88放送人権委員会 判断ガイド2024企画・取材、制作、放送バラエティー番組13バラエティー番組情報バラエティーの制作一般に、バラエティー番組では、出演者が本音を率直に述べること等によって視聴者の共感を得たり、健全な娯楽を求める視聴者の要求に沿い、生活に潤いを与えたりすることを重視するものがあってもよいだろう。しかし、本件放送のような情報バラエティー番組には、事実を事実として正確に伝えることも求められる。とりわけ、本件放送は、聴覚障害という一般視聴者の予備知識が乏しい専門的なテーマに関するものであることから、番組による不正確な説明内容によって視聴者が容易に誘導されうることに配慮が必要であった。また、こうした不正確な情報をもとにして個人的な知識・経験で語られる出演者の何気ない発言も、視聴者の誤解を強める結果となった。こうした問題は、本件放送が聴覚障害という人権に関わるセンシティブなテーマに触れるものであったことからすれば、より深刻である。そのような面に関し、放送倫理上十分な配慮を行うことが、放送による人権侵害の発生を防止することになるものと思われる。第55号 謝罪会見報道に対する申立て(2015.11.17)関 連障害に触れる際の配慮(33ページ)専門的なテーマを取り扱う場合は出演者に十分な事前説明を(55ページ)政治もバラエティーのテーマ本件放送は、いわゆるバラエティーのジャンルに属する番組の中で行われたものであり、申立人を揶揄している部分もあるが、政治をテーマとして扱い、政治を風刺したりすることは、バラエティーの中の一つの重要な要素であり、正当な表現行為として尊重されるべきものであるから、本件放送の公共性・公益性を否定するものと解すべきではない。
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