放送人権委員会 判断ガイド 2024
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90放送人権委員会 判断ガイド2024企画・取材、制作、放送バラエティー番組する以上、放送局は、事実を客観的かつ正確、公平に伝え、真実に迫るために最善の努力を傾けなければならない(放送倫理基本綱領参照)。本件のような構成で番組を製作した場合、視聴者は、どの部分が真実で、どの部分に誇張や架空の事実が入っているものであるか判断できないからである。第59号 ストーカー事件映像に対する申立て(2016.2.15)解 説前項と同じ番組に対する別の人物の申立て。申立人は「ストーカー行為を行った人物」として放送された。委員会は、摘示事実の主要部分は真実だとして名誉毀損を認めなかったが、放送内容と取材のあり方は申立人の人権への配慮を欠いたとして放送倫理上の問題を指摘した。バラエティー番組における名誉毀損の判断①ときには番組の中で対象として取り上げた人物の弱点に触れたり、プライバシーの暴露が行われることもある。報道番組とは違い、そのようなことがあったからといって、直ちに人権やプライバシーの侵害として法的、道義的責任を負わされるわけではない。むしろ、健全な娯楽を求める視聴者の要求に沿い、その生活に潤いを与えるものとしてトークバラエティー番組の存在意義は大きく、これを健全に発展させることはメディアの重要な役割のひとつとして期待されているところでもある。したがって、トークバラエティー番組が特定の人間の言動を取り上げた場合、その内容がその人間の名誉を毀損しているかどうか、あるいは違法にプライバシーを侵害しているかどうかについて判断するにあたっては、真実性を旨とする報道番組と同一に論じることはできず、一般にその許容される限度はより広いものといって差し支えないであろう。第28号 バラエティー番組における人格権侵害の訴え(2006.3.28)バラエティー番組における名誉毀損の判断②本件放送にバラエティー番組としての性格があるからといって、事実

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