第276回-2025年2月25日
視聴者からの意見について…など
2025年2月25日、第276回青少年委員会を千代田放送会館BPO第一会議室で開催し、榊原洋一委員長をはじめ7人の委員が出席しました。吉永みち子副委員長は欠席でした。
会議の冒頭、バラエティー番組の「水を張った洗面台に顔面を押し付けるドッキリ企画」などについての「討論」が、すでに意見が出尽くしたとして終了しました。
引き続いて、1月後半から2月前半までの1カ月の間に寄せられた視聴者意見について、担当の委員から報告がありました。
2月の中高生モニター報告のテーマは「指定するドキュメンタリー番組を見た感想」でした。
委員会ではこれらの視聴者意見や中高生モニター報告について議論しました。
最後に今後の予定について確認しました。
議事の詳細
- 日時
- 2025年2月25日(火)午後4時00分~午後6時00分
放送倫理・番組向上機構BPO第一会議室(千代田放送会館7階) - 議題
- 「水を張った洗面台に顔面を押し付けるドッキリ企画」などについての「討論」
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
今後の予定について - 出席者
- 吉永副委員長、飯田豊委員、池田雅子委員、佐々木輝美委員
沢井佳子委員、髙橋聡美委員、山縣文治委員
「水を張った洗面台に顔面を押し付けるドッキリ企画」などについての「討論」
2024年11月の委員会から継続している、バラエティー番組での「水を張った洗面台に顔面を押し付けるドッキリ企画」などについての「討論」は、会議の冒頭ですでに委員の意見が出尽くし、委員会として番組制作者らを招いて勉強会などを開催する方向性が出せたとして、榊原委員長が「討論の終了」を宣言しました。これに委員からの異論はありませんでした。
視聴者からの意見について
1月後半から2月前半までの1カ月の間に寄せられた視聴者意見について担当の委員から報告がありました。
平日昼の情報番組で、コメの価格高騰に関連する話題として男性アナウンサーが家庭でのコメ節約術で3人の息子の夕食のおかずにごはんがあまり進まない魚料理や野菜料理を多くしていると紹介したところ、視聴者から「おなかいっぱい食べさせるのが親の務めなのに、これでは子どもへの虐待を思わせる」などの批判的な意見がありました。担当委員は「委員会では議論にならないだろう」として深刻な問題ではないという見方を示しました。
また先月に引き続いて、江戸時代の性風俗を描いた連続ドラマに、視聴者の批判的な意見が相次いでいることについても、担当委員は「前回(1月)の議論に特段付け加えるところはない」としました。
ある委員は「午後8時からの放送なので、子どもも一緒に見ているだろう。ああいう(当時の性風俗)内容なので、小学生の子どもに説明しきれないという思いはある。当時の時代状況に迫ったドラマであっても、放送時間の『ゾーニング』という視点を少し考えなければならないのではないか」と指摘しました。
一方、別の委員は「当時の遊女の存在や地位を社会がどう見ていたか、その時代のとらえ方も踏まえて視聴すべきであって、現在の社会の感覚でとらえてはいけないと思う」と述べました。
このほかに大きな議論になる番組はなく、新たに「討論」に進むものはありませんでした。
中高生モニター報告について
2月のテーマは「指定するドキュメンタリー番組を見た感想」で、課題とした番組は2024年日本民間放送連盟賞 番組部門[テレビ教養]最優秀『#つなぐひと ~わたし、義肢装具士になりました~』(ワールド・ハイビジョン・チャンネル/BS12 トゥエルビ)です。
人口400人の島根県太田市大森町にある会社で働く30歳の今岡良葵さんを主人公に、義肢装具士を目指した経緯やものづくりへの思い、先輩である大森浩己さんの指導の様子や同僚とのやりとり、また今岡さんが患者と丁寧にコミュニケーションをとりながら義足をつくりあげていく姿などを描いています。
26人のモニターから報告があり、職業についての感想のほか、人物を描いた部分に関する感想、また取材や演出に関する要望も寄せられています。
「青少年へのおすすめ番組」では『がっちりマンデー!!』(TBSテレビ)に6人から、『実証科学バラエティー 百聞はジッケンに如(し)かず』(NHK総合)に3人から、『THE世代感 懐かし映像を若者に見せて驚いた事SP』(テレビ朝日)と『ミライ☆モンスター』(フジテレビ)、『昭和vs令和 世代を超えて愛される最強ヒット曲』(テレビ東京)にそれぞれ2人から報告がありました。
◆モニター報告より◆
【指定するドキュメンタリー番組を見た感想】
《職業についての感想》
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義足や義手をつくるために細かな箇所まで調整していて、ミリ単位の繊細な仕事を手作業でしたことが意外でした。(中学2年・女子・東京)
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義肢装具士は、需要と供給のバランスの面で仕事として成立するのか疑問だったが、義肢にはメンテナンスが必要であることや義肢装具士の数が少ないことから、「供給<需要」であり仕事として成立するのだと分かった。(高校1年・男子・長崎)
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私は義肢装具士に対して「つらくて作業時間が長いうえに、賃金の低い職業」という偏見を持っていて、他にも調べると「国家資格を取らなければならないのに、平均年収が300~400万円というのは低い」という声がありました。しかし番組を見て、義肢装具士として働く人たちにとっては賃金や時間などは問題ではないのだと気がつきました。(高校2年・男子・神奈川)
《登場人物についての感想》
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モノづくりと人助けを同時に叶えるために中学生のころから努力した今岡さんは、すごいと思いました。周囲に「できた人間」「安定している」と褒められるような人柄は、人として目指すべきだと思いました。(中学3年・男子・千葉)
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私は大森さんが特に印象に残った。大森さんは「義足が当たり前で、どんどん歩けるようになった」と暗い感情をあまり出していなかったけれど、周りに負けずに生きてきてすごいと思った。(中学1年・女子・鹿児島)
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義足はつくる時も重々しい雰囲気が漂っているのかなと今まで思っていましたが、義肢装具士が患者と話しているシーンは私が眼鏡をつくった時と変わらないと思い、「義足を使うなんて可哀想」と思ったことを反省しました。義肢装具士が患者に笑顔で接するのは「より良い生活を送ってほしい」という思いがあるからだと感じました。私も将来そのような思いを持って仕事をしたいです。(高校1年・女子・愛知)
《取材や演出についての感想・要望》
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番組に“義肢”が出てきましたが、手足のない生活を考えたくないと思うので、正直ちょっと怖かったです。ベテラン義肢装具士の大森浩己さんは、生後半年足らずで両足に火傷を負い10歳の時に義足をつけたそうですが、僕は大森さんが保育園や小学校のとき、周りの人たちに「足がない」と笑われて馬鹿にされていなかったか気になりました。昔はそのようなことで馬鹿にする人が多かったと思うからです。大森さんの気持ちがもう少し分かれば良かったなと思いました。また、全国で義肢装具士の人数が減ってきているそうですが、なぜ成り手がいないのか気になりました。試験が難しいのか、技術が必要なのか、減少理由も知りたかったです。(中学1年・男子・山梨)
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義肢を作る会社が1年に何人くらいから依頼を受けているのかなど、数字があるともっと分かりやすいと思う。(中学2年・女子・鳥取)
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義肢装具士はかなりマイナーな職業なので、良い題材だと思いました。テレビでもっと職業紹介を増やすべきだと思います。個人的に紹介してほしい職業は、これからの時代に必要とされるエッセンシャルワーカーです。跡継ぎを増やすためにも、積極的にこういう番組を増やすべきだと思います。(中学2年・男子・東京都)
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ドキュメンタリー番組は、どの表情と言葉を切り取るか、また構成やナレーションによって、作品の重みが大きく変わると思いますが、どこか味気ないと思いました。義肢装具士として患者と向き合う姿勢が伝わりづらかったです。長時間取材しているからこそ出演者の心や表情の変化を知りたいのに、あまり本音が出ていないと感じました。カメラの手ブレが少し気になってしまったし、ナレーションの表現も物足りないので、もっと視聴者を引き込むような作り方ができるのではないでしょうか。(中学2年・女子・埼玉)
《その他の感想》
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テレビを見て他県からわざわざ義足を作りに来ている人がいて、テレビの影響はすごいと感じました。今、情報を受け取るのはネットの時代に変わっているけど、テレビも重要だと思います。(中学2年・女子・秋田)
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患者の人生を支える新しい身体を作る素晴らしさを強く感じました。番組の冒頭では「義足ってこんな簡単に作ることができるんだ」としか感じていませんでしたが、視聴し終わったときには「一つの義足にこんなにも思いが込められているんだ」と感じました。この番組に出会えてよかったです。自分の中の世界がさらに広がったような気がします。(高校2年・女子・愛媛)
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なかなか自分では出会えない番組だと思うので、何かしらのプロモーションや、学校の教育現場で見せるなどの工夫が必要だと思いました。(高校3年・女子・奈良)
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この番組はTVerの「お気に入り登録」の数が928で、少ないなと思いました。義肢装具士という限られたテーマのため、まずは配信されていることを広く周知することが大切だと思います。ドキュメンタリー番組は「どんな境遇の人にも必ず得るものがある」と多くの人に思ってもらいたいとも思いました。(高校3年・女子・熊本県)
【自由記述】
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中学校で「将来の夢を発表しよう」という授業があるので、「職業特集」のような番組があるとうれしいです。(中学1年・男子・山形)
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ドキュメンタリー番組は実際に視聴すると面白いですが、長時間だったり、タイトルやテーマが難しく思えたりして、見るのをためらってしまいます。予告で詳しく紹介したり、放送時間を1時間以内にしたりすると、気軽に視聴できると思いました。(高校1年・女子・愛知)
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ドキュメンタリー番組を見る機会はあまりないですが、社会を知ったり多くを学んだりする上で、効果的で良い方法なのかもしれないと思いました。もっとドキュメンタリー視聴が浸透するためには「時間」が大きなポイントだと思います。「タイパ」という言葉がよく使われますが、「ダイジェスト版をつくって興味をもってもらう」「対象年齢層を絞る」「放送時間帯を工夫する」のも良いのかなと思います。(中学3年・女子・長崎)
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1月17日は阪神淡路大震災から30年の節目の日で、たくさんの関連番組が放送されていた。『NHKスペシャル「映像記録 阪神・淡路大震災 -命をめぐる30年の現在地-」』(NHK総合)では自分が住んでいる芦屋市で人命救助に尽力した人を取り上げていた。救出者の8割は一般住民によって助けられたことはとても驚きだった。小学校から何度も震災教育を受けてきたがまだまだ知らないことがあり、震災関連番組の大切さを改めて感じた。(高校1年・男子・兵庫)
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『なにわ男子の逆転男子』(テレビ朝日)を最近よく視聴しています。毎週違う内容で飽きずに見ることができて面白いです。Aぇ!groupの末澤誠也さんがゲスト出演した回は、末澤さんが得意なことでの三番勝負だったので、レギュラー出演のなにわ男子が振り回されていてとても面白かったです。(中学3年・女子・神奈川)
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『Skyrocket Company』(エフエム東京)の中で「聴いているあなたもわが社の社員~」と流れていた。投書やXの投稿をしない私は「聴いているだけの自分は受け身」だと思っていたが、「もしかして視聴者として大事な役割を担っているのかもしれない」と思えた。(高校3年・男子・東京)
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フジテレビの10時間越えの会見について。フジテレビのような大企業でも社員1人のことを守れないのかと思ってしまいました。(中学2年・女子・東京)
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フジテレビの記者会見で、10時間以上続く中で休憩はほとんどなかったというのを聞き、いくら悪いことをしたとしても高齢の社長たちを休ませてあげないのはさすがに酷すぎると思いました。司会が指名して記者が質問するシステムでしたが、指名されていない記者が大きな声で怒鳴っているのを聞き、マナーを守ってほしいなとも思いました。(高校3年・女子・栃木)
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最近はフジテレビが問題となっているが、番組はいいものが多いので、番組まで悪く評価されるのは良くないと思う。(高校2年・女子・東京)
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フジテレビ、なんだかすごいことになってますね。調べても正直どうなってるのかよくわからないので、特集番組があったらいいですね。こういう時に良い方法は、テレビを見て静かにいることでしょう。無関心はとても悪いことかもしれませんが、加害者になるよりかはマシでしょう。(中学3年・男子・千葉)
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東京への旅行で4つの民放本社に行ったことがある。フジテレビは入館料を払えば球体展望室に入ったり実際にドラマで使用された椅子に座ったりできたが、他局はSHOP以外に見どころが少なかった。常時開設の資料館など、いつ行っても楽しめるようなものがあれば嬉しいと思った。(高校2年・女子・青森)
【青少年へのおすすめ番組】
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『実証科学バラエティー 百聞はジッケンに如(し)かず』(NHK総合)
見た目を変えることで、性格や行動、知能まで変わってしまっていて、「外見」は本当にたくさんの影響を及ぼすことができるのだなと思いました。(中学1年・女子・神奈川) -
『イモヅル式に学ぼう!NHKラーニング「まなぼう」~江戸を学べるプレイリスト』(NHKEテレ)
遊郭はそもそもぽつんと一軒あるのもだと思っていたので、CGで再現された当時の遊郭を見て、建物の形や規模、華やかさに「行ってみたい」と思いました。しかし華やかな世界の裏で遊女が厳しい生活をしていたと聞くと、複雑な気持ちになりました。また美人画に描かれた3人の女性の区別が初見では全くつかなかったのですが、3人の特徴が実は顔や衣服に描かれていたところが面白かったです。(中学3年・女子・東京) - 『がっちりマンデー!!』(TBSテレビ)
- 私は森永卓郎さんをよく知りませんでしたが、様々なことに詳しく、セコ技術ももっと知りたいと思いました。もうテレビでは見ることが出来ないと思うと悲しいです。森永さんが大切にしてきた「何事にも全力で取り組む」が心に響きました。(高校1年・女子・岐阜)
- 毎週視聴していますが、森永卓郎さんの「CM②の後で」の後のコーナーが特に好きです。森永さんの独特なチョイスがとても面白かったです。今まで私たちに有益な情報を伝えてくださりありがとうございました。安らかにお眠りください。(高校2年・男子・山口)
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『THE世代感 懐かし映像を若者に見せて驚いた事SP』(テレビ朝日)
こういった世代間の違いを強調する番組が最近多い気がします。正直そこまで大きな違いではないし、驚きがあるわけでもない。みんなオーバーリアクション過ぎませんか?さすがにあそこまで露骨だと違和感があります。私の「世代感」がズレているだけかもしれませんが、テレビ離れが進んでいる原因は、案外こういった小さいところの感覚の「ズレ」から始まるのかもしれないと思いました。(中学3年・男子・千葉) - 『ミライ☆モンスター』(フジテレビ)
- フィギュアスケートの事をあまり知らなかったけれど、得点の付け方の紹介があって分かりやすかった。10代の選手も大人と同じ大会で上位の成績を残していることが分かった。有名な選手ではなく若い選手を紹介するこの番組はいいと思う。(中学2年・女子・鳥取)
- 番組名が、自分では思いつかない良い表現で、番組内容を表していると思う。ただこの番組を誰が視聴するのか気になった。出演者を応援する人は見るだろうけれど、ライバルやその関係者は見ないのではないか。かなり主観だらけで主人公に偏っている気がして、万人に見てもらいたいという意図が感じられなかった。(高校3年・男子・東京)
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『ラーメンを食べる。』(BS-TBS)
私はラーメンが好きでいつもSNSで美味しい店を調べていますが、この番組を初めて知り、これから毎週見ようかなと思いました。今回は江の島にあるお店の紹介でしたが、遠くからでも行きたくなるくらい美味しそうでした。店主のこだわりがたくさんあるからこそ、たくさんのお客さんが訪れているんだろうなと思いました。(高校3年・女子・栃木) -
『やまがた美食ノトビラ』(山形テレビ)※1月のおすすめ番組
地元のグルメを放送してくれると分かりみが深いし、知らないお店でも気軽に行けるので、地元の特集は残していてほしい。(中学1年・男子・山形県)
◆委員からのコメント◆
【指定するドキュメンタリー番組を見た感想】
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中学1年生のモニター報告に「“義肢”が出てくるのは、正直ちょっと怖い」とあった。障がい者が出演する番組を中高生モニターに視聴してもらうと感じることだが、「障がいを怖いと思うのは不公平だし、全然ダイバーシティじゃないし、そういう自分にもなりたくない」という気持ちと、「障がいを見ると心がザワザワする」という気持ちとの葛藤が、多くの中高生にあるのだろうと思った。目を背けがちなテーマだが、頑張って視聴してくれたと思う。
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パラリンピックの放送などで義肢を見る機会は多いと思うが、「義肢装具士の仕事を知らなかった」「義肢の製作過程を初めて見た」といった感想が多かったのはとても印象的だった。
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高校1年生のモニター報告に「健常者」という言葉が2回あった。健常者と障がい者とを分けている視点を感じて、悪気はないだろうが、個人的に気になった。
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今回のような良質なドキュメンタリー番組は明らかに青少年に届いていないと思う。「ためにはなるけれど、長すぎる」とはっきり報告してくれているので、5分・15分・30分バージョンを制作してうまくPRすることが必要なのでは。青少年委員会としても、青少年に良質な番組を届ける工夫ができないか考えたい。
【自由記述について】
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フジテレビの問題について記述したモニターが多くいたが、中学3年生のモニター報告に「もはや何が何だかよくわかりません。こういう時に良い方法は、テレビを見て静かにいることでしょう」とあった。上智大学の佐藤卓己先生が著書などで「最近のメディアリテラシーの本質は“ネガティブ・ケイパビリティ”なのではないか。SNSでこれだけ偽情報がある中、真偽を読み解くなんてことは不可能なので、曖昧なものを曖昧なままにしておく、ある種のネガティブ・リテラシーが大事なのだ」と語っているが、このモニターはその“ネガティブ・ケイパビリティ”を備えていると思う。
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高校2年生のモニター報告に「各放送局に常時開設の資料館があると嬉しい」とあったが、放送業界に興味のある青少年がさらに興味を深めるきっかけになると感じた。
【青少年へのおすすめ番組について】
- 『ミライ☆モンスター』(フジテレビ)に関する報告の中に「主観だらけで主人公に偏っている気がする」とあった。誰かをドキュメントするときにある程度“肩入れ”することはあるが、この意見はドキュメンタリー制作におけるリテラシーの、根本的な問題を捉えているかもしれないと思う。
今後の予定について
次回は2025年3月25日(火)に千代田放送会館BPO第一会議室で定例委員会を開催します。
また、2日後の3月27日(木)にはテレビ東京を会場にして「中学生モニター」会議を開催します。
以上