91企画・取材、制作、放送バラエティー番組を事実として伝えるものである以上、相当性の判断基準が緩和されるわけではない。また、TBSの主張で援用されている、トークバラエティー番組については表現の許容範囲がより広いと述べた委員会決定第28号「バラエティー番組における人格権侵害の訴え」の判断は拡大解釈されるべきではない。さらに言えば、この決定は、結論的には人権侵害を認定しているのであって、具体的判断においては必ずしも緩やかな判断をしているわけではない点についてもあわせて確認しておきたい。第55号 謝罪会見報道に対する申立て(2015.11.17)解 説前項ではトークバラエティー番組について「真実性を旨とする報道番組と同一に論じることはできず、一般にその許容される限度はより広いものといって差し支えないであろう」と述べているが、委員会は本件の決定にあたって、番組が事実を事実として伝えるのであれば、番組のジャンルによって判断基準が変わることはないとの基本的な考えを示した。情報バラエティーの公共性・公益目的一般論として、正確な情報が視聴者に伝われば、それで知る権利は充たされるのであって、重要なのは公共性や真実性・相当性であり、主観的な放送の目的を過度に重視する必要はない。その意味では、柔らかく分かりやすい形で公共性のある事柄を伝える情報バラエティー番組には相応の存在意義があるのであって、前述のとおり公共性の認められる申立人に関わる疑惑を取り上げ、広く世に知らせることを目的とする本件放送には公益目的があったといえる。第55号 謝罪会見報道に対する申立て(2015.11.17)表現内容に着目して放送局の責任を問うことは表現の自由に対する制約につながりうる表現内容を取り上げて放送局の責任を問うことは表現の自由に対する制約につながりうること、通常のセクシャルハラスメントが問題となる事案でも「被害者」の意に反するか否かが問題とされることを踏まえるな
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