さまざまなバッシングを加速・過熱化したと主張する。この静止画像だけが理由とは言えないにしても、それがバッシングの加速・過熱化に影響したことは否定できない。だが、問題は、このプライバシー侵害とその後の状況について、フジ
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