2025年2月に視聴者から寄せられた意見

2025年2月に視聴者から寄せられた意見

道路陥没事故のヘリ中継や現場取材のあり方に対して意見が寄せられました。

2025年2月にBPOに寄せられた意見の総数は、1,624件で、先月から816件減少しました。
意見のアクセス方法は、ウェブ 83.8% 電話 15.0% 郵便・FAX 1.2%
男女別は、男性 48.0% 女性 27.3% 無回答 24.4%で、世代別では10代 0.6% 20代 8.6% 30代 19.6% 40代 22.4% 50代 20.1% 60代 11.9% 70歳以上3.9%
視聴者意見のうち、個別の番組や放送局に対するものは当該局へ個別に送付します。2月の個別送付先は31局で、意見数は292件でした。放送全般に対する意見は166件で、その中から11件を選び会員社すべてに送りました。

意見概要

番組に関する意見

埼玉県で道路が陥没してトラックが巻き込まれた事故の報道に対して意見が寄せられました。
ラジオに関する意見は69件、CMについては16件でした。

青少年に関する意見

2025年2月中に青少年委員会に寄せられた意見は61件で、前月から30件減少しました。
今月は「表現・演出」が26件と最も多く、次いで「報道・情報」が17件で、以下「要望・提言」の12件などが続きました。

意見抜粋

番組に関する意見

  • 埼玉県の道路陥没現場から連日中継があったが、画面を見ていて心配になったことがある。多数のヘリによる騒音が現場の救助活動の妨げになっているのではないか。中継車や取材車両が周辺に集中して地域の交通環境を悪化させているのではないか。現場取材のあり方を考える機会にしていただきたいと思った。

  • 大雪や浸水など災害の時や事件関係者の取材などの際に、ひとり暮らしの高齢者をインタビューする場面をよく見るが、ひとり暮らしの高齢者という情報を悪用しようとする者たちも居るので、映像や個人情報などの扱いに細心の注意を払ってほしい。

  • 引退を表明したタレントとテレビ局の対応をめぐる報道のなかで、週刊誌の”サイレント修正”が話題となっているが、週刊誌記事を前提にしてスタジオトークを展開していた番組は責任を問われないのだろうか。情報の取り扱いや報道姿勢についてすべての放送局が自らを省みるきっかけとしてほしい。

  • シーズンインが近づきまた二刀流メジャーリーガーの話題を伝える時間が増えている。各社の制作現場に対して「この話題は取り上げなければならない」というような圧力がかけられているのではないかと心配になるくらいだ。もう少し他の話題とのバランスをとった方がよいと思う。

  • 自社番組の宣伝に力を入れることは理解できるが、ドラマなどの番組中に画面を切り取って異なる番組の宣伝を入れるのをやめてほしい。いま見ている番組を楽しんでいる視聴者を軽視しているように感じてしまう。

  • ドラマの中で管理栄養士が栄養指導をしている患者のがんを見逃したとして叱責される場面があったがおかしいと思う。管理栄養士の業務と責任について誤解を招きかねない表現だと感じた。

  • 一部アニメ番組の性的な描写が過激ではないかと感じる。身体の一部を白い光のようなもので隠すなどしているが「注意を払っています」というポーズでしかないと思う。いっそう過激な描写が含まれているだろう有料配信やDVDなどへの興味をかき立てるための演出ではないかなど勘ぐりたくなってしまう。

  • たとえば出演した映画や番組の紹介の時やイベントに参加した時の映像など、著名人の氏名をテロップ表示する際にカッコ何歳と年齢を表示しているが、年齢は必ずしも出さなくてもよいのではないか。

  • ネットには人もコンテンツも新しいものがどんどん出てくるのにテレビのバラエティーは代り映えしないと感じる。アイデアを公募したり若い作家を発掘したり、テレビから新しいジャンルのコンテンツを生み出そうという意気込みが欲しい。

青少年に関する意見

【「表現・演出」に関する意見】

  • 世界の動画を紹介するバラエティー番組。中国で父親が牛乳のパックを歯で開けようとして失敗し、脇にいた幼い娘の顔に牛乳を浴びせてしまう。その際、娘のズボンの股のところが開いていて、下着をつけていないように見えた。放送して大丈夫だろうか。

  • バラエティー番組で、冬のスキー場に男性芸人を集めて水着姿で座らせ、司会者からの出題に回答させていた。いじめかと思える状況で、非常に不愉快な思いをした。

  • 特撮ドラマのヒーローのひとりが老夫婦に噓をついて、お宝の壺をだまし取るシーンがあった。最後に壺は返却されたが、若年者が詐欺という犯罪を軽く考えてしまう悪影響が懸念される。

【「報道・情報」に関する意見】

  • 道路の陥没に巻き込まれたトラックが事故に遭う瞬間の視聴者提供映像が放送された。運転手の安否はまだ不明で、家族らがこの映像を目にしたらどれほどの衝撃を受けるだろうかと心を痛めている。

  • 情報番組で、コメの価格高騰に関するニュースの関連として、男性アナウンサーが「息子たちが苦手な魚料理や野菜料理にするとごはんが進まないことを発見した」と紹介。おなかいっぱい食べさせるのが親の務めなのに、これは虐待を想起させるものではないだろうか。

【「要望・提言」】

  • 特撮のヒーロー番組なのに、他人の食べ物を奪ったり、駄菓子屋で無銭飲食したり、挙げ句はお年寄りに暴力をふるうシーンがあった。子どもへの悪影響があるので、こうしたキャラクターは出さないでほしい。もっと明るく陽気なキャラクターがいい。

【「性的表現」に関する意見】

  • 女子中高生の胸や肌、下着の露出を売りにする性的な描写のあるアニメが、深夜に放送されている。放送局には放送倫理等の基準を守る社会的責任があるのだから、深夜アニメの表現をきちんと自主規制してほしい。

【「危険行為」に関する意見】

  • バラエティー番組で、インドの達人がカバーを外した扇風機の回転する羽を自分の舌で止める技を披露した。子どもが模倣すると危険なので放送すべきではなかった。

第276回

第276回-2025年2月25日

視聴者からの意見について…など

2025年2月25日、第276回青少年委員会を千代田放送会館BPO第一会議室で開催し、榊原洋一委員長をはじめ7人の委員が出席しました。吉永みち子副委員長は欠席でした。
会議の冒頭、バラエティー番組の「水を張った洗面台に顔面を押し付けるドッキリ企画」などについての「討論」が、すでに意見が出尽くしたとして終了しました。
引き続いて、1月後半から2月前半までの1カ月の間に寄せられた視聴者意見について、担当の委員から報告がありました。
2月の中高生モニター報告のテーマは「指定するドキュメンタリー番組を見た感想」でした。
委員会ではこれらの視聴者意見や中高生モニター報告について議論しました。
最後に今後の予定について確認しました。

議事の詳細

日時
2025年2月25日(火)午後4時00分~午後6時00分
放送倫理・番組向上機構BPO第一会議室(千代田放送会館7階)
議題
「水を張った洗面台に顔面を押し付けるドッキリ企画」などについての「討論」
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
今後の予定について
出席者
吉永副委員長、飯田豊委員、池田雅子委員、佐々木輝美委員
沢井佳子委員、髙橋聡美委員、山縣文治委員

「水を張った洗面台に顔面を押し付けるドッキリ企画」などについての「討論」

2024年11月の委員会から継続している、バラエティー番組での「水を張った洗面台に顔面を押し付けるドッキリ企画」などについての「討論」は、会議の冒頭ですでに委員の意見が出尽くし、委員会として番組制作者らを招いて勉強会などを開催する方向性が出せたとして、榊原委員長が「討論の終了」を宣言しました。これに委員からの異論はありませんでした。

視聴者からの意見について

1月後半から2月前半までの1カ月の間に寄せられた視聴者意見について担当の委員から報告がありました。
平日昼の情報番組で、コメの価格高騰に関連する話題として男性アナウンサーが家庭でのコメ節約術で3人の息子の夕食のおかずにごはんがあまり進まない魚料理や野菜料理を多くしていると紹介したところ、視聴者から「おなかいっぱい食べさせるのが親の務めなのに、これでは子どもへの虐待を思わせる」などの批判的な意見がありました。担当委員は「委員会では議論にならないだろう」として深刻な問題ではないという見方を示しました。
また先月に引き続いて、江戸時代の性風俗を描いた連続ドラマに、視聴者の批判的な意見が相次いでいることについても、担当委員は「前回(1月)の議論に特段付け加えるところはない」としました。
ある委員は「午後8時からの放送なので、子どもも一緒に見ているだろう。ああいう(当時の性風俗)内容なので、小学生の子どもに説明しきれないという思いはある。当時の時代状況に迫ったドラマであっても、放送時間の『ゾーニング』という視点を少し考えなければならないのではないか」と指摘しました。
一方、別の委員は「当時の遊女の存在や地位を社会がどう見ていたか、その時代のとらえ方も踏まえて視聴すべきであって、現在の社会の感覚でとらえてはいけないと思う」と述べました。
このほかに大きな議論になる番組はなく、新たに「討論」に進むものはありませんでした。

中高生モニター報告について

2月のテーマは「指定するドキュメンタリー番組を見た感想」で、課題とした番組は2024年日本民間放送連盟賞 番組部門[テレビ教養]最優秀『#つなぐひと ~わたし、義肢装具士になりました~』(ワールド・ハイビジョン・チャンネル/BS12 トゥエルビ)です。
人口400人の島根県太田市大森町にある会社で働く30歳の今岡良葵さんを主人公に、義肢装具士を目指した経緯やものづくりへの思い、先輩である大森浩己さんの指導の様子や同僚とのやりとり、また今岡さんが患者と丁寧にコミュニケーションをとりながら義足をつくりあげていく姿などを描いています。
26人のモニターから報告があり、職業についての感想のほか、人物を描いた部分に関する感想、また取材や演出に関する要望も寄せられています。
「青少年へのおすすめ番組」では『がっちりマンデー!!』(TBSテレビ)に6人から、『実証科学バラエティー 百聞はジッケンに如(し)かず』(NHK総合)に3人から、『THE世代感 懐かし映像を若者に見せて驚いた事SP』(テレビ朝日)と『ミライ☆モンスター』(フジテレビ)、『昭和vs令和 世代を超えて愛される最強ヒット曲』(テレビ東京)にそれぞれ2人から報告がありました。

◆モニター報告より◆

【指定するドキュメンタリー番組を見た感想】

《職業についての感想》

  • 義足や義手をつくるために細かな箇所まで調整していて、ミリ単位の繊細な仕事を手作業でしたことが意外でした。(中学2年・女子・東京)

  • 義肢装具士は、需要と供給のバランスの面で仕事として成立するのか疑問だったが、義肢にはメンテナンスが必要であることや義肢装具士の数が少ないことから、「供給<需要」であり仕事として成立するのだと分かった。(高校1年・男子・長崎)

  • 私は義肢装具士に対して「つらくて作業時間が長いうえに、賃金の低い職業」という偏見を持っていて、他にも調べると「国家資格を取らなければならないのに、平均年収が300~400万円というのは低い」という声がありました。しかし番組を見て、義肢装具士として働く人たちにとっては賃金や時間などは問題ではないのだと気がつきました。(高校2年・男子・神奈川)

《登場人物についての感想》

  • モノづくりと人助けを同時に叶えるために中学生のころから努力した今岡さんは、すごいと思いました。周囲に「できた人間」「安定している」と褒められるような人柄は、人として目指すべきだと思いました。(中学3年・男子・千葉)

  • 私は大森さんが特に印象に残った。大森さんは「義足が当たり前で、どんどん歩けるようになった」と暗い感情をあまり出していなかったけれど、周りに負けずに生きてきてすごいと思った。(中学1年・女子・鹿児島)

  • 義足はつくる時も重々しい雰囲気が漂っているのかなと今まで思っていましたが、義肢装具士が患者と話しているシーンは私が眼鏡をつくった時と変わらないと思い、「義足を使うなんて可哀想」と思ったことを反省しました。義肢装具士が患者に笑顔で接するのは「より良い生活を送ってほしい」という思いがあるからだと感じました。私も将来そのような思いを持って仕事をしたいです。(高校1年・女子・愛知)

《取材や演出についての感想・要望》

  • 番組に“義肢”が出てきましたが、手足のない生活を考えたくないと思うので、正直ちょっと怖かったです。ベテラン義肢装具士の大森浩己さんは、生後半年足らずで両足に火傷を負い10歳の時に義足をつけたそうですが、僕は大森さんが保育園や小学校のとき、周りの人たちに「足がない」と笑われて馬鹿にされていなかったか気になりました。昔はそのようなことで馬鹿にする人が多かったと思うからです。大森さんの気持ちがもう少し分かれば良かったなと思いました。また、全国で義肢装具士の人数が減ってきているそうですが、なぜ成り手がいないのか気になりました。試験が難しいのか、技術が必要なのか、減少理由も知りたかったです。(中学1年・男子・山梨)

  • 義肢を作る会社が1年に何人くらいから依頼を受けているのかなど、数字があるともっと分かりやすいと思う。(中学2年・女子・鳥取)

  • 義肢装具士はかなりマイナーな職業なので、良い題材だと思いました。テレビでもっと職業紹介を増やすべきだと思います。個人的に紹介してほしい職業は、これからの時代に必要とされるエッセンシャルワーカーです。跡継ぎを増やすためにも、積極的にこういう番組を増やすべきだと思います。(中学2年・男子・東京都)

  • ドキュメンタリー番組は、どの表情と言葉を切り取るか、また構成やナレーションによって、作品の重みが大きく変わると思いますが、どこか味気ないと思いました。義肢装具士として患者と向き合う姿勢が伝わりづらかったです。長時間取材しているからこそ出演者の心や表情の変化を知りたいのに、あまり本音が出ていないと感じました。カメラの手ブレが少し気になってしまったし、ナレーションの表現も物足りないので、もっと視聴者を引き込むような作り方ができるのではないでしょうか。(中学2年・女子・埼玉)

《その他の感想》

  • テレビを見て他県からわざわざ義足を作りに来ている人がいて、テレビの影響はすごいと感じました。今、情報を受け取るのはネットの時代に変わっているけど、テレビも重要だと思います。(中学2年・女子・秋田)

  • 患者の人生を支える新しい身体を作る素晴らしさを強く感じました。番組の冒頭では「義足ってこんな簡単に作ることができるんだ」としか感じていませんでしたが、視聴し終わったときには「一つの義足にこんなにも思いが込められているんだ」と感じました。この番組に出会えてよかったです。自分の中の世界がさらに広がったような気がします。(高校2年・女子・愛媛)

  • なかなか自分では出会えない番組だと思うので、何かしらのプロモーションや、学校の教育現場で見せるなどの工夫が必要だと思いました。(高校3年・女子・奈良)

  • この番組はTVerの「お気に入り登録」の数が928で、少ないなと思いました。義肢装具士という限られたテーマのため、まずは配信されていることを広く周知することが大切だと思います。ドキュメンタリー番組は「どんな境遇の人にも必ず得るものがある」と多くの人に思ってもらいたいとも思いました。(高校3年・女子・熊本県)

【自由記述】

  • 中学校で「将来の夢を発表しよう」という授業があるので、「職業特集」のような番組があるとうれしいです。(中学1年・男子・山形)

  • ドキュメンタリー番組は実際に視聴すると面白いですが、長時間だったり、タイトルやテーマが難しく思えたりして、見るのをためらってしまいます。予告で詳しく紹介したり、放送時間を1時間以内にしたりすると、気軽に視聴できると思いました。(高校1年・女子・愛知)

  • ドキュメンタリー番組を見る機会はあまりないですが、社会を知ったり多くを学んだりする上で、効果的で良い方法なのかもしれないと思いました。もっとドキュメンタリー視聴が浸透するためには「時間」が大きなポイントだと思います。「タイパ」という言葉がよく使われますが、「ダイジェスト版をつくって興味をもってもらう」「対象年齢層を絞る」「放送時間帯を工夫する」のも良いのかなと思います。(中学3年・女子・長崎)

  • 1月17日は阪神淡路大震災から30年の節目の日で、たくさんの関連番組が放送されていた。『NHKスペシャル「映像記録 阪神・淡路大震災 -命をめぐる30年の現在地-」』(NHK総合)では自分が住んでいる芦屋市で人命救助に尽力した人を取り上げていた。救出者の8割は一般住民によって助けられたことはとても驚きだった。小学校から何度も震災教育を受けてきたがまだまだ知らないことがあり、震災関連番組の大切さを改めて感じた。(高校1年・男子・兵庫)

  • 『なにわ男子の逆転男子』(テレビ朝日)を最近よく視聴しています。毎週違う内容で飽きずに見ることができて面白いです。Aぇ!groupの末澤誠也さんがゲスト出演した回は、末澤さんが得意なことでの三番勝負だったので、レギュラー出演のなにわ男子が振り回されていてとても面白かったです。(中学3年・女子・神奈川)

  • 『Skyrocket Company』(エフエム東京)の中で「聴いているあなたもわが社の社員~」と流れていた。投書やXの投稿をしない私は「聴いているだけの自分は受け身」だと思っていたが、「もしかして視聴者として大事な役割を担っているのかもしれない」と思えた。(高校3年・男子・東京)

  • フジテレビの10時間越えの会見について。フジテレビのような大企業でも社員1人のことを守れないのかと思ってしまいました。(中学2年・女子・東京)

  • フジテレビの記者会見で、10時間以上続く中で休憩はほとんどなかったというのを聞き、いくら悪いことをしたとしても高齢の社長たちを休ませてあげないのはさすがに酷すぎると思いました。司会が指名して記者が質問するシステムでしたが、指名されていない記者が大きな声で怒鳴っているのを聞き、マナーを守ってほしいなとも思いました。(高校3年・女子・栃木)

  • 最近はフジテレビが問題となっているが、番組はいいものが多いので、番組まで悪く評価されるのは良くないと思う。(高校2年・女子・東京)

  • フジテレビ、なんだかすごいことになってますね。調べても正直どうなってるのかよくわからないので、特集番組があったらいいですね。こういう時に良い方法は、テレビを見て静かにいることでしょう。無関心はとても悪いことかもしれませんが、加害者になるよりかはマシでしょう。(中学3年・男子・千葉)

  • 東京への旅行で4つの民放本社に行ったことがある。フジテレビは入館料を払えば球体展望室に入ったり実際にドラマで使用された椅子に座ったりできたが、他局はSHOP以外に見どころが少なかった。常時開設の資料館など、いつ行っても楽しめるようなものがあれば嬉しいと思った。(高校2年・女子・青森)

【青少年へのおすすめ番組】

  • 『実証科学バラエティー 百聞はジッケンに如(し)かず』(NHK総合)
    見た目を変えることで、性格や行動、知能まで変わってしまっていて、「外見」は本当にたくさんの影響を及ぼすことができるのだなと思いました。(中学1年・女子・神奈川)

  • 『イモヅル式に学ぼう!NHKラーニング「まなぼう」~江戸を学べるプレイリスト』(NHKEテレ)
    遊郭はそもそもぽつんと一軒あるのもだと思っていたので、CGで再現された当時の遊郭を見て、建物の形や規模、華やかさに「行ってみたい」と思いました。しかし華やかな世界の裏で遊女が厳しい生活をしていたと聞くと、複雑な気持ちになりました。また美人画に描かれた3人の女性の区別が初見では全くつかなかったのですが、3人の特徴が実は顔や衣服に描かれていたところが面白かったです。(中学3年・女子・東京)

  • 『がっちりマンデー!!』(TBSテレビ)
    • 私は森永卓郎さんをよく知りませんでしたが、様々なことに詳しく、セコ技術ももっと知りたいと思いました。もうテレビでは見ることが出来ないと思うと悲しいです。森永さんが大切にしてきた「何事にも全力で取り組む」が心に響きました。(高校1年・女子・岐阜)
    • 毎週視聴していますが、森永卓郎さんの「CM②の後で」の後のコーナーが特に好きです。森永さんの独特なチョイスがとても面白かったです。今まで私たちに有益な情報を伝えてくださりありがとうございました。安らかにお眠りください。(高校2年・男子・山口)
  • 『THE世代感 懐かし映像を若者に見せて驚いた事SP』(テレビ朝日)
    こういった世代間の違いを強調する番組が最近多い気がします。正直そこまで大きな違いではないし、驚きがあるわけでもない。みんなオーバーリアクション過ぎませんか?さすがにあそこまで露骨だと違和感があります。私の「世代感」がズレているだけかもしれませんが、テレビ離れが進んでいる原因は、案外こういった小さいところの感覚の「ズレ」から始まるのかもしれないと思いました。(中学3年・男子・千葉)

  • 『ミライ☆モンスター』(フジテレビ)
    • フィギュアスケートの事をあまり知らなかったけれど、得点の付け方の紹介があって分かりやすかった。10代の選手も大人と同じ大会で上位の成績を残していることが分かった。有名な選手ではなく若い選手を紹介するこの番組はいいと思う。(中学2年・女子・鳥取)
    • 番組名が、自分では思いつかない良い表現で、番組内容を表していると思う。ただこの番組を誰が視聴するのか気になった。出演者を応援する人は見るだろうけれど、ライバルやその関係者は見ないのではないか。かなり主観だらけで主人公に偏っている気がして、万人に見てもらいたいという意図が感じられなかった。(高校3年・男子・東京)
  • 『ラーメンを食べる。』(BS-TBS)
    私はラーメンが好きでいつもSNSで美味しい店を調べていますが、この番組を初めて知り、これから毎週見ようかなと思いました。今回は江の島にあるお店の紹介でしたが、遠くからでも行きたくなるくらい美味しそうでした。店主のこだわりがたくさんあるからこそ、たくさんのお客さんが訪れているんだろうなと思いました。(高校3年・女子・栃木)

  • 『やまがた美食ノトビラ』(山形テレビ)※1月のおすすめ番組
    地元のグルメを放送してくれると分かりみが深いし、知らないお店でも気軽に行けるので、地元の特集は残していてほしい。(中学1年・男子・山形県)

◆委員からのコメント◆

【指定するドキュメンタリー番組を見た感想】

  • 中学1年生のモニター報告に「“義肢”が出てくるのは、正直ちょっと怖い」とあった。障がい者が出演する番組を中高生モニターに視聴してもらうと感じることだが、「障がいを怖いと思うのは不公平だし、全然ダイバーシティじゃないし、そういう自分にもなりたくない」という気持ちと、「障がいを見ると心がザワザワする」という気持ちとの葛藤が、多くの中高生にあるのだろうと思った。目を背けがちなテーマだが、頑張って視聴してくれたと思う。

  • パラリンピックの放送などで義肢を見る機会は多いと思うが、「義肢装具士の仕事を知らなかった」「義肢の製作過程を初めて見た」といった感想が多かったのはとても印象的だった。

  • 高校1年生のモニター報告に「健常者」という言葉が2回あった。健常者と障がい者とを分けている視点を感じて、悪気はないだろうが、個人的に気になった。

  • 今回のような良質なドキュメンタリー番組は明らかに青少年に届いていないと思う。「ためにはなるけれど、長すぎる」とはっきり報告してくれているので、5分・15分・30分バージョンを制作してうまくPRすることが必要なのでは。青少年委員会としても、青少年に良質な番組を届ける工夫ができないか考えたい。

【自由記述について】

  • フジテレビの問題について記述したモニターが多くいたが、中学3年生のモニター報告に「もはや何が何だかよくわかりません。こういう時に良い方法は、テレビを見て静かにいることでしょう」とあった。上智大学の佐藤卓己先生が著書などで「最近のメディアリテラシーの本質は“ネガティブ・ケイパビリティ”なのではないか。SNSでこれだけ偽情報がある中、真偽を読み解くなんてことは不可能なので、曖昧なものを曖昧なままにしておく、ある種のネガティブ・リテラシーが大事なのだ」と語っているが、このモニターはその“ネガティブ・ケイパビリティ”を備えていると思う。

  • 高校2年生のモニター報告に「各放送局に常時開設の資料館があると嬉しい」とあったが、放送業界に興味のある青少年がさらに興味を深めるきっかけになると感じた。

【青少年へのおすすめ番組について】

  • 『ミライ☆モンスター』(フジテレビ)に関する報告の中に「主観だらけで主人公に偏っている気がする」とあった。誰かをドキュメントするときにある程度“肩入れ”することはあるが、この意見はドキュメンタリー制作におけるリテラシーの、根本的な問題を捉えているかもしれないと思う。

今後の予定について

次回は2025年3月25日(火)に千代田放送会館BPO第一会議室で定例委員会を開催します。
また、2日後の3月27日(木)にはテレビ東京を会場にして「中学生モニター」会議を開催します。

以上

2025年2月18日

「調査報道に対する地方自治体元職員からの申立て」
通知・公表の概要

[通知]
2025年2月18日午後1時30分から千代田放送会館会議室において、曽我部真裕委員長と、この事案を担当した鈴木秀美委員長代行、斉藤とも子委員、さらに少数意見を書いた廣田智子委員長代行、松尾剛行委員、松田美佐委員の合わせて6人のほか、申立人と被申立人のサンテレビ(神戸市)側から4人が出席して、委員会決定第80号の通知が行われた。
曽我部委員長がまず、「本件番組には人権侵害は認められず、放送倫理上の問題があるとは言えない」という委員会決定の結論を伝えた。続いて今回は委員会決定とは結論が異なる少数意見(反対意見)を4人の委員が書いていることを説明し、それら少数意見の趣旨も踏まえて人権により配慮した番組を制作するよう努めてほしいと述べた。
申立人の「放送内容は虚偽であり名誉を毀損された」という主張については、放送内容は申立人の社会的評価を低下させたが、事実の公共性、目的の公益性、真実性・相当性(一部は不認定)が認められるため、「人権侵害があったとすることは相当でない」と説明した。
また、放送倫理上の問題の有無については、サンテレビが本件放送でX氏に焦点をあてた構成にしているのに、X氏とX氏が勤務する広告代理店への取材が行われていなかったことをどう判断するか、委員会で慎重に議論したことを説明した。多数意見は、放送では主たる対象である申立人への直接取材が行われていたため、「放送倫理上の問題があるとは言えない」と判断したものの、委員の中には異論もあったと伝えた。
最後に曽我部委員長は、サンテレビの「一連の調査報道の意図や努力は評価するものの、取材については不十分な点があったという少数意見(反対意見)が多くの委員からあったことを重く受け止めていただきたい」と述べた。
続いて、この事案を担当した鈴木委員長代行が、昭和41年6月の最高裁判例を紹介し、テレビ放送による事実を適示しての名誉毀損については、その行為が公共の利害に関する事実に係り、その目的が専ら公益を図るものである場合において、適示された事実がその重要な部分において真実と信ずるに相当な理由があるとき名誉毀損は成立しない。報道の時点で本当だと信じていた経緯は十分な裏付け取材をしていれば、それを証明することで人権侵害にはならないという今回の判断の基本的考え方を説明した。
一方、委員会決定とは結論が異なる少数意見を書いた廣田委員長代行は、申立人のX氏への公金での物品送付が常態化していたという事実適示について、この「常態化」との証言をした元店長は申立人とは対立していた当事者であり、慎重な裏付け取材が必要だった。X氏や送付先の広告代理店への裏付け取材が行われていないなかで、真実性・相当性を認めることはできない。多数意見は、「常態化」との事実適示は、申立人の数々の不正行為や疑惑を取り上げた本件放送のごく一部で、人権侵害とすることは相当でないとの判断だが、この事実適示は犯罪行為が繰り返し行われていたことを示すもので、名誉を毀損する程度も決して軽微とは言えず、人権侵害があったと言わざるを得ないとした。また、広告事業発注先の変更は、申立人とX氏が親しい関係にあったからではないかという疑念の提示についても、放送の主たる対象者(申立人)への取材のみならず周辺取材が重要な場合があり、十分な確認取材を怠ったまま疑念があることをそのまま放送したことは、放送倫理上の問題があると言わざるを得ないと結論付けた。
同じく松田委員、斉藤委員との連名による少数意見を書いた松尾委員は、本件放送は露骨にX氏へ焦点を当てる構成になっており、女性であるX氏と申立人の間に「親しい」以上の関係があるとの示唆が協調されていると評さざるを得ない。このような状況では、X氏は申立人に準じる、または申立人と同様の地位にある主要な人物であることからX氏への直接取材は不可欠であり、X氏に関する取材が不十分であることについて「放送倫理上の問題がある」と述べた。
松田委員からは、本件放送で性別が明示されるのはこの「女性」(X氏)のみであり、申立人が男性であることから、不自然にX氏の性別が協調されていると指摘した。また、サンテレビの公式YouTubeチャンネルに掲載している当該動画については配信を取り下げるべきであると指摘した。
斉藤委員は、裏付けが十分でない内容を報道することによって、取材対象者とその家族にどれほどの影響があるかを考え、意義のある報道を続けてほしいと述べた。

この決定を受け、申立人は「少数意見には感謝しますが、全体としては納得できない」と述べた。また、サンテレビは「非常に重い決定と受け止めている。今回の決定を参考に、地元局として調査報道を続けたい」と述べた。曽我部委員長はサンテレビに対し、「情報源が偏りすぎているように思う。その辺りは今後、再点検されたほうがいいのではないか」と伝えた。

[公表]
午後2時30分から千代田放送会館2階ホールで記者会見が開かれ、委員会決定第80号の内容を公表した。会見には、放送局や新聞社など20社1団体から36人が出席した。
曽我部委員長が、「本件番組には人権侵害は認められず、放送倫理上の問題があるとは言えない」という今回の委員会決定に至るまでの審理の経過や考え方などを解説した後、4人の委員が委員会決定とは結論が異なる少数意見(反対意見)を表明し、決定文に記載していることを説明した。
少数意見を書いた廣田委員長代行は、「放送する事実は取材を尽くして裏付けの取れたものを正確に放送することが必要だ。それが、うわさ話やネット上の真偽不明の情報との一番の本質的違いで、今まさにマスメディアに求められるもので存在意義だ。そうした観点から、関係者への取材が1度電話しただけでできていない点に関して書いた」と述べた。
3人の連名による少数意見を書いた松尾委員は、「調査報道の基本的な部分は取材にある。X氏を重要な立場で(映像を)構成したのであれば、それ相応の取材が必要だ」と指摘。松田委員は、「この調査報道でX氏のみ女性という形で扱われていたことに違和感があった」と述べるとともに、サンテレビが今もなお自局の公式YouTubeチャンネルに当該番組の動画が配信されていることにふれ、「一部でも問題があるとの指摘を受けた以上、配信の取り下げも検討すべきである」と指摘した。また、斉藤委員は、審理を進めるなかで申立人側と放送局側の主張が全く違うことがあるが、今回の事案は特に何が本当かを見極めるのが難しかった」と、苦渋の決断であったことを吐露した。

<質疑応答>
(質問)
多数意見と少数意見で、放送倫理上の問題の有無をめぐって申立人への取材の評価が違う理由は。
(鈴木委員長代行)
多数意見では、今回の番組は元課長の不正を追及するのが目的で、元課長を丹念に取材していることで、脇役のX氏を取材していないから放送倫理上の問題があるとまでは言えないと考えた。
(曽我部委員長)
基本的に直接取材は重要だと繰り返し確認しているが、本件での直接の対象者と、そうでない対象者の区別を、多数意見では比較的重くみているということ。少数意見の指摘を全く否定しているわけでなく、基本的には同じベクトルだ。

(質問)
申立人、被申立人双方の受け止めは?
(曽我部委員長)
申立人は委員会決定には納得がいかないと述べていた。双方で事実に関する言い分がずっと違っていて、市の第三者委員会調査、市議会の百条委員会、さらにサンテレビの報道全体に関して、自分の事実に関する見方は違うと強く主張していた。少数意見全般については謝意を示されていた。

(質問)
少数意見でX氏と申立人の間に親しい以上の関係があると示唆されていることについて、一般的なメディアとジェンダーの問題があるとの指摘があった。もう少し詳しく聞きたい。
(松田)
取材を通して、申立人とX氏に男女の仲に近いものがあると分かっていたならともかく、何となく気に入っている異性だからとほのめかすようなこと自体を捉え直した方がいいと思う。一連のふるさと納税をめぐる問題で、申立人がX氏以外にもいろんな形で便宜を図っていた場合に、それでも女性を強調する必要があったのかということだ。

(質問)
少数意見で、X氏または広告代理店への取材が極めて不十分だったという指摘について詳しく聞きたい。
(松尾)
一般論として(取材について)基準を一律に示すことは難しく、ケースバイケースだ。取材の電話を1回して相手が出ないのはふつうにあること。今回の場合、X氏を申立人に準じる重要性のある人物として描く以上は、この程度で取材は無理だと判断するのは、放送倫理上の問題があると言わざるを得ない。本当に取材をしようと努力を尽くしたのかということだ。

(質問)
多数意見も取材が不十分だという認識か。
(鈴木委員長代行)
多数意見も、可能であればさらにもう1回電話をかけるなどした方が良かったと考えている。多数意見は、不正行為の動機がX氏を気に入っていたからだと捉えていて、動機に関わるX氏の取材をした方がよかったけれども、しなかったことで放送倫理上の問題があるとまでは言えないという考えだ。
(曽我部委員長)
決定第78号で原則として直接取材が必要だが、こういう場合には例外的に直接取材がないこともありうると一般論として述べている。ご覧いただければ。
(廣田委員長代行)
今回、申立人が取材に対して広告代理店変更の理由について具体的かつ詳細に答えている。(サンテレビは)申立人への取材はしたが、事実確認が不足していると思った。

(質問)
今回の報道を高く評価しているのに、少数意見でYouTubeでの掲載を取り下げるべきと述べている。整合性をどう考える。
(松尾)
地域の問題を地域のマスメディアが調査報道として伝えることは非常に重要だ。放送して終わりではなく、YouTubeに掲載するのは、地域的・時間的制約がなく影響が大きく違う。取材が十分になされた調査報道なら動画を掲載することに意味がある。しかし9人中4人の委員が、今回の報道に問題があると判断している。そのような動画を放送から1年半近くYouTubeに掲載し続けることは、特にX氏との関係で正当化されないと考えた。(サンテレビは)動画を取り下げる方向で検討してほしい。

(質問)
少数意見に「常態化」という表現を使ったことが人権侵害だとの指摘があった。もう少し詳しく聞きたい。
(廣田代行)
今回の「常態化」の対象は、(申立人が)公金でX氏に物を贈っていたということ。犯罪行為にあたり言葉の意味が重い。放送では内部告発者へのインタビュー取材から「常態化」という言葉を使っていたが、提出資料やヒアリングで調べたところ、ハンバーグをX氏の職場に送った件は業務に関連していた可能性もある。牛肉を自宅に送ったということを除いて確たる根拠はないと判断した。X氏にも勤めていた広告代理店にも取材ができていなかった。「常態化」という言葉だけで判断していない。
(曽我部委員長)
2021年6月の(第77号)決定で「何らかの金銭トラブル」という言葉が問題になった。今の常態化の話もそうだが、ひと言が強い印象を与えるがゆえに使いがちであることにも注意が必要である。

以上