89企画・取材、制作、放送バラエティー番組第54号 大阪府議からの申立て(TBSラジオ)(2015.4.14)関 連政治を扱う番組の意義と多様性(84ページ)再現ドラマであっても名誉・プライバシーに配慮すべきフジテレビは、本件放送について、ボカシをかけることや仮名を用いることによって、実際の人物との同定ができないようにしたことから、申立人側への裏付け、確認取材をする必要性はないとしている。しかし、登場人物に一定の匿名性を持たせたとしても、現実の事件を題材として、現実の事件を再現したものとして受け止められる表現を放送する以上、事件の真実に迫る努力をしなければならず、放送で取り上げられる関係者の名誉やプライバシーへの配慮を十分に行うべきである。第58号 ストーカー事件再現ドラマへの申立て(2016.2.15)解 説地方都市の食品工場で起きた「ストーカー事件」を取り上げた番組で「再現ドラマ」が放送された。この放送について申立人は、少なくとも職場関係者にとっては登場人物の一人が自分であると同定可能(実在する特定の人物のことを指しているとわかること)で、事件の「首謀者」と指摘されたとして名誉毀損を訴えた。局はボカシや仮名の使用によって申立人とは同定できないと主張した。委員会は同定可能性を認めて名誉毀損になるとし、また、匿名性を持たせた「再現ドラマ」であるとしても人権に配慮すべきだと指摘した。関 連一定範囲の人に同定されれば人権侵害は成立しうる(108ページ)現実の事件を再現する以上、再現ドラマであっても真実に迫る努力が求められる報道番組でなく、バラエティー番組であることを前提とし、上記のように「イメージ」というテロップを付したり仮名を用いる等の編集をしたとしても、本件放送のように、現実の事件の関係者の実写映像や隠し撮りした音声を随所に織り込んで、現実の事件を再現するものとして放送
元のページ ../index.html#107