94放送人権委員会 判断ガイド2024企画・取材、制作、放送放送とインターネット番組のネット配信と申立ての期間要件インターネットによって放送内容がそのまま配信されているなどの事情があるときは、「放送のあった日から3か月以内に放送事業者に対し申し立てられ」たものでないとしても、委員会は「特段の事情」にあたるものとして、そのほかの事情を考慮するまでもなく、これを審理の対象とすることができるものと判断して審理入りを決定した。第44号 上田・隣人トラブル殺人事件報道(2010.8.5)解 説申立人は、局がネット上に配信していた本件放送の動画を視聴して報道内容を知った。局への抗議は運営規則が定める3カ月を過ぎていたが、委員会は放送日以降もネット上で動画が視聴可能だったことから期間要件を満たしているものとして審理入りを決めた。関 連第38号 広島県知事選裏金疑惑報道(2008.12.3)参 照委員会 運営規則5条(苦情の取り扱い基準)1 (4) 審理の対象となる苦情は、放送された番組に関して、(中略)、原則として、放送のあった日から3か月以内に放送事業者に対し申し立てられ、かつ、1年以内に委員会に申し立てられたものとする。配信停止後のネット上の動画は審理対象としない現時点においては、「放送」による人格権の侵害を視野において設置された当委員会の職務権限としては、これをインターネットにまで広げるとしても、放送と同一内容の動画・音声による配信が行われており、しかもそれが通常の方法によってアクセスできる限りにおいて審理の対象とすることはともかく、一般的な動画・音声配信が停止された以後の状態にまで及ぶとすることはできない。第38号 広島県知事選裏金疑惑報道(2008.12.3)解 説申立人は、局が動画の配信を停止したあとも、保存しておいた当該動画のアドレスを用いれば映像データへのアクセスが可能であったとして、なお名誉が侵害されていると主張した。委員会は守備範囲をインターネットに広げるとしても、局が主体的に放送番組と同一内容の動画・音声を配信しており、バナーのクリックやキーワード検索など通常の方法でアクセスできる場合に限るとの判断を示した。
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