2025年2月3日

近畿地区意見交換会を開催

「SNS時代の選挙報道 局の垣根を越えて議論」

放送人権委員会の近畿地区意見交換会が2025年2月3日に大阪市で開催された。近畿地区での開催は、2019年以来6年ぶりとなる。前年の2024年秋に行われた兵庫県知事選挙で、SNSが有権者の投票行動に大きな影響を与え、また25年も7月に参議院議員選挙が行われることなどから「SNS時代の選挙報道はどうあるべきか!」をテーマに意見交換を行った。近畿地区の20放送局から約100人が参加し、SNSで拡散されるデマや誤情報への対処、選挙報道における「公平性・中立性」の問題などを論点に3時間にわたって活発な議論が展開された。

●曽我部委員長「選挙における放送の役割が問われている」

会議の冒頭あいさつに立った曽我部委員長は「放送界のあり方が深いところで問われる局面がこのところ続いている。放送は民主主義が機能するために不可欠で、選挙は民主主義の根幹の一つであるから、選挙に関してこそ放送はその役割を発揮しなければならないはずなのに、それができていないのではないかと今日改めて問われている。」と述べた。さらに「放送界全体として、放送法や公職選挙法の改正、あるいは法解釈の見直しを国に対して提案することも求められる一方で、個々の放送局としては、今の法律を前提として何ができるのかを考えていただく必要があると思っており、本日の議論をそのための一助としていただきたい。」と語った。

続いて、毎日放送 報道情報局東京報道部部長兼解説委員である大八木友之氏が兵庫県知事選挙を現場取材して浮き彫りになった課題について語った。

<毎日放送 大八木氏>

●エポックメイキングな選挙だった
今回の兵庫県知事選挙の街頭取材では、これまでの知事選挙とは異質な熱気、うねりを感じた。現場ではテレビで伝えてきたこととの乖離が起きており、SNSをきっかけに演説会場に来た聴衆からは「テレビに騙された」などと厳しい言葉が投げかけられた。
なぜテレビが厳しい言葉を浴びたのか、その要因は選挙の前と後で変化した報道量にあると考える。告示前は斎藤知事関連で多くの報道があったが、告示後はニュースや番組での取扱量が明らかに減少した。それは例えば、伝えることで特定候補に有利又は不利になる情報は扱わないなどと判断したためであるが、もう一方では生の情報番組が単純化した構図やキャッチーさにこだわるあまり、複雑なテーマを噛み砕いて伝える難しさを避けてしまうような傾向も手伝ったのかもしれない。その結果、テレビが選挙期間中に報道量や頻度を減らす一方で、ネットやSNSの世界で動画の投稿数や閲覧数がどんどん増えていくという現象が起きていた。

●テレビは選挙という「面倒ごと」を避けてきたのではないか
テレビが選挙期間中に報道量を減らすことは、有権者が投票に際して最も欲しいと思うタイミングで情報を提供しないということにつながっている。それは長年の課題であり葛藤でもあるが、どこかに甘えがあるとも思う。
敢えて本音と建前という言い方をすると、建前としては放送法や公職選挙法を遵守して各候補者や政党を中立・公平・公正に取り上げる必要があるからとしながら、本音としては陣営・政党・視聴者からのクレームを避けたい、面倒を避けたいという理由から、結果的に自らその報道量を減らしているのではないかと感じる。

●テレビは「政治的公平性」に縛られているのか?
BPOの放送倫理検証委員会は、今回の兵庫県知事選挙から7年も遡る2017年の委員会決定で、選挙報道に求められるのは、事実を偏りなく報道し、明確な論拠に基づく評論をする質的公平性だと指摘している。
また、総務省幹部は「放送法に書かれている政治的公平性については、それをどう解釈してどう報道するのかは自主自律の話だ」と見解を述べる。
つまりBPOからも総務省からも各社の判断で選挙報道を行うよう促されているのだが、今後の選挙報道を変えていくにあたって質的公平性をどう担保するかは非常に悩ましい。

●兵庫県知事選挙で何が突きつけられたのか?
今回の兵庫県知事選挙で突きつけられたのは、一つは結果偏重の報道からプロセス重視に移ることだと思う。選挙は結果が大事であり、それこそ与野党の過半数などは意識してしまうが、これまでの放送は選挙結果を伝えることに重きを置きすぎたきらいがある。テレビは人員・予算を大幅にかけて投開票日に特番を放送するが、有権者はやはり実際に投票に行く際に有益な情報を事前に提供してくれる番組や記事を求めており、そこにきっちりとコミットできる報道が求められる。
もう一つはまさに今回欠けていたと反省する点だが、ネットやSNSと対話をしていくことが大事だと思う。例えば選挙期間中に取材したことや街頭で起きていることを発信したり、ネットやSNS上で話題になっていることを情報の正しさ、誤りを含めて伝えたりすることができる。それをやらないことで「テレビは無視している」「私たちの声を取り上げていない」「街で起きていることを伝えていない」と批判されるのであり、普段の番組でやっているのと同じようにネットやSNSとの対話を繰り返し、取り上げていくことが必要ではないかと思う。

●これからの選挙報道は…
これからの選挙報道をどうするかについては、それぞれの選挙に応じてやり方はいろいろあると思う。投開票日だけにこだわらない事前の特番、ネット世論やSNS上の言説のファクトチェックのほかにも、有権者ファーストから入る報道、政策やイシューを重視した報道などができるのではないか。
また、放送局はすでにWEB配信を行っているので、そこを十分に利活用する手があると思う。地上波では時間的な制約があるが、WEB配信でそうした物理的な制限がなくなれば、各種討論会を開催したり、記者や解説者が出演して今起きていることを伝えるなどして有権者に判断材料を提供していくことができる。
答えがない世界ではあるが、頭を悩ませて、結果的に今回の兵庫県知事選挙が選挙報道を変える良いきっかけになるように、ひいては民主主義の最大の手段である選挙をきっちりと伝える役割を担えるようにしていきたい。

  • 大八木氏のプレゼンを受けて、メディア論が専門でSNS問題も研究テーマとする松田委員、兵庫県出身の斉藤委員が意見を述べた。

●松田委員「視聴者の感情面での公平性を考えた報道を」
質的公平性について、視聴者が感じる感情面での公平性をどのように考えるのかが非常に気になった。今回の兵庫県知事選挙と似ていると言われるものの一つに「推し活」がある。有権者は自分が応援する候補の選挙戦に参加して、演説会場などいろいろなところに見にいって応援する。かつ、候補者もSNSで活躍するインフルエンサーやYouTuberと同じように、見せ方を工夫し、自己演出する。そんな選挙戦では有権者の感情が非常に動く。
その一方で、放送局が斎藤知事に対して「パワハラ」「おねだり」と繰り返し報道するのは、旧態依然たるメディア側が古くさいレッテルを貼って個人攻撃をしているという感情を持たれてしまっている。推し活には「お互いの『推し』について悪く言わない」という暗黙のルールがあって、お互いに好きなものをそれぞれ応援するといった振る舞いがSNS上でウケる状況の中で、放送局が古くさいレッテルを貼って上から目線で攻撃するというイメージが感情的な反発を引き起こしたのではないかと思う。
このため質的公平性においては、情報の内容としての部分はもちろん重要であるが、一方でSNS時代を考えたときには、視聴者の感情にどう訴えるかについても考える必要があると思う。

●斉藤委員「スピードよりも、信じられる情報を」
BPO委員というよりは個人的な意見になってしまうが、兵庫県知事選挙の後で神戸の友人たちに話を聞くと、反応が重く歯切れが悪かった。みんな何が本当なのかわからない様子で、選挙の話題を振ると気まずい雰囲気になってしまった。
私もパワハラやおねだりの報道があり、県議会から全会一致で不信任決議を受けたあたりまでは、簡単に言うと「斎藤知事ってとんでもない人だな」と思っていたが、その後にSNSなどで「斎藤知事は実はよくやっていた」というような言説を見聞きすると、斎藤氏が知事の時にどういう政策をしていたのかあまり把握していなかったことに気づいた。候補者の人間的な面を伝えることももちろん大事だが、政策や実績、注目される問題についての考え方など、有権者として自分が求めるものに対する立場をきちっと伝えてくれる情報が欲しかったという友人もいた。
質的公平性の判断は難しいし、守りに入って報道を控えてしまうのもわかるが、SNSがこれだけ発達した中で、いま私個人がテレビの選挙報道に求めるのは、スピードではなくて信じられる情報だ。みんなが悩んでいるような問題について有権者と問いかけ合い、一緒に考えるような報道をそれぞれの放送局がいかに一生懸命頑張って発信するかが大事だと思う。

  • ここから4つの論点について意見交換が行われた。
    論点は、①拡散されるデマ・誤情報への対処、②取材者に対する個人攻撃のリスク、③公平性・中立性の“呪縛”、④SNS時代の選挙報道とは・・・、である。

論点①「拡散されるデマ・誤情報への対処」

●参加者「ファクトチェックが特定候補者を利する場合は?」
選挙中に流布されるSNS情報については、ファクトチェックが難しいだけでなく、そのファクトチェックの指摘が候補者の有利、不利に直結する場合は非常に躊躇してしまう。ファクトチェックを具体的に行ったために特定の候補者の報道量が多くなって、結果としてその候補者を応援しているように受け取られるのではないかと危惧する。

●曽我部委員長「指針を作って公平・公正に適用し、説明できることが重要」
私は日本ファクトチェックセンターの運営委員長でもあり、その観点からもお話ししたい。今後の選挙報道には質的公平が大事であるということだが、現実的にはこれまで量的公平を重視して報道してきたこと、さらには質的公平には基準や答えがないことから、いきなり量的公平から質的公平に移行するのは実際上大変難しいと思う。このため部分的に、できることから始めることを提案したい。
まずできることの一つは、ネットで流通する偽・誤情報に対するファクトチェック的な取り組みを放送番組とWEBの両方で行うこと。放送人権委員会の決定に判断のグラデーションがあるように、日本ファクトチェックセンターの判定基準にもグラデーションがある。ファクトチェックは「正確か誤りか」という二択ではなくて、「正確」「ほぼ正確」「根拠不明」「不正確」「誤り」の五段階があり、言説に対する評価のニュアンスを反映するような仕組みになっている。例えば「根拠不明」とは煮え切らないような感じだが、「この言説は根拠不明なのでよく注意してもらいたい」という視聴者への注意喚起になるので、一定の役割を果たすと思う。
もう一つは、最近は選挙運動期間中に突発的にいろいろなことが起きるので、それを伝えること。起きたことを伝えないと、逆に有権者の判断が歪んでしまう。最近「選挙ハック」的なものが多々行われているが、私が一番衝撃を受けたのは衆院東京15区補欠選挙でつばさの党が非常に妨害的な行為をしたことで、これがリアルタイムには全然放送されないということに極めて大きな違和感を持った。あれはまさに有権者の判断に資する情報であり、放送しないのは逆に公平に反すると思う。
特定の候補者に有利、不利に働いてしまうおそれがあるという点については、私はあまり気にする必要はないと思う。大事なのは、まず各局でファクトチェックの指針をきちんと作るということだ。日本ファクトチェックセンターでも、どういうものを取り上げるのかについて指針を作り、その上で指針を公平・公正に適用している。現状では偽情報を流す陣営が限られているので結果として偏ってしまうのが実情だと思うが、指針がしっかりしていて、その基準に従って取り上げていることをきちんと説明できるのであれば、公平・公正についての問題はない。ただ、理屈としては今申し上げたとおりだが、実際問題としてどうするかは、各社において工夫の余地があるかもしれない。

●参加者「候補者のプライバシー情報の扱いは?」
これまでは政策に関係のないプライバシー情報を地上波で扱うことは避けてきたが、SNSが発達して有権者の投票行動に影響を与えるようになった今、プライバシー情報の扱いについても議論が必要になってきているのではないか。

●松尾委員「プラットフォームに対応を求めるか議論が必要」
今、プライバシー情報の扱いについて問題提起を頂いた。
直接的には、いわゆる告発をされた方のプライバシー情報がSNSで盛んに取り上げられたこと等を念頭にテレビがどうすべきか、という文脈でおっしゃられていると理解している。とはいえ、なかなか個別事案についてはコメントすることができない反面、この問題は私も非常に悩ましい問題だと思っているので、特にインターネットにおいて、選挙にも影響がある形で虚実織り交ぜたプライバシー情報が広まるという問題について、どういうところが特に悩ましいのか説明することでご勘弁頂きたい。
インターネット上の虚偽情報、プライバシー侵害、名誉毀損情報等については、権利侵害や法律違反でプラットフォームに通告して削除を依頼する。やはり内容次第で、プライバシー侵害になりやすいのはいわゆる私人の行為。これに対し、選挙における公人の行為はなかなかプライバシー侵害にならない。
とはいえプライバシー侵害にならなくても、公職選挙法上は虚偽事項の公表罪があるので、違法情報として通告して削除することも一応はできる。これが理論的な帰結ではあるものの、ネット上にそうした情報が大量にある場合にはプラットフォームが迅速にすべてを削除するのは簡単ではない。逆にそうした精査をせずに削除する場合には、問題があることをしたわけでもないのにXのアカウントを凍結されるような事態も起きてしまう。
そのような観点を踏まえると、AIだけで自動的に対応するような雑な対応ではなく、やはりプラットフォームに相当なマンパワーを割いてAIと人間がタッグを組んで対応する必要があると思う。そして、確かに兵庫県知事選挙は大きな選挙なので、これに力を注いでくれといえば、プラットフォームとして力を注いでくれるだろう。しかし、1700以上ある自治体の個々の選挙すべてについてプラットフォームにそうした重い対応を求めるかは、さらに議論が必要なポイントだと思う。
さらに生成AI、特に画像生成AIが発展してしまったために、まるで本当にそういう事実があったかのような画像を簡単に作れるようになってしまった。
生成AIに対しては、電子透かし等とも言われるウオーターマークを埋め込んで、ウオーターマークが入っていたらそれが生成AIで作られたことがわかる、そうした特定の情報があるとプラットフォームは「これは生成AIでつくられた画像です」といった警告表示を出す、などの方向で一応動いてはいる。しかし、結局ウオーターマークはただの情報なので、一定の技術的措置を講じれば抜き取ることができる。
警告表示がなければ本物と認識される状況の中でウオーターマークを取り去って、プライバシーに関わるものを含むフェイクニュースを、選挙に影響を与える目的でアップロードすることも全く不可能ではない。特に選挙期間は2週間程度と短いので、そうした期間の短さを利用して、選挙戦の後半あたりにウオーターマークを取り去った偽画像をアップロードして選挙戦を有利にすることもあり得るのではないかと悩ましく思っている。

●参加者「人手をかけずにファクトチェックを行う方法は?」
今後SNS選挙が展開されるにおいてファクトチェックが非常に重要になるのは一致した意見だと思うが、チェックをしようにも人が足りないというマンパワー的な問題がある。何か具体的な方法を伺いたい。

●國森委員「選挙期間中に限らず、ファクトチェックにこそ労力を」
マンパワーがないという話だが、ファクトチェックにこそ労力を注ぐ時代が来ていると思う。視聴者の立場から言うと、選挙期間中に限らず、ネット上に流通している偽情報をファクトチェックするというテーマの番組があれば、私は是非観てみたいと思う。エンタメに偏りすぎずにジャーナリズムの視点を持って放送すれば、視聴者の希望に沿うような番組になるのではないか。
ネット上では、少数の人たちのネガティブなコメントや悪意、敵意が増幅され拡散していくので人権侵害が起こりやすい。その人権侵害の被害者には取材をする記者も含まれ、放送局は記者を守るという毅然とした対応を取っていく必要がある。ネット上で記者が攻撃に晒された場合には、民事や刑事の法廷にも持ち込んで、今ある法律を積極的に用いながら記者と放送局自身を守っていく。ネット上の人権侵害を絶対に許さないということを広く社会に訴えアピールしていく、こうしたことが放送局として必要だと思う。それは個別の放送局に限らず、放送業界、メディア全体として、公権力による言論規制を招く前にネット上の配信や投稿における人権侵害に対してしっかりと働きかけていくことが大事なのではないかと考える。

●曽我部委員長「午後8時の当落予測が最高のプライオリティか問うべき」
マンパワー不足は現実的には非常に深刻な問題だと思うが、そもそも選挙報道は何のためにやるのか、恐らくそういうところから考えていく必要がある。
放送局は今、経営の問題や働き方改革で人が増やせない、報道は大変な仕事なので人材が採れないなどの制約があり、今まで人海戦術でできていたことがだんだんできなくなっている。このため部分的に効率化しながら何とか今までどおりにやろうとしているのだと思うが、今後もずっとそれで行けるとは限らないし、そもそもそれが唯一の答えかどうかもわからない。そうであれば、選挙報道にはもっと大きな考え方の転換があり得るのではないだろうか。
例えば情勢取材は投開票日の午後8時から始まる選挙特番で出すことが本当に最高のプライオリティなのか、むしろ選挙運動期間中の議論を充実させることが有権者のためになるのではないかなど、本来いろいろな考え方があると思う。今のようなマンパワー不足を一つの契機に、もっと根底的に報道の仕方を考えることも一つのアプローチだと考える。

論点②「取材者に対する個人攻撃のリスク」

●参加者「リアルでもネットでも攻撃に晒される記者を守るには?」
今回の兵庫県知事選挙では、取材に基づいて斎藤知事が不利になるような報道をすると親斎藤派からネット上で批判され、会社のSNSがターゲットにされる事態が起きた。また、街頭で取材をしていた記者が暴言を吐かれたり、YouTube上で事実誤認の情報を発信されたり、写真を撮られてSNS上に晒されるなどして怖い思いをしており、記者を守るための方法を伺いたい。

●廣田委員長代行「誹謗中傷を甘受せず、法的措置など毅然とした対応を」
私は記者活動を法的に支援する団体を作る活動を始めたところだが、記者が人物を特定されて誹謗中傷されるということを最近あちこちで聞くようになった。報道はある意味、批判をするのが仕事なので、批判をされるのはやむを得ないとは思うが、当然ながら記者や報道機関が誹謗中傷を甘受しなければならないということではない。
誹謗中傷されて心が折れそうになったとき、何が支えになるかといえば報道する使命や意義、放送局で報道に携わるプロの記者としての誇りしかないのではないかと思う。今いろいろマスコミ批判がされているが、SNS上の言説との違いは事実の裏取りがされていること、何を報ずべきかをきちんと考えて報じていること、意見の対立があるときには自分の言いたいことだけではなく反対側の言い分も伝えて解説することで、これはプロの記者にしかできないことだ。最近では昭和の精神論は通用しないと言われるが、こと報道においては報道の意義、なぜ自分たちは報じるのかという原点が何より重要であるように思う。抽象的ではあるが今そうしたことが報道機関にとって一番重要になってきているので、何のために報道するのか、自分たちの報道がSNS上で飛び交う言説とどう違うのかを、年長者は若い人たちに常日頃から伝えていただきたい。
しかしながら精神論だけでは対応できないところがあるので、社内に相談窓口を設置して、一人で抱え込まないようにするのが重要だと思う。そして限度を超える誹謗中傷に対しては、マスメディアであろうと発信者情報開示請求などをきちんとして法的措置を取る必要もあると思う。また、産経新聞が自社の記者への誹謗中傷についてコメントを出したように、場合によっては社として対応することも必要になるのではないか。マスメディアが批判を生業にするものだとしても批判と誹謗中傷は違うので、言論のルールを示す意味でも誹謗中傷には毅然とした対応をしていただきたいと思う。

●松尾委員「報道への妨害、取材先からのハラスメントと捉えて対応を」
取材を申し込むと相手からYouTubeでの生配信を条件にされるなど、取材を取り巻く状況がかなり変わってきたと思う。その重要な原因としては、おそらく従前よりも取材や編集に対する信頼感が社会一般において低下していることが考えられる。これは取材を受ける側として、メディアの「編集」を信頼できず、いわば、勝手に「切り取られる」のではないかという不安があるためと思われるが、だからといって取材記者の個人情報を晒したり、虚偽情報を公表したりしていいわけではない。それは記者に対する人格権侵害であることに加えて自由な報道に対する妨害であり、やってはいけないことだ。
現在、東京都カスハラ条例等の形でカスタマーハラスメントが注目されているが、私はそうした度を越した取材対応は記者に対する一種のカスタマーハラスメントではないかと考えている。放送局では従業員がハラスメントを受けた場合の規定や相談窓口をすでに設けているところも多いと思うが、その枠組みの中に取材先からのハラスメントも入れて対応していくことが大事だと思う。

論点③「公平性・中立性の“呪縛”」

●参加者「放送法や公選法への勝手な思い込みがあるか?」
選挙報道に際しては放送法や公職選挙法を常々意識してきたが、その先の潜在意識としては、中身について深く立ち入って考えると相当なエネルギーを使うのではないか、相当なリスクがあるのではないかと勝手に思い込んでいたところがあるかもしれない。長年あまり深く考えずに量的な平等性を保つ選挙報道を続けてきたので、こちらが勝手に“呪縛”と思い込んでいる節は多分にあると思う。これまではトラブルやクレームを避ける意識が先行しがちだったと思うので、改めて選挙報道における放送法の解釈や、放送メディアに対するアドバイスをいただきたい。

●鈴木委員長代行「政治的公平は判定不能。偏りを排す自律的な努力を
政治的公平について学者の間では、倫理的な規定にすぎない、法的には拘束力がないという考え方が従来から支持を集めている。最近では、放送法第4条の内容規制は刑法のように違反すると制裁を受けるハードローではなくてソフトロー、即ち業界のガイドラインのようなものだと説明する学者もいる。
総務省の解釈は1993年の椿発言事件以来「政治的公平には法的拘束力がある」という立場に変わって、違反をすると電波法第76条を適用して行政指導したり電波を止めることもありうるという解釈になっているが、これまで何回か行われた総務省の内容に関する行政指導は事実を曲げているかどうかとの関係がほとんどで、政治的公平に反したり抵触したための行政指導は本当に数が少ない。
つまり何が政治的に公平かはそもそも判定不能と考えて、放送局が自律的に守っていくしかないのだと思う。偏りがないように自分たちが努力さえしていれば、クレームが来ても、例えばこれは重要なイシューであるから、重要な候補者であるからと毅然とした態度で説明できるので、量で公平を図る必要は全くないと考えている。
とは言え、やはり質的に公平にしようとすると難しい。結局、質的公平を目指そうとすると、一つ一つの扱いについてちゃんと理由がないといけないことになる。それは大変であるし、また少しでも扱いが異なると候補者や政党からクレームが来たり、あるいは今ならSNSで反対派の人に批判されるなどいろいろな厄介ごとが起きるので、それを避けるには量的に公平にしておくのがシンプルであったと思われる。
ちなみに、安倍政権下では政治的公平の解釈について極端な場合は一つの番組でも政治的公平を測るとしていたが、総務省は公式にはこれを撤回していないものの国会答弁で当時の説明をしなくなっており、政治的公平は番組全体で測るものであり、放送局各社が自律的に考えるものだという以前のスタンスに戻っている。
こうして政治状況も変化し、今回の兵庫県知事選挙や東京都知事選挙のこともあるので、この機会に政治的公平を量で測る必要はもうないと考えて、ではどうすればいいのかを是非検討していただければと思う。

●曽我部委員長「質的公平の前提として選挙制度への理解と知識の継承を
BPOの放送倫理検証委員会は、質的公平に言及した2017年の委員会決定第25号「2016年の選挙をめぐるテレビ放送についての意見」のほかにもいくつか選挙の公平に関して意見を出している。我々放送人権委員会は外部の意見として外から見ているので、真意を捉えているかどうかについてはお断りが必要だが、この中にヒントがあると思うので紹介したい。
2020年の委員会決定第35号「北海道放送『今日ドキッ!』参議院比例代表選挙の報道に関する意見」では選挙報道に関する放送基準を十分理解していないという重要な指摘がなされている。またそれに先立つ2014年の委員会決定第17号「2013年参議院議員選挙にかかわる2番組についての意見」や2010年の委員会決定第9号「参議院議員選挙にかかわる4番組についての意見」でも放送局は選挙制度の正確な理解等を徹底する必要があると指摘している。典型的な例は、参議院比例代表選挙は全国を対象にしているにもかかわらず、地元局がその放送エリア内の候補者だけを取り上げて、結果として不公平になったというもので、これに対し選挙制度の理解が足りないと繰り返し指摘され、そこに起因する放送倫理違反が繰り返し指摘されている。
質的公平を追求することは非常に難しい。量的公平には答えがあるが、質的公平には答えがないので、あとは説明責任でやるしかないが、その前提としてやはり選挙制度に関する理解が必要ということだと思う。また、何か拠りどころがないと質的公平の議論はできないので、制度理解のほかに今までの事例の理解や知識が必要だ。ただ、限られたスタッフで制作していることや選挙に詳しい外部の有識者が限られていることを考えると、質的公平にシフトしていくために理解や知識を深めるのは現実問題としてはなかなか難しいと思う。そうした中であり得る方法としては、社内の誰かが異動にかかわらず継続的に知識を深め、選挙番組のデスクやプロデューサーに助言をしたり相談相手になることから始めてはどうかと思う。

●野村委員「自分たちの考え方を謙虚に丁寧に説明して」
この公平性・中立性の問題については、我々が市民として常識だと思っていたことや、放送局が常識だから最後は視聴者に理解されるだろうと思っていたことが通用しなくなっている。今までは特に説明をしなくても「これはおかしい」と視聴者にわかってもらえるはずだったが、今は放送局が思う常識を謙虚に丁寧に説明することが求められている。
政治的公平の問題について、いま話があった、質的公平という観点を取り入れるとすると、こういう人を選んで、こういうことを取り上げます、ということを、放送の中で根拠を示して自分たちの考え方を謙虚に丁寧に説明することが必要になる。もしかすると、その説明は面白くないかもしれないけれど、放送局として面白く見てもらうことを優先するのか。それとも、少しつまらない部分や回りくどい部分が生じたとしても、放送局が選挙と市民の意見形成に対して蚊帳の外であってはいけないと考えて、有権者が考えるための適切な場としてあろうとするのかどうかが問われる。批判を受けることもあるかもしれないが、テレビが選挙にコミットすることが非常に大切であるので、何故これをこういうふうに取り上げるのか、頑張ってしっかり丁寧に説明していただきたいと思う。
もう一つ別の話になるが、選挙制度についてはこれまで公職選挙法のルールや手続きを悪用したり逆手に取るような話はなかったが、そういう人たちが現れている。我々法律家は、制度を悪用する人に対しては、法律の解釈や制度を変えて対処していくことになるが、それにはどうしても時間がかかってしまう。ルールを破った人を罰したりペナルティを受けさせようとしても、それが実現するまでに時間がかかるので、結果的に破った人が得をしてしまう。特に選挙期間は短いので、ルールを破って当選することを法律家が防ぐことは難しい。
こうした法律家がすぐには対処できないことに対して、ぜひメディアの力でタイムラグを埋めてほしい。質的公平という意味で、ルールを破っている人を同じ候補者として取り扱うのか、ルールを破っていることをうまく伝えることはできないのかといったことも含めて考えいただきたい。

●参加者「有権者の投票に役立つ情報をどう伝えるか?」
記者1、2年目のときに先輩が、いくら選挙の取材をしても選挙が終わらないと伝えられないのは悔しいと言っていたのをよく覚えている。私もいま組織をまとめる立場になるとどうしても、量的公平性を維持してリスクを管理するのが仕事だというマインドになっている。やはり公平性・中立性の担保を優先すると面白みのない報道になってしまうので、その中から役に立つ情報をどう伝えて、どう投票行動につなげていけばいいのか悩んでいる。

●廣田委員長代行「バラエティ・情報番組でも正しい知識の共有を」
選挙制度に対する理解や質的公平と量的公平の問題については、報道の方は先輩記者から教わる機会が多々あり十分わかっていると思うが、ほかのバラエティ・情報番組の方や制作会社の方たちにもきちんとわかってもらうのが大切だと思う。いくら報道で量的にも質的にも公平を意識した番組を作ろうとしても、ほかの番組でただ尺を合わせるだけの放送をしているようでは変わっていくことはできない。報道だけではなく放送局全体として、選挙報道に対する正しい知識をみんなで共有することが重要だ。

論点④「SNS時代の選挙報道とは・・・」

●参加者「“オールドメディア”だからこそ果たせる役割は?」
兵庫県知事選挙をめぐって元県議会議員の竹内英明氏が亡くなったことについて、NHK党の立花孝志氏がSNSで虚偽の情報を発信したが、その後すぐに県警本部長がそれを否定したというニュースを報道したことでSNSが収まった。我々はオールドメディアと言われているが、オールドメディアなりに強い情報網を持っているので、選挙期間中においても自分たちが取材して裏づけを取って放送できるものに関してはきちんと放送することが大事ではないかと思う。

●大谷委員「信頼されるメディアとして、多くの受け手に情報提供を」
今回の兵庫県知事選挙では確かにSNSが大きな影響力を持ったが、その一方でマスメディアが全く機能しなかったわけではない。やはりSNSを利用しない世代の人たちはマスメディアの情報を信用しているし、またSNSの情報に惑わされている人もファクトチェックの機能をマスメディアに求めているところがある。
インターネットの情報は真偽を確かめるのが大変だという弊害があるが、人々は信頼性を疑いつつも便利、速い、簡単というところからSNSで情報を入手している。こうした状況においてマスコミ側は、受け手に多くの情報を提供していくことが引き続き重要ではないかと思う。
またコロナ下で、少数派であっても声が大きい人が主流を形成する傾向が強くなり、その声が大きい人の言っていることが正しいかどうかの判断は後回しにされているところがある。マスメディアには、こうしたSNSでの偏ったメッセージがひとり歩きしないような中立・公平な情報を提供する役割が今後は一層求められるのではないかと思う。

●毎日放送 大八木氏「有権者ファーストの選挙報道を」
基本的にSNSやネットで情報を入手するという波にはもう抗えないと思うが、そこで得られる情報とテレビなどのマスメディアが伝えていることには乖離がある。マスメディアの側がニュースだと思っていたことがだんだんそうではなくなってきて、こういう報道なんだと提示すること自体が間違っているのかもしれない。私は選挙報道は有権者ファースト的であるのが一番大事で、時代的にもそうなりつつあるのではないかと思う。そういう意味で、先ほど松田委員がおっしゃったとおり、感情的公平性をどう取るのかが非常に重要で難しい課題になる。

●松田委員「有権者の都合で検索できる動画やテキストを」
何か知りたいことがあったとき、SNSでは自分の都合で検索をするが、それに対して放送は時間のメディアであって、ニュースの時間が決まっているので、放送局はその時間に向けてニュースを作り、放送している。このため、今はニュース番組を見る側の視点と、ニュース番組を作る側の視点が違ってきているように感じる。放送局はこれまでのように時間のメディアとしてニュース番組を定期的に出す以外に、YouTube上で動画を公開したりテキストとして残したりして、見る側が自分の都合に合わせて検索して見るような、これまでとは違う接触の仕方を念頭にニュース番組制作を考えていかなければならないように思う。特に選挙はSNSでの時間の流れ方が違っていて、候補者は午後8時以降、街頭演説や選挙カーなどでの選挙運動を禁じられているのに、YouTubeを検索すれば夜中でも候補者の動画を見ることができる。以前は選挙という枠組みも選挙報道もほぼ同じ時間の流れにあったものが、SNSが主流になることで時間の流れにズレが生じており、その対応が必要なのではないかと思う。

  • これまでの議論を通じて、委員から放送局に改めてエールが送られた。

●松尾委員「今こそ自信をもって放送の使命の体現を」
インターネットの影響力が高まっている時代だが、そのような時代だからこそ、放送メディアには大きな役割があるのだ、と自信を持ってほしい。先ほどSNS上のデマに対して放送局が県警本部長のコメントを引き出してそれを打ち消したという例が挙げられたが、そうした例を多く実現して放送の使命を体現していただきたい。

●斉藤委員「視聴者も一緒になって考えていける放送局に」
人が少なくなってできることが限られてくる一方で、放送に加えてネットにも対応するため仕事量が増えて、そこで叩かれると萎縮してしまうのは同じ人間としてよく分かる。こういうときこそ、なぜ放送局に入社して報道をやっているのか、原点に帰って考えることが支えになると思う。
選挙報道に関して言えば、各局とも開票速報でスピードを競っているが、そのために労力を使うよりも、もっと大事なテーマを伝えてほしいと思う。例えば今、地球環境が危機にさらされているとき、候補者がそのためにどういう政策を持っているのか知りたい。特に原発問題や環境問題などいろいろな事象が複雑に絡み合った問題については、候補者はなかなか政策を語らないので、有権者が一番知りたいときに情報が得られない。
うわべが良くて人が食いつきそうなものが興味本位で先行してしまうと肝心なものが見えなくなるので、こういうときこそ自分たちが伝えたいことを自信をもって報道していただきたい。また、この時代をどう生きて行けばいいのか、視聴者も一緒になって考えていけるような放送局であってほしいと思う。
今回の兵庫県知事選挙に関しては、例えば検証番組を作って、放送局はどうすればよかったのかもう一度考えることもありうるのではないかと思った。

●國森委員「深く多面的な報道で安心と信頼を」
ある調査によると、今回の兵庫県知事選挙で斎藤知事に投票した人の46%がSNSの影響で投票したが、稲村和美氏についてはSNSの影響が5%、新聞・テレビの影響が66%となっているのは興味深い結果だと思う。
マスメディアとSNSのどちらが真実を伝えているか、多面的な伝え方をしているか、そうしたことを視聴者がわからなくなっているのが今日的な問題だが、それはマスメディアの人たちにはチャンスでもあると思う。みなさんが県警本部長から立花孝志氏の言説を否定するコメントを引き出したのは、まさにプロの矜持だ。
マスメディアは社会の大事なインフラの一つだと思う。またマスメディアが決定的にSNSと違うのは、みなさんのプロとしての力量、相手へのリスペクト、それから倫理も含めた専門的な知の集積をもって事実を追求している点にある。みなさんには現場にいる強さと地道な取材努力があって、それをもとに確かな根拠で報道できる。その資金力や圧倒的な技術力、カメラワークも含めた技術の蓄積も併せて、深く多面的に伝えることで正確さを増している。
放送は圧倒的な取材力と調査分析力を活かして、視聴者との間で一方的ではない双方向、多方向のやりとりをすることが安心や信頼につながり、これから先もサバイブできると思う。みなさんの事実に基づいた報道により視聴者の具体的な投票行動につながり、その投票が私たちの社会を豊かに成熟させていくので、みなさんのプロの矜持をもっと世の中に伝えていただきたいと願っている。

●鈴木委員長代行「ファクトチェックや嘘を打ち消す力を発揮して」
政治的公平に関しては、私が気にするなと言ってもみなさんは気にせざるを得ないのかもしれないが、これからは量ではなく質で考えるということを少しでも意識していただけたら嬉しく思う。
選挙の投票行動にはこれまでも口コミが大きく働く面があり、だからこそSNSで動くこともあるかと思う。SNSでは偽・誤情報がどんどん拡散してしまうので、どうしてもマスメディアはスピードについていけないところはあるが、先ほど具体例として出てきた県警本部長のコメントのように、報道機関のファクトチェックの力や嘘を打ち消す力は大きい。報道機関が何も情報を発信しないと偽・誤情報だけが拡散してしまうので、放送は決まった時間にしかニュースを出さないとは思うものの、スピード感を意識することも大事になっている。これからも民主主義のために放送が果たす役割は非常に重要であり、それが放送法の目的規定に書いてあることでもあるので、みなさんの仕事はますます大変になるけれどぜひ頑張っていただきたい。

●廣田委員長代行「放送にしかできないことを追求して」
SNS時代の選挙報道と言うが、私は放送にしかできないことがあると思う。自分の知りたいことだけを知るのではなく、民主主義のために知らなければならないことを伝えたり、正確な情報を伝えたりすることは放送にしかできないことだと思うので、あまりSNSのことばかりを意識せず、放送だからこそできることを追求していただきたい。
また、自分の当選を目的とせずに立候補するといったことについては、選挙制度の悪用になっていないかなど、選挙の時期だけではなく常日頃から選挙制度をきちんと報じて、民主主義における選挙の意義が情報の中で流通できるようにしていただきたいと心から思う。

  • 最後に曽我部委員長が今回のテーマの総括とコメントを述べた。

<曽我部委員長>

●メディアだけでは解決できない課題がある
まず当然の前提ではあるが、選挙にまつわる様々な問題はメディアだけでは解決できない。選挙制度そのものの問題もあるし、選挙制度を逆手に取って物議をかもしている人たちに関しては、もしそれが選挙法令やその他の刑罰法規に触れるのであれば、適正な法執行を通じて責任をとっていただくことも公権力側の課題としてあると思う。
また先ほど國森委員から稲村陣営でSNSを見て投票した人は5%しかいないという話があったが、今のSNS上の選挙運動がある意味非常に不健全に見える背景には、既存陣営側が適切にネットを活用していない状況がある。そういう意味では、既存陣営側の見識不足という部分もあるので、制度の問題や撹乱する人たちだけの問題ではないということも忘れてはならない。

●今回の兵庫県知事選挙の非常な特殊性が弊害を生んだ
今回の兵庫県知事選挙はある意味、非常に特殊性があった。知事選挙は通常あまり有権者の関心が高くなく、有権者の間に候補者に関する知識がほとんどないことが多いが今回は違った。
また在阪局の本拠は大阪にあるので、兵庫県はどうしても取材が手薄になりがちで、兵庫県を本拠地とするサンテレビ以外の局にとってはやや扱いづらいところがあったのではないか。さらに地方選挙はローカル枠で扱うしかないため、そもそも放送尺が短いという問題がある。ただ今回は注目された知事選挙だったので、そうは言っても放送尺は取れたと思うが、その後立花孝志氏が泉大津市長選挙に出たように、あの規模の自治体では放送で取り上げることは極めて困難という中で、何かが起こったときにどう対応するか考えなければならない。
国政選挙に関しては、有権者もそれなりに知識があり、既存の枠組みもあり、メディアもより大きく扱うので、今回のような弊害が出てくる度合いは少ない。このため、メディアのみなさんが対応を考える時間はまだあると思う。

●テレビは感情のメディアから熟慮のメディアへ
松田委員から「SNSの感情に向き合う」という話があったが、私はこれを非常に感慨深くお聞きした。つまり、ネットの時代が来る前は、テレビは感情のメディアであり、お茶の間に侵入して視聴者の感情を直接揺さぶるものだった。それがテレビの魅力である一方で青少年に有害であるなどと言われていたが、今やSNSが出てくると、テレビは感情のメディアではなくて熟慮のメディアとしての役割が期待されるようになった。

●選挙報道はプロセスの重視を
選挙運動がいろいろな形で穴を突かれ、裏をかかれて、アテンションエコノミーの中に取り込まれているが、そうであるならやはり選挙運動期間中に何が起きているのか伝えなければならない。毎日放送・大八木氏から「結果からプロセスへ」という非常に示唆的なご指摘があったが、「プロセス」は選挙運動期間中に何があったのか伝えるという意味でもあると思う。

●専門家と連携したファクトチェックを
ファクトチェックに関しては、関係者の間でも限界が多々あり万能ではないと言われているが、それを克服するための試みも行われている。例えば、偽・誤情報がたくさん出てくるので、後からファクトチェックしてもなかなか追い付かないという構造的な問題に対しては「プレバンキング」という試みが行われている。プレバンキングとは、選挙の際に出てくる偽・誤情報や災害時に出てくるデマ情報など、定型的にわかっているものに対して、予め「こういうデマがありがちなので注意しましょう」と前もって呼びかけることをいう。
放送局が今後ファクトチェックに力を入れていくのであれば、ファクトチェックの団体や専門家がどういう議論をしているのか、どういう手法を取っているのか参照する必要があるし、場合によっては連携することも必要かと思う。ちなみに日本ファクトチェックセンターでは実際に放送局の人員を受け入れて、ファクトチェックをお手伝いいただいた例もある。
なおファクトチェックに関しては、番組で行うのも大事だが、偽・誤情報に影響を受ける人たちはテレビを見ていないので、ちゃんとSNSやネットにも情報を出さねばならないことは言うまでもない。

●業界として記者を守る姿勢を
記者への攻撃はグローバルな動向だ。国境なき記者団でも、記者に対する攻撃や暴力は報道の自由に対する重大な問題だという意識で活動しており、これは日本だけの問題ではない。それに対してはやはり記者を会社として守る、業界として守るという姿勢が重要で、今後はそうしたところをより強く打ち出す必要があると思う。

●メディアがどう考えているか、存在意義とは何か、青臭く発信を
最後に、これはこれまでご発言いただいた委員の方々と同感で、放送やマスメディアにできることは依然として多々あると思っているので是非ご尽力をいただきたい。
事前のアンケートに、自分たちが考える報道倫理について一般の方になかなか理解してもらえないというご指摘があった。先ほど来の記者への攻撃に対して報道界、メディア界、放送界として世間に向き合うことの重要性も併せて、メディアがどう考えているのか、メディアの存在意義が何なのかということを発信しなければならない。日本ではこういう大上段の情報発信は上から目線だと言われがちで非常に躊躇されるが、こういったことを言うのがメディアの存在意義なので、やはり青臭く言っていくことも必要なのではないかと思う。

以上

第204回

第204回–2025年3月

毎日放送『ゼニガメ』委員会決定を通知・公表へ

第204回放送倫理検証委員会は、3月14日に千代田放送会館で開催された。
9月の委員会で審議入りした毎日放送の『ゼニガメ』について、担当委員から意見書の修正案が報告され意見交換した結果、合意が得られたため、今後当該放送局へ通知して公表することになった。
TBSテレビは2024年10月19日に放送したバラエティー番組『熱狂マニアさん!』2時間スペシャルで、インテリア小売業大手「ニトリ」のマニアを特集した。放送後、視聴者からBPOに「番組全編で1社を取り上げ、価格や商品名も紹介しており、番組の提供にも社名が入りCMを流していた。これは番組といいながら明らかに広告ではないのか」という声が寄せられた。委員会は議論の結果、番組内容や制作過程に「番組と広告の違い」等を含む放送倫理上の問題がなかったかを詳しく検証する必要があるとして、2025年1月の委員会で審議入りを決めた。今回の委員会では関係者に対するヒアリングの結果が報告されたうえで、意見書の案が提示され議論した。
2月にBPOに寄せられた視聴者・聴取者意見などが報告された。

議事の詳細

日時
2025年3月14日(金)午後4時~午後6時35分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、
大石委員、大村委員、長嶋委員、毛利委員、米倉委員

1. 毎日放送『ゼニガメ』について審議

毎日放送は、2024年7月17日に放送したローカルバラエティー番組『ゼニガメ』で、出張買取業者に密着取材する企画を放送したが、翌日、番組に事実と異なる放送があったことを公表して謝罪した。さらに2023年11月と2024年5月の放送分にも事実と異なる内容があったことも判明し、委員会は9月に審議入りを決め、その後の委員会で議論を重ねてきた。
今回の委員会では、意見書の修正案が再度担当委員から報告された。これについて意見が交わされた結果、合意が得られたため、表現などについて一部手直しの上、今後しかるべき時期に当該放送局に対して通知し、記者会見を開いて公表することになった。

2. TBSテレビ『熱狂マニアさん!』について審議

TBSテレビは2024年10月19日に放送したバラエティー番組『熱狂マニアさん!』
2時間スペシャルで、インテリア小売業大手「ニトリ」のマニアを特集した。「ニトリマニア集結!1万点からベスト3 名もなき家事が今夜消滅!」と題し、ニトリの商品を使った時短料理や収納テクニックなどを全編にわたり放送した。
放送後、視聴者からBPOに「番組全編で1社を取り上げ、価格や商品名も紹介しており、番組の提供にも社名が入りCMを流していた。これは番組といいながら明らかに広告ではないのか」という声が寄せられた。委員会で議論をしたところ、この番組では2024年にニトリを3回(1月13日、6月1日、10月19日)取り上げていることが判明したため、当該放送局に番組DVDと報告書の提出を求めることにした。
TBSテレビの報告書によると、本番組はある特定のジャンルに関して、並外れた熱意や愛情を注いでいるマニアが熱狂していることや好きなものを紹介するバラエティー番組。コロナ禍による巣ごもり需要によりコンビニやスーパー、大手日用雑貨店への興味関心がファミリー層などで高まったことを受け、「時短料理術」や「清掃・収納術」など、人気有名企業の商品活用法に詳しいマニアを番組が発掘し、単なる商品紹介ではない、衣食住にまつわる「生活の知恵」を幅広い視聴者に届けてきたという。
委員会は、番組内容や制作過程に「番組と広告の違い」等を含む放送倫理上の問題がなかったかを詳しく検証する必要があるとして、2025年1月の委員会で審議入りを決めた。今回の委員会では、番組関係者に対するヒアリングの結果が報告された。そのうえで、担当委員から意見書の案が提示され議論した結果、次回の委員会までにさらに検討することになった。

3. 2月の視聴者・聴取者意見を報告

2月に視聴者・聴取者から寄せられた意見には、引き続き人気タレントと女性とのトラブルをめぐる一連の問題に関するものや、兵庫県議会百条委員会の調査結果に対する意見などがあり、事務局から概要が報告された。しかし全体的に意見数が少なく、さらに踏み込んだ検証が必要であるとの意見はなかった。

以上

第337回

第337回 – 2025年3月

「警察密着番組に対する申立て」の通知・公表について報告…など

議事の詳細

日時
2025年3月18日(火)午後4時15分~午後6時15分
場所
千代田放送会館BPO第1会議室
議題
出席者
曽我部委員長、鈴木委員長代行、廣田委員長代行、大谷委員、
國森委員、斉藤委員、野村委員、松尾委員、松田委員

1.「警察密着番組に対する申立て」通知・公表報告

審理入りしていた「警察密着番組に対する申立て」について、委員会決定81号として、申立人と被申立人の放送局双方への通知と公表会見を委員会の開催前に行った。委員会では、起草を担当した委員や事務局から、その様子が報告された。

2. 最新申立て状況

事務局から最新の申立て状況について説明した。

3. その他

2024年度1年間の申立て状況について、事務局から報告を行った。

曽我部委員長の任期が満了となり退任の挨拶があった。曽我部氏は2013年4月から委員、委員長代行、委員長と通算12年にわたって放送人権委員会に携わり、これまでに公表された81の委員会決定のうち32の事案の決定に関わった。

以上

2024年度 第81号

「警察密着番組に対する申立て」に関する委員会決定

2025年3月18日 放送局:テレビ東京

見解:放送倫理上問題あり
申立ての対象は、テレビ東京が2023年3月28日に放送した「激録・警察密着24時!!」のうち、人気漫画・アニメ「鬼滅の刃」を連想させる市松模様などの和柄商品に関する事件を取り上げた部分である。1年にわたり捜査に“密着”取材したとして放送されたが、逮捕当日とその前日の署長訓話以外は警察官らによる「再現」で事後に撮影されたものであった。放送時点で逮捕された4名のうち3名が不起訴になっていたがその事実に触れず、また、事実と異なる点がある放送をした。
これに対し、販売会社の現役員と元役員の夫婦が、名誉感情を大きく毀損するとともに、捜査場面は警察官を使った「やらせ」であるなどと主張し、謝罪、訂正文の掲載などを求めて申立てをした。テレビ東京は、お詫び放送やお詫び文の局ホームページへの掲載のほか、警察密着番組の打ち切りも発表したが、事後撮影部分が「再現」か否かといった認識の違いなどから申立人らは納得せず、申立ての取り下げには至らなかった。
委員会では、審理の対象を話し合いが相容れない状況になっている事後撮影部分に限定して審理した結果、事後撮影部分の一部について、申立人らの名誉を毀損する内容があったと判断したが、すでにお詫び放送などでその被害は一定程度回復しているとして、本決定において改めて人権侵害があったと扱うことはしなかった。放送倫理上の問題については、事後撮影部分の事実の重要な点において、意図的に事実と異なる虚偽の放送がされたとはいえず、その意味で「やらせ」「ねつ造」があったとはいえないが、放送内容の正確さ、公正さなどに問題があり、テレビ東京が放送責任を果たすためのチェック・確認をしていたとは到底いえないことから、放送倫理上問題があると判断した。

【決定の概要】

本件は、テレビ東京が2023年3月28日に放送した『激録・警察密着24時!!薬物・凶器・詐欺… 春のワル一掃大作戦SP』(以下「本件番組」という)のうち、人気漫画・アニメ「鬼滅の刃」を連想させる市松模様などの和柄商品に関する初の不正競争防止法違反事件を取り上げた部分(以下「本件放送」という)に対して申立てがなされた事案である。
1年にわたり捜査に“密着”取材したとして放送されたが、取材開始は逮捕の直前で、逮捕当日とその前日の署長訓話以外は、実際に捜査にあたった警察官らによる「再現」であり、事後に撮影されたものであった。
社名や氏名は伏せ、人物や建物はモザイク処理が施されていたが、商品名や本件放送までの他の報道で社名や氏名の推知が可能であった。
逮捕された4名のうち3名が不起訴となり、公判では法律の解釈適用が争われ、無罪主張がされたが、一審で有罪判決を受け本件放送時は控訴していた。
しかし、本件放送は不起訴や控訴に触れることなく、「“ニセ鬼滅”組織を一網打尽」とのサイドスーパーや、不起訴となった者の逮捕場面に「被害者面で逆ギレ。挙げ句に泣き落とし」などのナレーションをつけて放送した。また、キャラクター(登場人物)を使用した商品は扱っていないのに、「あからさまな偽物も中国へ発注していた」などと、事実と異なる放送をした。
これに対し、夫婦である現役員と元役員が、会社や4名の信用、プライバシー、名誉感情を大きく毀損したと主張するとともに、捜査場面は逮捕後に撮影されたもので、警察官をつかった「やらせ」であるなどと主張し、「ねつ造」を認めて謝罪、訂正文の掲載をすること、事後撮影の内容と経緯の説明をすることなどを求めて申立てをした。
申立て後、当委員会の促しにより、申立人らとテレビ東京で話し合いがなされ、その結果、お詫び放送やお詫び文の局ホームページへの掲載が行われた。また、テレビ東京は、警察密着番組の打ち切りを決める一方で、再発防止策として番組チェック体制の強化や社内教育・研修の拡充などを進めていくとした。
申立人らは、お詫び放送等の対応に一定の評価をしたものの、事後撮影部分が「再現」か否かといった認識の違いや、テレビ東京が事後撮影の経緯を含む番組制作過程を明らかにしなかったことに納得せず、申立ての取り下げに至らなかった。
委員会は、こうした経緯をふまえ、申立人らの実質的な被害回復の状況を検討し(運営規則第5条第2項(1))、審理の対象を話し合いが相容れない状況(同第5条第1項(4))になっている事後撮影部分に限定することとした。
そして、事後撮影が行われた経緯から、警察官らによる恣意的「再現」の可能性があることを前提に、5つの事後撮影部分について、実際の捜査で行われた事実と異なるか、人権侵害はあるかを検討した。その結果、警察官らがキャラクターの絵がついた商品画像を発見しアウトだという場面については、捜査の過程の事実と異なるとまで認めることはできないが、一般視聴者に販売会社がキャラクターそのものを真似た商品を扱っているとの印象を与えるもので、申立人らの名誉を毀損すると判断した。しかし、この点については、お詫び放送・お詫び文の掲載により、すでにその被害は一定程度回復されていると判断し、本決定において改めて人権侵害があったと扱うことはしなかった。
次に、放送倫理上の問題について、申立人らの求めでもある事後撮影が行われた時期、事後撮影から放送までの経緯を詳細に検討し、事後撮影部分については、事実の重要な点において、意図的に事実と異なる虚偽の放送がされたとはいえず、その意味では「やらせ」「ねつ造」があったとはいえないと判断した。
しかし、長年の一括発注の過程で、事後撮影部分があることがテレビ東京に報告されないような緊張感を欠く状況となっており、また、本件では局プレビューも機能しておらず、テレビ東京が放送責任を果たすためのチェック・確認をしていたとは到底いえなかった。
その結果、控訴審第1回公判の直前に、争点である正規品との混同可能性や真似る意図に関して、警察官が「再現」するままに、その言い分を一方的に述べるものが放送されることになった。キャラクターを真似た商品を申立人らが扱っているとの誤解を生じさせる場面が「再現」され、誤ったナレーションがつけられたが、チェックされることもなかった。さらに氏名推知可能な状態で、不起訴になった者も含む4名の逮捕の方針を決める捜査会議場面がドラマのように「再現」された。無罪主張をしている申立人らの言い分や控訴していることも一切述べられなかった。これらが「1年に及ぶ“執念の捜査”完全密着」というサイドスーパーのもと実際の捜査場面として放送された。
このように、本件放送は正確さ、公正さに問題があること、取材される側への配慮を欠き過度に社会的制裁を加えるものになっていること、視聴者の期待、信頼に反することから、放送倫理上問題があると判断した。
最後に、警察密着番組を好んで視聴する人は少なくなく、他局においては放送が続けられていることから、警察密着番組のもつ構造的問題にもふれ、放送界全体として、本件をきっかけに番組の意義や内在する危険性について改めて考えていただくことを求めた。

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2025年3月18日 第81号委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第81号

申立人
販売会社の現役員、元役員
被申立人
株式会社テレビ東京
苦情の対象となった番組
『激録・警察密着24時!!薬物・凶器・詐欺… 春のワル一掃大作戦SP』
放送日
午後6時25分~午後8時54分
(テレビ北海道、テレビ愛知、テレビ大阪、テレビせとうち、TVQ九州放送、びわ湖放送、岐阜放送、テレビ和歌山で同時放送)

【本決定の構成】

I.事案の内容と経緯

  • 1.放送の概要と申立ての経緯
  • 2.本件放送の内容
  • 3.論点

II.委員会の判断

  • 1.背景事情
  • 2.申立てからお詫び放送・お詫び文の掲載、話し合い終了まで
  • 3.論点1「テレビ東京が本件放送について、既に申立人に謝罪し、お詫び放送やお詫び文のホームページへの掲載等を行っていることは、本件申立てにおいてどのように扱われるか」
  • 4.論点2「捜査に関して警察官自身による『再現』であるという事後撮影を行い、放送したことに、人権侵害はあったか」
  • 5.論点3「捜査に関して警察官自身による『再現』であるという事後撮影を行い、放送したことに、放送倫理上の問題はあるか」

III.結論

  • 1.本件放送について
  • 2.今後の警察密着番組について

IV.放送概要

V.申立人の主張と被申立人の答弁

VI.申立ての経緯と審理経過

全文PDFはこちらpdf

  • 「補足意見」、「意見」、「少数意見」について
  • 放送人権委員会の「委員会決定」における「補足意見」、「意見」、「少数意見」は、いずれも委員個人の名前で書かれるものであって、委員会としての判断を示すものではない。その違いは下のとおりとなっている。

    補足意見:
    多数意見と結論が同じで、多数意見の理由付けを補足する観点から書かれたもの
    意見 :
    多数意見と結論を同じくするものの、理由付けが異なるもの
    少数意見:
    多数意見とは結論が異なるもの

2024年11月

青少年委員会 鹿児島地区放送局との意見交換会 概要

青少年委員会は毎年、全国各地でさまざまな形で意見交換会を開催しています。今回は鹿児島地区の放送局とBPOとの親交を深め、番組向上に寄与することを目的に2024年11月28日午後2時30分から5時30分まで、鹿児島市で意見交換をしました。
BPOからは青少年委員会の榊原洋一委員長、吉永みち子副委員長、飯田豊委員、池田雅子委員、沢井佳子委員の5人が参加しました。放送局はNHK(鹿児島放送局)、南日本放送、鹿児島テレビ放送、鹿児島放送、鹿児島読売テレビ、エフエム鹿児島の計6放送局から各BPO連絡責任者、編成、制作、報道番組担当者など計21人が参加しました。

冒頭、「BPO青少年委員会の活動と位置づけ」と「青少年委員会の役割」について、BPO理事・事務局長 辻村和人と榊原委員長からそれぞれ説明がありました。

〇辻村事務局長
青少年委員会は月1回集まって、視聴者から寄せられた「この番組は青少年が視聴するには問題があるのでは」「この番組は未成年の出演者の扱いが不適切ではないか」といった意見をもとに、番組を視聴するなどして議論しています。より深く検討すべき事案については、「討論」を経て「審議」する場合があり、最後に「見解」などを公表するという委員会です。
BPOの3つの委員会にとって大切な仕事のひとつがこの意見交換会です。全国各地の放送現場の皆さまと委員会の委員が放送をめぐるさまざまなテーマを話し合い、理解を深めるというのが目的です。現場の実情を踏まえた闊達な議論をぜひお願いします。

〇榊原委員長
BPOの3つの委員会はかなり役割が違います。BPOというと、多くの人はお目付け役であるとか、あるいはBPOから何か聞かれる、BPOのところに来ると「お白州」に呼ばれたような感じがするという非常に強面(こわもて)に思われているようですが、青少年委員会はちょっと違います。
放送人権委員会がいちばん分かりやすいといいますか、実際にテレビ、ラジオで放送された内容や出演者などについて、人権侵害があったのではないか、人権の点からちょっと課題があったのではないかという場合に、実際に申し立てを受けて動き、人権侵害があるなしを判定する委員会です。
もう一つが放送倫理検証委員会です。こちらは基本的には誰かが申し出るのではなくて、毎日たくさん寄せられる視聴者意見をもとに、「放送された内容に虚偽、うそがあるのではないか」「放送倫理上の問題があるのではないか」などということを検討する委員会です。

それに対して青少年委員会は、放送された内容、番組の作り方、演出あるいはそこに出演する青少年の人たちの立場から、これはさまざまな改善点があるのではないかということを視聴者から寄せられた多くの意見をもとに検討しています。放送の内容が青少年の立場を守っているか、あるいはそのコンテンツを青少年が視聴することは多くの問題につながるのではないかが重要なポイントです。分かりやすい例で言うと「この場面を子どもがまねすると危ないのではないか」などと話し合いますが、「はい、これは問題がありますよ」という形で終わるだけではありません。ここから先がありまして、私たちはそういうようなことがないように皆さんと協力しながら、「どうしたらよりよい、青少年にとっても有意義な番組ができるか」ということを日夜、考え続ける委員会なのです。
皆さまにとって放送を提供する、あるいはそれを制作する立場にとって、どういうことに気をつけなくてはならないのかや、ここはこうすればよかったのではないかということを一緒に考えていく委員会なのです。

【テーマ1】《認定こども園・殺人未遂事件で園側に取材制限された問題について》

まず、地元局の代表社による問題提起がありました。それを受けて弁護士の池田委員から「取材の自由とのプライバシー」について論点整理の説明があったのち、意見交換しました。

〇代表社の問題提起
事件が起きたのは今年(2024年)6月7日の午前11時ごろ、鹿児島市内の認定こども園でのことです。子どもを預かる施設内で、2歳の男の子の首を21歳の女性保育士がカッターで切りつけたという事件です。男の子は全治1カ月の傷を負い、一命を取り留めていますが、加害者の女性保育士が殺人未遂の疑いで逮捕されました。さまざまな問題を考えるきっかけの材料の一つになればと思い、この話をしようと思います。
状況としては園内の庭で子どもたちが遊んでいて、その園の玄関付近にいた男の子ひとりを傷つけたそうです。「みんな建物に入って」と呼びかけて子どもたちが戻って来たら、その男の子だけが倒れていて、事件だと分かったということです。
逮捕後に接見した弁護士に取材したところ、保育士は「殺すつもりはなかった」と言い、凶器のカッターナイフはあらかじめ用意したものではなく、「園内での作業用に持っていたカッターナイフを使いました」と話したということです。仕事や人間関係で悩みを抱えていて、精神的に追い詰められたという話もしていたそうです。あとは、「子どもに対して感情が高ぶって思わず手が出てしまいました」と話し、「子どもに対して申し訳ないことをしました」という反省の弁を述べていたそうです。これは弁護士への取材ですが、女性保育士は逮捕容疑で6月28日に起訴されています。同じ日に、この事件に先立つ6月3日の朝、別の女の子を園内にあった家具に頭を打ちつけたかして1週間のけがをさせたということが新たに分かって、傷害容疑で再逮捕され、こちらはその後、追起訴されています。こちらに関しては、(7日の事件で)逮捕された後にこの女の子の母親から警察に相談があって発覚したようです。7日の事件がなければこちらの傷害事件は分からなかったということになります。
このニュースは内容からするとかなり衝撃的な事件ですが、鹿児島県内の当時の状況を思い起こすと、鹿児島県警察本部で少女をめぐる事案を本部長が隠蔽したのではないかという問題から、警察本部の一連のごたごたがあって、ニュース報道のメインはそちらだったかなという感じでした。我々もそちらに軸足を置いて取材していたところがあって、このこども園の事件まで実はあまり手が回らなかったところがあります。

この事件をなぜ取り上げたかと申しますと、取材の厳しさがちょっと際立った事件だったのではないかとの印象を個人的に持っているからです。例えば事件の翌日に保護者説明会が行われましたが、説明会自体の取材はシャットアウトで、建物の外観だけを撮影して放送する形になりました。このときはこども園の代理人弁護士がペン取材の窓口になってくれて、説明会の内容を聞きました。しかし、園側が公式の説明をする機会は全くありませんでした。ちなみに園側は、(発生から5カ月が経過した)現在でもまだ、記者会見や正式な説明は行っていません。
一般的にはこうした場合、子どもを預かる施設側がガードを硬くするのは当然のことで、それ自体は全く珍しいことではありません。園側が全く取材に応じてくれないので、こちらとしては警察への取材に全力を挙げるとか、あるいは関係する弁護士への取材などもするわけです。そのほか何とか当時の園内の様子を知ることはできないか、また逮捕された保育士がどんな人物だったのかなどを、身近にいてよく知る人たちということで保護者にも取材したいと思い、さまざまな方法を使って接触したいと考えました。
そのうちの一つとして、園の付近の公道で保護者に接触しようと試みましたが、園側の関係者がそこに止めに入ってきました。あくまで取材は公道上で何かを強制する取材ではなく、「よろしければお話を伺えませんか」という類いの取材だったわけですが、そこにも止めに入ってきました。そこまでいくと取材規制としてどうなのかと思いました。
こちらのできることとしてほかには、逮捕された保育士の学生時代を知る人物にインタビューをしました。容疑者(被疑者)は非常に子ども好きで、3日の事件についてもすごく反省しているという話を学生時代に主に交友のあった男性がインタビューで語っています。となるとますます、その人物像と事件との間にかなりのギャップがあるなという感じがします。こうした中で、園内で何が起きていたのかとか、例えば勤務管理の問題なのか人間関係の問題なのか、その事件の本質になるべく迫りたいと思ったときに、こちらとしてはあの手この手で取材しようと思っても、なかなかうまくいかなかったという印象があります。
当然ですが、メディアスクラム的なものを警戒するという園側の懸念はよく分かりますし、子どもたちを不安にさせたくないという思いも非常によく分かります。ただ、2歳の子どもが園内で、しかも保護する立場にある保育士からカッターで傷つけられる。これは尋常なことではないので、なぜそういう事態になったのかという観点で、その当時の園内の状況に関して知りたいことはたくさんありますが、それらに正直言って迫れていないという感じがしています。
ちなみに、まだ裁判も始まっていないので、事件についてはよく分からないことだらけの状態です。事件の背景にどういうことがあったのか、そういうことを明らかにするのは子どもたちの安全にも関わることですし、我々としても意味のあることだと思っています。この問題についての概略と我々の思うところは、以上です。

○池田委員
私から「取材の自由とプライバシー」というテーマで論点整理をさせていただきます。
初めに総論です。ここはごく簡単に申し上げます。
まず報道の自由と取材の自由について、最高裁が何を言っているかをお話します。昭和44年(1969年)の最高裁大法廷の決定「博多駅テレビフィルム提出命令事件」で、最高裁は報道の自由について、「報道機関の報道は、民主主義社会において、国民が国政に関与するにつき、重要な判断の資料を提供し、国民の知る権利に奉仕するもの」と判断しました。はっきりと報道の自由は、「表現の自由を規定した憲法21条の保障の下にある」と述べています。
これに対して、取材の自由について同じ事件の決定で何と言っているかというと、報道機関の報道が正しい内容を持つためには、報道のための取材の自由も「憲法21条の精神に照らし、十分尊重に値する」と言っています。報道の自由については憲法21条の保障の下にあると明言しているのに対して、取材の自由に対しては言い回しが少し異なります。これをどう解釈するかですが、一般的に学説では、保障の程度について報道の自由に比べると取材の自由は一段低いと解釈されています。ただし、取材の自由についても憲法で厚く保障された表現の自由の一形態であることは、ここで強調しておきたいと思います。
続いてプライバシーの話に移ります。これは憲法13条が定める個人の尊厳の確保から導かれるものです。具体的には、東京地裁の昭和39年(1964年)の古い判決(「宴のあと」事件)ですが、そこでプライバシー権は「私生活をみだりに公開されないという法的保障ないし権利」と定義されました。また平成15年(2003年)の最高裁判決では、個人に関する情報について、「本人が、自己が欲しない他者にはみだりにこれを開示されたくないと考えることは自然なことであり、そのことへの期待は保護されるべきものである。これらの情報はプライバシーに係る情報として法的保護の対象となる」とも述べています。
さて、報道の自由、取材の自由とプライバシーが皆さんの仕事の現場でぶつかることは本当によくあることだと承知しています。これを裁判ではどう調整しているのかというと、結論から申し上げると、個別事案ごとの判断で、実際には比較衡量なのです。報道の目的、態様、そのほかの諸要素と、プライバシー侵害の内容、程度、そのほかの諸要素とを天秤にかけるような比較衡量で個別事案ごとに判断しているのが裁判の実務です。その報道に社会的な意義がある、今回のような事件ですね。これは報道機関の「正当な業務行為ですよ」といえるのであれば、プライバシーの侵害は違法とは評価されません。ただ、事案によっては報道の自由を考慮しても、「ここはもう少しプライバシーを大事に扱わなければいけない、保護する必要性が高い」と裁判官が考えたのであれば、その報道取材によるプライバシーの侵害は違法と評価され得ることになります。ざっくりとした抽象論になってしまいましたが、個別事案ごとに具体的に考える必要があります。

ここから本事案について視点の整理に入ります。あくまで私の推測であって皆さんからもご意見を伺いたいところです。
本事案でまず考えなければいけないのが、被害を受けた子ども、そして、その親(被害者の保護者)の視点です。この子どもには何が何だか分からないでしょう。その親にしてみればこういう事態が突然降って湧いたわけであって、とにかく自分の子どもの身体、精神を守りたい、守ってほしい、そして、どうしてうちの子が被害に遭ったのだろうか、一体何があったのか、なぜこんなことが起きたのか、大きな動揺、悲しみ、怒りの中にある、そのような状況だと思います。
そのほか、この子どもの友達、またその保護者の皆さんの視点から、やはり同じように、なぜいちばん守られるべきはずの場所で子どもがこういう事態に遭ってしまったのか、なぜこんなことが起こったのか、早く園から説明がほしい、動揺、悲しみ、怒りの状況にあることは想像に難くありません。
それを踏まえて、こども園の視点ですが、園として事件後に最初に考えなければならないのは、何より傷つけられた子ども、その親への対応、そして周りの子どもたちや保護者の皆さんへの対応です。とにかく子どもの命を守り、動揺と不安を静めることを第一に考えていたのだと推測します。そこで、事件が起きた翌日に保護者会を開いて状況を説明し、園の対応を保護者の皆さんに理解してもらうという行動に出ています。その際に園としては、子どもたちや保護者のプライバシーを守る必要があると考えたのでしょう。さらに、園として、事件後の対応は、すでに捜査が始まっていますから、全て警察に任せているし指示どおりにしているということではないでしょうか。事情聴取にも真摯に対応しているし、そして、現在は第三者委員会も開かれているようですが、行政に対してもしかるべき報告をする、(行政側の)調査についても誠実に対応します、というのが園の立場ではないかと思います。
実際に取材の関係では、メディアの個別のペン取材に対しては代理人弁護士が対応したようですが、テレビカメラの取材は子どもたちや保護者の動揺を増幅しかねないので、基本としてご遠慮願いたかったという考えがあったのかもしれません。また、先ほどメディアスクラムについても言及がありましたが、新聞、テレビなど各社の記者、カメラマンに次から次へと取材に来られては対応し切れないという気持ちもあったのかと思います。

その上で皆さんメディア側の視点は、こども園で子どもが保育士の先生に切りつけられたという重大事件です。その事件を早く正確に広く視聴者、読者に報じる責務が報道機関にはあります。それに伴って事件の背景や核心に迫ること、それも皆さんが目指すべきものだと考えます。
本件で実際どうだったのか。皆さんからお聞きしたいところですが、メディアスクラムのような状況は排さなければなりませんが、取材のツールはペンだけでなくテレビカメラも必須と考えているでしょうし、それは私もそのとおりだと思います。メディアの個別の取材に応じないのであれば、別途記者会見を開くべきだと考えるのも当然でしょう。代理人弁護士が公道上からのカメラ取材さえ認めなかったというのは、なかなか承服しがたいのではないでしょうか。中にはメディアの取材に直接話したいという保護者もいたはずだと思います。実際に私も、ネットに保護者から保護者会で配布された資料が上がっているのを見ました。きっと話したかった人はいたのでしょう。

それでは、この問題についてどう考えるべきかということをお話します。本件は認定こども園で起きた事件です。こども園は都道府県から認定を受けて、公的な補助金を受給しています。しかも、コミュニティで起きた重大な事件です。なぜこのような事件が起きたのか、事件を起こした個人の問題にとどまるものではありません。園の運用や職員の勤務体制等に問題はなかったのか、ここはしっかり追及していかなければなりません。園側には事件を起こし、今は被告人となっている保育士を雇用していた責任があります。その勤務状況や園全体の雇用環境、再発防止策等について説明する責任があります。それは保護者への説明にとどまるものではなく、社会的な責任でもあるでしょう。まさにこの事案は公共の利害に関わる事件であって、皆さんの報道には公益を図る目的があるのは明らかです。社会の正当な関心事であって、社会全体で共有すべき情報だと考えます。
そのような報道の意義が認められるこの事件において、取材に当たっての手段・方法の相当性も、ここは別途きちんと考えなければなりません。信頼している保育士が起こした事件で、子どもやその親の心情への配慮が不可欠です。園としても想定外の事態が起きて慌てふためいている状況でしょう。その中で子どもを守り、保護者に説明する、そこがまず第一だろうと思います。それを踏まえた上で報道側の皆さんとしては、子どもを守りながら報道するタイミング、どの段階でどう折り合うかということを一緒にここで検討し、考えていきたいと思います。ただ、今回は取材制限の問題があって、それはまた別の問題だと考えます。

最後に、報道の意義、使命についてあえて私から申し上げたいと思います。まず報道の意義は、主権者であり統治の主体である私たち、民主主義の運営者である私たち市民が自由に判断し自治ができるように必要な情報を提供すること、つまり民主主義の基盤をつくることです。申し上げるまでもなく、その際に取材、報道の対象者への配慮は必要です。
つぎにジャーナリズムの独立性を挙げたいと思います。ジャーナリズムは取材対象の利害にとらわれないように独立を保つことが大切です。今回、園側の代理人弁護士との間で実際に起きたように、ぶつかること、報道される側の意向を代弁する弁護士と衝突することが皆さん多々あるのではないかと思います。代理人弁護士は、(依頼された側の)当事者の要望に沿う報道を要求します。しかし、報道については報道される側の利益のために報道したりしなかったりを決めるものではありません。広報機関ではないのですからね。社会で共有すべき情報であれば、たとえ当事者が嫌がろうとしっかり報道する。そういう意味で独立ということを挙げました。
今回問題になったのは取材拒否ですね。これは皆さんが日々遭遇している問題でしょう。これに対して、抽象的な話になってしまいますが、私から幾つか考えられることを申し上げたいと思います。1点目、今回のような場合、報道機関の皆さんが一緒に対処するということ。これはよくメディアスクラムの問題に対処する際に行われていることではないかと思います。各社が協力して、たとえば代表を出して取材を求める、インタビューを求めるというようなことが考えられると思います。
2点目は弁護士への申し入れです。今回、園側に代理人弁護士がついて、そこでかなりいろいろ制限がかかっていたようですが、取材の現場での対応が難しいようでしたら、おそらく各社に顧問弁護士がいるかと思いますので、現場の記者からデスクに上げて、デスクから顧問弁護士に相談するなど大いにアドバイスを得てほしいと思います。それを踏まえてどう交渉していけばいいのか、取材相手の弁護士に臨む姿勢を顧問弁護士の助言を踏まえて検討し、行動してほしいと思います。
3点目として提案したいのが、実際に私も東京で行っていることですが、記者と弁護士との意見交換会を考えるとよいのではないかと思います。要は日頃から互いに顔の分かる関係をつくりましょうということで、互いの立場を理解できるようになるというのが目指す姿です。私が入っている日弁連・人権と報道に関する特別部会では、年に3、4回、各回1つのテーマを決めて懇談会を行っています。例えば先日は公益通報者保護をテーマに、どのような制度でどういう問題点があるのか、弁護士と記者の皆さんとで勉強会をしました。大人数ではありませんが、それぞれの問題意識を共有したり一緒に勉強したりする場があります。鹿児島でもそういうことはできるのではないでしょうか。
特に現在、鹿児島県警の問題などがあって、そこは弁護士の興味関心、考えるところと記者の皆さんが考えるところと同じ方向性で目指すベクトルが一緒の部分も結構あるだろうと思います。弁護士と報道記者とがぶつかる部分で多いのは、犯罪被害者に代理人弁護士がついた場合でしょう。こども園のケースもそれに近いです。ただ、たとえ相反することがあっても日頃から互いの顔が分かる関係をつくっておけば、いざ自分の知っている弁護士が犯罪被害者の代理人になっていても、弁護士としてもこの記者に対しては例えばこの情報は渡すからここで引いてくださいとか、そういう交渉の仕方があるということです。
調べてみたら、鹿児島県弁護士会の弁護士の人数は令和6年(2024年)4月現在で225人でした。私の所属する東京弁護士会は9,000人を超えています。東京でできていることが鹿児島でできないわけはないでしょうし、よりこぢんまりと密な関係を築いていけるのではないかと思います。日頃からのコミュニケーションを図って関係性をつくっていくことによって、互いにとってウィン・ウィンの良い関係を築いていけるのではないでしょうか。

<意見交換>

〇参加者
貴重なお話をありがとうございました。私は当時、この事件の取材で現場に入りました。先ほど話のあった取材制限、取材拒否という観点で言うと、在京キー局からも取材クルーが入って、閑静な住宅街はものものしい雰囲気にはなっていました。その中で、こども園の代理人弁護士から周辺での取材を控えてほしいという通知がありました。とはいえ、園への取材も代理人弁護士が立ちはだかってなかなかできない中で、私たちは園の職員でもある被疑者のふだんの様子やこれまでのトラブルなど、周辺への取材で明らかにしたいという気持ちが多くありました。
そこで当社の記者が周辺に取材を試みましたが、そのことが代理人弁護士に伝わって、厳重注意という文言を用いた連絡が来て、「牽制された」ことがありました。また、こちらは代理人弁護士から各社に通告された原文のままですが、「あまりにも目に余るような取材状況であれば、このような回答は今後できかねます」と園への取材に対する回答さえも拒むような、圧力をかけるような文言があって、取材活動の萎縮につながりかねないなと感じました。こうした連絡があったことで、自社の取材活動のために全社が弁護士から回答を得られなくなるかもしれないという懸念も覚えました。
池田委員が指摘された弁護士への取材努力、人間関係づくりが必要で、我々もそういう関係づくりというところで努力できる点はまだまだあったのかなと感じています。

○池田委員
代理人弁護士が取材に制限をかけるのは、園の意向によるものだと思います。園の代理人弁護士の立場として、園の要望、例えば、取材を受けたくないとか、この時期にやめてほしいといった意向を汲んで、お話のあった「連絡や通告」がなされたものだと思います。
今までのお話ですと、公道からの取材も制限されたということですよね。各社に通告文が渡されたということですが、具体的にどういう行為に対する通告でしたか。

○参加者
私どもはふだん周辺取材をするとき、どのお宅が今回のこども園の被疑者とされる人物を知っているか分からないので、手あたり次第といいますか、地区を割り振って順々に声をかけていくという取材方法をとります。そういう「周辺取材全体をしないでほしい。してくれるな」ということを、厳重注意という文言を用いて牽制してきた状況でした。

○池田委員
公道からの取材もそうですし周辺取材の手法も、記者として当然の業務だと思うので、弁護士の「牽制」は行き過ぎではないかという感覚を持ちます。一方で、弁護士もいろいろですが、憲法を学び報道の自由などについて少なからず学んできていますから、対話をすれば分かりあえる部分もあるのではないかと希望的観測も持っています。皆さんのところに来た通告文のように、おかしい、これでは取材はおろか報道すらできないという状況であれば、皆さんが団結して対処することを考えてみなければならないだろうと感じます。

○吉永副委員長
このニュースは東京でも流れていましたから私も存じていました。保育士が2歳の男の子の首を切りつけたショッキングな事件でしたが、(東京では)この後の続報がほとんどありませんでした。情報を受ける側としては「あの後どうなったのだろう。保育士という職業を選んだ人がなぜ2歳の子を切りつけたのだろうね」と思うし、保育所に預ける親の立場では、これがいちばん不安の基です。公判がまだということなので、これから先、公判での内容がまた伝わるのかもしれませんが、やはりショッキングな事件であれば、代理人弁護士が立ちはだかるなどいろいろな事情があったのでしょうが、どうしたらこの続報が届けられるか、それをやる道はなかったのだろうかという思いがあります。
もう一つは、報道の自由やそれに伴う取材の自由というのがどれだけ遂げられているかという問題には、社会の反応というのがすごく影響していると思います。昔はメディアに対してこんなに門戸を閉ざすことはありませんでした。今は何か事件が起きるとその家はどうせ特定されるだろうというので、最初から「報道関係お断り」のような張り紙があちこちに貼られてしまいます。これは、本来ならその情報を欲している人たちからメディアが拒否されるということで、大変に悲しくもあり、それは決して私たち、情報を受ける側にとってプラスにはならない。この社会の流れの違いや変化が、皆さんにどう受け取られているのかなと考えます。昔なら代理人弁護士が出てきたところで、それに対して社会の側から「それは違うだろう」という雰囲気が伝われば、そう簡単には出てこられませんでしたが、今は社会全体が既存のメディアに対してものすごくきつくなっていて、取材がやりにくくなっているのは、それが一因ではないでしょうか。しかし、そのやりにくくしているものに社会の雰囲気というか、社会のメディアに対する姿勢の変化みたいなものがあるとしたら、それをどう分析されて、これから先、それをどう乗り越えていこうとしているのかをお聞きしたいです。

○参加者
池田委員の報道の自由と取材の自由の話は初めて聞いたものではありませんが、非常に明快に分かった気がして、改めて新鮮な思いでお聞きました。また、吉永副委員長の話とも少し重なりますが、取材を拒否したい相手の言い分としてよくあるのは「警察には協力していますから警察に聞いてください」「市役所なり県なりの調査には協力しているので、そこに聞いてください」「報道の皆さんには取りあえず答えられません」というスタンスで言われることです。これは今に始まったものではなく、実は以前からあります。昨今の風潮としてそれが非常に強まっているなと感じます。

○参加者
私はこの事件の一報を受けてまず思ったのは、子どもがカッターで切りつけられたという衝撃的な事件であり、ひとつ視点があるとしたら、(逮捕された被疑者が)21歳の保育士ということです。被疑者の人権(への配慮)もあって、この一報があったときの警察の発表文には「鹿児島市内」としか載っていませんでした。5W1Hの要素が欠ける中で、現場探しから始まったというのが現状です。しかも、この21歳の保育士がカッターナイフで切りつけたのは首のあたりだったので殺人未遂という大きな見出しがつくわけですが、傷害レベルなのか、(殺人未遂容疑なら)本当に深く突き刺したのか、そういったことも当局の一報段階ではありません。だから、どこまで取材現場に記者を出して取材するべきものなのか、全国ニュースにするのか、今やネットがあるので、ローカル用に出稿しても全国ネットになるわけですが、どこまで大きく報じるべきなのかという点について、被害者の取材も必要ですが、このような判断を迫られた記憶があります。
もうひとつ、代理人弁護士との意思疎通の問題で言いますと、なぜ弁護士がそこまで頑なにメディアの取材を制限するのかという点では、メディアへの信頼がない。だから、一方的な言い分ばかりしてしまうというところもあるのではないでしょうか。落ち着いて事案の事実関係を詰めていって、そこで取材先ときちんとコミュニケーションをとる。それは立場が違っても、そうした関係を構築していかないといけない。それは当局との関係でも一緒です。しかし、こちらの(鹿児島の警察)当局自体にいろいろと問題があって、緊張関係はあってもいいのですが、なかなかメディアとの本来の信頼関係が構築されないのが、問題の根本にあるのかなと思いました。
池田委員が話したように、ふだんからメディアのやっている取材の意義とか考え方などについて、(地元の弁護士と)コミュニケーションを図っていくことはものすごく大事だなと思います。それは当局に対してもそうですし、我々(メディア同士の)間でもそうだと思います。

○池田委員
外から映す園の映像に関連して申し上げると、園の前で騒ぎ立てて近所迷惑になる、通行を妨害するなどという状況がなければ、基本的に公道からであれば取材は制限を受けるものではなく、今回の園側代理人弁護士による制限は、やり過ぎではないかという印象を個人的には持っています。
皆さんが園に対して取材をしたいのは、先ほどの繰り返しになりますが、なぜこういう事件が起きたのか、日頃の園の運営体制はどうだったのか、ふだん、この保育士(被疑者)はどうだったのかなど、この事件が起きた真相、背景に迫るためでしょう。5W1Hで語るだけでなく、本当の理由を皆さんは探っていきたいのであって、そこに私は報道・取材の意味を強く感じます。1社だけでの対応が厳しいのでしたら、数社で協力し合うとか、さまざまな方法を考えて、そこは攻めるべきですし、きちんとすべき取材であって、それが社会の要請に応えることだと考えます。

○吉永副委員長
きょうの話で一番驚いたのは、私たちは6月7日の首を切りつけた事件は知っていましたが、その前の3日に被疑者が暴行してけがをさせていることは全く知りませんでした。それで、びっくりしたのです。これは彼女が再逮捕されたことで分かった事件ですよね。それまではこの被疑者がこの事件を起こした背景、なぜこんなことを起こしたのだろうというところにアプローチしていくのがポイントになるのですが、この事件の前にも似たような事件があって、その時点できちんと(園側が)対応していたら7日の事件は起きなかったかもしれないと考えると、これは被疑者の背景ではなく、園がどんな職員管理をしていたのか、園が3日の問題を保護者にきちんと説明しなかったのはなぜなのかということが大事になります。このような筋立てをしっかりして、そこをしっかり取材することで、ある程度の壁(代理人弁護士の取材制限)は突破できるのではないかという気がします。

○参加者
取材の仕方の話になりますが、園の近くの公道で取材すれば、それは止められるだろうというのが私の個人的な感想でありまして、私がもし取材するのであれば、送迎バスの後ろをつけて、降ろしたところで保護者をつかまえる、もしくは迎えに来た保護者を尾行して、園から遠いところで取材をする。間違いなく私だったらそうするだろうというふうに考えています。
ですから、少なくとも園が管理できる管轄エリアの中で取材をしようとすれば、取材拒否の対応をするのは当たり前ですので、それを超える取材方法というのを確立していないと、きちんとした報道はできないのではないかと私は個人的にそう思っております。
あと、このような弁護士がコメントを出さないというような場合に関しては、例えば県警記者クラブの連名で正式に弁護士に記者会見をするように申し入れるとか、各個別の会社が対応しても多分聞いてもらえないと思うので、ふだんは競争相手ですが、こういうときには取材の自由ですから、連帯することも必要かと考えます。

○参加者
吉永副委員長からあった、何を取材するべきかというポイントに絞れて取材できたかという点で言うと、確かに取材記者にきちんと指示できていなかったのかなと振り返って思うところがあります。実は、代理人弁護士が最初の「囲み取材」に応じたとき、この保育士が担任をするクラスでは複数人がけがをしているという話が出ていました。だから、(別の容疑で)再逮捕されるだろうなという予感は各社ともにあったと思います。ただ、そこに迫るには周辺取材もしないといけないし、もちろん強めに警察の取材もしないといけなかったと思います。その結果、その代理人弁護士が取材制限はしつつも、そこそこの情報は出してくれるので、「この関係を絶たれると厳しい」という現場記者の心理が働いていた気がします。では、どうすべきだったのかというのは私自身も答えは出せていませんが、そういう背景もあったように思います。

○参加者
当時、被疑者を知る知人によると、本人の言い分としては「けがをさせてしまったことがある」という話が過去に出ていたり、最初の逮捕から2,3日後の代理人弁護士の話の中で、同じクラスでけが人がけっこう多いということがあったりしました。そういう点から、保護者会での説明に納得したかどうかも含めて、何かメディアに直接伝えたい保護者がいたのではないかというところがありました。当社としてもそういった複数の情報があるからには何かこの園で問題があるのかもしれないとみて、記者に対して、クラスで何が起きていたのかを何とか取材するよう動かしたのですが、代理人弁護士との関係だったり、そういうところで名刺をさらされたりがありつつ、一方で、当社が突っ走ると今度は他社に迷惑をかけることになりかねない。また代表取材に走り過ぎると、取材したいものはそれぞれ社ごとに違う部分もあると思うので、難しい。協力しないといけないところは協力しながら、あとはメディアスクラムを起こさないようにするというところで、日々けっこう悩みながらやっています。今回はメディアに対していろいろ言いたい人が保護者にいただろうなと考えると、そこをきちんとつかみ切れなかったのは反省点ですし、被疑者が再逮捕されたのは事件から2週間以上たってからの話なので、何かそこまでの間にメディアとしてもう少しできることがあったのではないかと思うところです。

○吉永副委員長
本当に難しい問題だなと、聞いていて思いました。もしかしたらこの事件は地域の特質などは関わりますか。例えばこれが大阪で起きたらみんなしゃべっているかもしれないなとか、東京で起きても、けっこうしゃべる人はいっぱいいます。やはり何となく何か言ってはまずいよねとか、ここで本当は話したいことがあるのだけれども、自分がメディアにしゃべるとあとで大変なことになるみたいな、そういう抑制というのはあるのでしょうか。

○参加者
今回事件が起きた鹿児島市内は比較的都市としては大きいところですが、これまで20年近く報道に携わってきた中では、鹿児島では自ら言う人はそんなにいないかなと思います。やはり都市としては小さいところではあるので、そんなに積極的にというのは感じたことはありません。大阪だったらばんばん言ってくれるのかもしれないですが。

○参加者
私が若い第一線の記者で鹿児島にいたのはもう20年ぐらい前なので、だいぶ時代が変わったところはありますが、私の印象で言うと鹿児島の人はそんなにしゃべらないということはないと思います。全国的にはもっと閉鎖的な地域は多くあって、鹿児島の人はそんなに県民性として取材に対してそもそも消極的な土地柄ではないと理解しています。
あと、弁護士さんからの取材しないでほしいという申し入れ書などは、(東京で)社会部の事件担当デスクをしていた経験では、いっぱい来ます。来てもあまり気にならないと言いますか、それでも必要な取材はする。取材を受けたくないという意思表示しているわけですが、その人に絶対触れないとか取材NGだという意識はなくて、必要があればするけれども、接触するときのやり方には、社会的な非難を受けないようなレベルにするという配慮はあります。逆に、(申し入れ書を送ってきた)弁護士さん(の連絡先)が分かるということは、取材のチャンネルがひとつできるということでもあるので、最近は(取材のやり方として)かなり一般化していることだと思います。

○池田委員
弁護士といってもあまり怖がらないでほしい、怖がる必要はないと思っています。内容証明郵便による通告書には正しいことも書いてあるでしょうが、ちょっとこれはおかしいと感じることも書いてあるでしょう。だから、そこは冷静に周りとも相談しながら、ふだんはライバル関係にあっても協力して、面と向かっていくことは必要だと思います。
おそらく社内に顧問弁護士はいて、実際に取材や報道で困ったことに対して相談に乗るところもあると東京では聞いています。ただ、顧問弁護士がいるけれども、実際は人事や労務などにしか関わっておらず、報道の実務について的確なアドバイスを受けられない状況もあるのかもしれません。
そこで、どこに相談したらいいかというときに、ちょっと話がそれてしまうかもしれませんが、たとえば報道のジャーナリストを守っていきたいという弁護士が関わる「報道実務家フォーラム」というNPO法人があります。その活動の中で法律相談会を設ける取り組みも行われています。そうした活動を通じて、日本に会社の垣根を越えて報道、ジャーナリストの皆さんが相談できる報道弁護団みたいなものを作りたいね、という話があります。まだ形にはなっていない状況ですが、そういうことを考えている弁護士もいて、皆さんと協働できる体制をつくっていけたらよいと考えています。

○榊原委員長
まとめると、今の話は弁護士さんも決して怖くないということと、常に情報を交換しておくのが大事だろうということです。立場は異なるわけですが、その点はとても重要なのかなと思いました。

【テーマ2】《主に学校内で子どものカメラ取材の状況と問題について》

別の代表社による映像を使った事例報告と問題提起がありました。それを受けて意見交換しました。

○代表社の事例報告と問題提起
事例を2点ご紹介します。1つ目が2021年5月31日に放送したニュース「梅雨の晴れ間の運動会 願い込めたバルーン」というバルーンリリースのニュースです。(映像上映①)

ちょうどコロナ禍で2回目の緊急事態宣言が明けて少しずつ学校生活が戻ってきているときに、この学校の保護者からコロナ退散を願うバルーンリリースをするから取材に来てくださいということでした。久しぶりに学校行事を取材できるからということで出かけたのですが、学校側からこの角度で撮ってくれ、この場面は撮ってくれるなとか、取材依頼があったにもかかわらず学校側と保護者とのコミュニケーションがあまり取れていなかったのか、苦労しました。これは時間も相当かけて取材してきたニュースです。
季節の話題として小学校の始業式、終業式、運動会、卒業式などを各社も取材していると思います。こうした場合、前日までに小学校へ取材のアポ入れをしますが、年々こうしたアポ入れに「取材拒否です」とか、許可の調整に時間がかかるケースがかなり増えています。こうした事例は鹿児島市などの人口が多い自治体の小学校に多い傾向があります。また、取材窓口である校長や教頭によって温度差があることも事実です。実際この小学校ではこの前年までの校長をよく知っていたものですから、何の障害もありませんでしたが、校長が代わったときからかなり厳しくなったということもありました。
また、取材の許可が下りた場合でも撮影できる児童が限定されるケースがあり、「この学級だけ撮ってください」「この児童は撮影しないで」という指示を受ける場合も多くなりました。撮影できない理由を教えてもらえるケースはまれで、小学校によっては年度初めに、取材が入った場合、子どもが映り込んでもいいのかというアンケートを取っているところがあります。実際に取材現場では「この子はだめ。この子はオーケー」というのがある状況です。一方、こうしたアンケートを取らない学校もあって、鹿児島市に1校あるのですが、この場合、学校側が個別の家庭の事情を把握していないという理由で、どんな行事でも取材は受けませんというシャットアウトになります。
問題を感じている点としては、(公立の)小学校という公共の施設内でどこまで学校側の要望に応えるべきなのか、そして家庭の事情というオブラートに包んだ理由にどこまで配慮すべきか、ということで、日々悩んでいます。学校行事ならまだしも、いじめといった学校側の過失が疑われるような重大な事案が発生した際にも、家庭の事情ですとか、これまでの事例を盾に校内での撮影を拒否することになりかねません。こうしたことが常態化することを非常に危惧しています。
一方で、小学校の運動会や始業式など、そういう映像だけを集めてアップロードしているネットのサイトがあると聞きました。たとえば離婚して子どもに会えない、行方が分からない保護者が子どもの所在をつかむ手段としてこうしたサイトを利用していることも聞いています。我々はネットニュースにも非常に力を入れているところではあるのですが、我々の意図しない使われ方をする世の中にもなっています。シェルターに(DV被害や虐待から)避難している親子もいる中で、小学校行事のニュースをどこまでサイトアップするかということも今後考えていかないといけないと思います。

2つ目の事例ですが、通学路に小動物の死骸が放置されたという事案がありました。これは去年(2023年)3月10日に放送したニュースで、「通学路に切断された小動物の死骸 学校や警察が見守りやパトロール強化し注意を呼びかけ」というニュースです。(映像上映②)

概要としては、去年3月、鹿児島市内の小学校の近くの通学路上に、頭と前足を切断された小動物が放置されるという事案が連続して発生しました。動物虐待の事件のあと、凶悪犯罪が発生するケースもよくあるので、学校や保護者らが事案発生の翌日から集団登校を実施したほか、警察も周辺のパトロールを強化しました。特定の児童に危害が及ぶおそれや、小学校自体に恨みを持つ犯行という可能性が排除できないため、当社は児童、保護者が特定されない撮影の対応を取りました。
小動物虐待の事案についても通学路上の児童の個人が特定できないよう撮影に配慮しつつ、背後からだけや頭部を除く撮影など、どこまで撮影してよいものかということを日々ケース・バイ・ケースで考えているところです。
東日本ではよく熊が出没というのが聞かれますが、鹿児島ではイノシシが頻繁に出没していて、当社はこのニュースにも力を入れていて、視聴者が撮った映像を頻繁に流して注意喚起しています。先日も夕方5時ぐらいに住宅地に出没したということで、当社も取り上げましたが、こうした場合も集団登下校をします。当社は登下校までは撮らなかったのですが、この場合は相手がイノシシなので、児童が特定されたところで問題ないだろうと考えますが、各社で考えは分かれるところでしょう。どういうところで線引きを考えているのかを意見交換できれば、と思いました。

○代表社による補足説明
最初の運動会(バルーン・リリース)ですが、以前であれば当社は何の問題もなく取材して放送したでしょうが、今では顔と名前がそろうと個人が特定されるという意見が必ず来ます。上映した映像では、子どもたちが(コロナ禍の対応で)マスクをしているので、今のルールでは例外的です。今では運動会に限らず始業式や卒業式という場面でも顔と名前がそろうと、取材のときには特に何も言わなかった保護者が、あとになって「やばいかも」と気付き、「あれ(子どもの映像)は使わないでください」と申し入れてきて、その映像を放送から落とすことは、しばしばあります。特に最近では、その辺の意識が高くなってきたからか、よく言ってくるのだろうと思います。
あと、教室の中で名前が映ったりすると、それにも敏感に反応する保護者もいます。細心の注意を払って撮影しても、教室なのでどなたかの名前が映りこんでしまいます。卒業式、終業式、始業式に行くと名前が映り込むことは当然あるので、放送前に充分気をつけていることがあります。

<意見交換>

○参加者
(映像で紹介された)小動物の死骸が置かれていた小学校に私の子どもが通っていました。この学校は学年の初めに親にアンケートします。学級通信に子どもの写真を載せていいか。次の段階がPTA新聞に載せていいか。そして報道機関の取材に映っていいか、それぞれに対して丸をつけてくださいというのが、来るようになりました。私は報道に関わる者なので、全部丸にしました。小学校の中にはDV被害などから避難している子どもたちもいるので、そこは一定の理解をするのですが、ネットに出てしまうと顔だけ切り取られて、いかがわしいものに差し替えられてしまうなど何に使われるか分からないという理由で、ネットも含めた全てのことを拒否する保護者が一定数います。そういう中でテレビのニュースを録画する人はあまりいないのですが、それをネットに転載する場合は非常にリスクがあるなと感じています。
紹介された小学校の場合、登下校中は名札を裏返しにつけるように指導がされていました。歩いている登校風景をアップで撮ると名札と込みで顔が一緒に撮られてしまうので、「裏返しにするように」というかなり厳しい対策を取っていました。そうなると、入学式の撮影は事前に(保護者の)承諾を取れませんので、今後できなくなる可能性があるなと思います。
その一方で、こちらが気をつけても保護者自身がスマホで(SNSに)アップするので、報道側が伏せていたことも、「テレビのニュースで放送されますよ」という情報が拡散して、知らなかった人まで見てしまうという状況が生まれているのも事実です。これは報道側だけの問題ではなくて、皆が情報発信者になり得る時代なので、規制するのが非常に難しいところだろうと考えています。

○沢井委員
これこそケース・バイ・ケースだと思いますが、春の入学式や運動会シーズンなどの季節ものというか、学校では今こんなに子どもたちが生き生きと過ごしている。ある程度、名前と顔が同定できてしまうことは避けるにしても、子どもの生き生きとした表情、季節の日常を表すということであれば、オーケーを出した保護者と子どもに関しては、出してもいいのではないかと私は思います。
もうひとつあって、なかには「ここは子どもの意見を聞きたい」という取材もあるのではないでしょうか。私が気になるのは、子どもの様子を全部保護者に聞いて、子どもの意見を聞かないという取材についてです。つまり、どっちが好きといって指さすことだったら2歳児でも見事に意見表明ができます。その子の発達に即した表現はできると思っているので、むしろそういうことを引き出して、何を考えているか、本当はどうしたいとか、保育園や幼稚園の先生とはどういうとき楽しかったか、どういうとき怖いと思ったのか、などを聞きたいのです。心理学者は実験で引き出そうとしますが、マスメディアにも、今の日本の子どもたちの考え方を引き出すチャンスがいっぱいあると思うので、それはぜひ引き出していただきたい。
国連の「子ども権利条約」には、子どもには意見を表明する権利があるという規定があります。これは極めて重要なことで、子どもには遊ぶ権利があるというのと同じように、表現する自由というのは赤ちゃんのときから保障されるべきなのです。全ての人の人権は子どもも含むわけですから、そういうものを引き出す、むしろ積極的に子どもの考え方を映像化していただきたいと思っています。

○飯田委員
匿名化社会についての現状認識として、マスメディアに対する視線が厳しくなっている状況はもちろんありますし、ネットへの拡散リスクもきちんと考えなければなりませんが、ただ、特に学校の取材ということに関しては、それだけを気にし過ぎると現状認識を誤ってしまう気がします。
また、いわゆるコンプライアンスが今の放送業界の足かせになっているという言い方があって、これも半分は正しいかもしれませんが、コンプライアンスが強化されているのは別に放送業界だけではなくて、企業文化全般そうなっているわけです。匿名化という状況が進んでいるのも、メディアへの対応だけではなくて、学校文化そのものがそうなっているという面が強いと思います。
というのも、私には小学生の息子と保育園に通う娘がいますが、親(保護者)同士の匿名性が極めて高いのです。小学校のPTAの役員をやっていますが、コロナ禍を経て、対面での役員会をほとんどやらなくなりました。ほぼLINEグループでのやり取りだけです。LINEは、皆さんもそうかもしれませんが、(必ずしも)本名でやりませんよね。辛うじて性別が分かる程度です。PTAは圧倒的に女性が多いのですが、(プロフィール欄では)下の名前しか分からず、顔写真も載っていないことがほとんどです。なかにはディズニーランドに行ったときの写真をアイコンにしている人もいます。「◯◯(=子どもの名前)の母です」と自己紹介する人もいますが、皆が積極的にそうするわけでもないので、特に自己紹介もないまま議題が進んでいきます。誰とコミュニケーションを取っているのかよく分からないけれども、いろいろな物事がこうして決まっていく。それで回るようになってしまっているんです。
だから、「なぜ取材がだめなのか理由がほとんどわからない」ということについて、もちろんリスクを感じたり拒否感を持ったりする人もいるのですが、(学校に関わる全体が)そういう匿名的な状況にあります。顔をさらさないのがデフォルト、当たり前すぎて考えたこともない。(取材依頼に対して)学校がどう回答するかはともかく、保護者の側がそうなりつつあるという状況を、まず押さえておく必要があるだろうと思います。取材可否のアンケートはわが子の小学校や保育園もありますが、それ(匿名的な状況)にあまり違和感を持っていない保護者は、当たり前にバツをつけるでしょう。
これは学校文化だけではなくて、社会全体に広がりつつあります。たとえば古い本を読むと、奥付の著者紹介欄に自宅の住所まで明記されていることがあります。そこまで個人情報をさらすことに抵抗がなかった時代もありましたが、今は子どもたちにとっては、例えばAdoさん(女性シンガー)みたいな覆面アーティストをはじめとして、名前も顔もさらさなくても有名になれる、社会的に成功できることが当たり前になっています。「匿名」と「実名」の間に「顕名」という言い方がありますが、これは実名をさらさなくても、ある程度の有名性を獲得している状況です。それで社会が回っているし、社会的に成功できるという状況からすれば、顔と名前が明かされることの社会的な意味が大きく変わっていることを、あらかじめ踏まえておかないといけないという気がします。
そういう前提を踏まえて考えると、さっき1本目に見せていただいた映像の中で、運動会に(参加する子どもたちの胸のゼッケンに)フルネームで名前が入っていたことです。あれは仮縫いしているように見えたので、運動会のときだけつけていたのかもしれませんが、今はほとんどやらないと思います。カメラ取材が来るとなれば、なおさら映り込みなどを気にしますし、一般的に名札は防犯上ふだんからつけなくなってきていますので、こういうのは過渡的な状況であって、おそらく無くなっていくのだろうという気がします。

○参加者
私は6月に(東京から鹿児島に)赴任したばかりで、地元の取材にはちょっと疎い面がまだありますが、この間に感じているのはさまざまなコミュニティが狭い分、いろいろなところに気を使いながらの取材が多いのかなということです。
先ほどの最初の映像を見て私も、飯田委員と同じ感想を持ちました。名札がそのまま映っているのに驚きました。以前、映像編集を管轄する部署を担当していた経験では、あのような場合、映像全てに(部分的な)モザイク処理をしていました。今はそれが標準だと思います。(SNSなどを介して)どんどんネットにさらされるリスクが高まっていますし、今ではAIもあって、顔と名前が映像として出てしまうと、それらが全部蓄積されていくリスクもあります。状況はますます厳しくなっているという認識です。
子どもの取材に関しては、学校行事を取材する場合と、事件・事故を取材する場合とではある程度、異なるところがあるだろうと思います。というのは、行事の場合は大体前日までに「取材しますよ」と伝えることができるので、学校側でも予防措置といいますか、名札を裏返しにするとか、家庭の事情で映り込みたくない子どもは映らない位置にいてもらうとか、そういうリスクを抑える対応ができるでしょう。あらかじめ保護者に伝えておくことだって可能です。報道側と学校側とのコミュニケーションも必要ですが、そういう措置をした上で取材しないと、撮り終えてしまったあとになって「使わないでくれ」と言われるのが、最も困るところです。だから、そういうリスクを抑える対応の段取りをつけて取材できるのが学校行事だと思います。
事件・事故に関しては次の議題になるようですが、現場では先行して取材しなければなりません。とはいえ、子どもに対する取材では、どちらにも共通しているのは保護者だったり、教員だったりの許諾が必要だという認識でやっています。

○榊原委員長
大雨が降ったときなどの災害の取材で、子どもがそこにいる場合もあると思いますが、取材ができるときに記者の側で何か工夫している、あるいは苦労していることはありますか。

○参加者
鹿児島の場合、台風や水害が多いところです。特に今年(2024年)の夏は特別警報が初めて出た台風10号が来ましたが、そのときに事前に避難所に避難する人が多くなり、その状況を取材できるかどうかについて避難所によって対応が異なるケースがありました。子どもがいるかどうかは関係なかったのですが、そもそも自宅に居られなくなって避難してきた人たちを撮影するのか、という感じの状況が生じてきました。そうした状況で子どもにインタビューするのは、かなり厳しいと考えています。

○吉永副委員長
テレビがすごいなと思うのは映像の力ですね。たとえば小学校に入学する、もしかすると、その学校は前年に大きな風水害に遭っていたかもしれない。でも、入学式ですごく楽しそうにランドセルを背負って学校に行く子どもの表情を見たら、活字だと(原稿用紙で)100枚必要なものが、この一瞬の子どもの笑顔で何かが伝わってくる。映像の力はすごいと思います。しかし最近は、その子どもの顔をモザイク処理したり、顔にお面みたいなものをかぶせたりして報道しています。これはテレビが自らの力を自分の手で縛っているような感じがして、とてもとても残念なのです。
今は世の中が変わってきて、子どもの映像をネットなどで悪用する人もいるでしょう。でも、一人でもそういうやつがいたら配慮しなければならないのだとやっていくと、子どもの映像はほとんど何かをかぶせなければならなくなってしまいます。それはテレビメディアとしてどうなのでしょうか。どうしたら映像できちんと伝えることができるのか。せっかく子どもの顔を撮っても、全部モザイク処理したら、テレビが全部モザイクだらけになったら壊れたのかと思ってしまうでしょう。それはもうテレビではなくなってしまうではありませんか。そういうのを見ていると、時々このままでいいのか、テレビは本当にこのまま、子どもを守るという姿勢でこれをやり続けていくのか、ではどうしたらいいのか、という根本的な問題をきちんと考えていかなければならない時期なのかなと思います。やはり報じたいですよね、そういう子どもたちの喜びを。報じられなくなることに対する「しようがないよね、世の中がこうだから」というのではなく、テレビとしてもっと生きる道というのを真剣に考えないといけないと思います。
そのほか、事件や事故、災害時に子どもが重要な目撃者である場合ですね。(現場の記者が)「子どもからは聞けないのか」と考えてしまう。でも、子どもであっても自分の見たことを言葉にすることによって、自分の気持ちが客観性を帯びてきたり、立ち直るきっかけになったりすることもあり得ますよね。見てしまったことを伝えたいという思いもあるでしょう。その際に、子どもを取り巻く社会が以前とは大きく変わってきているので、ここには難しい配慮が要ると思います。
北海道でものすごい地震のときに地滑りがあって、家族全員が生き埋めになっている状況で、ひとりの男の子だけが助かったのです。その子にインタビューした映像を見ると、すごく明るくしゃべるのです。ハイテンションでね。それは分かるよね。突然襲いかかってきたことを子どもの目で受け止めきれないからハイテンションになってしまうのです。でも、それをテレビで見た人は「この子、(被災者なのに)明るいね」という印象を持ってしまうわけです。この映像が将来もずっと残っていく、あるいは学校で「みんなが生き埋めになっているのに、おまえは何なんだよ」という形でいじめられるのではないかと不安になりました。
この映像について考えたとき、災害現場では相手が子どもだから取材できないのではなく、子どもであっても報じなければならないし、聞かなければならないことがきっとあると思います。そのときにどれだけ子どもの側に立って、これを報じることで、どうすればこの子どもが傷つかないようにできるかという想像力が、相手が大人以上に必要になるだろうと思います。
こういうことは、ふだんから考えていないとだめですよね。現場にいきなり行ってしまうと、心ない質問をしてしまうことになる。その場合どうしたらいいのかと皆で考えていかないと、テレビの力というものが、どんどんなくなってしまうのではないかと心配になりました。ぜひ皆さんと一緒に考えて、局内で考えるだけでなくて、テレビメディアとして共通の大きな課題として考えていってほしいと思います。

【テーマ3】《フリートーク》

参加者に、日常の取材や番組制作を通じて関心を持っているテーマについて、自由に問題提起してもらいました。最初にラジオ局の参加者から「性的少数者の子どもに対するインタビューについて」発言がありました。

▼LGBTQなど性的少数者の子どもに対するインタビューについて

○ラジオ局の参加者による問題提起
当社は報道部門もなければ映像もない(ラジオの)世界なので、(テレビ局の)皆さんのご苦労を「そういうことがあるのだな」と思いながら聞いていました。
さて、LGBTQ(性的少数者)の当事者の大人にインタビューしますと、子どもの頃にメディアで取り上げられているのを見て、これ(自分の性的指向や性自認)は人(他者)に言ってはいけない、隠さなければならないと思った、という経験談が大体出てきます。時代が大きく変わって、表現も変わってきた中で、直接的なマイナスのメッセージはなくなってきたという雰囲気は感じつつも、言葉の端々、表現の端々で否定的なところにつながる、従来の価値観で表現してしまっているところがまだあります。これにはどのように配慮すべきなのかが、すごく難しいと思っています。
我々も番組制作で、実際に幼稚園や保育園などに取材に行くことがあります。学校の場合もあります。そうしたときたとえば、今ではジェンダーレスという視点から(男女とも)スラックスの制服が出てくることがあって、そうした点に「あまり触れないように」というのはおかしいですし、だからといって「では、どのように取り上げるか」という指針のようなものを持ち合わせていないので、スルーせざるを得ないことがあります。
あとは、質問の最初に「男の子か女の子か」というのを大体聞いてしまうことでいいのか、どのように聞くべきなのか、その触れ方はどのようにするべきなのかというところが、日常の番組制作でちょっと悩ましいと感じています。

<意見交換>

○吉永副委員長
LGBTQの問題は社会がどのように受け止めているのかと関係していて、表向きは皆、頭で理解しているものの、「でも、同じアパートの隣に住むのは嫌だ」などと本音と建前の部分が非常に入り組んでしまっていて分かりにくいなと思います。

○参加者
ケース・バイ・ケースだと思いますが、私の経験で言うと、2020年ごろ佐賀にいたとき、高校の制服を女子生徒も、さきほどの話にあったスラックスが履けるようにする動きが県内で初めてあって、その関連でインタビュー取材をしました。その相手は生まれたときの性は男性ですが、メンタル的には女性であり、中学生、高校生のときに学ランを着るのがすごく嫌だったという話をしてくれました。その女性の取材をするときに、はじめは「家の周りの人はもう皆、私のことを知っているので、近所の公園でいいですよ」と申し出があったのですが、取材の記者には「ちょっと待てよ」と伝えました。家の近所では確かにそれで通っているのかもしれませんが、テレビに出れば不特定多数の人が見るので、それは待てよという話です。それで、あえて局舎近くの公園に来てもらって、そこでインタビューしました。
女性はまた「私はYouTubeでは顔を出しているので、(放送で顔が出ても)全然いいですよ」と話していました。しかし、こちらもYouTubeは彼女のことを知っている人、見たい人だけが見る世界なので問題ないでしょうが、テレビに出るのはちょっと違うことなので、後ろ姿を撮影して顔が映らないように配慮して放送しました。音声を加工して変えることはしなかったはずです。
その放送をした数日後に佐賀市内でLGBTQの人たちが参加するイベントがあって、その様子を地元の新聞社が取材して写真つきの記事が紙面に出ました。そこには女性の顔もあって、YouTubeで名乗っている名前もありました。その後にトラブルがあったという話を聞かないので、テレビの側の私があまりに意識し過ぎたのかなと思わないでもなかったです。何が正解だったか分かりません。たぶんこの4、5年ぐらいのところで、LGBTQの人も含め、だいぶ意識が変わってきているのだなと思い、こちらの意識があまりついていけてないのだろうという気がしました。

○榊原委員長
ジェンダーなどが社会的に開かれている方向に行っているときには、それを促していく働きもテレビやラジオにはあるだろうと思っています。ただ、相手が大人でも非常に難しい。今お話しされたように、あまり出しすぎてしまうと後のことが心配になり、では逆に隠せばいいのかという話になりますね。とても難しい問題だと思います。
メディアの役割はどうしても後ろ向きになりがちですが、メディアというのはたくさんの人が見ていて、「中高生モニター報告」を読んでいるとそれを感じます。テレビやラジオに対して皆、真剣に見聞きしていますからね。

○飯田委員
「中高生モニター報告」の話がありましたので説明しますと、青少年委員会に対して毎月、中学生と高校生の計30人のモニターが、(毎月の)テーマに当てはまる番組の感想をリポート形式で送ってくれます。それをもとに委員会で議論するのですが、自由記述欄もあって、ふだんテレビを見て、あるいはラジオを聞いていて気付いたことを自由に書いてくれます。
それを読むと、今の中高生はジェンダーに関する意識が本当に高まっていることがわかります。先ほど議論になった「匿名化」が社会全体の変化であるのと同じように、学校教育の中でも特にSDGs教育の一環で、ジェンダーフリーの話が盛り込まれていて、「性は二項対立ではない」ということが小中学校で常識になっています。モニターのコメントを読むと、とくに高校生は、テレビにおける性の表現が遅れていることに関して、かなり厳しい目を持っている子どもが多いなという印象を持っています。たとえば、男性チーム/女性チームに分かれたり、「男性が青」で「女性が赤」だったりすると、「テレビはちょっと遅れていると思いました」となります。
また、男性は「君」女性は「さん」という呼び方も、学校の教員はもうしませんので、テレビでは男性アイドルに対して「君づけ」することに対して違和感を持つ若い人もいて、(必ずしも)批判ではありませんが、引っかかりを感じているようです。中高生はそのあたりの意識が急速に変わってきていると思います。
LGBTQの人たち、とくにトランスジェンダーを取材対象として取り上げるときだけ、意識を一瞬だけ高めるのではなく、ふだんの取材活動や番組制作で(こうした変化に)どう対応していくのかを日常的に考え、じわじわ浸透させていくことが、長い目で見れば意識の変化につながってくるかと思います。社会全体の変化に対する認識をしっかり持っていく必要性は、大学でも常に議論している話ではありますが、同じことが放送も求められると思っています。

▼逮捕された被疑者(容疑者)の顔写真を報じることについて

○代表社の参加者
私はまだ記者3年目ですが、きょうはいろいろと話があって参考になりました。最初に議論した認定こども園の問題については、私も取材をずっとしていて、今も継続しています。取材していて思うのが、報道の仕方が最初の段階ですごくスキャンダラス化してしまったな、ということです。現場には、在京キー局の取材クルーが来るし、私たちも一気に取材をかけるし、メディアスクラムにならないようにしても、現場周辺、園の周辺には、メディアがすごく集まってくる。そこに子どもを通わせている保護者や園の代理人弁護士らを刺激してしまった。どちらかといえば被疑者側のプライバシーに配慮というか、慎重にやっておけば、もう少し尊重し合って取材できたかなと個人的には思います。
さてこれは、(ニュース報道の)根本的な話かと思いますので、BPOの委員の皆さんにお聞きします。被疑者(容疑者)が警察署から検察庁に送られるときの映像や、この被疑者の顔写真がよくメディアに出てくるのですが、そういう顔というのは見たくなるものなのでしょうか。

○榊原委員長
私は小児科医ですので、子どもの発達や保育にも関わっています。先日、モニターになった数人の保育士さんからヒアリングしました。保育士の現場で皆が今いちばん気にして悩んでいるのは、まさにこの事件なのです。「私たちの保育に関して、ああいう(保育士が園児を傷つけるという)ことが保育の現場にあること、それが今いちばん頭が痛い」と話してくれました。この事件の影響に、とても波及性があったようです。
だから、今ネットに押されていると言われながらも、テレビやラジオはとても大きな影響を与えるのだと思います。
(被疑者の顔を)見たくなるかどうかは、一般的に見たくなるものでしょうかね。どうですか。

○吉永副委員長
見たい人はいるのではないですか。ただ、今は皆(見たくなったときに)ネット検索をかけると思います。テレビメディアは(被疑者が)送検されるときに、その映像を撮らなければいけないとの思い込みがあるのか、ニュースでは必ず放送されますね。送検したという事実は、あの映像がなくても伝わります。これ(被疑者の映像)で何を報じようとするのかということだと思います。
一方、テレビを見ている側は、これを放送する意味があるのかと思ってしまいます。これが必要かといったら、見たい人はいるのでしょうが、今まで当たり前のようにやってきたことが、ただ当たり前のように続いているだけなのかとも思えます。
ネット検索すると、(被疑者の)学生時代の写真などが出回っている。この人が更生しようとするときに、そのことがものすごくネックになって、更生できない場合もあるでしょう。私は今、社会復帰する人を支援する仕事もしているので、メディアなりネットなりにさらされてしまうと本人は罪を償ってきたつもりですが、「もう一回何かの犯罪に手を染めて(刑務所の)中に入るか、あとは自分で死ぬしかない」という言葉を聞きます。ものすごく重く感じますね。

○沢井委員
被疑者が護送車で送られるときに、(テレビのカメラマンが)特殊なカメラを使っているのか、暗くてもよく映るので、私もときどき、思わず見入ってしまうことがあります。それは、表情なのです。こういう事件を起こす人はどんな人かという心理的な好奇心があります。
「ああ、やはりそういう人がいるのか」というところを見たいのかなと思います。どんな顔というより、どんな表情で、表情からその人の心中が察せられるのではないかという知的好奇心も当然あるでしょう。ただ、その後の更生などを考えると、被疑者の人権をどう守るかという点ではちょっと微妙ですね。そこまで追いかけ回さなくてもいいのかもしれませんが、でも見入ってしまうことはあるでしょう。それをケース・バイ・ケース(で対応)とするのは難しいですね。その点で私は、取材の塩梅というのが分かりませんので。

○飯田委員
インターネットでは今、「私人逮捕系YouTuber(ユーチューバー)」と呼ばれる人たちが人気を集めています。「メディアが報じないなら自分たちで突っ込んで、(悪いことをしたとされる人物の)顔をさらして皆に見せてやる」といったスタンスで、多くの支持を得ています。チャンネル登録者数も増えている状況から、一定のニーズや欲望があるのは間違いありません。「ネットには出ているのにテレビで報じない」ことに対する批判もよく耳にしますが、今は過渡的な状況かもしれず、今後、そういう欲望を満たすのはネット(の傾向)であって、放送はそれとは違う役割を果たせばよい、と切り分けられる時代が来るといいなと個人的には思います。放送に携わっている皆さんが(ネットを意識することなく)そういう方向に向かっていけばよくなる可能性が、これから十分あるのではないかと考えています。

○池田委員
すばらしい質問だと思います。報道に当たって何を伝えることが重要なのか、どこに報道の意義があるのか、常にそれを基本に戻って考えるということが「基本の基」で大事なことだと考えています。
逮捕は公権力の行使で、それを監視すべきという意味では報道の最たる役割だと思います。とくに被疑者の関係では、こういう被疑事実をもって逮捕に至ったということを歴史的に記録する意味もあります。ワイドショー的な興味関心とは離れて、報道の立場として事案の軽重も考慮したうえで、被疑者の映像を使うことはありだと思います。
一方、申し上げるまでもなく、被疑者・被告人の人権も大変大切です。たとえば逮捕に関わる時点で映像を1回だけ放送するとか、ネットのニュースサイトでは一定の配慮を施すなどの対応はできるのではないでしょうか。

○榊原委員長
時間となりました。本日は長い時間にわたってさまざまなご意見をいただきまして、本当にありがとうございました。

事後アンケート 概要

意見交換会終了後、参加者全員にアンケートの協力を依頼し、9割以上に当たる19人から回答を得ました。その概要を紹介します。

  • ▼(テーマ1)「認定こども園・殺人未遂事件で園側に取材制限された問題」の意見交換について

    • 池田委員の明晰な論点整理が大変参考になりました。マスコミに対する信頼度が懸念されている中、根本的な認識を持った上で、取材相手とも交渉、信頼を得ていかなくてはならないと思いました。池田委員のおっしゃった「社会全体で共有すべき事象は取材すべき」ということを基本にすると共に、子どもを含む取材対象への配慮も考えていけば、よりよい報道に結びつくのではないかと感じました。放送に関わる全ての人が心得ておく必要を感じました。
    • 池田委員が、報道の意義・使命として必要な情報を提供する責務を負っているのだと強調し、代理人弁護士の取材制限をやりすぎだと指摘してくれたことがありがたかった。具体的に対応すべきだったこととして、共同してインタビューを求めるなど、各社団結しての対応も必要だったと指摘してくれた。(意見交換会のあとに地元の)新聞も含めた各社の報道責任者会議が開催されたので、その場でも日頃の取材活動に関して定期的に意見交換をしていこうということになった。さっそく今回の意見交換会の成果が出たと思う。
    • 公的な補助金を受ける施設のため、園側に運営・勤務体制の状況や事件の説明責任を求め報じることは「公共の利益」に繋がる。池田委員から発言があった通り、取材制限されたとはいえ、「各社と協力して園側(弁護士)に記者会見を申し入れる」などやり方はあったのかなと感じた。また、吉永副委員長から「事前に筋道を立てて取材をしているか?」と指摘があったように、何のために取材をするのか、目的を明確にして取材にあたることが大事だと改めて感じた。
    • こども園の代理人弁護士により保護者への取材制限が敷かれており、現場の生の声に触れられずもどかしい思いをしましたが、委員の「報道される側の利益のために報道したりしなかったりを決めるのではなく、社会で共有すべき情報であればたとえ当事者が嫌がろうとしっかり報道すべき」との意見に報道の基本を思い出させていただきました。
  • ▼ (テーマ2)「主に学校内で子どものカメラ取材の状況と問題」の意見交換について

    • 今に始まった問題ではないが、学校での取材の厳しさは年々増している。これについては実は「地域差」のようなものはあまりなく、全国的に同じように厳しくなっているようにも思う。もっと時間をかけて議論することもできる非常に良いテーマだった。
    • 名札の件など配慮すべきものは配慮する一方、配慮しすぎて「顔の見えないニュース」にならないよう教育現場等としっかりとコミュニケーションをとっていく必要性を感じました。視聴者に元気を与えられる子どもたちの笑顔はしっかり届けたいです。
    • プライバシーの問題が深刻化する中、取材時に子どもたちを守ることは大変重要なことだと思います。一方で吉永委員もおっしゃったように、「震災後の入学式だからこそ子どもたちの笑顔を報じたい」という思いも大変共感できます。テレビで話すことが、子どもにとってプラスに働くケースも十分にあると思います。取材対象者に真摯に向き合い、想像力を働かせることの大切さを改めて感じました。
    • 飯田委員の分析、解説に納得する思いでした。このテーマも、今の社会環境をきちんと認識して取材・報道にあたるべき、というご指摘をいただいたと受け止めています。一方、吉永委員の「どうしたら映像で伝えられるのか、根本的に考えていかないと。テレビとして生きる道を真剣に考えないと」というご意見は、とかく後ろ向きになりがちな今のメディア情勢の中で、「報道を担う者たちよ、ちゃんと考えて努力しているか?」と叱咤激励をいただいた思いです。
  • ▼ (テーマ3)「フリートーク(LGBTQなどの子どもの取り上げ方など)」の意見交換について

    • 私も含めて、各社で扱いの難しさを感じながら対応していることが伝わった。これまでの常識を疑い、世界的な動きや特に若い世代の意見や感じ方を学んでいくべきだと思う。自分の見方や感じ方を客観的に評価して、判断していく姿勢が求められているのかなと改めて感じた。
    • この問題についても顔出し、実名・匿名など取材対象者とのコミュニケーションが大切だと感じました。まだまだこの分野について経験が乏しいので、系列間の研修などを通じてさまざまな考え方、視点を学んでいきたいです。
    • ジェンダーに対する意識が中高生で高まっていて、テレビでの性の意識が低いと感じられているという、飯田委員の指摘にはハッとさせられた。男性は青で「君」、女性は赤で「さん」という、我々世代の体に染み込んでしまった意識がすでに古い感覚なのだと。若者のテレビ離れの要因はこういうところにもあるのかもしれない。ニュースづくりではベテランの意見や、ものの見方が通りがちだが、若い人の意見もしっかり汲みながら作り上げていかなければならないと痛感した。
    • 「顔写真をみたいか」という私の質問に、委員の皆さまがそれぞれの視点で丁寧にご回答いただいた。とても参考になった。視聴者の興味関心に応えるという使命と、人権への配慮とのせめぎ合いで、やはり事案ごとに判断していくべき問題なのだと理解した。
  • ▼ そのほかのご意見・ご感想、BPOや青少年委員会へのご要望など

    • BPOと聞くと、近寄りがたい、厳しい指摘をする団体というイメージだったが、より良い放送へのアドバイスを一緒になって考える、というスタンスをそれぞれの委員から感じた。さまざまなことを気軽に相談できるような団体であればありがたい。
    • 全体を通して委員の皆さまから「国民の知る権利」に応えるため、さまざまな障害や規制に負けずしっかり取材してください」とエールをいただいたように受け止めました。今回の意見交換会で学んだことを今後の報道活動に生かしてまいります。
    • メインの会議も良かったですが、懇親会もいろんな意見、現状が分かりましたので良い時間となりました。
    • 報道現場の人たちが集まる機会は貴重なので今後も続けて欲しい。参加者の意見を聞いたり、自分の意見についての他人の見方を聞いたりする時間がもっとあれば良いと思うので、テーマを1つに絞って、掘り下げる形でも良いのではと思いました。

以上

2025年2月に視聴者から寄せられた意見

2025年2月に視聴者から寄せられた意見

道路陥没事故のヘリ中継や現場取材のあり方に対して意見が寄せられました。

2025年2月にBPOに寄せられた意見の総数は、1,624件で、先月から816件減少しました。
意見のアクセス方法は、ウェブ 83.8% 電話 15.0% 郵便・FAX 1.2%
男女別は、男性 48.0% 女性 27.3% 無回答 24.4%で、世代別では10代 0.6% 20代 8.6% 30代 19.6% 40代 22.4% 50代 20.1% 60代 11.9% 70歳以上3.9%
視聴者意見のうち、個別の番組や放送局に対するものは当該局へ個別に送付します。2月の個別送付先は31局で、意見数は292件でした。放送全般に対する意見は166件で、その中から11件を選び会員社すべてに送りました。

意見概要

番組に関する意見

埼玉県で道路が陥没してトラックが巻き込まれた事故の報道に対して意見が寄せられました。
ラジオに関する意見は69件、CMについては16件でした。

青少年に関する意見

2025年2月中に青少年委員会に寄せられた意見は61件で、前月から30件減少しました。
今月は「表現・演出」が26件と最も多く、次いで「報道・情報」が17件で、以下「要望・提言」の12件などが続きました。

意見抜粋

番組に関する意見

  • 埼玉県の道路陥没現場から連日中継があったが、画面を見ていて心配になったことがある。多数のヘリによる騒音が現場の救助活動の妨げになっているのではないか。中継車や取材車両が周辺に集中して地域の交通環境を悪化させているのではないか。現場取材のあり方を考える機会にしていただきたいと思った。

  • 大雪や浸水など災害の時や事件関係者の取材などの際に、ひとり暮らしの高齢者をインタビューする場面をよく見るが、ひとり暮らしの高齢者という情報を悪用しようとする者たちも居るので、映像や個人情報などの扱いに細心の注意を払ってほしい。

  • 引退を表明したタレントとテレビ局の対応をめぐる報道のなかで、週刊誌の”サイレント修正”が話題となっているが、週刊誌記事を前提にしてスタジオトークを展開していた番組は責任を問われないのだろうか。情報の取り扱いや報道姿勢についてすべての放送局が自らを省みるきっかけとしてほしい。

  • シーズンインが近づきまた二刀流メジャーリーガーの話題を伝える時間が増えている。各社の制作現場に対して「この話題は取り上げなければならない」というような圧力がかけられているのではないかと心配になるくらいだ。もう少し他の話題とのバランスをとった方がよいと思う。

  • 自社番組の宣伝に力を入れることは理解できるが、ドラマなどの番組中に画面を切り取って異なる番組の宣伝を入れるのをやめてほしい。いま見ている番組を楽しんでいる視聴者を軽視しているように感じてしまう。

  • ドラマの中で管理栄養士が栄養指導をしている患者のがんを見逃したとして叱責される場面があったがおかしいと思う。管理栄養士の業務と責任について誤解を招きかねない表現だと感じた。

  • 一部アニメ番組の性的な描写が過激ではないかと感じる。身体の一部を白い光のようなもので隠すなどしているが「注意を払っています」というポーズでしかないと思う。いっそう過激な描写が含まれているだろう有料配信やDVDなどへの興味をかき立てるための演出ではないかなど勘ぐりたくなってしまう。

  • たとえば出演した映画や番組の紹介の時やイベントに参加した時の映像など、著名人の氏名をテロップ表示する際にカッコ何歳と年齢を表示しているが、年齢は必ずしも出さなくてもよいのではないか。

  • ネットには人もコンテンツも新しいものがどんどん出てくるのにテレビのバラエティーは代り映えしないと感じる。アイデアを公募したり若い作家を発掘したり、テレビから新しいジャンルのコンテンツを生み出そうという意気込みが欲しい。

青少年に関する意見

【「表現・演出」に関する意見】

  • 世界の動画を紹介するバラエティー番組。中国で父親が牛乳のパックを歯で開けようとして失敗し、脇にいた幼い娘の顔に牛乳を浴びせてしまう。その際、娘のズボンの股のところが開いていて、下着をつけていないように見えた。放送して大丈夫だろうか。

  • バラエティー番組で、冬のスキー場に男性芸人を集めて水着姿で座らせ、司会者からの出題に回答させていた。いじめかと思える状況で、非常に不愉快な思いをした。

  • 特撮ドラマのヒーローのひとりが老夫婦に噓をついて、お宝の壺をだまし取るシーンがあった。最後に壺は返却されたが、若年者が詐欺という犯罪を軽く考えてしまう悪影響が懸念される。

【「報道・情報」に関する意見】

  • 道路の陥没に巻き込まれたトラックが事故に遭う瞬間の視聴者提供映像が放送された。運転手の安否はまだ不明で、家族らがこの映像を目にしたらどれほどの衝撃を受けるだろうかと心を痛めている。

  • 情報番組で、コメの価格高騰に関するニュースの関連として、男性アナウンサーが「息子たちが苦手な魚料理や野菜料理にするとごはんが進まないことを発見した」と紹介。おなかいっぱい食べさせるのが親の務めなのに、これは虐待を想起させるものではないだろうか。

【「要望・提言」】

  • 特撮のヒーロー番組なのに、他人の食べ物を奪ったり、駄菓子屋で無銭飲食したり、挙げ句はお年寄りに暴力をふるうシーンがあった。子どもへの悪影響があるので、こうしたキャラクターは出さないでほしい。もっと明るく陽気なキャラクターがいい。

【「性的表現」に関する意見】

  • 女子中高生の胸や肌、下着の露出を売りにする性的な描写のあるアニメが、深夜に放送されている。放送局には放送倫理等の基準を守る社会的責任があるのだから、深夜アニメの表現をきちんと自主規制してほしい。

【「危険行為」に関する意見】

  • バラエティー番組で、インドの達人がカバーを外した扇風機の回転する羽を自分の舌で止める技を披露した。子どもが模倣すると危険なので放送すべきではなかった。

第276回

第276回-2025年2月25日

視聴者からの意見について…など

2025年2月25日、第276回青少年委員会を千代田放送会館BPO第一会議室で開催し、榊原洋一委員長をはじめ7人の委員が出席しました。吉永みち子副委員長は欠席でした。
会議の冒頭、バラエティー番組の「水を張った洗面台に顔面を押し付けるドッキリ企画」などについての「討論」が、すでに意見が出尽くしたとして終了しました。
引き続いて、1月後半から2月前半までの1カ月の間に寄せられた視聴者意見について、担当の委員から報告がありました。
2月の中高生モニター報告のテーマは「指定するドキュメンタリー番組を見た感想」でした。
委員会ではこれらの視聴者意見や中高生モニター報告について議論しました。
最後に今後の予定について確認しました。

議事の詳細

日時
2025年2月25日(火)午後4時00分~午後6時00分
放送倫理・番組向上機構BPO第一会議室(千代田放送会館7階)
議題
「水を張った洗面台に顔面を押し付けるドッキリ企画」などについての「討論」
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
今後の予定について
出席者
吉永副委員長、飯田豊委員、池田雅子委員、佐々木輝美委員
沢井佳子委員、髙橋聡美委員、山縣文治委員

「水を張った洗面台に顔面を押し付けるドッキリ企画」などについての「討論」

2024年11月の委員会から継続している、バラエティー番組での「水を張った洗面台に顔面を押し付けるドッキリ企画」などについての「討論」は、会議の冒頭ですでに委員の意見が出尽くし、委員会として番組制作者らを招いて勉強会などを開催する方向性が出せたとして、榊原委員長が「討論の終了」を宣言しました。これに委員からの異論はありませんでした。

視聴者からの意見について

1月後半から2月前半までの1カ月の間に寄せられた視聴者意見について担当の委員から報告がありました。
平日昼の情報番組で、コメの価格高騰に関連する話題として男性アナウンサーが家庭でのコメ節約術で3人の息子の夕食のおかずにごはんがあまり進まない魚料理や野菜料理を多くしていると紹介したところ、視聴者から「おなかいっぱい食べさせるのが親の務めなのに、これでは子どもへの虐待を思わせる」などの批判的な意見がありました。担当委員は「委員会では議論にならないだろう」として深刻な問題ではないという見方を示しました。
また先月に引き続いて、江戸時代の性風俗を描いた連続ドラマに、視聴者の批判的な意見が相次いでいることについても、担当委員は「前回(1月)の議論に特段付け加えるところはない」としました。
ある委員は「午後8時からの放送なので、子どもも一緒に見ているだろう。ああいう(当時の性風俗)内容なので、小学生の子どもに説明しきれないという思いはある。当時の時代状況に迫ったドラマであっても、放送時間の『ゾーニング』という視点を少し考えなければならないのではないか」と指摘しました。
一方、別の委員は「当時の遊女の存在や地位を社会がどう見ていたか、その時代のとらえ方も踏まえて視聴すべきであって、現在の社会の感覚でとらえてはいけないと思う」と述べました。
このほかに大きな議論になる番組はなく、新たに「討論」に進むものはありませんでした。

中高生モニター報告について

2月のテーマは「指定するドキュメンタリー番組を見た感想」で、課題とした番組は2024年日本民間放送連盟賞 番組部門[テレビ教養]最優秀『#つなぐひと ~わたし、義肢装具士になりました~』(ワールド・ハイビジョン・チャンネル/BS12 トゥエルビ)です。
人口400人の島根県太田市大森町にある会社で働く30歳の今岡良葵さんを主人公に、義肢装具士を目指した経緯やものづくりへの思い、先輩である大森浩己さんの指導の様子や同僚とのやりとり、また今岡さんが患者と丁寧にコミュニケーションをとりながら義足をつくりあげていく姿などを描いています。
26人のモニターから報告があり、職業についての感想のほか、人物を描いた部分に関する感想、また取材や演出に関する要望も寄せられています。
「青少年へのおすすめ番組」では『がっちりマンデー!!』(TBSテレビ)に6人から、『実証科学バラエティー 百聞はジッケンに如(し)かず』(NHK総合)に3人から、『THE世代感 懐かし映像を若者に見せて驚いた事SP』(テレビ朝日)と『ミライ☆モンスター』(フジテレビ)、『昭和vs令和 世代を超えて愛される最強ヒット曲』(テレビ東京)にそれぞれ2人から報告がありました。

◆モニター報告より◆

【指定するドキュメンタリー番組を見た感想】

《職業についての感想》

  • 義足や義手をつくるために細かな箇所まで調整していて、ミリ単位の繊細な仕事を手作業でしたことが意外でした。(中学2年・女子・東京)

  • 義肢装具士は、需要と供給のバランスの面で仕事として成立するのか疑問だったが、義肢にはメンテナンスが必要であることや義肢装具士の数が少ないことから、「供給<需要」であり仕事として成立するのだと分かった。(高校1年・男子・長崎)

  • 私は義肢装具士に対して「つらくて作業時間が長いうえに、賃金の低い職業」という偏見を持っていて、他にも調べると「国家資格を取らなければならないのに、平均年収が300~400万円というのは低い」という声がありました。しかし番組を見て、義肢装具士として働く人たちにとっては賃金や時間などは問題ではないのだと気がつきました。(高校2年・男子・神奈川)

《登場人物についての感想》

  • モノづくりと人助けを同時に叶えるために中学生のころから努力した今岡さんは、すごいと思いました。周囲に「できた人間」「安定している」と褒められるような人柄は、人として目指すべきだと思いました。(中学3年・男子・千葉)

  • 私は大森さんが特に印象に残った。大森さんは「義足が当たり前で、どんどん歩けるようになった」と暗い感情をあまり出していなかったけれど、周りに負けずに生きてきてすごいと思った。(中学1年・女子・鹿児島)

  • 義足はつくる時も重々しい雰囲気が漂っているのかなと今まで思っていましたが、義肢装具士が患者と話しているシーンは私が眼鏡をつくった時と変わらないと思い、「義足を使うなんて可哀想」と思ったことを反省しました。義肢装具士が患者に笑顔で接するのは「より良い生活を送ってほしい」という思いがあるからだと感じました。私も将来そのような思いを持って仕事をしたいです。(高校1年・女子・愛知)

《取材や演出についての感想・要望》

  • 番組に“義肢”が出てきましたが、手足のない生活を考えたくないと思うので、正直ちょっと怖かったです。ベテラン義肢装具士の大森浩己さんは、生後半年足らずで両足に火傷を負い10歳の時に義足をつけたそうですが、僕は大森さんが保育園や小学校のとき、周りの人たちに「足がない」と笑われて馬鹿にされていなかったか気になりました。昔はそのようなことで馬鹿にする人が多かったと思うからです。大森さんの気持ちがもう少し分かれば良かったなと思いました。また、全国で義肢装具士の人数が減ってきているそうですが、なぜ成り手がいないのか気になりました。試験が難しいのか、技術が必要なのか、減少理由も知りたかったです。(中学1年・男子・山梨)

  • 義肢を作る会社が1年に何人くらいから依頼を受けているのかなど、数字があるともっと分かりやすいと思う。(中学2年・女子・鳥取)

  • 義肢装具士はかなりマイナーな職業なので、良い題材だと思いました。テレビでもっと職業紹介を増やすべきだと思います。個人的に紹介してほしい職業は、これからの時代に必要とされるエッセンシャルワーカーです。跡継ぎを増やすためにも、積極的にこういう番組を増やすべきだと思います。(中学2年・男子・東京都)

  • ドキュメンタリー番組は、どの表情と言葉を切り取るか、また構成やナレーションによって、作品の重みが大きく変わると思いますが、どこか味気ないと思いました。義肢装具士として患者と向き合う姿勢が伝わりづらかったです。長時間取材しているからこそ出演者の心や表情の変化を知りたいのに、あまり本音が出ていないと感じました。カメラの手ブレが少し気になってしまったし、ナレーションの表現も物足りないので、もっと視聴者を引き込むような作り方ができるのではないでしょうか。(中学2年・女子・埼玉)

《その他の感想》

  • テレビを見て他県からわざわざ義足を作りに来ている人がいて、テレビの影響はすごいと感じました。今、情報を受け取るのはネットの時代に変わっているけど、テレビも重要だと思います。(中学2年・女子・秋田)

  • 患者の人生を支える新しい身体を作る素晴らしさを強く感じました。番組の冒頭では「義足ってこんな簡単に作ることができるんだ」としか感じていませんでしたが、視聴し終わったときには「一つの義足にこんなにも思いが込められているんだ」と感じました。この番組に出会えてよかったです。自分の中の世界がさらに広がったような気がします。(高校2年・女子・愛媛)

  • なかなか自分では出会えない番組だと思うので、何かしらのプロモーションや、学校の教育現場で見せるなどの工夫が必要だと思いました。(高校3年・女子・奈良)

  • この番組はTVerの「お気に入り登録」の数が928で、少ないなと思いました。義肢装具士という限られたテーマのため、まずは配信されていることを広く周知することが大切だと思います。ドキュメンタリー番組は「どんな境遇の人にも必ず得るものがある」と多くの人に思ってもらいたいとも思いました。(高校3年・女子・熊本県)

【自由記述】

  • 中学校で「将来の夢を発表しよう」という授業があるので、「職業特集」のような番組があるとうれしいです。(中学1年・男子・山形)

  • ドキュメンタリー番組は実際に視聴すると面白いですが、長時間だったり、タイトルやテーマが難しく思えたりして、見るのをためらってしまいます。予告で詳しく紹介したり、放送時間を1時間以内にしたりすると、気軽に視聴できると思いました。(高校1年・女子・愛知)

  • ドキュメンタリー番組を見る機会はあまりないですが、社会を知ったり多くを学んだりする上で、効果的で良い方法なのかもしれないと思いました。もっとドキュメンタリー視聴が浸透するためには「時間」が大きなポイントだと思います。「タイパ」という言葉がよく使われますが、「ダイジェスト版をつくって興味をもってもらう」「対象年齢層を絞る」「放送時間帯を工夫する」のも良いのかなと思います。(中学3年・女子・長崎)

  • 1月17日は阪神淡路大震災から30年の節目の日で、たくさんの関連番組が放送されていた。『NHKスペシャル「映像記録 阪神・淡路大震災 -命をめぐる30年の現在地-」』(NHK総合)では自分が住んでいる芦屋市で人命救助に尽力した人を取り上げていた。救出者の8割は一般住民によって助けられたことはとても驚きだった。小学校から何度も震災教育を受けてきたがまだまだ知らないことがあり、震災関連番組の大切さを改めて感じた。(高校1年・男子・兵庫)

  • 『なにわ男子の逆転男子』(テレビ朝日)を最近よく視聴しています。毎週違う内容で飽きずに見ることができて面白いです。Aぇ!groupの末澤誠也さんがゲスト出演した回は、末澤さんが得意なことでの三番勝負だったので、レギュラー出演のなにわ男子が振り回されていてとても面白かったです。(中学3年・女子・神奈川)

  • 『Skyrocket Company』(エフエム東京)の中で「聴いているあなたもわが社の社員~」と流れていた。投書やXの投稿をしない私は「聴いているだけの自分は受け身」だと思っていたが、「もしかして視聴者として大事な役割を担っているのかもしれない」と思えた。(高校3年・男子・東京)

  • フジテレビの10時間越えの会見について。フジテレビのような大企業でも社員1人のことを守れないのかと思ってしまいました。(中学2年・女子・東京)

  • フジテレビの記者会見で、10時間以上続く中で休憩はほとんどなかったというのを聞き、いくら悪いことをしたとしても高齢の社長たちを休ませてあげないのはさすがに酷すぎると思いました。司会が指名して記者が質問するシステムでしたが、指名されていない記者が大きな声で怒鳴っているのを聞き、マナーを守ってほしいなとも思いました。(高校3年・女子・栃木)

  • 最近はフジテレビが問題となっているが、番組はいいものが多いので、番組まで悪く評価されるのは良くないと思う。(高校2年・女子・東京)

  • フジテレビ、なんだかすごいことになってますね。調べても正直どうなってるのかよくわからないので、特集番組があったらいいですね。こういう時に良い方法は、テレビを見て静かにいることでしょう。無関心はとても悪いことかもしれませんが、加害者になるよりかはマシでしょう。(中学3年・男子・千葉)

  • 東京への旅行で4つの民放本社に行ったことがある。フジテレビは入館料を払えば球体展望室に入ったり実際にドラマで使用された椅子に座ったりできたが、他局はSHOP以外に見どころが少なかった。常時開設の資料館など、いつ行っても楽しめるようなものがあれば嬉しいと思った。(高校2年・女子・青森)

【青少年へのおすすめ番組】

  • 『実証科学バラエティー 百聞はジッケンに如(し)かず』(NHK総合)
    見た目を変えることで、性格や行動、知能まで変わってしまっていて、「外見」は本当にたくさんの影響を及ぼすことができるのだなと思いました。(中学1年・女子・神奈川)

  • 『イモヅル式に学ぼう!NHKラーニング「まなぼう」~江戸を学べるプレイリスト』(NHKEテレ)
    遊郭はそもそもぽつんと一軒あるのもだと思っていたので、CGで再現された当時の遊郭を見て、建物の形や規模、華やかさに「行ってみたい」と思いました。しかし華やかな世界の裏で遊女が厳しい生活をしていたと聞くと、複雑な気持ちになりました。また美人画に描かれた3人の女性の区別が初見では全くつかなかったのですが、3人の特徴が実は顔や衣服に描かれていたところが面白かったです。(中学3年・女子・東京)

  • 『がっちりマンデー!!』(TBSテレビ)
    • 私は森永卓郎さんをよく知りませんでしたが、様々なことに詳しく、セコ技術ももっと知りたいと思いました。もうテレビでは見ることが出来ないと思うと悲しいです。森永さんが大切にしてきた「何事にも全力で取り組む」が心に響きました。(高校1年・女子・岐阜)
    • 毎週視聴していますが、森永卓郎さんの「CM②の後で」の後のコーナーが特に好きです。森永さんの独特なチョイスがとても面白かったです。今まで私たちに有益な情報を伝えてくださりありがとうございました。安らかにお眠りください。(高校2年・男子・山口)
  • 『THE世代感 懐かし映像を若者に見せて驚いた事SP』(テレビ朝日)
    こういった世代間の違いを強調する番組が最近多い気がします。正直そこまで大きな違いではないし、驚きがあるわけでもない。みんなオーバーリアクション過ぎませんか?さすがにあそこまで露骨だと違和感があります。私の「世代感」がズレているだけかもしれませんが、テレビ離れが進んでいる原因は、案外こういった小さいところの感覚の「ズレ」から始まるのかもしれないと思いました。(中学3年・男子・千葉)

  • 『ミライ☆モンスター』(フジテレビ)
    • フィギュアスケートの事をあまり知らなかったけれど、得点の付け方の紹介があって分かりやすかった。10代の選手も大人と同じ大会で上位の成績を残していることが分かった。有名な選手ではなく若い選手を紹介するこの番組はいいと思う。(中学2年・女子・鳥取)
    • 番組名が、自分では思いつかない良い表現で、番組内容を表していると思う。ただこの番組を誰が視聴するのか気になった。出演者を応援する人は見るだろうけれど、ライバルやその関係者は見ないのではないか。かなり主観だらけで主人公に偏っている気がして、万人に見てもらいたいという意図が感じられなかった。(高校3年・男子・東京)
  • 『ラーメンを食べる。』(BS-TBS)
    私はラーメンが好きでいつもSNSで美味しい店を調べていますが、この番組を初めて知り、これから毎週見ようかなと思いました。今回は江の島にあるお店の紹介でしたが、遠くからでも行きたくなるくらい美味しそうでした。店主のこだわりがたくさんあるからこそ、たくさんのお客さんが訪れているんだろうなと思いました。(高校3年・女子・栃木)

  • 『やまがた美食ノトビラ』(山形テレビ)※1月のおすすめ番組
    地元のグルメを放送してくれると分かりみが深いし、知らないお店でも気軽に行けるので、地元の特集は残していてほしい。(中学1年・男子・山形県)

◆委員からのコメント◆

【指定するドキュメンタリー番組を見た感想】

  • 中学1年生のモニター報告に「“義肢”が出てくるのは、正直ちょっと怖い」とあった。障がい者が出演する番組を中高生モニターに視聴してもらうと感じることだが、「障がいを怖いと思うのは不公平だし、全然ダイバーシティじゃないし、そういう自分にもなりたくない」という気持ちと、「障がいを見ると心がザワザワする」という気持ちとの葛藤が、多くの中高生にあるのだろうと思った。目を背けがちなテーマだが、頑張って視聴してくれたと思う。

  • パラリンピックの放送などで義肢を見る機会は多いと思うが、「義肢装具士の仕事を知らなかった」「義肢の製作過程を初めて見た」といった感想が多かったのはとても印象的だった。

  • 高校1年生のモニター報告に「健常者」という言葉が2回あった。健常者と障がい者とを分けている視点を感じて、悪気はないだろうが、個人的に気になった。

  • 今回のような良質なドキュメンタリー番組は明らかに青少年に届いていないと思う。「ためにはなるけれど、長すぎる」とはっきり報告してくれているので、5分・15分・30分バージョンを制作してうまくPRすることが必要なのでは。青少年委員会としても、青少年に良質な番組を届ける工夫ができないか考えたい。

【自由記述について】

  • フジテレビの問題について記述したモニターが多くいたが、中学3年生のモニター報告に「もはや何が何だかよくわかりません。こういう時に良い方法は、テレビを見て静かにいることでしょう」とあった。上智大学の佐藤卓己先生が著書などで「最近のメディアリテラシーの本質は“ネガティブ・ケイパビリティ”なのではないか。SNSでこれだけ偽情報がある中、真偽を読み解くなんてことは不可能なので、曖昧なものを曖昧なままにしておく、ある種のネガティブ・リテラシーが大事なのだ」と語っているが、このモニターはその“ネガティブ・ケイパビリティ”を備えていると思う。

  • 高校2年生のモニター報告に「各放送局に常時開設の資料館があると嬉しい」とあったが、放送業界に興味のある青少年がさらに興味を深めるきっかけになると感じた。

【青少年へのおすすめ番組について】

  • 『ミライ☆モンスター』(フジテレビ)に関する報告の中に「主観だらけで主人公に偏っている気がする」とあった。誰かをドキュメントするときにある程度“肩入れ”することはあるが、この意見はドキュメンタリー制作におけるリテラシーの、根本的な問題を捉えているかもしれないと思う。

今後の予定について

次回は2025年3月25日(火)に千代田放送会館BPO第一会議室で定例委員会を開催します。
また、2日後の3月27日(木)にはテレビ東京を会場にして「中学生モニター」会議を開催します。

以上

2025年2月18日

「調査報道に対する地方自治体元職員からの申立て」
通知・公表の概要

[通知]
2025年2月18日午後1時30分から千代田放送会館会議室において、曽我部真裕委員長と、この事案を担当した鈴木秀美委員長代行、斉藤とも子委員、さらに少数意見を書いた廣田智子委員長代行、松尾剛行委員、松田美佐委員の合わせて6人のほか、申立人と被申立人のサンテレビ(神戸市)側から4人が出席して、委員会決定第80号の通知が行われた。
曽我部委員長がまず、「本件番組には人権侵害は認められず、放送倫理上の問題があるとは言えない」という委員会決定の結論を伝えた。続いて今回は委員会決定とは結論が異なる少数意見(反対意見)を4人の委員が書いていることを説明し、それら少数意見の趣旨も踏まえて人権により配慮した番組を制作するよう努めてほしいと述べた。
申立人の「放送内容は虚偽であり名誉を毀損された」という主張については、放送内容は申立人の社会的評価を低下させたが、事実の公共性、目的の公益性、真実性・相当性(一部は不認定)が認められるため、「人権侵害があったとすることは相当でない」と説明した。
また、放送倫理上の問題の有無については、サンテレビが本件放送でX氏に焦点をあてた構成にしているのに、X氏とX氏が勤務する広告代理店への取材が行われていなかったことをどう判断するか、委員会で慎重に議論したことを説明した。多数意見は、放送では主たる対象である申立人への直接取材が行われていたため、「放送倫理上の問題があるとは言えない」と判断したものの、委員の中には異論もあったと伝えた。
最後に曽我部委員長は、サンテレビの「一連の調査報道の意図や努力は評価するものの、取材については不十分な点があったという少数意見(反対意見)が多くの委員からあったことを重く受け止めていただきたい」と述べた。
続いて、この事案を担当した鈴木委員長代行が、昭和41年6月の最高裁判例を紹介し、テレビ放送による事実を適示しての名誉毀損については、その行為が公共の利害に関する事実に係り、その目的が専ら公益を図るものである場合において、適示された事実がその重要な部分において真実と信ずるに相当な理由があるとき名誉毀損は成立しない。報道の時点で本当だと信じていた経緯は十分な裏付け取材をしていれば、それを証明することで人権侵害にはならないという今回の判断の基本的考え方を説明した。
一方、委員会決定とは結論が異なる少数意見を書いた廣田委員長代行は、申立人のX氏への公金での物品送付が常態化していたという事実適示について、この「常態化」との証言をした元店長は申立人とは対立していた当事者であり、慎重な裏付け取材が必要だった。X氏や送付先の広告代理店への裏付け取材が行われていないなかで、真実性・相当性を認めることはできない。多数意見は、「常態化」との事実適示は、申立人の数々の不正行為や疑惑を取り上げた本件放送のごく一部で、人権侵害とすることは相当でないとの判断だが、この事実適示は犯罪行為が繰り返し行われていたことを示すもので、名誉を毀損する程度も決して軽微とは言えず、人権侵害があったと言わざるを得ないとした。また、広告事業発注先の変更は、申立人とX氏が親しい関係にあったからではないかという疑念の提示についても、放送の主たる対象者(申立人)への取材のみならず周辺取材が重要な場合があり、十分な確認取材を怠ったまま疑念があることをそのまま放送したことは、放送倫理上の問題があると言わざるを得ないと結論付けた。
同じく松田委員、斉藤委員との連名による少数意見を書いた松尾委員は、本件放送は露骨にX氏へ焦点を当てる構成になっており、女性であるX氏と申立人の間に「親しい」以上の関係があるとの示唆が協調されていると評さざるを得ない。このような状況では、X氏は申立人に準じる、または申立人と同様の地位にある主要な人物であることからX氏への直接取材は不可欠であり、X氏に関する取材が不十分であることについて「放送倫理上の問題がある」と述べた。
松田委員からは、本件放送で性別が明示されるのはこの「女性」(X氏)のみであり、申立人が男性であることから、不自然にX氏の性別が協調されていると指摘した。また、サンテレビの公式YouTubeチャンネルに掲載している当該動画については配信を取り下げるべきであると指摘した。
斉藤委員は、裏付けが十分でない内容を報道することによって、取材対象者とその家族にどれほどの影響があるかを考え、意義のある報道を続けてほしいと述べた。

この決定を受け、申立人は「少数意見には感謝しますが、全体としては納得できない」と述べた。また、サンテレビは「非常に重い決定と受け止めている。今回の決定を参考に、地元局として調査報道を続けたい」と述べた。曽我部委員長はサンテレビに対し、「情報源が偏りすぎているように思う。その辺りは今後、再点検されたほうがいいのではないか」と伝えた。

[公表]
午後2時30分から千代田放送会館2階ホールで記者会見が開かれ、委員会決定第80号の内容を公表した。会見には、放送局や新聞社など20社1団体から36人が出席した。
曽我部委員長が、「本件番組には人権侵害は認められず、放送倫理上の問題があるとは言えない」という今回の委員会決定に至るまでの審理の経過や考え方などを解説した後、4人の委員が委員会決定とは結論が異なる少数意見(反対意見)を表明し、決定文に記載していることを説明した。
少数意見を書いた廣田委員長代行は、「放送する事実は取材を尽くして裏付けの取れたものを正確に放送することが必要だ。それが、うわさ話やネット上の真偽不明の情報との一番の本質的違いで、今まさにマスメディアに求められるもので存在意義だ。そうした観点から、関係者への取材が1度電話しただけでできていない点に関して書いた」と述べた。
3人の連名による少数意見を書いた松尾委員は、「調査報道の基本的な部分は取材にある。X氏を重要な立場で(映像を)構成したのであれば、それ相応の取材が必要だ」と指摘。松田委員は、「この調査報道でX氏のみ女性という形で扱われていたことに違和感があった」と述べるとともに、サンテレビが今もなお自局の公式YouTubeチャンネルに当該番組の動画が配信されていることにふれ、「一部でも問題があるとの指摘を受けた以上、配信の取り下げも検討すべきである」と指摘した。また、斉藤委員は、審理を進めるなかで申立人側と放送局側の主張が全く違うことがあるが、今回の事案は特に何が本当かを見極めるのが難しかった」と、苦渋の決断であったことを吐露した。

<質疑応答>
(質問)
多数意見と少数意見で、放送倫理上の問題の有無をめぐって申立人への取材の評価が違う理由は。
(鈴木委員長代行)
多数意見では、今回の番組は元課長の不正を追及するのが目的で、元課長を丹念に取材していることで、脇役のX氏を取材していないから放送倫理上の問題があるとまでは言えないと考えた。
(曽我部委員長)
基本的に直接取材は重要だと繰り返し確認しているが、本件での直接の対象者と、そうでない対象者の区別を、多数意見では比較的重くみているということ。少数意見の指摘を全く否定しているわけでなく、基本的には同じベクトルだ。

(質問)
申立人、被申立人双方の受け止めは?
(曽我部委員長)
申立人は委員会決定には納得がいかないと述べていた。双方で事実に関する言い分がずっと違っていて、市の第三者委員会調査、市議会の百条委員会、さらにサンテレビの報道全体に関して、自分の事実に関する見方は違うと強く主張していた。少数意見全般については謝意を示されていた。

(質問)
少数意見でX氏と申立人の間に親しい以上の関係があると示唆されていることについて、一般的なメディアとジェンダーの問題があるとの指摘があった。もう少し詳しく聞きたい。
(松田)
取材を通して、申立人とX氏に男女の仲に近いものがあると分かっていたならともかく、何となく気に入っている異性だからとほのめかすようなこと自体を捉え直した方がいいと思う。一連のふるさと納税をめぐる問題で、申立人がX氏以外にもいろんな形で便宜を図っていた場合に、それでも女性を強調する必要があったのかということだ。

(質問)
少数意見で、X氏または広告代理店への取材が極めて不十分だったという指摘について詳しく聞きたい。
(松尾)
一般論として(取材について)基準を一律に示すことは難しく、ケースバイケースだ。取材の電話を1回して相手が出ないのはふつうにあること。今回の場合、X氏を申立人に準じる重要性のある人物として描く以上は、この程度で取材は無理だと判断するのは、放送倫理上の問題があると言わざるを得ない。本当に取材をしようと努力を尽くしたのかということだ。

(質問)
多数意見も取材が不十分だという認識か。
(鈴木委員長代行)
多数意見も、可能であればさらにもう1回電話をかけるなどした方が良かったと考えている。多数意見は、不正行為の動機がX氏を気に入っていたからだと捉えていて、動機に関わるX氏の取材をした方がよかったけれども、しなかったことで放送倫理上の問題があるとまでは言えないという考えだ。
(曽我部委員長)
決定第78号で原則として直接取材が必要だが、こういう場合には例外的に直接取材がないこともありうると一般論として述べている。ご覧いただければ。
(廣田委員長代行)
今回、申立人が取材に対して広告代理店変更の理由について具体的かつ詳細に答えている。(サンテレビは)申立人への取材はしたが、事実確認が不足していると思った。

(質問)
今回の報道を高く評価しているのに、少数意見でYouTubeでの掲載を取り下げるべきと述べている。整合性をどう考える。
(松尾)
地域の問題を地域のマスメディアが調査報道として伝えることは非常に重要だ。放送して終わりではなく、YouTubeに掲載するのは、地域的・時間的制約がなく影響が大きく違う。取材が十分になされた調査報道なら動画を掲載することに意味がある。しかし9人中4人の委員が、今回の報道に問題があると判断している。そのような動画を放送から1年半近くYouTubeに掲載し続けることは、特にX氏との関係で正当化されないと考えた。(サンテレビは)動画を取り下げる方向で検討してほしい。

(質問)
少数意見に「常態化」という表現を使ったことが人権侵害だとの指摘があった。もう少し詳しく聞きたい。
(廣田代行)
今回の「常態化」の対象は、(申立人が)公金でX氏に物を贈っていたということ。犯罪行為にあたり言葉の意味が重い。放送では内部告発者へのインタビュー取材から「常態化」という言葉を使っていたが、提出資料やヒアリングで調べたところ、ハンバーグをX氏の職場に送った件は業務に関連していた可能性もある。牛肉を自宅に送ったということを除いて確たる根拠はないと判断した。X氏にも勤めていた広告代理店にも取材ができていなかった。「常態化」という言葉だけで判断していない。
(曽我部委員長)
2021年6月の(第77号)決定で「何らかの金銭トラブル」という言葉が問題になった。今の常態化の話もそうだが、ひと言が強い印象を与えるがゆえに使いがちであることにも注意が必要である。

以上

第203回

第203回–2025年2月

テレビ東京『激録・警察密着24時!!』委員会決定の通知・公表について報告

第203回放送倫理検証委員会は、2月14日に千代田放送会館で開催された。
委員会が1月17日に公表した、委員会決定第46号テレビ東京『激録・警察密着24時!!』『鬼滅の刃』の模倣品捜査密着事案に関する意見について、担当委員から当日の様子などが報告された。
9月の委員会で審議入りした毎日放送の『ゼニガメ』については、前回の委員会で意見書の修正案が議論されたのを受け、今回は担当委員から意見書の再修正案が提出された。複数の委員から質問や意見が出され、次回の委員会までに再々修正案を作成することになった。
TBSテレビは2024年10月19日に放送した約2時間のバラエティー番組『熱狂マニアさん!』の中で、インテリア小売業大手「ニトリ」のマニアを特集した。放送後、BPOに視聴者から「番組全編で1社を取り上げ価格や商品名も紹介しており、番組の提供にも社名が入りCMを流していた。これは番組といいながら、明らかに広告ではないのか」という声が寄せられた。委員会は議論の結果、番組内容や制作過程に「番組と広告の違い」等を含む放送倫理上の問題がなかったかを詳しく検証する必要があるとして前回の委員会で審議入りを決めた。今回の委員会では関係者に対するヒアリングの予定などが報告された。
1月にBPOに寄せられた視聴者・聴取者意見などが報告された。

議事の詳細

日時
2025年2月14日(金)午後5時~午後7時10分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、
大石委員、大村委員、長嶋委員、西土委員、毛利委員、米倉委員

1. テレビ東京『激録・警察密着24時!!』『鬼滅の刃』の模倣品捜査密着事案に関する意見の通知・公表について報告

テレビ東京は2023年3月、『激録・警察密着24時!!』の中で「人気アニメ『鬼滅の刃』に便乗 悪質コピー商品の販売業者を追い詰めろ」として、販売業者が「不正競争防止法違反」で摘発された事件を取り上げたが、販売業者から放送内容が名誉を毀損する表現や虚偽の事実を警察官に演じさせた、ねつ造の疑いがあるとして抗議及び申し入れ書が送られた。これを受けてテレビ東京は2024年5月に不適切な内容が複数あったことを認め、謝罪するおわび放送をした。
委員会は同年7月「放送倫理違反の疑いがあり、詳しく検証する必要がある」として審議入りし、テレビ東京や制作会社スタッフなどを対象にヒアリングを実施。その結果、被疑者3名が不起訴になっていたことに触れなかった、『鬼滅の刃』のキャラクターを描いた商品を発注した事実はなかった、密着ドキュメントをうたいながら捜査のほとんどが事後撮影だったことなどを確認した。こうした問題について委員会は、「モザイクなどをすれば個人特定に対する配慮は足りている」とする“モザイク信仰”が人権意識を鈍らせた。また逮捕と犯罪者を安直に結びつける構図にとらわれ、ナレーションであおり、刺激的なスーパーで犯罪捜査をエンタメ化するこの番組のステレオタイプが繰り返されたなどの4つの要因を挙げた。
以上のことから本件放送は、事実と異なる内容を報じ、視聴者の信頼を裏切り、放送倫理基本綱領、民放連の放送基準及びテレビ東京の放送番組編成基準の各項目に反しているとして、放送倫理違反があると判断した。
2025年1月17日、委員会は当該放送局に委員会決定を通知し、引き続き記者会見を開いて意見書を公表した。この日の委員会では、委員会決定を伝えたテレビ東京のニュース番組の録画を視聴し、委員長と担当委員が通知・公表時の様子について報告した。
通知と公表の概要は、こちら。

2. 毎日放送『ゼニガメ』について審議

毎日放送は、2024年7月17日に放送したローカルバラエティー番組『ゼニガメ』で、出張買取業者に密着取材する企画を放送したが、翌日、番組に事実と異なる放送があったことを公表して謝罪した。さらに2023年11月と2024年5月の放送分にも事実と異なる内容があったことも判明し、委員会は9月に審議入りを決めた。担当委員が当該放送局から提出された報告書の精査と番組関係者へのヒアリングを実施し、12月の委員会に意見書の原案を提出した。1月の委員会では意見書の修正案に対する議論が交わされ、今回の委員会では担当委員から再修正案が提出された。これに対して複数の委員から質問や意見が出されたため担当委員は更なる検討を重ね、次回委員会に再々修正案を提出することになった。

3. TBSテレビ『熱狂マニアさん!』について審議

TBSテレビは2024年10月19日午後7時から約2時間のバラエティー番組『熱狂マニアさん!』の中で、インテリア小売業大手「ニトリ」のマニアを特集し放送した。番組は「ニトリマニアが集結!1万点からベスト3 名もなき家事が今夜消滅!」と題し、ニトリの商品を使った時短料理や収納テクニックなどを全編にわたり放送した。
放送後、BPOに視聴者から「番組全編で1社を取り上げ価格や商品名も紹介しており、番組の提供にも社名が入りCMを流していた。これは番組といいながら、明らかに広告ではないのか」という声が寄せられた。委員会で議論をしたところ、この番組では2024年になってからニトリを3回(1月13日、6月1日、10月19日)取り上げていることが判明したため、当該放送局に番組DVDと報告書の提出を求めることにした。
TBSテレビの報告書によると、本番組は、ある特定のジャンルに関して、並外れた熱意や愛情を注いでいるマニアが、熱狂していることや好きなものを紹介するバラエティー番組。コロナ禍による巣ごもり需要により、コンビニやスーパー、大手日用雑貨店への興味関心がファミリー層などで高まったことを受け、「時短料理術」や「清掃・収納術」など、人気有名企業の商品活用法に詳しいマニアを番組が発掘し、単なる商品紹介ではない、衣食住にまつわる「生活の知恵」を幅広い視聴者に届けてきたという。
委員会は、12月と1月の2回にわたって議論した結果、番組内容や制作過程に「番組と広告の違い」等を含む放送倫理上の問題がなかったかを詳しく検証する必要があるとして1月の委員会で審議入りを決めた。今回の委員会では、当該放送局の関係者から近々ヒアリングを行う予定であることなどが報告された。

4. 1月の視聴者・聴取者意見を報告

1月に視聴者・聴取者から寄せられた意見には、人気タレントと女性とのトラブルをめぐる一連の問題に関するものが最も多かった。具体的には、フジテレビの記者会見について、自社の不祥事は記者会見の生中継をしない一方で、ニュース番組では防犯カメラの映像等を使い軽犯罪やマナー違反程度の事で一般人を度々叩く姿勢はおかしいといった意見や、社員からトラブルの報告を受けた後のフジテレビの対応の不味さが問題の本質であるという事を分かっていないのではないか、個人情報保護を理由に明確な回答を避け責任回避や問題先送りに終始した印象を受けた、といった意見が寄せられた。また、生中継された記者会見については、ネット上のテレビに関する憶測の真偽が分かると共に、ネットニュースを出しているメディアがどのような記者によって構成されているかが分かる良い機会だったという意見も寄せられた。このほか番組か広告かの問題について、具体的な番組名をあげて、実質的に広告であるにもかかわらず視聴者が番組と誤解しかねない構成や演出だと批判する意見が寄せられた。

以上

2025年1月17日

テレビ東京『激録・警察密着24時!!』『鬼滅の刃』の模倣品捜査密着事案に関する意見の通知・公表

上記委員会決定の通知は、1月17日午後2時からBPOで行われた。委員会からは小町谷委員長、井桁委員、長嶋委員の3人が出席した。テレビ東京からはコンテンツ戦略担当の専務取締役ら5人が出席した。
小町谷委員長から、放送倫理違反があったと判断するに至った経緯を説明したあと、「当事者から抗議書が届いた段階でもう少し掘り下げた調査をしていればここまで事案が拡大することもなかったのではないか」と指摘した。これを受けてテレビ東京の専務取締役は「意見書や委員の説明は真摯に受け止めていきたい。引き続き今回のご意見を参考にしながら再発防止策を徹底するとともに、番組全般の作り方にしっかり生かしていきたい」と述べた。

その後、午後3時から千代田放送会館2階ホールで記者会見を開き、委員会決定を公表した。会見には27社51人が出席した。
最初に小町谷委員長から本件事案の特徴として、捜査に密着する番組でありながら、いきなり逮捕の時点から取材し、逮捕までの捜査活動は事後撮影によるものだった。担当ディレクターが不正競争防止法違反という馴染みのない事件への理解にかなり苦労していたなどをあげた。そのうえで3つ問題点を指摘。①不起訴に触れず、刺激的な演出をした②『鬼滅の刃』キャラクターを描いた商品を発注、捜索後も販売を続けたという事実と異なる放送をした③密着をうたいながら事後撮影を放送した。これらの要因として4点を指摘。①モザイクをしていれば特定されないという強烈な“モザイク信仰”②警察は活動を広報でき、テレビ局は視聴率を稼げる、視聴者は娯楽を楽しめるといった“三方良し”の構図③ひっ迫した制作体制で担当ディレクターが引継ぎを十分に行えなかった④刺激的なスーパーで犯罪をエンタメ化するステレオタイプが繰り返された。
以上のことから、事実に基づいた公正な報道活動、視聴者に誤解を与えないように注意するなどの民放連の放送基準や放送倫理基本綱領等に違反していると判断したと説明した。
続いて井桁委員からは「警察密着ものは他の局も含めて4、50年の歴史がある中で、プライバシー問題への理解の高まりや広がりは目覚ましいものがある。その中では放送、報道の必要性と、プライバシーや人権意識との緊張関係について、配慮やアップデートが必要だったのではないか」などの指摘があった。また長嶋委員からは、「これからもネット犯罪やもっと巧妙で知的な犯罪に対して捜査に密着して啓発してほしい」としたうえで、「この事案をジャーナリズム全体の固定化されたステレオタイプを見直す契機にしてほしい」と呼び掛けた。

このあとの質疑応答では、「(意見書に)なぜやらせがあったかどうかの文言をいれなかったのか」という旨の質問があった。これに対し委員会は「故意に事実であるかのように仕立てたということはヒアリングでは出てこなかった」「取材ディレクターは別の番組も担当して大きな負担を抱えた状態で、やらせや仕込みをする余裕はなかった」と答えた。また「制作者の中でストーリーに落とし込むという意識が強かったのでは?」との質問に対し、取材ディレクター、編集ディレクター、プロデューサーが個々に作業にあたり、「何か統一的なストーリーに基づいて作られたのではなかった」と説明した。さらに「警察密着番組が抱える問題を突破できることは可能か」との質問に対しは、「どんな取材でも取材対象者との一定の緊張感と距離感は必要。中立的な立場で放送していくことがあるべき姿」と答えた。

以上

第336回

第336回 – 2025年2月

「警察密着番組に対する申立て」委員会決定を通知・公表へ…など

議事の詳細

日時
2025年2月18日(火)午後4時~午後9時
場所
千代田放送会館BPO第1会議室
議題
出席者
曽我部委員長、鈴木委員長代行、廣田委員長代行、大谷委員、
國森委員、斉藤委員、野村委員、松尾委員、松田委員

1.「調査報道に対する地方自治体元職員からの申立て」通知・公表報告

審理入りしていた「調査報道に対する地方自治体元職員からの申立て」について、委員会決定第80号として、申立人と被申立人の放送局双方への通知と公表会見を委員会の開催前に行った。委員会では、起草を担当した委員や事務局から、その様子が報告された。

2.「警察密着番組に対する申立て」審理

申立ての対象となったのは、テレビ東京が2023年3月28日に放送した『激録・警察密着24時!!』で、人気漫画・アニメのキャラクターを連想させる商品に関する不正競争防止法違反事件を取り上げ、警察の捜査の模様や2021年7月28日に執行された会社役員ら4人の逮捕場面などを放送した。
これに対し、番組で取り上げられた会社役員らは、番組の放送時点で逮捕された4人のうち3人が不起訴処分になっているにもかかわらず、その事実に言及せず、また「人気キャラクターに便乗して荒稼ぎ」「被害者面」「逆ギレ」といった過度なナレーションやテロップを付けて放送するなど、4人の名誉を著しく傷つけたなどとして申立てを行った。さらに、捜査員同士の会話や会議の様子は事後に撮影されたものであるのに、捜査の時系列に沿っているかのように番組内で構成されており、視聴者を混乱させ、許容される演出の範囲を大きく逸脱しているなどと主張している。
被申立人のテレビ東京は、不適切な放送内容が複数あったとして、お詫び放送やウェブサイトでのお詫び文掲載のほか、警察密着番組の制作中止や関係者の処分を行った。さらに再発防止策として番組チェック体制の強化や社内教育・研修の拡充などを進めていくとしている。
申立人側は、お詫び放送等の対応に一定の評価をしているものの、警察署内での事後撮影をめぐる見解の相違やテレビ東京が番組制作過程を明らかにしなかったことに納得せず、双方の交渉は不調に終わり、6月の委員会で審理入りすることが決まった。
今回の委員会では、起草委員作成の修正案について議論を行った結果、委員会決定案が大筋でまとまり、3月に通知・公表を行う見通しとなった。

3. 最新申立て状況

事務局から最新の申立て状況について説明した。

4. その他

2月3日に大阪市で開催した近畿地区意見交換会の事後アンケートの調査結果などについて、事務局から報告を行った。

以上

2024年度 第80号

「調査報道に対する地方自治体元職員からの申立て」に
関する委員会決定

2025年2月18日 放送局:サンテレビ(兵庫県)

見解:問題なし(少数意見付記)
申立ての対象は、サンテレビが2023年9月26日と27日に放送した夕方ニュース番組『ニュース×情報 キャッチ+』。ふるさと納税PRのために兵庫県洲本市が出店したアンテナショップで、市の元課長が現職時代に不正をはたらいていたという内容の調査報道を放送した。これに対し、元課長は放送内容は虚偽であり名誉を毀損されたと申し立てた。サンテレビは、放送内容は真実であり、少なくとも真実であると信じるに足る相当の理由があると主張、公務員による公金の不正流用を番組で取り上げたものであり、公共性・公益性もあると反論していた。委員会は審理の結果、人権侵害は認められず、放送倫理上の問題があるとは言えないと判断した。ただし4人の委員が、放送倫理上問題があるとする少数意見を付記した。

【決定の概要】

本件は、サンテレビが2023年9月26日と27日に放送した『特集 内部告発』の「【前編】洲本市元課長の不正行為~東京アンテナショップ元店員たちの証言と録音データ『現市長は知っていたはずだ…』~」と「【後編】洲本市元課長の不正行為『公金で高級和牛を女性に』~サンテレビの市への情報公開請求で分かったお金の流れ~」が、同市魅力創生課元課長の不正行為やその疑惑を取り上げたことに対し、元課長本人が放送の内容は虚偽であり名誉権を侵害されたとして申立てを行った事案である。
【前編】【後編】(以下「本件放送」)は、同市東京アンテナショップ(以下「ショップ」)の元店長と元店員らの証言を手がかりとして、申立人が当時、目を掛けていた女性(以下「X氏」)のために公金を私的に流用したり、同市の広告事業などにおいて便宜を図るなど、不正行為やその疑いがあったと報道した。ショップは、公募で選ばれた第三セクター(以下「三セク」)が市から運営を委託され、2019年1月下旬にオープンしたが、わずか2カ月あまりで市から契約を解除された(以下「契約解除」)。また、同三セクは、それとほぼ同時にふるさと納税事業者としての承認も市から取り消された(以下「承認取消」)。
本件について、委員会は、名誉権侵害の問題に加えて、放送倫理上の問題について、以下の通り検討し、人権侵害は認められず、放送倫理上の問題があるとは言えないと判断する。
本件放送に申立人の実名はなく、映像で顔にモザイクがかかっていても、ふるさと納税制度をめぐる背景事情から、放送で取り上げられた元課長が申立人であると特定することができた視聴者は相当数いたと考えられ、特定可能性は認められる。
本件放送は、以下のような内容により申立人の社会的評価を低下させた。①申立人が、ショップに来店するたびに、自分で代金を支払わず弁当などの商品を公金で飲食したり、盗んだりしていたと報道した。②申立人が、ショップを運営する三セクに対し、ショップのレジ袋を(直接にレジ袋の製造・販売業者から購入するのではなく)Ⅹ氏が勤務していた広告代理店を通して購入するよう一方的に指示し、三セクがそれに従い購入したところ(予定の)8倍近い価格だったと報道した。③申立人のショップでの「万引き・横領行為」について、当時の店員らが三セクの社長に改善を求めるために提出した要望書が、ショップから関連業者にFAXで送信された。それを知って名誉毀損だと立腹した申立人が、報復としてショップの契約解除と三セクの承認取消へと導いたと報道した。④申立人がショップの店長について、売り上げを抜いていたという虚偽の噂を流していると報道した。⑤申立人が、公金でX氏に牛肉やハンバーグを送付し、それが常態化していたと報道した。⑥市の広告事業発注先が、2019年秋、X氏が勤務していた広告代理店から、X氏が設立したばかりの企業に変更され、それから3年間に約4,600万円が支出されたという事実を前提として、この発注先変更は、申立人とX氏が親しい関係にあったからではないかという疑念を提示した。
本件放送には、事実の公共性と目的の公益性が認められるため、事実摘示による人権侵害の有無については、真実性又は相当性が認められるか否かが問題となる。上記①~⑤の事実摘示のうち、⑤の一部について相当性が認められないが、多くは真実性又は相当性が認められるため、結論として本件放送に人権侵害があったとすることは相当でないと考える。
地方公務員の不祥事に関連する報道では、職務上の行動は出来る限り公開されることが必要であり、取材結果から推論したことを断定するのではなく、その疑いがあるという限度で報道したにとどまる場合、疑念として合理的な根拠があれば足りると考える。⑥の広告事業発注先の変更が、申立人とX氏が親しい関係にあったからではないかという疑念の提示については、サンテレビがそのような疑念を抱いたとしてもやむを得ない程度の合理的な根拠があったと認めることができる。
放送倫理上の問題の有無について、委員会は、サンテレビが本件放送でⅩ氏に焦点をあてた構成としているのに、Ⅹ氏と同氏が勤務していた広告代理店への取材が行われていなかったことについて検討した。委員の中には異論もあったが、本件放送の主たる対象の申立人への直接取材が行われていたことから、X氏と同氏が勤務していた広告代理店への取材が行われていなかったことについて、委員会は、放送倫理上の問題があるとは言えないと判断する。
委員会は、サンテレビが、洲本市で管理職にあった地方公務員の不正や、それを許した市幹部らのリーダーシップの欠如という地域にとって重要な問題に果敢に取り組み、ローカル局に期待される役割を真摯に果たそうと努力してきた経緯を積極的に評価する。ただし、本決定には、X氏や同氏が勤務していた広告代理店への取材が実現していなかったことについて、人権侵害であるという反対意見、及び、放送倫理上の問題があるという反対意見が付されている。サンテレビには、委員会決定の結論だけを見て満足するのではなく、これらの反対意見の趣旨も踏まえて、今後、人権により配慮した番組をつくるよう努めることを要望する。

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2025年2月18日 第80号委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第80号

申立人
兵庫県洲本市役所の元課長
被申立人
株式会社 サンテレビジョン
苦情の対象となった番組
『ニュース×情報 キャッチ+』(平日 午後5時20分~午後6時)
放送日
(1)2023年9月26日(前編)
(2)2023年9月27日(後編)

【本決定の構成】

I.事案の内容と経緯

  • 1.放送の概要と申立ての経緯
  • 2.本件放送の内容
  • 3.論点

II.委員会の判断

  • 1.本件申立てとその背景事情
  • 2.本件放送による社会的評価の低下について
  • 3.本件放送の真実性と相当性
  • 4.放送倫理の観点からの検討

III.結論

IV.少数意見

  • 1.廣田智子委員長代行の少数意見
  • 2.松尾剛行委員・松田美佐委員・斉藤とも子委員の少数意見

V.放送概要

VI.申立人の主張と被申立人の答弁

VII.申立ての経緯および審理経過

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2025年2月18日 決定の通知と公表の記者会見

通知は、2025年2月18日午後1時30分から千代田放送会館で行われ、午後2時30分から千代田放送会館2階ホールで公表の記者会見が行われた。詳細はこちら。

  • 「補足意見」、「意見」、「少数意見」について
  • 放送人権委員会の「委員会決定」における「補足意見」、「意見」、「少数意見」は、いずれも委員個人の名前で書かれるものであって、委員会としての判断を示すものではない。その違いは下のとおりとなっている。

    補足意見:
    多数意見と結論が同じで、多数意見の理由付けを補足する観点から書かれたもの
    意見 :
    多数意見と結論を同じくするものの、理由付けが異なるもの
    少数意見:
    多数意見とは結論が異なるもの

2025年1月に視聴者から寄せられた意見

2025年1月に視聴者から寄せられた意見

引退を表明したタレントの女性とのトラブルをめぐる報道に多くの意見が寄せられました。

2025年1月にBPOに寄せられた意見の総数は、2,440件で、先月から523件増加しました。
意見のアクセス方法は、ウェブ 86.3% 電話 12.6%郵便・FAX 1.1%
男女別は、男性 46.9% 女性 31.9% 無回答 21.4%で、世代別では10代 0.7% 20代 8.9% 30代 28.1% 40代 24.2% 50代 23.8% 60代 13.1% 70歳以上 3.0%
視聴者意見のうち、個別の番組や放送局に対するものは当該局へ個別に送付します。1月の個別送付先は32局で、意見数は507件でした。放送全般に対する意見は396件で、その中から19件を選び会員社すべてに送りました。

意見概要

番組に関する意見

女性とのトラブルが報じられ引退を表明したタレントをめぐる報道に対して多くの意見が寄せられました。またトラブルを知りながらタレントの起用を続けたと報じられたテレビ局の記者会見のあり方などに対して意見が寄せられました。
ラジオに関する意見は83件、CMについては5件でした。

青少年に関する意見

1月中に青少年委員会に寄せられた意見は91件で、前月から29件増加しました。
今月は「要望・提言」が44件と最も多く、次いで「表現・演出」が31件で、以下「報道・情報」の8件などが続きました。

意見抜粋

番組に関する意見

  • 芸能事務所における性加害問題を受けてテレビ各社は忖度によって報道を控えたことを反省したはずだ。12月に女性とのトラブルが報じられたタレントについて、各社は出演番組を他の番組に変更するなどしているが、なぜそういう判断をしたのか、取材によって裏付けが取れたのか、隠さずに説明してほしいと思う。

  • タレントとのトラブルの報告を受けた会社側が事実を隠ぺいしていたとしたら悪質だと思う。女性が安心して働ける職場環境を守ってほしい。

  • 当事者間で示談が済んだ問題について情報番組で連日長い時間を割いて放送しているが、守秘義務によって事実関係が明らかにならないことがわかっているにもかかわらず、推測や憶測によってスタジオトークを展開することに大きな違和感を覚える。当事者への二次加害になっていないだろうか。

  • 週刊誌の記事を鵜吞みにした内容の番組が多いと感じる。一応「記事が事実だとすれば」という断りを付けるものの、スタジオのパネルや文字スーパーなどの表現、また出演者のコメントも記事が事実だという前提に立って展開され、視聴者は「事実なのだろう」という意識を刷り込まれてしまう。週刊誌が言っていることと番組が知りえた事実とをはっきりと分けて明示してほしい。

  • 昨年の週刊誌報道に加えて、現役の女性アナウンサーが性的な接待があったと証言しているとの記事。メディアの信頼性が揺らいでいると感じる。

  • 有力なタレントに”性を上納する”というような風潮が、報じられている局だけでなく他局でも無かったのかどうか。各局は社内調査を急ぐべきだと思う。

  • 週刊誌記事の内容を精査して裏取り取材をしているのか疑問だし、報道が一方的だと感じる。被害者といわれている人の主張は週刊誌の取材内容として伝えられているが、他方加害者とされる側の言い分は守秘義務のせいか伝わってこない。

  • 芸能事務所における性加害問題も、大物お笑いタレントの性加害疑惑も、今回のタレントと女性の間の問題も、すべて週刊誌報道によって世間が知るところとなった。テレビの報道は人権意識を高くもってこうした問題は先陣を切って暴いてほしいと思う。

  • 問題となった放送局のやり直しの記者会見が長すぎる。同じような質問が何度も繰り返されている。記者の質もひどいと失望したが、長時間公共の電波を使ってやる必要があることだったのか疑問を感じた。

  • 長時間にわたり経営陣を一方的に攻撃しているようで恐怖を感じた。また、不同意性交などという言葉が怒号とともに飛び交い、当事者ふたりの、特に女性側の人権が傷つけられていると感じた。

  • 週刊誌が重要な事実を誤って報じ、こっそりと修正していたことが明るみになった。修正前の記事内容を鵜呑みにして事実であるかのように伝えていた報道番組、情報番組はどう責任を取るのだろうか。

  • 放送局の経営陣には制作部門出身の方が多いと思うが、きちんとした経営のプロを入れた方がよい。また公共性の高い企業なのだから、経営陣の在任期間をルール化するなど透明性の確保が重要なのではないか。

  • ニュース番組を含めて最近は、番組の良いところでコマーシャルになる。このあとの結果を知りたければ、コマーシャルを見てからです、というやり方はよろしくないと感じている。ひとつの内容が完結してから、コマーシャルに入っていただきたい。

  • 天気予報などで金曜日が祝日だったり月曜日が振替休日になったりするときに、「次の三連休」と断定的に言われると腹が立つ。勤めの関係などで連休とはならない人への配慮がほしいと思う。

  • 正月の伝統行事として、寒げいこ、寒中水泳、裸まつりなどの映像を目にするが、先日有名タレントの死を伝えた際にはヒートショックにくれぐれも注意と呼びかけていなかったか。

  • 自死とみられるというニュースが流れるたびに、よりそいホットラインやいのちの電話の番号が表示される。しかし何度かけてもつながらない。心が不安定になっている人は「相談しようとしても相手にされない」とさらにショックを受けるのではないか。案内先と案内方法をもう少し考えてほしいと思う。

  • 昔のテレビは笑いで涙が出たが今は悲しみの涙しか出ない。

青少年に関する意見

【「要望・提言」】

  • お笑い番組で、出演者が相方の頭をたたくツッコミはやめてほしい。子どもも大人も真似する人がいて、それが本当のけんかの原因にもなる。人が傷つかないお笑いでお願いしたい。

  • アニメ番組の開始時に「部屋を明るくしてテレビ画面から離れてご覧ください」というテロップが表示される。子どものためにアニメ以外の番組でも同様の警告テロップを出すべきだ。

【「表現・演出」に関する意見】

  • 子どもも見ている時間帯の連続ドラマで、女性の遺体が全裸のまま地べたに放置されたシーンが放送された。倫理的にどうなのだろうか。予告なくいきなり現れたシーンで不快に感じた。

  • バラエティー番組で、芸人をオープンカーに乗せたまま、洗車機にかけるドッキリがあった。シートベルトを固定して逃げられないようにしていたが、いじめを助長するようにみえた。

【「報道・情報」に関する意見】

  • 毎年思うことだが、派手に盛り上げた成人式をニュースで扱うのをやめてほしい。あのような大人たちの姿を見せると、子どもに悪い影響を与えかねない。

【「編成」に関する意見】

  • 夕方やゴールデン帯に放送されるアニメ番組が、子どもの視聴習慣の定着に一役買っていたと思う。いまでは番組が減ってしまったが、サブチャンネルを活用して青少年向けの放送はできないだろうか。

【「食べ物」に関する意見】

  • バラエティー番組の「激辛チャレンジ」の企画は残念に思う。辛いもの好きの人が増えたとはいえ、あの料理は本当に食べられるのか。食事はおいしく、楽しく、感謝していただくものだと思う。

第275回

第275回-2025年1月28日

視聴者からの意見について…など

2025年1月28日、第275回青少年委員会を千代田放送会館BPO第一会議室で開催し、欠席の榊原洋一委員長を除く7人の委員が出席しました。進行は吉永副委員長が代行しました。
12月後半から1月前半までの1カ月の間に寄せられた視聴者意見について、担当の委員から報告がありました。
1月の中高生モニター報告のテーマは「年末年始に見たスペシャル番組について」でした。
委員会ではこれらの視聴者意見や中高生モニター報告について議論しました。
最後に今後の予定について確認しました。

議事の詳細

日時
2025年1月28日(火)午後4時00分~午後6時30分
放送倫理・番組向上機構BPO第一会議室(千代田放送会館7階)
議題
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
今後の予定について
出席者
吉永副委員長、飯田豊委員、池田雅子委員、佐々木輝美委員
沢井佳子委員、髙橋聡美委員、山縣文治委員

視聴者からの意見について

12月後半から1月前半までの1カ月の間に寄せられた視聴者意見について担当の委員から報告がありました。
北九州市で起きた中学生殺傷事件で、死亡した女子生徒の顔写真が各局の報道番組で使用されたことについて、視聴者から「被害者の人権を侵害している」などの意見がありました。
担当委員は「現場から逃走した犯人(容疑者)が逮捕されていない段階で、(女子生徒の)遺族提供として報じられた。報道を通じて情報提供に期待する点で公益性の高いものだったと理解できる」と説明しました。
ある委員は「顔写真を放送したら『ルール違反だ』という非常に単純な線引きを(一部の視聴者が)するが、あの写真があることで今回の犯行の非情さを多くの人たちが感じ取れた。その意味で(被害者の)名前や顔写真は大事だと思う」と述べました。
江戸時代の性風俗を描いた連続ドラマで、遊女の遺体が全裸のまま放置されるシーンを放送したところ、視聴者から「子どもも見ている時間帯に放送するのは、倫理的にどうなのだろうか」などの批判的な意見が多く寄せられました。
担当委員はとくに当該シーンに男児の子役が出演している点を念頭において、「番組制作上の配慮はカット割りなどからうかがえる。インティマシー・コーディネーターを起用していることを含め、出演者の安全配慮義務の観点から問題があるとは言えない」としました。
ひとりの委員は「(江戸時代の公認された)売春制度がストーリーの背景にあるわけで、『もう少し丁寧な解説がほしいな』と感じた」と述べ、別の委員は「遊女として働かされていた女性たちがいかに劣悪な状況に置かれていたかというメッセージがよく伝わってきた。ストーリー全体を見れば、当該シーンも様々な配慮を重ねて作られたものであり、よく挑戦したと思える」と語りました。
このほかに大きな議論になる番組はなく、新たに「討論」に進むものはありませんでした。
なお、11月の委員会から継続している「水を張った洗面台に顔面を押し付けるドッキリ企画」などについての「討論」は、榊原委員長が欠席のため来月の委員会以降に持ち越しとなりました。

中高生モニター報告について

1月のテーマは「年末年始に見たスペシャル番組について」で、合わせて21番組への報告がありました。
年末年始期間は家族や親戚と一緒にテレビを視聴したモニターが多くいました。視聴した番組にばらつきが見られたことも特徴的で、複数のモニターが取り上げた番組は『第75回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)、『月曜から夜ふかし 元旦SP』(日本テレビ)、『お笑いオムニバスGP』(フジテレビ)、『芸能人格付けチェック!2025お正月スペシャル』(朝日放送テレビ)でした。
「自由記述」には年末年始の番組編成に関する意見のほか、第274回BPO青少年委員会の「討論」の概要を読んだ感想も寄せられています。
「青少年へのおすすめ番組」では『ワタシだけの革命史』(NHK総合)に5人から、『歴史デリバリー「本の大衆化 ベストセラーの仕掛け人を追う!」』(NHK Eテレ)と『日曜ビッグバラエティ サンドウィッチマンの井戸を掘る!』(テレビ東京)にそれぞれ4人から、『KUNOICHI 2025』(TBSテレビ)に3人から、『劇場版「名探偵コナン 世紀末の魔術師」』(BS12 トゥエルビ)に2人から感想が届いています。

◆モニター報告より◆

【年末年始に見たスペシャル番組について】

  • 『第75回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)
    • K-POPが好きな人は一部であり、紅白を見る世代に合っていないと感じた。日本人の歌手こそ紅白を目指しているので、もっと出場のチャンスを与えた方がいいと思う。司会者が「よいお年を」と言ってから年明けまで15分もあるので、曲を短縮せずフルで聴かせてほしいと思った。(中学2年・女子・秋田)
    • いつもは見ていませんが、初めて4時間30分連続で視聴しました。山あり谷ありの展開で、番組制作者が苦心して制作したことが分かりました。聴いたことのない曲が多く、新しい曲や歌手との出会いはテレビの歌番組ならではのメリットだと感じました。YouTubeでの「ウラトーク」もかなり賑やかで、視聴者を飽きさせない工夫を感じました。(中学3年・男子・千葉)
    • 毎日のように音楽配信サービス(Spotify、YouTube Music)を利用している私にとって、1年の終わりにその年の代表的な音楽を聴いて年を越せるのはすごくうれしいです。キャスティングに関して、流行に合わせながらもバランスを取るのは難しいと思いますが、日本の番組らしさを忘れず、けん玉のギネス世界記録を更新しながら続いてほしいです。(高校2年・女子・愛媛)
  • 『Mrs. GREEN APPLE 18祭』(NHK総合)
    好きなアーティストが出演するので視聴しました。作曲の裏側を見ることができてファンとして嬉しかったし、18歳世代の人の本音がたくさん聞けてとても勉強になりました。18歳以下の人でも視聴しやすいように、20時45分からなどもっと早い時間に放送してほしいです。(中学2年・女子・鳥取)

  • 『SASUKE2024 ~第42回大会~』(TBSテレビ)
    3番目のアトラクション・スクリュードライバーで、人類最初のプレーヤーとして女性プロレスラーの中野たむさんが挑戦しましたが見事に失敗。最初にチャレンジした選手が不利だと思いました。またベテラン勢はみんな50歳を超えても筋肉を鍛えていて『SASUKE』に賭ける思いが強く伝わってきました。日々の生活で気をつけていることやトレーニングなどを紹介してほしいです。(中学1年・男子・山梨)

  • 『新春スペシャルドラマ「スロウトレイン」』(TBSテレビ)
    野木亜紀子さん脚本のドラマのセリフは心にグサッとくるものが多いので、このドラマも視聴しました。とてもあたたかい話で、お正月に見るのに適しているなと思いました。悪人もいなくて、都子(多部未華子)がユンス(チュ・ジョンヒョク)にお金を渡したシーンで「絶対盗まれるじゃん」と思った自分を反省したいです。(高校1年・女子・岐阜)

  • 『明石家さんまのご長寿グランプリ2024』(TBSテレビ)
    昨年の録画と比較して視聴したが、2023年の方が面白く感じた。昨年は全国各地の「ご長寿早押しクイズ」予選会が放送されて面白い回答をたくさん見ることができたが、今年は明石家さんまさんの夢を叶える企画を放送していたので、いつも見ている番組と面白さが変わらなかった。年末だからこその「ご長寿早押しクイズ」をもっと見たかった。一般人を笑いの対象にするのは時代的に厳しくなっていると思うが、出演者の承諾を得ているなら問題ないし、制作者を信じて安心して視聴してよいと私は思う。(高校2年・女子・青森)

  • 『ゴールデンラヴィット』(TBSテレビ)
    裏で『ミュージックステーション SUPER LIVE 2024』(テレビ朝日)を放送している中あえていつもの朝のような放送をし、また通常の企画をスペシャル版にすることで、ファンだけではなく初めて見た人も楽しめた。普段の『ラヴィット』も見たいと思わせる番組だった。(高校2年・女子・東京)

  • 『ジョブチューン★新春SP!』(TBSテレビ)
    いつも自分が好んで食べているメニューが有名料理人に評価されるのが新鮮で、家族と予想しながら楽しく視聴しました。放送終了後に早速お店に行ったところ売り切れていて、母が「“テレビ離れ”と言われていても、身の回りのものがこんなふうに変化するなら、まだまだテレビって影響力持っているのね」と話していて本当にそうだと思いました。(高校3年・女子・熊本)

  • 『月曜から夜ふかし 元旦SP』(日本テレビ)
    • 印象に残ったのは、山形県の人々が年末年始を楽しみにしてない問題です。面白おかしく編集されているけれども、地域格差を浮き彫りにしていると感じました。「今まで山形は都会だと思っていたけれど、仙台に行ったときに仙台駅に圧倒されて最近諦めている」「山形は山に囲まれていて他の考え方が定着しづらく、取り残されている」という子どもたちの声がありましたが、小さな子が地元に失望している様子をみると、東京一極集中や地方の過疎化が進んでしまうのも無理はないと感じてしまいました。(中学3年・女子・東京)
    • 大人向けの番組がゴールデン帯に合わせてどう形を変えるのかに注目して視聴しました。免許合格やキックボクシングのプロテスト合格、マジックなど、新春にふさわしいめでたい話題や盛り上がる企画が多く、久しぶりに安心して家族と視聴することが出来ました。ゴールデン帯に放送する番組が安心安全に視聴できる内容である重要性を改めて感じました。(高校3年・女子・奈良)

  • 『せっかち勉強』(日本テレビ)
    一番驚いたネタは「ふなっしーは5年前から日本刀をコレクションしていて、毎月2本買い、80振り以上の刀剣が自宅に飾られている」というもの。そのイメージがなかったのでとても驚いた。(中学1年・女子・神奈川)

  • 『妄想移住ランキング』(日本テレビ)
    地方の魅力を知ることができ「住んでみたい」と心から思えた素晴らしい番組でした。豊かな自然や食べ物などの魅力を強調し紹介するだけではなく、都市からの距離や病院の有無など、我々の不安となる部分をしっかり説明してくれていました。(高校2年・男子・神奈川)

  • 『相棒 season23 元旦スペシャル』(テレビ朝日)
    登場人物が多く事件も大規模で、お正月らしく豪華だと感じました。災害に関する描写があり、1年前の能登半島地震を思い出しました。ドラマで災害によって人が亡くなるシーンを初めて見たので衝撃的でした。(高校1年・女子・愛知)

  • 『夢対決2025 とんねるずのスポーツ王は俺だ!!』(テレビ朝日)
    年末年始はいつもこの番組を見ています。様々なスポーツで豪華なメンバーが揃うので、スポーツをやりたい人も増えると思います。真剣勝負をしつつも笑いを誘う場面もありとても面白いです。リアル野球BANは駆け引きがとても面白く、鈴木誠也選手がダブルプレーを連発して大の字に倒れたシーンが印象的でした。(高校2年・男子・山口)

  • 『アメトーーク 年末SP』(テレビ朝日)
    毎年恒例の「運動できない芸人」はやっぱり面白かったです。なぜそのプレーができないのかすごく不思議で笑ってしまいます。ハンドボールのゴールに激突するシーンは本当にびっくりしました。家電芸人の企画は有名な商品や技術を紹介するだけでただの通販番組を見ている気分になるので、普段の深夜帯の放送だけでいいと思います。(高校3年・男子・埼玉)

  • 『逃走中~大みそかSP~』(フジテレビ)
    面白くて毎回見ています。出演者の作戦や絡みも個性があって、見ごたえがあります。でもミッションなどでのプレーヤー同士の密告や通報は、少しかわいそうだと思います。(中学1年・男子・山形)

  • 『新しいカギ 新春スペシャル』(フジテレビ)
    「学校かくれんぼ」に登場する学校の生徒たちがサプライズの時にすごく盛り上がるのを見ると、自分も含めて今の小・中・高校生はこの番組を視聴しているんだなと思う。スペシャルゲストが毎回豪華で、回を重ねるごとに隠れ場所がレベルアップしている所も美術担当やスタッフの方々の意気込みが感じられて面白い。コントや他の企画もどれも楽しく、大笑いしながら過ごせた2時間で、こういった学校やお笑いを主役にした番組が今後も続いてほしい。(中学2年・女子・埼玉)

  • 『お笑いオムニバスGP 2025』(フジテレビ)
    • 「史上最大のヌルヌル階段レース SUBERUNA GP 2025」は、本気で攻略しようとしている人と落ちて笑いを取る人がいて面白かったです。階段で落ちていくのは痛そうで心配になったけれど、ヌルヌルがあるから平気なのかな。第二回、三回と続いてほしいです。(中学3年・女子・神奈川)
    • 「SUBERUNA」は次々と展開してよそ見する暇もなくずっと面白かった。出演者が若手芸人ばかりでもなかったので、最近の芸人を知らない視聴者も楽しめると思った。『SASUKE』(TBSテレビ)は見ていて緊張し疲れたが、「SUBERUNA」は何度でも挑戦できるところが今の時代に合っているし純粋に楽しめた。(高校3年・男子・東京)

  • 『オールスター合唱バトル』(フジテレビ)
    これまでの努力を紹介することで“感動”が伝わってくるよい番組だった。普段はテレビよりもSNSを見ている時間の方が長いので、SNSとテレビが融合したこの番組にとても興味をもった。実際にYouTubeやInstagram、Xで番組の宣伝を見て視聴したので効果はあったと思う。また最近の曲が多く、若者のテレビ離れをくい止めてくれる番組だと思った。(高校1年・男子・長崎)

  • 『BABA抜き最弱王決定戦2025新春SP』(フジテレビ)
    他人のババ抜きを見る機会は今までなかったのでとても新鮮で面白かった。シャッフルボタンが押されるたびに試合がどうなるのかが気になり、目が離せなかった。普段クールな俳優が焦ったり、負けてものすごく悔しそうな表情をしたりするのを初めて見たので、この番組の醍醐味の一つだと思った。大富豪や七並べなどの対決も見てみたい。(高校1年・男子・兵庫)

  • 『監察医 朝顔2025新春スペシャル』(フジテレビ)
    もともと『監察医 朝顔』のドラマを見ていたので、特別ドラマが放送されると知った時は嬉しかった。主人公の娘役が小学生に成長していたり、その父親に対する態度を見て、同じ子役が出演し続けることでリアルな時間の流れを感じることができ、物語に入り込めた。(高校2年・女子・東京)

  • 『世界の秘境で大発見!日本食堂 第22弾』(テレビ東京)
    「第22弾」だが初めて視聴した。「世界の秘境」という番組名の響きだけで選んだが、想像を超えて楽しめた。スロベニアで3年間お店を出している人はスロベニア語を話せないが、客と話が通じていて驚いた。店を出したりシェアハウスで暮らすことができるのは、この人の明るい性格や態度を見て協力したいと思う人がいたからだそうで、“人間力で伝わることはある”と思った。現地の人々の役に立っている人を知ると日本に誇りを感じて好きになるから、こういった番組が増えると嬉しい。(中学3年・男子・東京)

  • 『芸能人格付けチェック!2025お正月スペシャル』(朝日放送)
    • GACKTとDAIGOを去年に引き続き同じチームにしたのは、GACKTの無言の圧がかなり絶妙でよかったと思いました。一方でチェック項目が中華の時に「町中華を不正解にする」のはよくないなと思いました。作っている人に失礼だと思います。(中学2年・男子・東京)
    • 音楽系のチェックを毎回楽しみにしています。豊嶋泰嗣さんは好きなヴァイオリニストの一人なので正座をしてチェックに挑みました。減点方式で芸能人の格付けが決まりますが、ミスをする人を不思議と応援したくなり、つい最後まで視聴してしまいます。(中学2年・女子・東京)
    • 親戚と一緒に笑いながら見ました。答え合わせをする際の不正解芸人たちのリアクションや、MCの浜田雅功さんとのやり取りが面白かったです。(高校3年・女子・栃木)

【自由記述】

  • 『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』(日本テレビ)が正月に放送されなくなって早2年ほどでしょうか。やっぱりあれがないと年を越せない気がします。番組を見てから夜に神社に行くのが僕にとっての年越しなので、来年は復活してほしいです。(高校3年・男子・埼玉)

  • 『BABA抜き最弱王決定戦2025新春SP』(フジテレビ)のコマーシャルの間に「あと90秒」とテロップが出ていたのはとても良い工夫だと思った。普段から残り時間を示せば、コマーシャルの長さに関わらず、視聴率をより高くとれると思う。(高校1年・男子・兵庫)

  • 『きっちりおじさんのてんやわんやクッキング』(BS朝日)は、ほのぼのとした雰囲気の番組を1年が終わるこの時期に家族で視聴できて楽しかったです。年末年始の家族が集まるタイミングなど、これからも継続して番組を続けてほしいです。(中学2年・女子・鳥取)

  • 『THE名門 日本全国すごい学校名鑑』(BSテレビ東京)で自分の学校が放送された。30分の放送では生徒会長を追ってばかりで、家の様子や家族インタビューまであり、学校訪問としては疑問が残った。これを見た視聴者が自分の学校のことを知ってもらえたとは思えず、とても残念だった。(高校3年・男子・東京)

  • 年末年始は毎年、ドラマの一挙放送を楽しみにしています。ただどんなに面白くても後半は集中力が切れてしまい、内容をあまり覚えていません。1日2話ずつ放送するくらいがちょうどいいと感じました。(高校1年・女子・愛知)

  • 年末年始のスペシャル番組は放送時間が長くて特別感がありますが、長尺ゆえに見飽きてしまうことも考えられます。所々に小さなコーナーをはさんだり、複数の企画を途中まで交互に放送したり、などを思いつきましたが、番組制作者がどのように工夫しているのか、普段のレギュラー放送の制作過程と違う点はどこなのか、などが気になりました。(中学3年・女子・長崎)

  • アナウンサーについて「人前に出る仕事なので容姿端麗であることが必要だ」という意見がありますが、最近は「情報を的確に視聴者に伝える」という本来の役割から脱線しているように感じます。また体調不良による欠席が目立ち、テレビ局が酷使しているのではないかとも感じます。(中学3年・女子・東京)

  • 274回BPO青少年委員会の討論の「バラエティー番組を見るうえでの“お約束”がどこまで認められるか」について、自分なりの「子どもの意見」を考えました。そもそも子どもが意見を出さない理由は「興味がない」か「それぐらい判断がつく」かのどちらかです。もし「教育に悪い」「子どものいじめにつながる」と意見する大人がいたのなら、結局のところ、子どもを盾にして自分の不満対象を排除したいとしか思えません。子どもでもそれぐらいの分別はつきますし、その程度の分別がつかない子どもはスマホでいくらでも暴力やいじめのやり方を学びますから、テレビが何をしても大した影響はないと思います。それにそんなに教育に悪いのなら、親が教育すればいい。責任転嫁と身勝手の押し付けにテレビがおびえる必要はないと思います。こうして考える機会を持つことは大事だと思いますが、テレビ局の人には頑張ってほしいです。(中学3年・男子・千葉)

【青少年へのおすすめ番組】

  • 『ワタシだけの革命史』(NHK総合)
    今まで出したCDのジャケット柄がたくさん飾られていて面白かった。(中学2年・女子・秋田)

  • 『歴史デリバリー「本の大衆化 ベストセラーの仕掛け人を追う!」』(NHK Eテレ)
    • Uber Eats風の恰好で登場するシーンは、取り上げる時代ごとの「運び屋」に扮した格好のほうが好奇心をかき立てられると思いました。(中学2年・女子・埼玉)
    • 複数の時代を説明しているので、「今回のまとめ」として年表などで表しても良いと思いました。(中学3年・女子・長崎)
    • 「豊本メモ」で少しずつ区切りのよいところでまとめて振り返ってくれるので見やすかった。(高校2年・女子・青森)
  • 『BSスペシャル「“情報”は人類を滅ぼすのか~ユヴァル・ノア・ハラリ 現代を読み解く~」』(NHK BS)
    「情報=SNSやインターネット」と思っていましたが、本や新聞も“情報”だと改めて気づかされました。学校では「インターネットは悪で、本は正しい」と教えられますが、本も間違った方向に人を動かすことがあるのだと思いました。(高校1年・女子・愛知)

  • 『KUNOICHI 2025』(TBSテレビ)
    • 最後の完全制覇のところがあっさりしすぎだと感じました。3時間かけて最後のステージが30秒で終わってしまうのは残念でした。40秒はないと面白くないと思います。(中学2年・男子・東京)
    • ホール内の実施や難易度、失敗した際に落ちるのが水ではないことなど、女性への配慮を感じた。(高校2年・女子・東京)
  • 『クイズ!国民一斉調査』(日本テレビ)
    全ての調査結果がパーセンテージを使って表されていたが、「何人中何人」の方が分かりやすいかもしれないと思った。(高校3年・女子・栃木)

  • 『日曜ビッグバラエティ サンドウィッチマンの井戸を掘る!』(テレビ東京)
    石川県では井戸掘りボランティアされている方もいて、水があると人も集まり素敵なことだと思った。どの地域にも必ず芸能人が訪れていたが、当日夕方に帰京してしまう人がいるのは非常に残念だし、まあまあ失礼ではないかと思った。(高校3年・男子・東京)

  • 『newsおかえり』(朝日放送テレビ)
    震源地近くで被災された方の中継を見て、幼い子ども達に確実に防災教育を提供する必要性があると思いました。関西圏に住んでいても、親が震災を経験していなかったり、震災を知らない人も出てきているのこの時代に、この特集は確実にメディアの伝承という重大な役割を果たし、視聴者に減災と防災について考えさせたと思います。(高校3年・女子・奈良)

  • 『実況解説野球旅~プロ野球88年世代旅!第2弾~』(BSフジ)
    野球選手の私服姿や旅をするプライベートな姿を見る機会は少ないので、番組で裏側を見られて嬉しいです。普段の試合で実況席に座っている人もゲスト出演していて、コメントをしている姿を選手たちと同じ画面に合成していたのは面白い演出だと思いました。(中学1年・男子・山梨)

  • 『劇場版「名探偵コナン 世紀末の魔術師」』(BS12 トゥエルビ)
    この作品はしっかりとした謎解きがあり、「よく見ていたら謎が分かったかも!」というハラハラ感があって良い映画だと思う。(高校3年・男子・埼玉)

  • 『キラめく!にじいろキッズ』(岐阜放送)
    知っている小学校が紹介されていて親近感がわきました。「歯磨きをしよう」というテーマで、私も小学生の時にプラークチェッカーをやったなと懐かしい記憶も思い出しました。(高校1年・女子・岐阜)

◆委員のコメント◆

【年末年始に見たスペシャル番組について】

  • 『第75回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)について「日本人の歌手に出場のチャンスを与えたほうがよい」という意見がモニターから毎年あるが、『紅白』は依然としてナショナリズム的な“磁場”があり、若い視聴者にも影響があるのだと感じた。

  • 『はじめてのおつかい』『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』(いずれも日本テレビ)や『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』(フジテレビ)など、大人の視聴者から“ダメだ”といった意見がくる番組は、子どもには人気で肯定的な意見も多いと感じた。

【自由記述について】

  • 映画『はたらく細胞』を見た高校2年生のモニターから「1、2年早く映画が公開されていれば各細胞の名前や機能を簡単に覚えられた」と報告があった。これから“マッチングの時代”になっていくので、学校の先生が「こういうことを教えたい」というときに、いい番組にマッチングでアクセスできる仕組みがあると良いと思う。

【その他:お年寄りが出演するバラエティー番組について】

  • 『明石家さんまのご長寿グランプリ2024』(TBSテレビ)を楽しく視聴したという高校2年生からの報告は考えさせられた。昔から「老人がメディアに載らない」ことは問題だと思っていたが、たとえば「ご長寿早押しクイズ」の企画が“元気に活躍しているお年寄り”といった文脈であれば、子どもも楽しみながら“年を取ることはどういうことか”を理解できるのではないか。

  • 「ご長寿早押しクイズ」はいわゆる“お年寄りを笑う番組”だと思う。高齢者世代が視聴してどう感じているのかは気になるが…。

  • 認知機能が衰えたお年寄りに対して「何度も同じことを言うな」などと怒る人がいるが、そういった寛容性の乏しい社会は良くないと思う。核家族が増えてお年寄りと若い世代が接する機会も少ないので、「こういうぼけ方もあるよね~」とむしろ笑い飛ばしてしまうのもアリだと思う。お年寄りを笑うこともあれば、逆に幼い子のへんてこりんな言動を笑うこともあって、それらを自然な現象として捉えてあまり目くじら立てないほうがよいのでは。

  • 番組制作者も今はいろいろな意見を窮屈に捉えてしまっていると思うが、「マイナスの反応があるならばトライする前にやめたほうが無難だ」といった流れになってしまうと、作り手のダイナミズムや発展がなくなってしまう。若い世代が肯定的に見ているのだし、制作現場にももう少し緩やかさや寛容性があっていいのだと思う。

今後の予定について

次回は2025年2月25日(火)に千代田放送会館BPO第一会議室で定例委員会を開催します。

以上

第335回

第335回 – 2025年1月

「調査報道に対する地方自治体元職員からの申立て」審理…など

議事の詳細

日時
2025年1月21日(火)午後2時~午後11時
場所
千代田放送会館BPO第1会議室
議題
出席者
曽我部委員長、鈴木委員長代行、廣田委員長代行、大谷委員、
國森委員、斉藤委員、野村委員、松尾委員、松田委員

1.「警察密着番組に対する申立て」審理

申立ての対象となったのは、テレビ東京が2023年3月28日に放送した『激録・警察密着24時!!』で、人気漫画・アニメのキャラクターを連想させる商品に関する不正競争防止法違反事件を取り上げ、警察の捜査の模様や2021年7月28日に執行された会社役員ら4人の逮捕場面などを放送した。
これに対し、番組で取り上げられた会社役員らは、番組の放送時点で逮捕された4人のうち3人が不起訴処分になっているにもかかわらず、その事実に言及せず、また「人気キャラクターに便乗して荒稼ぎ」「被害者面」「逆ギレ」といった過度なナレーションやテロップを付けて放送するなど、4人の名誉を著しく傷つけたなどとして申立てを行った。さらに、捜査員同士の会話や会議の様子は事後に撮影されたものであるのに、捜査の時系列に沿っているかのように番組内で構成されており、視聴者を混乱させ、許容される演出の範囲を大きく逸脱しているなどと主張している。
被申立人のテレビ東京は、不適切な放送内容が複数あったとして、お詫び放送やウェブサイトでのお詫び文掲載のほか、警察密着番組の制作中止や関係者の処分を行った。さらに再発防止策として番組チェック体制の強化や社内教育・研修の拡充などを進めていくとしている。
申立人側は、お詫び放送等の対応に一定の評価をしているものの、警察署内での事後撮影をめぐる見解の相違やテレビ東京が番組制作過程を明らかにしなかったことに納得せず、双方の交渉は不調に終わり、6月の委員会で審理入りすることが決まった。
今回の委員会では、起草委員作成の委員会決定案について、読み合わせをしながら議論を行った。

2.「調査報道に対する地方自治体元職員からの申立て」審理

申立ての対象となったのは、サンテレビが2023年9月26・27日に放送した夕方ニュース番組『キャッチ+』(キャッチプラス)で、ふるさと納税PR事業のために兵庫県下の地方自治体が出店したアンテナショップで、この自治体の元課長が現職時代に不正行為をはたらいていたという内容の調査報道ニュースを放送した。申立人は元課長で、放送内容は虚偽であり名誉を毀損されたと主張している。
9月26日放送の前編では、アンテナショップ元店長たちの内部告発をもとに、元課長が代金を支払わずに商品を飲食していたと報道した。9月27日放送の後編では、情報公開で得た資料と元店長たちの証言などをもとに、元課長の指示により、家族や知人に公金で高級牛肉などが送られていたと伝えた。
申立人の元課長は、放送などでの謝罪、インターネット上での当該ニュース動画の削除などを求めている。
被申立人のサンテレビは、元課長は電話取材に対し全てを否定したが、発言に具体的根拠はなく、元店長らの証言や伝票のコピーなどの物証からみて、放送内容は真実であり、少なくとも真実であると信じるに足る相当の理由があるとしている。また、地方自治体の管理職の地位にある公務員が、公金が投入されたアンテナショップで行った不正行為を放送したもので、公共性があり、公益を図る目的で放送したと主張している。
今回の委員会では、起草委員作成の委員会決定案について、読み合わせをしながら議論を行った。その後、決定文がまとまり2月に通知・公表を行うことになった。

3. 最新申立て状況

事務局から最新の申立て状況について説明した。

4. その他

来月開催の近畿地区意見交換会について、事務局から詳細な説明を行った。

以上

第46号

テレビ東京『激録・警察密着24時!!』『鬼滅の刃』の模倣品捜査密着事案に関する意見

2025年1月17日 放送局:テレビ東京

テレビ東京は2023年3月、『激録・警察密着24時!!』の中で「人気アニメ『鬼滅の刃』に便乗 悪質コピー商品の販売業者を追い詰めろ」として、販売業者が「不正競争防止法違反」で摘発された事件を取り上げたが、販売業者から放送内容が名誉を毀損する表現や虚偽の事実を警察官に演じさせたねつ造の疑いがあるとして抗議及び申し入れ書が送られた。これを受けてテレビ東京は2024年5月に不適切な内容が複数あったことを認め、謝罪するおわび放送をした。
委員会は同年7月「放送倫理違反の疑いがあり、詳しく検証する必要がある」として審議入りし、テレビ東京や制作会社スタッフなどを対象にヒアリングを実施。その結果、被疑者3名が不起訴になっていたことに触れなかった、『鬼滅の刃』のキャラクターを描いた商品を発注した事実はなかった、密着ドキュメントをうたいながら捜査のほとんどが事後撮影だったことなどを確認した。こうした問題について委員会は、「モザイクなどをすれば個人特定に対する配慮は足りている」とする“モザイク信仰”が人権意識を鈍らせた。また逮捕と犯罪者を安直に結びつける構図にとらわれ、ナレーションであおり、刺激的なスーパーで犯罪捜査をエンタメ化するこの番組のステレオタイプが繰り返されたなどの4つの要因を挙げた。
以上のことから本件放送は、事実と異なる内容を報じ、視聴者の信頼を裏切り、放送倫理基本綱領、民放連の放送基準及びテレビ東京の放送番組編成基準の各項目に反しているとして、放送倫理違反があると判断した。

2025年1月17日 第46号委員会決定

全文はこちら(PDF)pdf

目 次

2025年1月17日 決定の通知と公表

通知は、2025年1月17日午後2時からBPO第1会議室で行われ、
午後3時から千代田放送会館2階ホールで公表の記者会見が行われた。
記者会見には、27社51人が出席した。詳細はこちら。




第202回

第202回–2025年1月

TBSテレビ『熱狂マニアさん!』が審議入り

第202回放送倫理検証委員会は、1月10日に千代田放送会館で開催された。
9月の委員会で審議入りした毎日放送の『ゼニガメ』については、先月の委員会で意見書の原案が議論されたのを受け、今回は担当委員から意見書の修正案が提出された。他の委員から複数の質問や意見が出され、次回の委員会までに再修正案を作成することになった。
TBSテレビが2024年10月19日に放送したバラエティー番組『熱狂マニアさん!』の中で、約2時間にわたりインテリア小売業大手「ニトリ」のマニアを特集し放送した。放送後、BPOに視聴者から「番組全編で1社を取り上げ価格や商品名も紹介しており、番組の提供にも社名が入りCMを流していた。これは番組といいながら、明らかに広告ではないのか」という声が寄せられた。委員会は、12月と1月の2回にわたり議論した結果、番組内容や制作過程に「番組と広告の違い」等を含む放送倫理上の問題がなかったかを詳しく検証する必要があるとして審議入りを決めた。
12月にBPOに寄せられた視聴者・聴取者意見などが報告された。

議事の詳細

日時
2025年1月10日(金)午後4時~午後6時20分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、
大石委員、大村委員、長嶋委員、西土委員、毛利委員、米倉委員

1. 毎日放送『ゼニガメ』について審議

毎日放送は、2024年7月17日に放送したローカルバラエティー番組『ゼニガメ』で、出張買取業者に密着取材する企画を放送したが、翌日に番組に事実と異なる放送があったことを公表し、謝罪した。さらに2023年11月と2024年5月の放送分にも事実と異なる内容があったことが判明し、9月4日に「一部事実と異なる内容があった」とする調査結果を発表し謝罪した。委員会は9月に審議入りを決め、12月には担当委員が作成した意見書原案が提出された。今月の委員会では、担当委員から修正案が出され、他の委員から複数の質問や意見が出された。
次回委員会までにさらなる検討を進め、担当委員が再修正案を提出する。

2. TBSテレビ『熱狂マニアさん!』について審議

TBSテレビは、2024年10月19日の19時から約2時間にわたりバラエティー番組『熱狂マニアさん!』の中で、インテリア小売業大手「ニトリ」のマニアを特集し放送した。番組は「ニトリマニアが集結!1万点からベスト3 名もなき家事が今夜消滅!」と題して、ニトリの商品を使った時短料理や収納テクニックなどを全編にわたり放送する内容だった。
放送後、BPOに視聴者から「番組全編で1社を取り上げ価格や商品名も紹介しており、番組の提供にも社名が入りCMを流していた。これは番組といいながら、明らかに広告ではないのか」という声が寄せられた。この視聴者意見を受けて11月の検証委員会で議論をした際に、2024年になってからニトリを3回(1月13日、6月1日、10月19日)番組で取り上げていることが判明したため、当該放送局に対してそれらの番組DVDと報告書を求め、12月6日に報告書が提出された。
TBSテレビの報告書によると、これまで当該番組は、ある特定のジャンルに関して、並外れた熱意や愛情を注いでいるマニアが、熱狂していることや好きなものを紹介する番組で、近時はコロナ禍による巣ごもり需要により、コンビニやスーパー、大手日用雑貨店への興味関心がファミリー層などで高まったことを受け、「時短料理術」や「清掃・収納術」など、人気有名企業の商品活用法に詳しいマニアを番組が発掘し、単なる商品紹介ではない、衣食住にまつわる「生活の知恵」を幅広い視聴者に届けてきたという。
委員会は、12月と1月の2回にわたり議論した結果、番組内容や制作過程に「番組と広告の違い」等を含む放送倫理上の問題がなかったかを詳しく検証する必要があるとして審議入りを決めた。今後は当該放送局の関係者からヒアリングを行うなどして審議を進める。

3. 12月の視聴者・聴取者意見を報告

12月に寄せられた視聴者・聴取者の意見では、亡くなった人の報じ方について意見が多く寄せられた。俳優が自宅で亡くなっているのが見つかった件では、当日に遺族にカメラを向け心境を聞くことの何がジャーナリズムなのか疑問に思うなどの意見が、北九州市のファストフード店で中学生が刺され死亡した件では、被害者の名前や顔写真が繰り返し報道されたことが人権蹂躙ではないかなどの批判が寄せられた。この他、タレントが女性とトラブルを起こしていたことが分かったことについて意見が多く寄せられ、タレントがMCをしている番組は打ち切りにすべきだ、実態を調査して再発防止策をたててほしいなどの意見があったことを事務局から報告した。

以上

2025年1月10日

TBSテレビ『熱狂マニアさん!』が審議入り

TBSテレビは、2024年10月19日(土)の19時から約2時間にわたりバラエティー番組『熱狂マニアさん!』の中で、インテリア小売業大手「ニトリ」のマニアを特集し放送した。番組は「ニトリマニアが集結!1万点からベスト3 名もなき家事が今夜消滅!」と題して、ニトリの商品を使った時短料理や収納テクニックなどを全編にわたり放送する内容だった。
放送後、BPOに視聴者から「番組全編で1社を取り上げ価格や商品名も紹介しており、番組の提供にも社名が入りCMを流していた。これは番組といいながら、明らかに広告ではないのか」という声が寄せられた。この視聴者意見を受けて11月の検証委員会で議論をした際に、2024年にニトリを3回(1月13日、6月1日、10月19日)番組で取り上げていることが判明したため、当該放送局に対してそれらの番組DVDと報告書を求め、12月6日に報告書が提出された。
TBSテレビの報告書によると、これまで当該番組は、ある特定のジャンルに関して、並外れた熱意や愛情を注いでいるマニアが、熱狂していることや好きなものを紹介する番組で、近時はコロナ禍による巣ごもり需要により、コンビニやスーパー、大手日用雑貨店への興味関心がファミリー層などで高まったことを受け、「時短料理術」や「清掃・収納術」など、人気有名企業の商品活用法に詳しいマニアを番組が発掘し、単なる商品紹介ではない、衣食住にまつわる「生活の知恵」を幅広い視聴者に届けてきたという。
委員会は、12月と1月の2回にわたり議論した結果、番組内容や制作過程に「番組と広告の違い」等を含む放送倫理上の問題がなかったかを詳しく検証する必要があるとして審議入りを決めた。今後は当該放送局の関係者からヒアリングを行うなどして審議を進める。

2024年12月に視聴者から寄せられた意見

2024年12月に視聴者から寄せられた意見

中学生殺傷事件や韓国非常戒厳など報道のあり方に対して意見が寄せられました。

2024年12月にBPOに寄せられた意見の総数は1,917件で、先月から509件減少しました。
意見のアクセス方法は、ウェブ 87.7% 電話11.5% 郵便・FAX 0.8%
男女別は、男性 58.3% 女性 22.5% 無回答 19.2%で、世代別では10代 1.3% 20代 6.5% 30代 17.4% 40代 23.9% 50代 26.0% 60代 13.0% 70歳以上 3.2%
視聴者意見のうち、個別の番組や放送局に対するものは当該局へ個別に送付します。12月の個別送付先は30局で、意見数は749件でした。放送全般に対する意見は199件で、その中から13件を選び会員社すべてに送りました。

意見概要

番組に関する意見

中学生2人が殺傷された事件や韓国の非常戒厳の報道について意見が寄せられました。また、兵庫県知事選をめぐる報道番組や参議院議員宅火災の映像の使用について引き続き意見が寄せられました。
ラジオに関する意見は35件、CMについては9件でした。

青少年に関する意見

2024年12月中に青少年委員会に寄せられた意見は62件で、前月から2件増加しました。
今月は「要望・提言」が21件と最も多く、次いで「報道・情報」が14件で、以下「表現・演出」の11件などが続きました。

意見抜粋

番組に関する意見

  • 北九州市で起きた中学生2人の殺傷事件。死亡した被害者の顔写真や動画が何度も繰り返し放送されている。家族や友人たちはどんな思いで見るだろうか。被害者のプライバシーや人権についてもう一度考えてほしいと思った。

  • 被害者と加害者の情報量の差に違和感を覚える。被害者の情報はそこまで伝える必要があるのかというほどに詳しく報道されるのに対して加害者の情報は少ない。北九州市の事件では、被害者の生活や映像を繰り返し伝えることよりも、容疑者が映っていただろう防犯カメラの映像を探し出し報道することが重要なのではないか。

  • 韓国大統領が突然発した非常戒厳。字幕スーパーによる速報だけではなく、通常の番組を中断して報道特別番組を放送すべきだったのではないか。公共の電波を預かっているという自覚が足りないのではないか。テレビ離れがますます進むのではないかと危惧する。

  • 兵庫県知事選をめぐるさまざまな事象を振り返る報道番組。あらためて選ばれた知事とその選挙運動に対する一方的な批判に終始した印象で、中立公平な報道ではないと感じた。

  • 兵庫県知事選の結果にはSNSが影響したと言われているが、SNS上に流れた膨大な量の情報のうち、何が事実で何がフェイクだったのか、テレビ番組が検証すべきだと思う。

  • 参議院議員宅の火災で、炎のそばで人影が動く映像を使用したことは行き過ぎた報道ではなかったか。心理的に大きなショックを受けた視聴者も少なくないと思う。

  • 有名タレントの突然の死。直後に家族の自宅を訪れマイクを向ける番組があったが、その取材は本当に必要なのだろうか。公共性があるのだろうか。同様に、事件の被害者家族への直撃取材についても必要性に疑問を感じることがある。

  • 週刊誌で女性とのトラブルが報じられた人気タレントが出演予定の番組について、そのまま放送されるかどうかが話題となっている。出演場面をそのまま放送した番組があったが少し違和感を覚えた。

  • 人気タレントの女性とのトラブルについてテレビ各社が報じないことが不可解。レギュラー番組を多数持っているタレントなのだから、裏付け取材を行い知り得た事実を報道すべきなのではないか。

  • テレビはSNSにはフェイクが多いと批判するが、一方で、国内だけでなく海外のスマホ動画を含めSNS上に流れる映像を使って番組を作っている。その中にフェイク動画やフェイクニュースが無いと言い切れるのだろうか。

  • SNSで批判の声が集中している番組は見たくなくなってしまう。SNS上の言いっぱなしを放置せず、番組やHPなどで放送局の意見を聞かせてほしい。放送局は視聴者とのコミュニケーションをもっと大切にしてほしい。

  • 出演者を「一流国立大学卒」「有名私立大学卒」などとグループ分けするバラエティーが多すぎてうんざりする。学歴偏重の風潮を助長する可能性もあると思う。

青少年に関する意見

【「要望・提言」】

  • 虐待をテーマにしたドラマが多すぎて心がすさむ。普通の恋愛ドラマにも虐待シーンが出てきて違和感を覚える。虐待は弱きものの悲しみであって、それをドラマの視聴率稼ぎのネタにするべきではない。

  • 私は中学生で、授業で情報リテラシーについて学んでいる。先生は「マスメディアの言うことを鵜呑みにしてはいけない。インターネット配信のライブストリーミング番組が、実はいちばん公平な報道をしている」と話していた。放送局の人たちは重く受け止めてほしい。

  • 「子どもが真似する」「教育上よくない」というクレームで当たり障りのない番組ばかりになった結果、子どもが不確実な情報や不適切なコンテンツが氾濫するインターネットに移ってしまうのは本末転倒だ。本来は保護者が説明してやるべきなのに、それをやらずにテレビ局にクレームを入れるのは家庭教育の放棄だと思う。

【「報道・情報」に関する意見】

  • 多くのテレビ局が北九州中学生殺傷事件で亡くなった女子中学生の氏名や顔写真などを紹介した。全国放送で個人情報が拡散されることは気の毒に思う。今の時世に合わないだろう。

【「表現・演出」に関する意見】

  • お笑い芸人に競わせる番組で、決勝に進んだ3組の女性芸人がネタを披露した。1組目は「うんこ」、2組目は「たまきん」、最後が「おっぱい」。これが一番おもしろいネタなのか。家族で一緒に、子どもも見ることを考えてほしい。

【「編成」に関する意見】

  • 子どもたちが日曜日の人気アニメ番組を楽しみにしている。新年度4月からの改編で、放送開始が日曜午前9時半から深夜11時15分になるという。深夜では子どもたちは起きていられない。午前に戻すか、夕方に移してほしい。

【「食べ物」に関する意見】

  • ニュースや情報番組でもグルメの紹介コーナーがある。アナウンサーやリポーターが大きく口を開けて食べ物を入れ、それが入ったままコメントする。とても見苦しい。テレビは子どもも見ている。食べ物を口に入れたままで話さないという正しいマナーを見せてほしい。

第274回

第274回-2024年12月16日

「水を張った洗面台に顔面を押し付けるドッキリ企画」などについての「討論」…など

2024年12月16日、第274回青少年委員会を千代田放送会館BPO第一会議室で開催し、榊原洋一委員長をはじめ、8人の委員全員が出席しました。
会議ではまず、「痛みを伴うことを笑いの対象とする」演出が顕著だったバラエティー番組について、前回11月の委員会に引き続き、「討論」が行われました。
11月後半から12月前半までの1カ月の間に寄せられた視聴者意見について担当の委員から報告がありました。
12月の中高生モニター報告のテーマは「最近見たアニメについて」でした。
委員会ではこれらの視聴者意見や中高生モニター報告について議論しました。
最後に今後の予定について確認しました。

議事の詳細

日時
2024年12月16日(月)午後4時00分~午後6時30分
放送倫理・番組向上機構BPO第一会議室(千代田放送会館7階)
議題
「水を張った洗面台に顔面を押し付けるドッキリ企画」などについての「討論」
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
今後の予定について
出席者
榊原洋一委員長、吉永みち子副委員長、飯田豊委員、池田雅子委員、
佐々木輝美委員、沢井佳子委員、髙橋聡美委員、山縣文治委員

「水を張った洗面台に顔面を押し付けるドッキリ企画」などについての「討論」

11月の委員会に引き続き、バラエティー番組でピンポン球を上半身はだかの男性芸人に高速で打ち付ける企画と、同番組の企画で、「水攻め」と称してターゲットの男性芸人の顔面を水を張った洗面台に押し付けるドッキリ企画について「討論」が行われました。
ある委員は「当委員会のいちばん大きな特徴は『放送局と視聴者との間の回路になる。一緒に考えましょう』というところにあって、そこは絶対に大事な核として維持しなければならないと思う。それを踏まえて何ができるかを考えるべきだ」としたうえで、「新たな見解やコメントを出す前に(放送局の制作担当者との)対話の機会を設けるべきだろう」と述べました。
別の委員は「バラエティー番組を見るうえでの『お約束』というべきものが、視聴者との間で通用しなくなっている。これは若者のテレビ離れという現象の表れのひとつかもしれない。(10月の委員会で議論になった)バラエティー番組でのファッションチェックの企画の場合、審査員は辛口というのが『お約束』だったわけだが、そのことが今は通用しなくなって、批判的な意見がたくさん来た。『お約束』が通用しなくなった状況を制作者側と共有することがいちばん大事だと思う」と指摘しました。
さらに別の委員は「委員会として(見解やコメントなどで)もう一度意見を言うとしても、結局、屋上屋を架する感じになってしまい、その次の対応ができなくなる懸念がある。今回は(制作者側に対して)『バラエティー番組の制作がさまざまな厳しい制約の下に置かれていることを踏まえて、共に考えていく機会を設けましょう』と呼びかけて、勉強会なり研修会などを企画してはどうか」と提案しました。
一方、子どもの視聴者の視点も加味すべきだとしてほかの委員は「意見を多く出すのは大人ばかりだ。子どもからはほとんど来ない。『子どもの意見どおりに動きましょう』ということではないが、子どもがテレビのこういう状況をどう見ているのかを知る機会を設けられないか」と述べました。
この問題については次回以降も「討論」を継続することになりました。

視聴者からの意見について

11月後半から12月前半までの1カ月の間に寄せられた視聴者意見について担当の委員から報告がありました。
平日夕方の報道番組で、自民党参議院議員の自宅マンションから出火し議員の家族2人が焼死した火災を報じる際、炎に包まれたベランダで家族と見られる人影が火に液体をかけているような映像が「視聴者提供」として放送され、視聴者から「あまりにショッキングな映像だ」などの意見が寄せられました。
担当委員は「たしかにショッキングな映像だったが、子どもに対する影響というより、(報道機関として『視聴者提供映像』使用の)一般的な判断に関わることなので、当委員会での検討事案ではないだろうと思う」と説明しました。
10代の中学生から「学校の授業で情報リテラシーを学んでいるが、先生が『マスメディアの言うことを鵜呑みにしてはいけない』『インターネット配信のライブストリーミング番組が実はいちばん公平な報道をしている』と話していた」との意見がありました。
ある委員は「これだけで判断してはいけないと思うが、学校でのリテラシー教育が十全なものではないということだから、子どもたちを誰がどのようにケアすべきかは大きな課題だろう」と述べました。
担当委員は「(SNSなどのネット空間では)『オールドメディアはだめだ』などマスメディアに対する逆風が強くあって、学校の教員のなかにもそういう感覚の人がいるのかもしれない。大人である教員の認識がそうだと、子どもたちに『信頼できるのはもはやテレビではない』という価値観を伝えてしまうのだろう」と指摘しました。
このほかに大きな議論になる番組はなく、「討論」に進むものはありませんでした。

中高生モニター報告について

12月のテーマは「最近見たアニメについて」で、合わせて16番組への報告がありました。
複数のモニターが取り上げた番組は『アオのハコ』(TBSテレビ)、『クレヨンしんちゃん』『ブルーロック』(いずれもテレビ朝日)、『ちびまる子ちゃん』『サザエさん』(いずれもフジテレビ)、『名探偵コナン』(読売テレビ)で、作画やストーリー展開についての意見などが届いています。
「自由記述」にはアニメに関する意見のほか、選挙関連番組や放送上の演出についての意見も寄せられました。
「青少年へのおすすめ番組」では『がっちりマンデー!!』(TBSテレビ)に8人から、『今夜はナゾトレ』(フジテレビ)に6人から、『犬のお仕事~ニュージーランド編~』(NHK BS)に3人から感想が届いています。

◆モニター報告より◆

【最近見たアニメについて】

  • 『チ。~地球の運動について~』(NHK総合)
    今の我々の生活では、例えばLGBTQの問題に代表されるように、過去の価値観に過度にとらわれることが問題を引き起こす事例が多く起こっている。このアニメは、常識に過度にとらわれすぎる私たちの普段の行動に疑問を呈するとともに、正しい常識との向き合い方について教えてくれる作品だと思う。(高校1年・男子・兵庫)

  • 『科学×冒険サバイバル』(NHK Eテレ)
    子どもから大人まで分かりやすく学べると思う。イラストでウイルスの説明があったのは分かりやすかった。番組の最後に“今回の振り返り”があると学びを定着できてもっと良くなると思った。(中学2年・女子・鳥取)

  • 『アオのハコ』(TBSテレビ)
    • 高校生という青春の時期だからこその感情を、アニメーションと声優の方々の声が綺麗に包み込んでいたので、感情移入しやすく胸が熱くなった。アニメーションが水彩のような透明感のある絵で、1人1人の表情がまっすぐに伝わりやすいと思う。背景のリアルな描き方とキャラクターのアニメ感ある描き方が時々噛み合わず少し違和感が残る場面もあったが、丁度よい対比にも感じられるので、今季で一番刺さるアニメだと思った。(中学2年・女子・埼玉)
    • シーンの一つ一つがリアルでありそうな場面が多く、見ていてドキドキしました。第10話ではプール掃除の用具片付けのシーンで、猪股大喜が鹿野千夏の腕を思わず掴んだところがドキドキしました。(高校2年・男子・山口)

  • 『勇気爆発バーンブレイバーン』(TBSテレビ)
    想像していた以上にリアル志向のアニメで驚きました。往年のロボットのような見た目をしているのは主人公のロボットだけで、それ以外はリアル調のロボットや実在する兵器が登場するため温度差がすごかったです。久しぶりにリアルタイムで最終回までテレビにかじりついて見ていました。『機動戦士ガンダム 水星の魔女』(毎日放送)以来の、熱中して見たアニメでした。(中学3年・男子・千葉)

  • 『ラーメン赤猫』(TBSテレビ)
    登場人物が少ないので取っつきやすく気軽に見ることができました。設定や雰囲気から子ども向けのアニメだと最初は思っていましたが、働くことの意味や労働契約の大切さを教えてくれる、考えさせられる番組だと思いました。(高校1年・女子・愛知)

  • 『聲の形』(日本テレビ)
    タイトルの「聲」が「声」ではないのは、気持ちを伝えるのは声だけではないという意味が込められているからだと思いました。小学生の頃に一度観たことがある映画ですが、時間が経つとこんなに感じ方が違うのかとびっくりしました。自分の心の成長を感じました。(高校1年・女子・岐阜)

  • 『薬屋のひとりごと』(日本テレビ)
    このアニメがとても好きで、コミカライズ版も読むほど主人公の猫猫(まおまお)に惹かれています。自分をしっかり持ち、広い視野と多くの知識を持って判断・考察をする猫猫のような人になれるよう、これからも勉学に励みたいです。また身分を示す位の構成は初心者でも分かるように簡略化されていて、中国ドラマよりもポップな感じの物語で安心して見ることができます。(高校2年・女子・愛媛)

  • 『クレヨンしんちゃん』(テレビ朝日)
    刺激的なところが好きで、小学生の頃はレンタルビデオ店で何度も借りた。時事ネタも多く、特に印象に残っているのは2014年3月7日放送の「消費税が上がるゾ」というお話だ。現実とリンクしていて実際に4月から消費税の引き上げがあった。小学1年生が消費税の仕組みを理解するのは困難だが、アニメーションによる可視化で私でも理解することができた。(高校2年・女子・青森)

  • 『ブルーロック』(テレビ朝日)
    • 良い意味で期待を裏切ってくるので毎週の放送が楽しみだ。サッカーを知らない私でも技やレベルの高さが分かるように説明してくれるし、「自分の挑戦を自分で見つける」「本番のアドリブ力の強さ」といった人が強くなるためのキーワードが多く出てきて心の強さや柔軟な考え方も大切だと伝わってくる。(中学1年・女子・鹿児島)
    • プレイヤーが自分の殻を破り“エゴ”をむき出しにするシーンや、各々の武器を活かしたスーパープレーは、実際の試合を見ているような感覚になります。主人公が「自己の分析」や「考え方」をうまく言語化できていて、目標に対して「どうすれば成し遂げられか」を常に考えているので、僕も真似しようと思いました。(高校2年・男子・神奈川)

  • 『ちびまる子ちゃん』(フジテレビ)
    • 最近視聴していなかったので、まるちゃんの声が変わっていて驚きました。前の声優さんの声は昭和っぽさがありましたが、現在の声優さんは最近のアニメの声という感じがして、時代の変化を感じました。(中学3年・女子・東京)
    • 『ちびまる子ちゃん』は小学生の頃まで視聴していたが、今回久しぶりに見て、まるちゃんは意外と辛辣なことをサラッと言っていたのだと気がついた。テレビの型や値段設定など、漫画開始当時のまま現在も放送され続けているところはすごく歴史を感じられていいなと思った。(高校2年・女子・東京)
    • 「よその家がうらやましい」回は高校生の私にも響くものでした。「よその人たちもそれぞれの環境で自分なりに頑張っているから、自分もこの境遇で楽しんで生きていこう」というメッセージがあったと思います。数年ぶりに視聴して、子どもだけでなくいろいろな世代が様々な受け取り方ができると思いました。今回はTVerで一人で視聴しましたが、また家族と一緒にテレビで視聴したいです。(高校3年・女子・熊本)
  • 『サザエさん』(フジテレビ)
    • 登場人物の名前もキャラクターも知りませんでしたが長く続いているアニメなので視聴しました。お母さんがよく言う「昭和の感じ」「昭和みたい」の意味が分からなかったのですが、『サザエさん』を見て「昭和みたい」だと思いました。かなり大人数で住んでいてコタツを囲んで話をしたり、裏の家の人と話をしたり、おばあちゃんと若いお母さんが一緒に台所に立ったり、おじいちゃんと若いお父さんが割と早く帰宅したりしていて、子どもたちが学校から帰るとお母さんたちが家にいるのには驚きました。30分のアニメですが“昭和”のことを考えながら視聴することができました。(中学1年・男子・山梨)
    • 幼い頃から見ているお気に入りのアニメですが、高校生になって視聴する機会が減っていました。39年ぶりに新キャラクターが登場するとSNSで多く取り上げられていたので視聴しました。良くも悪くも昭和時代の家族形態をよく表していて、家族団らんのシーンは昭和ならではだと感じられて良いのですが、『サザエさん』には性別役割分業が残っています。私としてはマスオさんが料理をしたり、サザエさんがパートなどをしたりするシーンも見たいです。(高校3年・女子・奈良)

  • 『鬼滅の刃 桂稽古編』(フジテレビ)
    映像がとてもきれいで、景色や和服といった日本の美しさを改めて感じました。でも頭が飛んだり体が燃えたり刀で血が飛び散ったりなど残酷なシーンがあって、たとえ深夜放送で13歳以上が対象でも録画視聴する子どももいると思うので、テレビは映画より規制が難しいと思いました。今回の内容は原作のストーリーが中途半端な所で分割され、戦いもなくつまらなく感じました。スト―リーと曲のイメージも合っていませんでした。(中学2年・女子・秋田)

  • 『夜桜さんちの大作戦』(毎日放送)
    私の推しアニメです!作画もいいし原作を壊さずにストーリーを作っていて、とても見やすいです。武器の描写が多いですが、きちんと表現出来ていてすごいと思いました。(中学1年・男子・山形)

  • 『歴史に残る悪女になるぞ』(毎日放送)
    転生モノで「悪女に転生したので破滅しないようにしたけれど結局まきこまれてしまう」というストーリーはよく見るが、「自分から悪女になろうとする」ものは見たことがなく、新鮮味があって面白かった。(中学1年・女子・神奈川)

  • 『名探偵コナン「乱歩邸殺人事件」』(読売テレビ)
    • グロテスクな絵が少なく、殺人事件のシーンでも気持ち悪くならないところが良いです。また災害時などに役立つような豆知識が豊富なところも良いところだと思います。原作回はキャラクターが豊富でとても面白いですが、アニメオリジナル回はいつも麻酔銃で誰かを眠らせて事件を解決するワンパターンなので、バリエーションをもう少し増やしてほしいです。(中学2年・男子・東京)
    • 実在する場所がアニメに登場するのはスペシャル感が強くて良いと思います。このようなコラボを沢山制作すれば、日本のアニメをより海外にアピールできると思います。(中学2年・女子・東京)

【自由記述】

  • アニメは動画配信サイトで先行配信されるので、テレビで視聴する機会が減っていると感じる。テレビが先行放送やオリジナルストーリーの放送をするなど、独自性を出す必要があると思う。(高校1年・男子・長崎)

  • 小学生の頃、子どもの日に『ドラえもん』『クレヨンしんちゃん』(いずれもテレビ朝日)が放送されなかったのがショックだった。子どもの日には子ども向けの番組をメインに放送してほしい。(高校2年・女子・青森)

  • 小さい子どもはアニメを通して学んだり大きな影響を受けたりするので、ある程度対象年齢を絞る方が、子どもの発達に合わせたアニメが制作できるのではないかと考えています。視聴者の年齢層や影響などをどのように考え、伝えたいこととのバランスをどう取りながらアニメ制作を進めているのか気になります。(中学3年・女子・長崎)

  • 選挙で若者の投票率が低いというニュースをよく見るが、選挙に行かない人は「あまり政治が分からない」という人が多いのだと思う。ニュース番組の中で政治や選挙の仕組みに触れる機会を作り、毎日少しずつ政治用語や言葉の意味を噛み砕いて伝えてほしい。意味が分かる方がニュースを見ようと思うし、さらに疑問が湧いてくるので、政治に関心を持つ人が増えると思う。(中学2年・女子・鳥取)

  • 兵庫県の斎藤元彦知事に対して多くのマスコミが批判的な報道(おねだり疑惑やパワハラ疑惑)をしていたのに再当選したことは、多くの日本人がテレビや新聞の報道を信用していないという事実が浮き彫りになったように感じました。また国境なき記者団が毎年発表する「報道の自由度ランキング」で日本は今年70位に下落してして、このままマスメディアの信頼がなくなり日本人の主な情報源がSNSになってしまったら、フェイクニュースや悪意のあるデマ、それによる暴動や治安悪化を招きかねないので、やはり信頼できる放送機関の存在は大切だと思います。報道のあるべき姿について、今一度考える必要があると思います。(中学3年・女子・東京)

  • 闇バイトについて。夕方のNHKニュースで特集(犯人の証言や闇バイトに手を染めるまで)しても10代の子どもは視聴できない時間なので、TikTokなどでQRコードを配信してニュースへ誘導するとよい。“闇バイト”という名称を変更して、重犯罪だというイメージを若者に定着させてほしい。(中学2年・女子・東京)

  • 『ベストアーティスト2024』(日本テレビ)でAぇ!groupがファンに囲まれた360°ステージでパフォーマンスをしていたのですが、高さがなく柵で区切られただけなのでファンの顔とかぶってよく見えないなど、ステージ構造を見直してほしいと思いました。動物園にしか見えなくてアーティストへのリスペクトも足りないと思いました。(中学3年・女子・神奈川)

  • 私が住んでいる地域では、テレビ朝日系列で日曜の午前10時に『懐ドラマ』という枠があります。私が生まれる前のドラマが再放送されていることもあり、毎週楽しみにしています。深夜帯でもいいので、全国放送でもこのような取り組みをすると面白いと思います。(高校1年・女子・愛知)

【青少年へのおすすめ番組】

  • 『犬のおしごと~ニュージーランド編~』(NHK BS)
    今まで知らなかった犬の仕事を知ることができましたが、犬たちが長時間働かされているのではないかと心配になりました。犬たちにストレスや負荷をかけないように、どのような取り組みがされているのかも紹介してほしいです。(高校1年・女子・愛知)

  • 『がっちりマンデー!!』(TBSテレビ)
    • ナレーションの声が聞きやすかったです。(中学1年・女子・神奈川)
    • 番組の最後に『出張!がっちりマンデー!!』の宣伝をしていた。この番組を最後まで見た後、行きたいと思った。(高校2年・女子・青森)

  • 『今夜はナゾトレ』(フジテレビ)
    世界が感動する日本のスゴい文房具の紹介でした。普段何気なく使っている文房具ですが、私たちが不自由なく使うための発明や生産工程の工夫が凝らされているんだと思いました。(高校3年・女子・栃木)

  • 『わが校自慢!VS.ハイスクール』(毎日放送)
    北野高校(大阪)と興国高校(大阪)の対決がとても面白かった。高校生が学年を超えて協力しているところに青春を感じ、自分もやってみたいと思った。それぞれの勝負に勝った高校の生徒たちが感激していたところはドラマのようだった。同じ高校生としてみんなが楽しそうに練習しているところがとてもうらやましかった。(高校1年・男子・兵庫)

◆委員のコメント◆

【最近見たアニメについて】

  • 中高生は作画にもストーリーにも現実的な要素を求めていると感じた。

  • 「アニメを見ることが少なくなった」という報告が意外と多いと感じた。

  • 『勇気爆発バーンブレイバーン』(TBSテレビ)を見たが、勇気・友情をテーマに自衛隊のパイロットと米軍のパイロットが協力して戦うストーリーが美しく描かれていた。ただ、いま国内で「防衛力強化」「軍事力増強」といった議論が出ている中で、そういったテーマに問題意識を持たず無条件に受け入れる雰囲気が醸成されていくのではないかという怖さがあると感じた。

  • サブスクリプションでのコンテンツ視聴が定着しつつある中で、コンテンツメーカーである放送局の存在感が明らかに薄くなっていると感じる。特にアニメやドラマでは顕著で、どこの放送局が制作しているのかをほとんどの視聴者が意識していない現状があると思う。

【自由記述について】

  • 「“闇バイト”という名称を変更してほしい」という意見があったが、“闇”よりも“バイト”という響きの方が耳に残りやすいため若い人たちは“闇バイト=アルバイト”と認識してしまう懸念がある。マスコミはこういった言葉をもっと丁寧に扱うべきだと思う。

今後の予定について

次回は2025年1月28日(火)に千代田放送会館BPO第一会議室で定例委員会を開催します。

以上

2024年12月25日

2024年12月25日

年末年始のBPOの業務について

BPOでは、2024年度年末年始の業務対応を次のとおりといたします。

  • 業務は、年内は12月26日(木)まで、新年は1月6日(月)からです。
  • 12月27日(金)~1月5日(日)は、視聴者応対電話を休止します。休止期間中、投稿フォーム・ファクスの受信は行いますが、対応は1月6日(月)の業務再開後となります。
  • 放送人権委員会のお問い合わせ電話は、年内は12月27日(金)まで、新年は1月6日(月)からです。

第334回

第334回 – 2024年12月

「調査報道に対する地方自治体元職員からの申立て」審理…など

議事の詳細

日時
2024年12月17日(火)午後3時~午後7時
場所
千代田放送会館BPO第1会議室
議題
出席者
曽我部委員長、鈴木委員長代行、廣田委員長代行、大谷委員、
國森委員、斉藤委員、野村委員、松尾委員、松田委員

1.「警察密着番組に対する申立て」審理

申立ての対象となったのは、テレビ東京が2023年3月28日に放送した『激録・警察密着24時!!』で、人気漫画・アニメのキャラクターを連想させる商品に関する不正競争防止法違反事件を取り上げ、警察の捜査の模様や2021年7月28日に執行された会社役員ら4人の逮捕場面などを放送した。
これに対し、番組で取り上げられた会社役員らは、番組の放送時点で逮捕された4人のうち3人が不起訴処分になっているにもかかわらず、その事実に言及せず、また「人気キャラクターに便乗して荒稼ぎ」「被害者面」「逆ギレ」といった過度なナレーションやテロップを付けて放送するなど、4人の名誉を著しく傷つけたなどとして申立てを行った。さらに、捜査員同士の会話や会議の様子は事後に撮影されたものであるのに、捜査の時系列に沿っているかのように番組内で構成されており、視聴者を混乱させ、許容される演出の範囲を大きく逸脱しているなどと主張している。
被申立人のテレビ東京は、不適切な放送内容が複数あったとして、お詫び放送やウェブサイトでのお詫び文掲載のほか、警察密着番組の制作中止や関係者の処分を行った。さらに再発防止策として番組チェック体制の強化や社内教育・研修の拡充などを進めていくとしている。
申立人側は、お詫び放送等の対応に一定の評価をしているものの、警察署内での事後撮影をめぐる見解の相違やテレビ東京が番組制作過程を明らかにしなかったことに納得せず、双方の交渉は不調に終わり、6月の委員会で審理入りすることが決まった。
今回の委員会では、起草委員作成の委員会決定案について、議論を行った。

2.「調査報道に対する地方自治体元職員からの申立て」審理

申立ての対象となったのは、サンテレビが2023年9月26・27日に放送した夕方ニュース番組『キャッチ+』(キャッチプラス)で、ふるさと納税PR事業のために兵庫県下の地方自治体が出店したアンテナショップで、この自治体の元課長が現職時代に不正行為をはたらいていたという内容の調査報道ニュースを放送した。申立人は元課長で、放送内容は虚偽であり名誉を毀損されたと主張している。
9月26日放送の前編では、アンテナショップ元店長たちの内部告発をもとに、元課長が代金を支払わずに商品を飲食していたと報道した。9月27日放送の後編では、情報公開で得た資料と元店長たちの証言などをもとに、元課長の指示により、家族や知人に公金で高級牛肉などが送られていたと伝えた。
申立人の元課長は、放送などでの謝罪、インターネット上での当該ニュース動画の削除などを求めている。
被申立人のサンテレビは、元課長は電話取材に対し全てを否定したが、発言に具体的根拠はなく、元店長らの証言や伝票のコピーなどの物証からみて、放送内容は真実であり、少なくとも真実であると信じるに足る相当の理由があるとしている。また、地方自治体の管理職の地位にある公務員が、公金が投入されたアンテナショップで行った不正行為を放送したもので、公共性があり、公益を図る目的で放送したと主張している。
今回の委員会では、起草委員作成の委員会決定案について、読み合わせをしながら議論を行った。

3. 最新申立て状況

事務局から最新の申立て状況について説明した。

4. その他

来年2月に開催予定の近畿地区意見交換会に関して、事務局から開催概要と検討しているテーマについて説明を行った。

以上

第201回

第201回–2024年12月

テレビ東京『激録・警察密着24時!!』委員会決定を通知・公表へ

第201回放送倫理検証委員会は、12月13日に千代田放送会館で開催された。
7月の委員会で審議入りしたテレビ東京の『激録・警察密着24時!!』について、11月の委員会で意見書の修正案に関する議論は終了しており合意が得られたため、来月にも当該放送局へ通知して公表することになった。
9月の委員会で審議入りした毎日放送の『ゼニガメ』については、先月の委員会で意見書の骨子案が提出されたのに続き、今回は担当委員から意見書の原案が提出された。原案に関する詳細な説明のあとに議論した結果、次回の委員会までに修正案を作成することになった。
11月にBPOに寄せられた視聴者・聴取者意見などが報告された。

議事の詳細

日時
2024年12月13日(金)午後4時~午後6時50分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、
大石委員、大村委員、長嶋委員、西土委員、毛利委員、米倉委員

1. 毎日放送『ゼニガメ』について審議

毎日放送は、2024年7月17日に放送したローカルバラエティー番組『ゼニガメ』で、出張買取業者に密着取材する企画を放送したが、翌7月18日に番組に事実と異なる放送があったことを公表し謝罪した。さらに、2023年11月と2024年5月の放送分でも事実と異なる内容があったことが判明し、9月4日に「一部事実と異なる内容があった」とする調査結果を発表し謝罪した。委員会は9月に審議入りし、10月の委員会で意見書の骨子案が提出されたのに続き、今月の委員会では担当委員が作成した意見書の原案が提出された。担当委員から原案に関する詳細な説明があり、他の委員からは複数の質問や意見が出された。
今後は担当委員が来年1月の委員会に向けてさらなる検討を進め、修正案を作成する。

2. 11月の視聴者・聴取者意見を報告

11月に寄せられた視聴者・聴取者の意見としては、第一に、11月17日に投開票された兵庫県知事選に関するものが約540件あったことを事務局から報告した。具体的には「斎藤知事の問題をテレビ各局が報道していたが、インターネットによってウソだと分かった」「選挙期間中、テレビで選挙の報道があまりされていないことが選挙結果を左右した。SNSを利用する人と、テレビなど既存メディアを利用する人の間で、格差が生まれたのではないか」などの意見が寄せられた。第二に、11月27日に東京都文京区で発生した火災で、炎を背景にした人のシルエットがうつる映像を放送した局があったことについて「非常にショッキングであり配慮すべきだ」など批判的意見が約250件寄せられたことを事務局から報告した。

以上

2025年度「中高生モニター」募集のお知らせ

2025年度「中高生モニター」募集のお知らせ

募集は締切ました。

BPO・放送と青少年に関する委員会[青少年委員会]では、2025年度「中高生モニター」を下記の要領で募集します。モニターには、毎月1回、様々なジャンル(バラエティー・ニュース報道・ドラマなど)の番組をテーマに、率直な意見や感想を送ってもらいます。報告は、青少年委員会の議論の参考となり、各放送局にも送られます。任期は1年です。

 応募要領

  • 【任期】 2025年4月~2026年3月

  • 【応募条件】

    • (1) 上記の任期中、中学1年生から、高校3年生までであること

    • (2) 保護者の同意を得ていること

    • (3) テレビやラジオに関心があり、月1回放送に関する意見を報告できること
      ※上記に加えて、青少年委員会が実施するアンケート調査等に協力していただく場合があります

  • 【募集人員】 30人程度

  • 【応募方法】
    • 専用の応募用紙に氏名・住所・年齢・学校名・電話番号・メールアドレス(ある方)・「モニター応募の理由」など必要事項をお書きいただき、必ず保護者が署名および押印を行ったうえで、以下の宛先までご郵送ください。
      応募用紙(PDF形式)は、ここをクリックしてプリントアウトしてください。

    • ※いただいた個人情報は、モニター申込みに関する受付確認やモニター運営業務のために利用いたします。ご本人の同意なく目的外で利用したり、第三者に開示したりすることはありません。

  • 【応募締切】 2025年1月24日(金) ※当日消印有効

  • 【あて先】

    〒102-0094 東京都千代田区紀尾井町1-1 千代田放送会館7階
    BPO・青少年委員会 中高生モニター係

  • 【採用決定】
    採否については、2025年3月下旬までにご連絡します。

  • 【報告への謝礼】
    月々のリポート提出者には、毎月図書カード1000円分をお送りします。

  • 【報告の公表】
    毎月送っていただくモニター報告は、BPO会員の各放送局に送られるとともに、BPOウェブサイト等に概要を公表します。

以上

「中高生モニター制度」について

放送倫理・番組向上機構[BPO]の放送と青少年に関する委員会[青少年委員会]では、青少年の育成に資する放送の在り方について、一般視聴者から寄せられる意見などをもとに話し合いをしています。しかし、一般視聴者から寄せられる意見を年代別に分類すると、青少年からの意見が大変少ないのが現状です。そこで、青少年のテレビ・ラジオに関する考え方や、番組に対する意見を知り、より良い番組作りにつなげるため、2006年4月「中高生モニター制度」を設けました。
毎年、全国の中高生30人前後をモニターに選出し、月に一度、様々なジャンル(バラエティー・ニュース報道・ドラマなど)の番組について、率直な意見や感想を報告してもらっています。中高生モニターのみなさんの「声」は、概要をBPOウェブサイト等に掲載するほか、当該放送局にもお送りし、制作現場に伝えられ、番組作りの参考にしています。

※中高生モニターの毎月のリポートはこちら


※メールアドレスをお持ちでない方はBPOに電話でお問い合わせください。なお、お問い合わせの際は「2025年度中高生モニター応募の件です」とお話いただくとスムーズです。
(03-5212-7333/受付時間は平日10~12時・13時~17時/12月27日~1月5日は休止)

2024年10月30日

青森・秋田・岩手3県のテレビ・ラジオ各社との意見交換会を開催

青森・秋田・岩手3県のテレビ局・ラジオ局と放送倫理検証委員会との意見交換会が、10月30日に盛岡市で開催された。テレビ局・ラジオ局の参加者は16局41人で、委員会からは小町谷育子委員長、岸本葉子委員長代行、高田昌幸委員長代行、井桁大介委員、大石裕委員、長嶋甲兵委員の6人が出席した。放送倫理検証委員会はこれまでに全国各地で意見交換会を開催してきたが、青森・秋田・岩手の3県での開催は今回が初めてのことである。

冒頭にBPO放送倫理検証委員会の小町谷育子委員長が開会の挨拶を行い「放送倫理検証委員会は2007年に番組のねつ造が批判を浴びた際、国会に提出された放送法の改正案に抗して放送の自由を守るべく、BPOの活動強化のために発足した委員会です。ただ、発足から17年が経ち、当時のことをリアルに覚えておられる方は少なくなり、みなさまにとってBPOは少し遠い存在になってしまっているのではないかと感じています。本日はみなさまと率直な意見交換を行うことでその距離をぐっと縮め、日頃の業務でお悩みの事柄を一緒に考える機会にしたいと存じます」と述べた。

最初のパート『LGBTQ・ジェンダー問題 対応の視点 今日からでもできそうなこと』では、エッセイストの岸本葉子委員長代行が表現者として日頃気を付けていることを紹介した。
視聴者に情報を伝える場合、「2人組の男が逃走中」といった性別が不可欠なことを伝えるときは例外として、必要がない限り性別には言及せず「女優」「女流作家」といった肩書は本人が望まないと使わないと述べた。恋愛や結婚相手の呼称は異性であることを前提とせず「付き合っている人」「パートナー」「お連れ合い様」といった呼び方をしてみてはどうかと紹介した。また「女性レジ係」とは言わず「付けまつげの濃いレジ係」などと描写で情報を補うことで性別の代わりにしたり、「おばあちゃんの知恵」や「女子会のノリ」といった少しリスキーな表現の前に「いわゆる」と一言振ったりすることを提案した。その上で、世の中の感覚や受け取られ方に常にアンテナを張って、自分の考え方のバイアスやスレスレの表現に気づく感覚を養うことが大切だと述べた。
参加者からは「いいか悪いかは別として、ギリギリの所を攻める知恵を働かせるのが制作者のテクニックなのではないか。若い制作者の胸中には表現の自由と配慮とがせめぎ合っているように感じる」という意見が出た。これを受けてラジオ局の番組審議会委員長を務めた経験のある慶應義塾大学名誉教授の大石裕委員が「報道は非常に広範囲の視聴者を対象とするため表現への配慮のハードルを上げざるを得ないが、そうした規準を番組ごとに幾つか設けて、視聴者と対話しながらその場その場でどうするかを決定せざるを得ないのではないか」と述べた。岸本委員長代行は「こういう話をすると『じゃあ何を守ればセーフなんですか』とルールを求める傾向があるが、世間の受け取り方を肌感覚としてキャッチしつつ、自分が表現したいことを成立させる方法を探ることこそ制作者の醍醐味ではないか」と述べた。

次のパート『委員会決定42号を読み解く 視聴者質問の作り上げについての考察』では、この事案を担当した東京都市大学教授の高田昌幸委員長代行が解説した。
ある人気長寿番組が生放送で視聴者からの質問に答えるコーナーを設けていたが、番組のテーマにしっくりくる質問がないと、制作チームのトップがスタッフに質問の作り上げを命じ、自作自演を繰り返していたと経緯を説明した。その背景には、これぐらいは大丈夫じゃないか、他でもやっているだろうという意識があったと指摘。問題発覚後、番組には視聴者から「いつか読んでもらえるんじゃないかと期待して質問を送り続けていたが全部嘘だったんですね」といったメールが多数届いたと紹介した。その上で「SNS全盛時代の昨今、ちょっとでも変なことがあるとすぐ広まりとんでもない落とし穴にはまってしまう。これぐらいいいじゃないかといった業界内の古い常識や視聴者を無視したやり方は、今は全く通用しない」と述べた。
参加者から「自作自演までしてなぜそのコーナーを維持しなければならなかったのか。質問が来ないなら別のコンセプトのコーナーを作るということに何故ならなかったのか」という質問が出た。高田委員長代行は「局内でこの質問コーナーの評判は良く、どんどんやってくれと言われていた。そうしたなかで制作者は、この路線で完璧な番組を作ろうという呪縛から抜け出せなくなったのではないか」と答えた。別の参加者からは「自社のニュース番組にも視聴者の疑問に答えるコーナーがある。毎週質問が来るという状況ではないので、来ないときはディレクターが自分の疑問に基づいた取材をして番組作りをするようにしている。番組の双方向性に過剰に力点を置き、視聴者とつながっていなきゃいけないと思い込んでしまうと問題をはらんでしまうのではないか」と述べた。

意見交換会後半の最初のパート『一般人の映り込み、実名報道における人権・プライバシー保護の在り方について』では、弁護士の井桁大介委員がプライバシー侵害と表現の自由の兼ね合いについて解説した。
日本の法律にはプライバシーの定義がない。裁判例もプライバシーという用語を正面から用いることを避ける傾向にある。プライバシーとは何かについて過去の判例から説明すると▼一般人であれば公開を欲しないであろうこと、▼欲しない他者には開示されたくないことという抽象的な基準となる。状況や文脈で変わってくるため、事前の予測が難しい。例えば裁判例の中には、公道で歩いていたところを無断で撮影された場合にプライバシー侵害を認めた事例や、教育関連業者の委託先が利用者の氏名・性別・生年月日・郵便番号・住所などを漏洩した場合にプライバシー侵害を認めた事例などがあると述べた。また、メディアの撮影の違法性が問われたケースは、▼プライバシー保護の必要性と表現の自由の必要性とを比較考慮し限度を超えているかどうかで判断されており、具体的には、▼相手方の社会的地位や活動内容・場所・目的・対応・必要性等を総合考慮して、一般人基準でこの程度までは我慢すべきだという範囲を超えているかどうかで考えられていると説明した。
実名報道については、実名で報じたから即座に違法ということにはならない。ただ、個人的には、無罪推定の問題も絡んでくることから、罰金もつかないと思われる軽微な事件で実名報道されているケースを目にすると、プライバシー侵害にあたると言われてもおかしくないのではないかと指摘した。その上で、表現や報道は誰かを傷付けることからは避けられないが、誰かを傷付けてでもその放送をする必要があるのかどうかを常に問われており、そのことを意識してほしいと述べた。
参加者から「ヘルメットを被らず自転車に乗っている人の映像を放送するかどうか迷った際、放送したことでその人が誹謗中傷の対象になると、何かしらの責任を問われることになりかねないと懸念を抱き断念した。この判断は正しかったと思うか」という質問が出た。井桁委員は「放送自体に違法性がない場合に、放送がきっかけで誰かが誹謗中傷の被害を受けたとしても、原則としてその責任を放送局が負うことはない」としたうえで、「実際にそういうことがあると寝覚めが悪く悩ましいと思うが、一方で、制作側が少数の抗議する人の意見を想像で先回りして自粛し始めると、行きつくところまで行ってしまうのではないかと危惧する」と答えた。その上で「プライバシーの問題は弁護士10人に聞いたら答えがばらけてしまう程、簡単には結論の出せない問題だ。適正な取材で、公共的な空間における撮影で、社会的に相当な対応で行っている場合は、プライバシー保護より放送、報道の自由の方が勝つと考えていいのではないか。抗議を受けるかどうかではなく、社会的意義のある放送かどうかを自問することが大事だと思う」と述べた。
別の参加者が「一人暮らしのお年寄りが自宅の火災で亡くなったニュースをネットで報じた後、親族から実名報道を取り下げるよう苦情がきた。応じなかったがひと揉めした」と体験談を紹介した。井桁委員は「これも大変難しい問題だと思う。ただ、災害・事件・事故が発生した際、個人情報保護を重視しすぎる社会というのはよろしくないのではないかと私は考えている。社会で情報を共有することが公共圏の維持につながり最終的には公益に資すると考えているからだ」と述べた。小町谷委員長は「アメリカに滞在中、殺人事件を報じたニュースが被害者の名前を伝えていないことがあった。報道の自由が重んじられる国なのにおかしいなとそのときは思ったが、後で被害者の遺族に連絡がついていない段階での自制的な報道だったことを知った。遺族にとって、自分で親族の死を確認する前に、メディアの報道でその死を知るということは辛いことなのではないか。報じるタイミングが遺族感情に影響することはあると思う」と述べた。
高田委員長代行が「京都アニメーション事件で、警察は当初被害者の家族は実名報道を望んでいないとして被害者の氏名を一切明らかにしなかった。ところが地元新聞社が独自に取材を進めた結果、実名で書いてほしいと望む家族が現れた。実名報道の判断を当局に任せきりにするのはよくない」と述べた。また「加害者側の氏名を警察が匿名で発表するケースも増えている。そういう場合は『警察はこの容疑者の氏名を匿名で発表しています』と放送し、実名を公表していないことをきちんと伝えてみてはどうか」と提案した。そして「冤罪もあるので、ニュースで逮捕を報じたら起訴、判決と最後まで報じるべきだ。そうしないと逮捕のときの実名報道で容疑者に極悪人のイメージが定着してしまう」と述べた。これを受けて井桁委員が「身に覚えがないのに逮捕され実名報道されて困っている人はたくさんいる。このことをみなさんが真剣に考えてくれると嬉しい」と述べた。

最後のパート『番組か広告かの見極めについて』では、演出家やテレビ番組のプロデューサーを務める長嶋甲兵委員が解説した。
日本民間放送連盟「番組内で商品・サービスなどを取り扱う場合の考査上の留意事項」は、特定の商品・サービスを取り上げる場合、取り上げ方や演出方法によって番組が広告放送だと誤解を招く場合があるとして、▼番組で取り扱う理由・目的が明確となっているか、▼視聴者への有益な情報提供であり、かつ視聴者に対してフェアな内容となっているか、▼特定の企業・団体などから番組制作上、特別な協力を受けた場合にはその旨を番組内で明らかにしているか、以上3点を特に留意すべき事項として例示し、これらのことを総合的に判断する必要があるとしている。
そうは言っても、具体的に何をどうすれば良いのかは示されておらず、対応策は制作現場ごとにそれぞれ考えていかなければならない。工夫の一例として、昨年キー局で放送された番組を例に挙げたい。この番組は、同業界のライバル会社同士が相手の商品やサービスを互いに褒め合う内容で、ライバルだからこそ分かる商品やサービスの凄さを伝えることは視聴者にとって有益な情報になっており面白かった。そういう工夫を色々な形で考え出して番組制作にあたればいいとヒントをもらえるという内容だった。
キー局と地方局とでは置かれている状況が全く違い、例えばキー局だと2つのファミレスを取り上げることができるが、地方局にはそういう余地がないなど、番組の在り方の前提に格差がある。それでもなぜこういう創意工夫を凝らさなければならないかについて、制作者の立場から説明したい。独立した立場で色んな企業を説得し、お金を出してもらって自分たちの作りたい番組を作るというのが放送局のあるべき健全な姿だ。きれいごとだと言われる方もいると思うが、その原則は忘れずに守ってほしい。スポンサーや代理店に対して私はその原則を持ち出し、こういう原則があるからそれは受け入れられないと主張して、独立性を守り制作にあたってきた。今は、お金を出しているところの言うことを聞くのは当たり前だと疑問すら感じていない人が制作現場に増えてきているように感じる。それは、政府の公式見解をそのまま伝えることが当たり前だと思うことと同様に、非常に危険なことだと述べた。
参加者からは「ショッピング情報のコーナーで自局のアナウンサーが商品の使用感を述べる際、できるだけ客観的に感想を述べようとしているが、本数が多くて丁寧にやっていくのは大変だ」といったことや「開店のタイミングに合わせて店の経営者を密着取材した持ち込み番組の考査にあたり、売名行為に近いものを感じたため、編成・総務・営業・報道の社内横断的な考査検証委員会を開催して判断することにした」といった体験談が紹介された。
これを受けて高田委員長代行が「番組か広告放送かの問題で放送倫理違反を問われたある局では、持ち込み番組が放送間際に届いたため考査の担当者が番組を放送前に見ておらず、後日そのことを非常に悔いたケースがあった。私は、番組か広告放送かの問題は、ひとえに考査がきちんと機能しているかどうかに尽きると思っている」と述べた。また、大石委員は「ローカル局の場合、地元の経済界や産業界、様々なところとの結びつきが強いだけにご苦労は多いと思うが、スポンサー側と信頼関係を持ちつつも、信頼関係があるからこそこちらとしてはこの内容で放送したいとご理解いただく努力を、絶え間なく続けざるを得ないのではないか」と述べた。

意見交換会の最後に、地元局の幹事社を務めた岩手めんこいテレビのコンテンツ推進局編成業務部 兼 番組審議室の岩渕博美編成担当部長が閉会の挨拶を行い「今回の意見交換会のテーマは日々悩み向き合っている課題に応えていた。社会が変化し視聴者のニュースや番組に向ける視線は厳しくなっており、少しのことでも騒がれてどうしたものかと悩むケースが増えている。だからと言って委縮してしまっては視聴者の期待に応える番組は作れないと思う。認識をアップデートしてバランスを取りながらより良い放送が届けられるように今後も努力していきたい。有意義な時間だった」と結んだ。

以上

第273回

第273回-2024年11月26日

視聴者からの意見について…など

2024年11月26日、第273回青少年委員会を千代田放送会館BPO第一会議室で開催し、榊原洋一委員長をはじめ7人の委員が出席しました。吉永みち子副委員長は欠席でした。
10月後半から11月前半までの1カ月の間に寄せられた視聴者意見について担当の委員から報告がありました。
11月の中高生モニター報告のテーマは「最近見た教育番組(役に立った、勉強になった番組など)について」でした。
委員会ではこれらの視聴者意見や中高生モニター報告について議論しました。
最後に今後の予定について確認しました。

議事の詳細

日時
2024年11月26日(火)午後4時00分~午後7時00分
放送倫理・番組向上機構BPO第一会議室(千代田放送会館7階)
議題
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
今後の予定について
出席者
榊原洋一委員長、飯田豊委員、池田雅子委員、佐々木輝美委員、
沢井佳子委員、髙橋聡美委員、山縣文治委員

視聴者からの意見について

10月後半から11月前半までの1カ月の間に寄せられた視聴者意見について担当の委員から報告がありました。
バラエティー番組の企画で、ピンポン球を上半身はだかの男性芸人に高速で打ち付け、どこまで痛みに耐えられるかを検証したところ、視聴者から「(芸人は)かなり痛がっていて、いじめやリンチを彷彿させる」との意見がありました。また別の企画では、理髪店の洗面台に水を張り「水攻め」と称して、ターゲットの男性芸人の顔を水面に押し付けるドッキリがあり、「子どもが真似したら死につながる」などの意見が寄せられました。
担当委員は「前者の企画は打ち付けた球が弾け散って芸人が悲鳴を上げ、しゃがみこんだところで検証が終わっているが、スタジオゲストのタレントが『(もっと高速で打ち付け当該芸人が)砕け散るのを見たかった』と言って笑い、それを受けた進行役の芸人らも同意して笑う、という流れだった」と述べ、委員会が2022年4月に公表した「『痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー』に関する見解」で問題を指摘したとおりの展開だとしました。また「後者の企画は実際に拷問や殺人に用いられるような方法であって、子どもの模倣を誘発する懸念がある」と指摘しました。
ある委員は「模倣という観点からはどちらも可能性がある。前者のピンポン球をたとえばゴルフボールに換えれば危険度は一気に上がる。後者の『水攻め』は大人の宴会芸にあるような印象で、どれだけ顔をつけていられるか、ぎりぎりまで耐えるということを問題と見るかどうかだろう」と述べました。
別の委員は「前者は(球を受ける)芸人が覚悟を決めてやっているのが(視聴者に)分かるが、後者の場合、ターゲットの芸人本人はおそらく事前に了解していると思われるが、視聴者にはそう映らず、不意打ちされたように見えるため残酷に感じられたのではないか」としました。
さらに別の委員は「(番組制作者には)コンプライアンスに挑戦しているところがある。裏返して言えば、制作者は視聴者に対してある種の信頼感を持って、分かる視聴者には分かってもらえるという前提で制作しているが、そこに認識のずれがあるのではないか。(バラエティーを見るうえでの)『お約束がありますよね』という前提で制作者は番組を作っているものの、そこはどうも(多くの視聴者とは)共有されていない気がする」と説明しました。
議論の結果、この番組の問題については引き続き「討論」を進めることになりました。このほかに大きな議論になる番組はありませんでした。

中高生モニター報告について

11月のテーマは「最近見た教育番組(役に立った、勉強になった番組など)について」で、合わせて24番組への報告がありました。
複数のモニターが取り上げた番組は『有吉のお金発見 突撃!カネオくん』『あしたが変わるトリセツショー』(いずれもNHK総合)、『カズレーザーと学ぶ。』(日本テレビ)、『池上彰のニュースそうだったのか!!』(テレビ朝日)です。
また「自由記述」には今月のテーマに関する意見のほか、選挙関連番組についての意見も寄せられました。
「青少年へのおすすめ番組」では『ブラタモリ』(NHK総合)と『がっちりマンデー!!』(TBSテレビ)に6人から、『年に1度 自慢デキる家!絶景&グルメが年イチだけ楽しめる家SP』(テレビ東京)に3人から感想が届いています。

◆モニター報告より◆

【最近見た教育番組(役に立った、勉強になった番組など)について】

  • 『有吉のお金発見 突撃!カネオくん』(NHK総合)
    • 放送時間が35分と短めで、また途中のクイズ場面でのトークも結構面白く、日中視聴するのにはちょうどいい番組だと思いました。建設費などの値段が分かるからこそ次に訪れた時の“見え方”が変わるのがこの番組の良いところですが、「熱海」の放送回は情報が少なすぎて夕方のニュースの特集に似ていたので、もっと値段を表示してほしかったです。(中学2年・男子・東京)
    • お金の話は固くなりがちだけれど、ゲストの「最近何にお金を使ったのか」についてのトークは身近に感じられて好きだ。(中学3年・男子・東京)

  • 『あしたが変わるトリセツショー』(NHK総合)
    • ホームページにトリセツがまとめられていて、番組が終わった後も確認できていいと思った。「きれいな字がかけるトリセツ」や「身長のトリセツ」なども見てみたい。(中学2年・女子・鳥取)
    • 模型を使った説明、実験、専門家へのインタビューを取り入れていて、また全体的に丁寧なスピード感で説明しているのでわかりやすかった。ゲストが説明映像を見てコメントをするという形は、視聴者もゲストと一緒に説明を聞いているような気持ちで見ることができると思った。(中学3年・女子・長崎)

  • 『ワルイコあつまれ』(NHK総合)
    一番印象に残っているのは「モーツアルトの歴史」です。モーツアルトは幼いころから「神童」と呼ばれていたので莫大な財を残して死んだのだと思っていましたが、モーツアルトの音楽は当時の貴族達にはあまり好かれず最期は貧困の末に35歳で亡くなったという、彼の過去を学ぶことができました。(高校2年・男子・神奈川)

  • 『ブラタモリ』(NHK総合)
    タモリさんは豊かな知識がある方なので、どんどん情報が加えられていくのがよい。また案内人がクイズを出してもタモリさんがすぐに答えてしまうので、他の番組にはないリズム感でよい。羊羹は伏見から全国に広がった名物グルメだと紹介があった。食の歴史を学ぶのは楽しいので、さらに集中して番組を視聴してしまう。(高校2年・女子・青森)

  • 『ダーウィンが来た!』(NHK総合)
    都会で生きる動物を取り上げていて、特に良かったのはペンギンの話題でした。1970年代に船の事故が多発し、重油が漏れ出してペンギンの住処がなくなったというニュースを聞いてむしろ環境問題に興味を持ちました。ペンギンたちを見ながら別の問題にも目を向けられるようになっていて、すごくいい教育番組だと思いました。(高校3年・女子・奈良)

  • 『3か月でマスターするピアノ』(NHK Eテレ)
    初心者と経験者の出演者がいて、バランスが良かったです。また鍵盤と指番号、どこを弾いているのかの印が分かりやすかったです。強弱記号や発想記号(音の表現方法を指示する記号)の意味を解説したあと、アナウンサーの寺田理恵子さんが弾いていましたが、表示通りに弾いている感じが伝わってきませんでした。意味を解説するならしっかりと弾いてお手本を見せてほしいです。(中学1年・男子・山梨)

  • 『サイエンスZERO』(NHK Eテレ)
    深刻化する海洋プラスチック汚染の話題だった。調査のたびに使う技術を紹介していて、結果を予想しながら視聴することができたし、これからの調査に興味がわいた。市民科学(シチズン・サイエンス)がこれからの研究のキーワードになると紹介されていて、忘れないようにしたい。(中学1年・女子・鹿児島)

  • 『姫とボクはわからないっ』(NHK Eテレ)
    ネットをついつい使いすぎてしまうという“あるある”をドラマで勉強できるところがいいなと思いました。勉強ばかりではなくドラマの要素もしっかりあるため楽しく視聴できました。(中学1年・女子・神奈川)

  • 『クラシックTV』(NHK Eテレ)
    ゲストのセルゲイ・ナカリャコフさんのトランペットは古く、とても大切に使っていることが伝わりました。ゲストの趣味や人柄が伝わるような質問があれば良かったです。また司会の清塚信也さんが明るく楽しい進行をしていて、クラシックの堅苦しいイメージを変えていました。司会者は重要だと思いました。(中学2年・女子・秋田)

  • 『NHK高校講座 世界史探求』(NHK Eテレ)
    出演者の感想が「歴史を学ぶことは大切だと思いました」などといったありきたりなものが多いと感じました。歴史好きな出演者もいる方が刺激になるし面白みも増すと思います。また出演者全員が女性だとジェンダーバランスの観点からも良くないと思いますし、男の子が視聴しにくい(親の前で見るのは恥ずかしいなど)のではないかと思います。(中学3年・女子・東京)

  • 『最後の講義 選「生物学者 福岡伸一」』(NHK Eテレ)
    博士の著書『動的平衡』は昔読んだことがあったが、より新しい動的平衡観を知ることが出来た。我々は「生命の始まり」についても明確な定義をもっておらず、人類全体がこれらを総括して、人生の長さを縮めている傾向があるという議論は衝撃的だった。(高校1年・男子・兵庫)

  • 『#バズ英語 ~SNSで世界を見よう~』(NHK Eテレ)
    堅苦しい英文法ではなく本場の生きた英語やスラングを学べるのでとても面白いです。英語に対する苦手意識が減って英語を使ってみたいと思い、多くの外国人の方とメッセージで話すようになりました。おかげでテストなどの長文読解に手を付けやすくなりました。(高校3年・男子・埼玉)

  • 『カズレーザーと学ぶ。』(日本テレビ)
    • セクハラを訴える裁判例で、罪の判決基準が裁判官の認識による「平均的な女性の感覚」と紹介されていたが、裁判官が男性である場合と女性である場合では、決して平等とは言えないと思う。今の法のあり方が現状に適応しているのかを視聴者に考えさせる作りがとても良かった。(中学2年・女子・埼玉)
    • 一番興味を持ったのは「立ちながらダイエット」で、運動する時間がない人やあまり運動できない人でも生活の中に取り込みやすいと思いました。新しい気づきを発見するきっかけになるような番組はとてもいいと思います。(高校2年・女子・愛媛)

  • 『ザ!鉄腕!DASH!!』(日本テレビ)
    毎週楽しみに見ています。「蜂」がテーマの放送回で特に印象に残ったのは、国分太一さんの「しょうがない」という言葉で、長らく育ててきた巣に蜂が住まなくなったのを見ての言葉でした。あえて自然に近いやり方で対策し、失敗したら潔く諦めるといった国分さんの自然との向き合い方は、環境問題とともに生きる若い人たちにぜひ知ってほしいです。(中学3年・男子・千葉)

  • 『クイズプレゼンバラエティー Qさま!!』(テレビ朝日)
    専門家がデータを並べて話すよりも、この番組のようにクイズ形式で楽しく話してくれたほうが頭に入ってきます。バラエティー番組でありながら雑学を学べる構成がいいと思います。祖母も一緒に三世代で楽しめました。食事の時間も自然と会話が弾むクイズ番組は、ゴールデンタイムにぴったりです。(中学1年・男子・山形)

  • 『池上彰のニュースそうだったのか!!』(テレビ朝日)
    • 国民は直接総理大臣を選べないが政党を選ぶことはできるので、政治について考える必要があるとおもった。自分は現在16歳で投票することはできないが、自分が投票する一票が政治に影響する大きさを理解することができた。(高校1年・男子・長崎)
    • 学校の「公共」の授業でいま政治について勉強している。学習した内容と結び付けながら番組を視聴できたし、親と一緒に議論する良いきっかけにもなった。政治分野に関しては人それぞれ考え方が違うと思うので、池上彰さんとは異なる考え方の人に1~2人出演してもらい、両方の意見を聞いたり討論したりを放送してもおもしろいと思う。(高校2年・女子・東京)

  • 『Live選挙サンデー 超速報SP』(フジテレビ)
    チャンネルを変えながら衆議院選挙関連番組を主に3つ視聴しましたが、石破茂氏のインタビューを他局よりも早く放送すると宣伝していたフジテレビをメインに視聴しました。裏金問題があった議員に“○裏”マークを付けていて、悪いことをした人が相手だとしても悪意を感じました。国の未来や選挙に関心を持てる番組内容にしてほしいです。(中学2年・女子・東京)

  • 『つたえたい~僕たちは感染症時代を生きている~』(フジテレビ)
    新型コロナウイルスや感染症について、私たちが知っていたことの裏側や、この4年間どうなっていたのかなどを知ることができて良かったと思いました。目黒蓮さんが取材した免疫講座は免疫の大切さがよく分かりました。(中学3年・女子・神奈川)

  • 『令和県民教育大学~そうだったのか!学べる県民学~』(フジテレビ)
    バラエティー番組の側面もありちょうどいい教育番組で、みんな自分の住んでいるところが好きなんだと感じた。MCがIPadに追加情報を書き込む手法はいまどきだと思ったが、他の出演者が違う追加情報を望んでもMCが思ったことを書き込むので、情報には各自の主観が入るのだと感じた。(高校3年・男子・東京)

  • 『所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ!』(テレビ東京)
    情報がコンパクトにまとめてあり分かりやすかったです。舞台は建設中の高度140mほどのビルでした。工事現場には所々にカメラがあり、赤と白の大きなクレーンはどんな意味で設置してあるのかなど、関心を持ちながら学ぶことができました。(高校3年・女子・熊本)

  • 『堀潤激論サミット』(TOKYO MX)
    最近の自転車ルールの罰則強化は日常生活でとても感じています。特に驚いたのは、高校生の友人がイヤホンをつけて自転車を運転していたところ警察に呼び止められ罰金を受けたことです。身近なところまで罰則が厳しくなっており、恐ろしく感じます。(高校2年・男子・山口)

【自由記述】

  • NHKはよく視聴しますが、平日に高校生向けの講座番組を放送していることを今まで知らなかったので、もっと多くの人に知ってもらうことが大切だと思いました。(高校1年・女子・愛知)

  • 先日衆議院選挙が行われたが、テレビで関連番組が少なかったと感じた。8月に参加した「高校生モニター会議」で、候補者を平等に扱うことを定めた放送法に委員が言及していたが、世間の衆議院選挙への関心の低さは放送法が足かせになっているのではないかと思った。(高校1年・男子・兵庫)

  • 10/27の夜、テレビでは選挙特番か野球しか放送していなかった。正直、特番はNHKが放送して、民放ではニュース速報を画面上に流せばいいのにと思った。このような日こそ、いつもと同じようにバラエティー番組を放送すれば視聴率を取ることができるのではないか。(高校2年・女子・東京)

  • 最近はニュース番組を見ていても番組の意向が加えられているように感じられ、学びたくても学びにくい感じがする。詳しくニュースを解説する教養番組なども活用して物事への理解度を深めたい。(高校2年・女子・東京)

  • 最近のスポーツ番組は大谷選手の話題に片寄っていると思います。野球の魅力をもっと伝えるには日本シリーズの話題がぴったりだったのですが、どこの放送局もワールドシリーズばかりやっていたので、日本のスポーツをもっと発信していくべきだと思います。(中学2年・男子・東京)

  • 『年下彼氏2』(朝日放送テレビ)にハマっているのですが、一話15分のオムニバス形式で簡単に見ることができるし毎話面白いので大好きです。もし『3』があったら全国ネットで放送してほしいです。(中学3年・女子・神奈川)

  • 年末は特番が増えるので楽しみです。『NHK紅白歌合戦』(NHK総合)への旧大手芸能事務所のアーティスト出演が問題視されていますが、その穴埋めとして韓国アイドルグループが出演するのは間違っていると思います。日本の番組なので、もっと日本人歌手を出演させるべきだと思います。(高校3年・女子・栃木)

  • 「マスゴミ」はネットで時々目にする言葉ですが、そもそもなぜマスメディアがこれほど嫌われているのか疑問に思い原因を調べましたが、はっきりとした理由は分かりませんでした。こうした「不確実な情報」から身を守り「確実な情報」を手に入れるためのマスメディアが「不確実な情報」に批判されている。さらに不可解なのは「メディアは何を求められているのか」がわからないことです。変な言葉が蔓延する現代こそ、メディアの質と信頼が求められていると思います。(中学3年・男子・千葉)

  • 青森県と岩手県の放送局には「テレビ局が薦める青少年へのおすすめ番組」をもっと増やしてほしい。地元局が何を薦めているのか知りたいし番組を視聴したい。(高校2年・女子・青森)

【青少年へのおすすめ番組】

  • 『ブラタモリ』(NHK総合)
    数年ぶりに視聴しました。タモリさんが「三差路だ。大好き」とすごく興奮していたのですが、なぜそんなに三差路が大好きなのか理由が分かりませんでした。タモリさんは僕にはわからない様々なものに興味があり、素敵なことだと思いました。(中学1年・男子・山梨)

  • 『がっちりマンデー!!』(TBSテレビ)
    • 「地面」についての知識は全くありませんでしたが、想像以上にお金がかかり、労力もかかる大変な仕事だと知りました。素晴らしい商品の開発にもかなりの時間と努力を費やしたと紹介されていたので、私も何事もすぐに結果を求めないで頑張りたいと思いました。(高校2年・女子・岐阜)
    • 森永卓郎さんが好きで毎週録画している。またMCの加藤浩次さんの、視聴者プレゼントの数を増やすための社長とのやり取りが特に好き。年上の社長を嫌な気持ちにさせず「増やしたい」と思わせる言い方がすごい。(高校3年・男子・東京)

  • 『年に1度 自慢デキる家!絶景&グルメが年イチだけ楽しめる家SP』(テレビ東京)
    初めて知る切り口の番組でよかった。“自慢”というと悪口のような意味に感じるが、本来は違うのかもしれないし誇りに思うのはいいことだと思った。住んでいる地域を誇りに思うことが、番組のタイトルに表現されているのだとわかった。タイトルは制作者からのメッセージだと認識したうえで、これからは番組を選ぼうと思う。(中学3年・男子・東京)

  • 『サポドリ Support Your Dreams』(青森テレビ)
    三沢商業高校の女子バレー部の一生懸命な様子に勇気をもらえた。青春の一ページを垣間みることが出来た。またそろばん音頭を踊りながらスタジオにいるよゐこの有吉晋哉さんと竹内夕己美さんにクイズを出していて面白かった。(高校2年・女子・青森)

  • 『スパイス!!』(日本海テレビ放送)
    「映画の裏側を楽しむ」という特集は、映画を観る前でも後でも楽しめると思いました。「この映画は鳥取県内の本当に色々な場所で撮影されているんです」と紹介した時に、どこで撮影されたのかが分かるマップも一緒にあると良いと思いました。(中学2年・女子・鳥取)

  • 『新 窓をあけて九州「みんなちがって、みんないい」』(長崎放送)
    自分に自信が持てず苦しんだ時期を乗り越えるためにブレイキンから元気をもらう姿を見て、自分も元気が出た。この気持ちを次世代に受け継いでいこうという思いや、より多くの人に楽しんでもらおうという考えに胸が熱くなった。(高校1年・男子・長崎)

  • 『ナマ・イキVOICE』(鹿児島テレビ)
    さつま町の「神の湯 紫尾温泉」が地元で愛されていることがよく分かった。また学校や郵便局がお店や地域の人々が集まる場に生まれ変わっていて、人とのつながりを大切にしていることが伝わってきた。(中学1年・女子・鹿児島)

  • 『KICK OFF!KAGOSHIMA』(鹿児島放送)
    地域のサッカークラブや高校サッカーなどを取り上げて、地域密着のサッカー番組だと感じました。プロチームのハイライトでは、だれが見ても分かりやすいように一つ一つ解説しておりとても見やすかったです。これからもサッカーを盛り上げてほしいです。(高校2年・男子・山口)

◆委員のコメント◆

【最近見た教育番組(役に立った、勉強になった番組など)について】

  • 「エデュテインメント」という言葉があるが、総じて中高生は「教育番組は面白さがないといけない」と注目しているような感想を持った。

  • 選挙関連番組についての報告もいくつかあったが、選挙関連番組は親と一緒に視聴している中高生が多いと感じた。

  • 高校2年生のモニターから「最近の自転車ルールの罰則強化を恐ろしく感じる」と報告があったが、続けて「自転車を運転中は暇なので、学生にとってイヤホンを使えないのはとてもしんどい」とあった。イヤホンを装着しながらの運転は本当に危ないと思う。一方で、今の子どもたちはタイパを重視したり一つの刺激では満足できなかったりして、いろいろなことを“ながら”でやるのが習慣になっているのだと感じた。

  • 『令和県民教育大学~そうだったのか!学べる県民学~』(フジテレビ)は個人的にとても好きな番組だ。他県の人から勝手なイメージを聞いてそれぞれの県の地図に落とし込むという演出があったが、そもそもその“県(あるいは地域)のイメージ”は結局メディアから得ているものだという点に気づくプロセスには学びの機会がある。また地方局の制作者たちも、キー局からのオーダーに応えていることで地元のイメージを自ら作りあげている面もあり、そこに気づくことにも学びの機会がある。番組を通じていかに学びの機会がつくれるかということで言えば、こういうのも一つのヒントになるし非常にいい番組だと思う。

今後の予定について

次回は2024年12月16日(月)に千代田放送会館BPO第一会議室で定例委員会を開催します。

以上

2024年11月に視聴者から寄せられた意見

2024年11月に視聴者から寄せられた意見

兵庫県知事選をめぐる各社の報道、情報番組に多数の意見が寄せられました。

2024年11月にBPOに寄せられた意見の総数は2,426件で、先月から101件減少しました。
意見のアクセス方法は、ウェブ 85.6% 電話 13.7% 郵便・FAX 0.7%
男女別は、男性51.6% 女性29.7% 無回答18.6%で、世代別では10代1.7% 20代9.2% 30代20.4% 40代23.2% 50代23.9% 60代10.4% 70歳以上3.1%
視聴者意見のうち、個別の番組や放送局に対するものは当該局へ個別に送付します。11月の個別送付先は25局で、意見数は866件でした。放送全般に対する意見は301件で、その中から18件を選び、会員社すべてに送りました。

意見概要

番組に関する意見

不信任決議案採択、知事失職を経て11月17日に行われた兵庫県知事選を報じる情報番組、報道番組に対して多くの意見が寄せられました。
ラジオに関する意見は46件、CMについては13件でした。

青少年に関する意見

2024年11月中に青少年委員会に寄せられた意見は60件で、前月から4件減少しました。
今月は「要望・提言」が27件と最も多く、次いで「表現・演出」が18件で、以下、「報道・情報」などが続きました。

意見抜粋

番組に関する意見

  • 17日に行われる兵庫県知事選についての各社の番組。前知事ひとりを集中的に批判していて公平性を欠いていると感じる。個人攻撃、ネガティブキャンペーンのように見える。

  • 17日の兵庫県知事選をめぐるマスコミ各社の報道とネットのサイトやSNS上の情報との隔たりが大きすぎて、何を信じたらいいのか分からなくなってしまう。

  • 兵庫県知事選に向けての新聞・テレビ各社の報道が一方的ではないかと感じている。記者クラブ制度による既得権益を守りたいがためではないかと勘ぐってしまう。

  • 兵庫県知事選の結果を伝える番組。通常の当選報道と比べテンションが低いと感じられる番組がいくつかあった。大手メディアの敗北などという発言もあったが、メディアはいったい何と戦っていたのだろうか。

  • 兵庫県知事選が終わったが、パワハラ疑惑や公益通報の問題についての結論はまだ出ていない。百条委員会も続いている。引き続き詳細な取材と報道を続けてほしい。

  • 兵庫県知事選報道で公益通報制度をめぐる議論があるが、事実関係を整理して問題があるとすればどの点なのかなどを、冷静に客観的に伝えてほしいと思う。また、スタジオの専門家やゲストには異なる意見を述べる人を選びバランスを取ってほしい。

  • 兵庫県知事選をはじめ政治問題についてはキャスターやコメンテーターは発言の真意がきちんと伝わるよう言葉を選んで丁寧に説明してほしいと思う。

  • アメリカ大統領選報道。多くの番組で民主党の候補に勝たせたいかのようなコメントや解説が目立つ。日本全体で応援しているかのように誤解されないかと心配だ。

  • 強盗事件の報道で被害に遭った住宅を上空から撮影したり侵入経路である割れた窓などを映したりするのは必要なことだろうか。再度の被害を招く危険性に注意を払ってほしいと思った。

  • 参議院議員の自宅の火災を撮影した視聴者映像。逃げ遅れた人と思われる姿が映っていてショックだった。ご家族の心情を思うと言葉もない。あの映像を使う必要性が本当にあったのか、もう一度考えてほしい。

  • 参議院議員の自宅の火災。炎のそばで動いている人の映像を使ったことに強い違和感をもった。当事者への配慮がまったく無いし、映像を見た視聴者の心も傷ついたと思う。映像を使用するという判断は軽率だったのではないか。

  • 大物お笑いタレントが裁判を終結させたが、まるで週刊誌記事が事実であったと認めているかのような報じ方をしている番組が多く偏っていると感じた。

  • 性加害報道があった大物タレントが訴訟を取り下げたが、彼を画面で観ることにはまだ抵抗がある。

  • メジャーリーグや兵庫県知事選の話題も結構だが、ほかにも知るべきニュースがたくさんあるはずだ。報道番組、情報番組の構成を再点検してほしい。

  • 世界の衝撃映像やアニマル映像といった、借りものの映像だけに頼ったバラエティーが多すぎると思う。異なる番組で何度も放送された映像も多い。面白くない。

青少年に関する意見

【「要望・提言」】

  • 子どもや若年層が楽しめる番組を充実させてほしい。どこの局も特定の層に向けた番組ばかりの印象だが、それ以外の人も楽しめるようにしてほしい。放送局が積極的に新規層を開拓するべきだ。

  • 高校生をメインに取り上げた番組で、「好きな人に告白」という内容があり、不快感を覚えた。高校生カップルが成立すると手をつなぐ、ハグするという場面が放送された。自分はそのような光景を見るのが苦手なので、多くの人が見る時間帯での放送は避けてほしい。

【「表現・演出」に関する意見】

  • バラエティー番組で、クイズに解答できなかった女性アイドルに「ビリビリ椅子」の罰ゲームをやらせていた。嫌がって逃げようとするのを無理やりやらせるのは、もはやハラスメントだろう。

【「報道・情報」に関する意見】

  • 報道番組で家庭内暴力の生々しい様子の映像が流された。画面をモザイク処理していても、その様子はわかる。子どもたちには見せたくない。暴力の様子は絶対に放送すべきではないと思う。

【「低俗・モラルに反する」】

  • バラエティー番組で、男性トイレに入った芸人を特定の便器に誘導するためごみで使用不能にしたうえで、おしっこに見立てたぬるま湯を全身にかけるドッキリがあった。便器にごみを捨てるなど非常識すぎる。食事中の視聴者もいるだろう。モラルに反する番組だ。

第333回

第333回 – 2024年11月

「警察密着番組に対する申立て」ヒアリングを実施…など

議事の詳細

日時
2024年11月19日(火)午後2時半~午後10時
場所
千代田放送会館7階会議室およびBPO第1会議室
議題
出席者
曽我部委員長、鈴木委員長代行、廣田委員長代行、大谷委員、
國森委員、斉藤委員、野村委員、松尾委員、松田委員

1.「警察密着番組に対する申立て」ヒアリングおよび審理

申立ての対象となったのは、テレビ東京が2023年3月28日に放送した『激録・警察密着24時!!』で、人気漫画・アニメのキャラクターを連想させる商品に関する不正競争防止法違反事件を取り上げ、警察の捜査の模様や2021年7月28日に執行された会社役員ら4人の逮捕場面などを放送した。
これに対し、番組で取り上げられた会社役員らは、番組の放送時点で逮捕された4人のうち3人が不起訴処分になっているにもかかわらず、その事実に言及せず、また「人気キャラクターに便乗して荒稼ぎ」「被害者面」「逆ギレ」といった過度なナレーションやテロップを付けて放送するなど、4人の名誉を著しく傷つけたなどとして申立てを行った。さらに、捜査員同士の会話や会議の様子は事後に撮影されたものであるのに、捜査の時系列に沿っているかのように番組内で構成されており、視聴者を混乱させ、許容される演出の範囲を大きく逸脱しているなどと主張している。
被申立人のテレビ東京は、不適切な放送内容が複数あったとして、お詫び放送やウェブサイトでのお詫び文掲載のほか、警察密着番組の制作中止や関係者の処分を行った。さらに再発防止策として番組チェック体制の強化や社内教育・研修の拡充などを進めていくとしている。
申立人側は、お詫び放送等の対応に一定の評価をしているものの、警察署内での事後撮影をめぐる見解の相違やテレビ東京が番組制作過程を明らかにしなかったことに納得せず、双方の交渉は不調に終わり、6月の委員会で審理入りすることが決まった。
今回の委員会では、申立人・被申立人双方へのヒアリングを行った。終了後、本件の論点を踏まえて審理を続け、起草委員が委員会決定案の作成に着手することになった。

2.「調査報道に対する地方自治体元職員からの申立て」審理

申立ての対象となったのは、サンテレビが2023年9月26・27日に放送した夕方ニュース番組『キャッチ+』(キャッチプラス)で、ふるさと納税PR事業のために兵庫県下の地方自治体が出店したアンテナショップで、この自治体の元課長が現職時代に不正行為をはたらいていたという内容の調査報道ニュースを放送した。申立人は元課長で、放送内容は虚偽であり名誉を毀損されたと主張している。
9月26日放送の前編では、アンテナショップ元店長たちの内部告発をもとに、元課長が代金を支払わずに商品を飲食していたと報道した。9月27日放送の後編では、情報公開で得た資料と元店長たちの証言などをもとに、元課長の指示により、家族や知人に公金で高級牛肉などが送られていたと伝えた。
申立人の元課長は、放送などでの謝罪、インターネット上での当該ニュース動画の削除などを求めている。
被申立人のサンテレビは、元課長は電話取材に対し全てを否定したが、発言に具体的根拠はなく、元店長らの証言や伝票のコピーなどの物証からみて、放送内容は真実であり、少なくとも真実であると信じるに足る相当の理由があるとしている。また、地方自治体の管理職の地位にある公務員が、公金が投入されたアンテナショップで行った不正行為を放送したもので、公共性があり、公益を図る目的で放送したと主張している。
今回の委員会では、起草委員作成の委員会決定案について議論を行った。

3. 最新申立て状況

事務局から最新の申立て状況について説明した。

以上

第200回

第200回–2024年11月

毎日放送『ゼニガメ』について審議

第200回放送倫理検証委員会は、11月8日に千代田放送会館で開催された。
テレビ東京は、2023年3月28日の『激録・警察密着24時!!』で放送した人気漫画・アニメを連想させる商品に関する不正競争防止法違反容疑事件の密着取材の中で、逮捕された4人のうち3人が不起訴になった事実を伝えなかった等複数の不適切な内容があったと2024年5月に公表し謝罪した。委員会は、放送倫理違反の疑いがあり詳しく検証する必要があるとして7月の委員会で審議入りを決めた。今回の委員会では担当委員から意見書の修正案が提示され議論した。
毎日放送は、2024年7月17日に放送した『ゼニガメ』で、出張買取業者に密着取材する企画を放送したが、事実と異なる放送があったことを公表し謝罪した。その後さらに同じ業者を取材した2023年11月と2024年5月の放送分でも、事実と異なる内容があったことが判明し、9月4日に「一部事実と異なる内容があった」とする調査結果を発表し謝罪している。委員会は、放送倫理上の問題がなかったかを検証する必要があるとして9月の委員会で審議入りを決めた。今回の委員会では担当委員からヒアリングの結果報告と意見書の骨子案が提示され議論した。
10月にBPOに寄せられた視聴者・聴取者意見などが報告された。
10月30日に盛岡市で開催された北東北地区(青森、秋田、岩手)の意見交換会の様子と事後アンケートの集計などが報告された。

議事の詳細

日時
2024年11月8日(金)午後4時~午後7時20分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、
大石委員、大村委員、長嶋委員、西土委員、毛利委員、米倉委員

1. テレビ東京『激録・警察密着24時!!』について審議

テレビ東京は、2023年3月28日に放送した『激録・警察密着24時!!』の中で、人気漫画・アニメ「鬼滅の刃」を連想させる商品をめぐる愛知県警の不正競争防止法違反容疑の強制捜査を取り上げ、逮捕された4人のうち3人が不起訴になったことを伝えず、また事後撮影した映像を密着取材したかのように編集して放送した。2回目の審議となる今回の委員会では、前回の委員会で各委員から寄せられた意見や指摘をもとに作成された意見書第2稿(修正案)をもとに詰めの議論をし、最終稿に向けた作業を進めることを確認した。
なお、この番組はBPO放送人権委員会でも審理されている。

2. 毎日放送『ゼニガメ』について審議

毎日放送は、2024年7月17日に放送したローカルバラエティー番組『ゼニガメ』で、出張買取業者に密着取材する企画を放送したが、翌7月18日に番組に事実と異なる放送があったことを公表し謝罪した。さらに、2023年11月と2024年5月の放送分でも事実と異なる内容があったことが判明し、9月4日に「一部事実と異なる内容があった」とする調査結果を発表し謝罪した。委員会は9月に審議入りし、当該放送局から提出された報告書などを基に議論を重ね、10月に制作スタッフらからのヒアリングを実施した。今月の委員会では、担当委員からヒアリングの結果の報告と意見書の骨子案の説明があった。他の委員からは複数の質問や意見が出され、活発な議論が行われた。今後は意見書の原案の作成を進める。

3. 10月に寄せられた視聴者・聴取者意見を報告

10月に寄せられた視聴者・聴取者の意見では、サッカーJ1「町田ゼルビア」側がSNSでの誹謗中傷をめぐって刑事告訴したことを取り上げたニュース番組への批判や衆院選選挙特番で複数の局が、CG画面などで候補者名の近くに「裏金」などの文字を表示したことに対する批判の声が多く寄せられた。
また大手チェーンストアの商品のみを扱った番組について「明らかに広告ではないか」という視聴者意見が寄せられたことを事務局から報告した。

4. 北東北地区意見交換会の報告

放送倫理検証委員会は、2024年10月30日に青森、秋田、岩手の東北3県の放送局を対象に盛岡市で意見交換会を実施した。参加した委員から当日の様子などが報告され、事務局から事後アンケートの集計結果などが説明された。
意見交換会の詳細はこちら

以上

2024年10月に視聴者から寄せられた意見

2024年10月に視聴者から寄せられた意見

衆議院選挙についての報道や開票特番に多くの意見が寄せられました。

2024年10月にBPOに寄せられた意見の総数は2,527件で、先月から334件増加しました。
意見のアクセス方法は、ウェブ 86.9% 電話12.1% 郵便・FAX 1.0%
男女別は、男性 54.9% 女性 25.6% 無回答 19.5%で、世代別では10代 2.2% 20代 13.5% 30代 23.3% 40代 21.2% 50代 16.9% 60代 10.2% 70歳以上 2.9%
視聴者意見のうち、個別の番組や放送局に対するものは当該局へ個別に送付します。10月の個別送付先は25局で、意見数は835件でした。放送全般に対する意見は269件で、その中から15件を選び、会員社すべてに送りました。

意見概要

番組に関する意見

10月27日に行われた衆議院選挙の事前の報道や開票特番に対して多くの意見が寄せられました。
ラジオに関する意見は38件、CMについては2件でした。

青少年に関する意見

2024年10月中に青少年委員会に寄せられた意見は64件で、前月から2件増加しました。
今月は「表現・演出」が31件と最も多く、次いで「要望・提言」が25件で、以下、「言葉」「食べ物」などが続きました。

意見抜粋

番組に関する意見

  • 衆院選前の各党代表の討論や政策紹介の企画などで、扱われない政党がある。呼ぶ呼ばないの基準を明らかにしてほしいと思った。

  • 多くの開票特番で、政治資金の不記載が問題となった候補者の一部に“裏金”を意味する印を付けていたが、不記載が事実であったとしても顔写真に目立つマークを付けて人を区別する演出はあまり気持ちのいいものではなかった。

  • 事件報道で、被害者の自宅や暮らしの様子、犯行の手口などをこと細かに報道することは、類似犯罪の呼び水にならないだろうか。犯罪抑止のためには刑罰の重さや更生の大変さを強く訴えた方がよいと思う。

  • 「闇バイト」「ホワイト案件」などという言葉を使うと若者の警戒心が薄らぐのではないか。強盗傷害、強盗殺人という重大な犯罪だという意識をしっかりと植えつけるように報道してほしい。

  • 災害の状況を伝えた直後に大食いグルメの企画を放送していた。被災地の人の心情を想像して番組の構成を考えてほしいと思った。

  • 少子化対策としての子ども手当や学校無償化、育休の充実などの政策は大きく取り上げられるが、一方で高齢者の介護、家族によるケアの苦労などの話題は取り上げられることが少ないと感じる。高齢化に伴う諸問題への対応を強く促すような報道をしてほしい。

  • ニュースを伝える際にBGMを付けている番組がある。ニュースの原稿が聞き取りにくくなるのでやめてほしい。

  • 週刊誌報道やSNS上に流れる情報だけで作られているのではないかという番組が多いと思う。テレビ番組もコタツ記事化してゆくのだろうか。

  • 開票特番とプロ野球日本シリーズを1つのチャンネルで同時に放送していたがどちらにも集中できなかった。開票特番はほとんどすべての局で放送しているので日本シリーズをしっかり見せるチャンネルがあってもいいと思った。

  • 時代劇を増やしてほしい。中国や韓国で作られた時代劇は地上波でもBSでも放送されているが、日本で新たな時代劇が作られないのは悲しい。時代劇は子供たちが日本の歴史に親しむ機会にもなる。時代劇の制作と放送を望む。

  • 大手芸能事務所から他の事務所へ移籍したタレントの扱い方が不自然に小さいと感じられる番組がある。

  • ロケバス内での性加害の疑いで書類送検されたお笑いタレントに「メンバー」という呼称を付けるのはおかしいと思う。

青少年に関する意見

【「表現・演出」に関する意見】

  • バラエティー番組のドッキリ企画で、若手芸人の部屋に侵入してエアコンのリモコンを隠して操作できないようにした。夏場のエアコンは熱中症予防に必要で、なければ発症して死亡するリスクがある。放送には不適切な企画だと思う。

  • バラエティー番組のドッキリで、理髪店で洗髪中に芸人の顔面が水の中に押し付けられるシーンがあった。見ていてまったく笑えない。いじめのような行為を、面白おかしく放送しないでほしい。

【「要望・提言」】

  • 特撮ドラマの男性キャラクターが変身する際、腹部を露出させる演出がある。必然性のある演出だろうか。一部の視聴者層に性的な訴求を狙ったものではないのか。肌の露出で男性を性的な見世物にしてよいと、子どもに植え付けるのは大変問題がある。

  • バラエティー番組での芸人によるトークで、ギャンブル好きで芸人仲間から借金しているのをネタにすることがよくある。ギャンブルも借金もネタになるようなものではなく、青少年の教育上、好ましくないと思う。

【「言葉」に関する意見】

  • 特撮ドラマの男性キャラクターに「地獄に落ちろ」というせりふがあった。いくら敵が卑劣だといっても、正義のキャラクターが言ってよい言葉ではないし、子どもへの悪影響が心配される。

【「食べ物」に関する意見】

  • バラエティー番組のドッキリ・コーナーで、ふつうの食べ物に気づかれないように辛みや酸味を加えて、出演者に食べるのを競わせた。食べ物を粗末にしているし、仕掛けられた側が無理に食べているのを見るのは気持ちよいものではなかった。

第272回

第272回-2024年10月22日

視聴者からの意見について…など

2024年10月22日、第272回青少年委員会を千代田放送会館BPO第一会議室で開催し、榊原洋一委員長をはじめ、8人の委員全員が出席しました。
9月後半から10月前半までの1カ月間に寄せられた視聴者意見について担当の委員から報告がありました。
10月の中高生モニター報告のテーマは「最近見たバラエティー番組について」でした。
委員会ではこれらの視聴者意見や中高生モニター報告について議論しました。
最後に今後の予定について確認しました。

議事の詳細

日時
2024年10月22日(火)午後4時00分~午後7時00分
放送倫理・番組向上機構BPO第一会議室(千代田放送会館7階)
議題
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
今後の予定について
出席者
榊原洋一委員長、吉永みち子副委員長、飯田豊委員、池田雅子委員、
佐々木輝美委員、沢井佳子委員、髙橋聡美委員、山縣文治委員

視聴者からの意見について

9月後半から10月前半までの1カ月間に寄せられた視聴者意見について担当の委員から報告がありました。
男性アイドルグループの冠バラエティー番組で、メンバー各自が選んだ服を着て、タレントでモデルの女性審査員らが判定する企画について、視聴者から「審査員の批評が、批評というより悪口や暴言で聞くに堪えないものだった。男性メンバーの人権を侵害する発言もあった」などの意見が寄せられました。
担当委員は「(女性審査員の発言は)必ずしも一方的になされていたものではなく、誹謗(ひぼう)中傷やいじめにつながるものがあるとは思えなかった。あくまで『毒舌キャラ』として仕込まれての発言だというのは、(番組を)見ていてよくわかった」と述べ、この企画に問題はないとしました。別の委員は「2000年代後半くらいから、男性アイドルグループが『お笑い』の領域に本格的に進出してきた。するとアイドルのファン層は、従来の芸人がやる『お笑い』とはやや異なる反応を示すことが見て取れるようになった」と説明しました。
ボーイズラブをテーマにした深夜の連続ドラマで、主人公が子ども時代を回想する際、性暴力とみられるシーンがあったことに視聴者から「番組クレジットに『インティマシー・コーディネーター(注:映画やテレビなどで、俳優らの身体的接触やヌードなどが登場するシーンにおいて、演者側と演出側の意向を調整する職種)』などの名前はなく、子役の男児の精神的ケアが適切に行われたか大変疑わしい」との意見がありました。
担当委員は「いずれも過去の辛い経験が現在の自分に繋がっていることを表す回想シーンであり性暴力を肯定する内容ではなかった。子役の前で成人男性がズボンを下すシーンでは、子役の視線がずっと上を向いて視界に入らないように、別のシーンではやや年長の子役に成人女性が着衣のまま抱きついていたが、そこでとどめているなど、(制作側の)一定の配慮はうかがえた。しかし(視聴者意見にあるように)このような場面で本来は精神的ケアをする専門スタッフを入れて制作すべきであって、そうした視点が非常に大事だと思う」と報告しました。
ある委員は「成人男性がズボンを下すシーンは、映画であれば(男性俳優と子役を)別々のカットで撮影すると思う。(テレビでは)微妙なラインだといえるのではないか」と指摘しました。ほかの委員は「現段階ではインティマシー・コーディネーターの必要性など十分な検討がされているのか不明なことも多く、青少年・未成年者が暴力シーンや性的なシーンに出演する際にどのようなケアが必要なのかということを、委員会の中でもう少し問題整理した上でテレビ局やドラマ制作者との認識の共有を図ったほうがよいのではないか」と提案しました。
この問題は委員会として今後も議論を続けることになりましたが、このほかに大きな議論になる番組はなく、「討論」に進むことはありませんでした。

中高生モニター報告について

10月のテーマは「最近見たバラエティー番組について」で、合わせて22番組への報告がありました。
複数のモニターが取り上げた番組は『それSnow Manにやらせて下さい』『マツコの知らない世界』(いずれもTBSテレビ)、『世界の果てまでイッテQ!』『THE突破ファイル』『月曜から夜ふかし』(いずれも日本テレビ)の5つです。
「自由記述」には番組全般に対する要望が多くありました。
また「青少年へのおすすめ番組」では『がっちりマンデー!!』(TBSテレビ)に8人から、『拝啓 十五の君へ ~30歳になった私からのメッセージ~』(NHK総合)に7人から、『ちびまるこちゃん』(フジテレビ)と『Aぇ!!!!!!ゐこ』(毎日放送)にそれぞれ2人から、感想が届いています。

◆モニター報告より◆

【最近見たバラエティー番組について】

  • 『阿佐ヶ谷アパートメント』(NHK Eテレ)
    冒頭の“ゆる~い競技”がとてもおもしろかったです。迫力はないもののシュールで、出演者のトークも温かくおもしろかったです。また競技の難易度を下げることで放送内容が身近に感じられたのも良かったです。“憧れのスゴ技”で“バク転”がありましたが、運動が苦手なタブレット純さんが成功に近い体験をしたことで、僕も「やってみたいな」と強く思いました。(高校2年・男子・神奈川)

  • 『それSnow Manにやらせて下さい』(TBSテレビ)
    • 「大型ファッションショーでコーデ対決」回の審査員の声は、女性目線としては納得いくと思うが辛らつな言葉も多かった。それがテレビの醍醐味であって面白くなる要素でもあるが、人間性を否定する言葉は言われた人も視聴者も傷つくため改善してほしい。また審査員が5人もいるなら一斉に「○」「×」のボタンを押して評価すべきだと思った。藤田ニコルさんがトップバッターの重圧で毎回辛そうにしていたのが感じ取れたし、辛口コメントも1番取り上げられて、ファンの批難の矛先が向けられやすくなってしまう事に納得がいかなかった。(中学2年・女子・埼玉)
    • 「ダンス対決」はこれまで知らなかった曲に出会うことがあり、個性豊かな出演者の踊りを見るのはとても楽しいです。テレビの前で一緒に踊ったりリズムに乗ったりできるので、番組に飛び込んだような気持ちで視聴できます。合間にミニゲームを入れたり、メンバーをシャフルしてダンスコラボしたりすると、もっと見やすくなると思います。(中学3年・女子・長崎)
  • 『マツコの知らない世界』(TBSテレビ)
    「道の駅の世界」の放送回では食べ物が多く紹介されていて、マツコさんが非常においしそうに食べるので、見ている私もおなかが空きました。番組のテンポが良く、所々で挟まれる雑学など日常生活でためになるような内容も多くて、毎週見ていても飽きません。これからも続いてほしいです。(中学3年・男子・千葉)

  • 『ワールド極限ミステリー』(TBSテレビ)
    芸能人による救出劇の話題では再現VTRで当時の状況を伝え、イラストなどで人命救助の適切な対処法も紹介していた。楽しみながら多くの知識を得られて、見る価値のある番組だと思った。またこのようなクオリティーの高い再現VTRやイラストを利用して、緊急時や災害などでの対処法を子どもでもわかるように表現するのも良いと思う。(高校1年・男子・長崎)

  • 『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ)
    • 20~30代の出演者は少ないが、若い世代が必ず知っている番組であり続けていることがすごいと思う。番組スタッフやロケで訪れる現地の人たちの様子も映していて、親近感があり気軽に見ることができる。また世界各地の観光地や伝統、言葉を紹介しているので、楽しみながら知識を増やすこともできる。(中学1年・女子・鹿児島)
    • 4年ぶりに手越祐也さんが出演し、イタリアで行われた「立ち漕ぎボートレース」に参加していました。ボートから川に落ちる瞬間に「イェーイ!」というナレーションを聞くことができて、4年前と変わらず懐かしいなと思いながら家族で番組を見て盛り上がりました。(高校3年・女子・栃木)
    • 手越祐也さん復帰の回は、4年前当時のテロップが使われていたりメンバーが涙ながらに復帰を祝っていたりして、出演者や番組スタッフの愛が伝わってきました。また放送後に学校で、普段あまりテレビを視聴しない友達から「久々にテレビの時間に合わせて家族みんなでご飯食べた」と言われました。テレビやラジオが家族団らんの大きなきっかけになっていることを、2024年のいま感じることができてとても幸せでした。(高校3年・女子・奈良)
  • 『THE突破ファイル』(日本テレビ)
    • 「その時どうすればいいのか」を楽しくクイズ形式で紹介していて面白い。麻薬の密輸がどのような手口で行われるのかは見ていてハラハラドキドキした。日常のちょっと困った時に使える豆知識的なコーナーはもっと増やしてほしい。(中学1年・男子・山形)
    • 昔からとても好きでよく視聴しています。出演者の名回答、珍回答がユニークでいつも笑わせられています。身近にあっても知らないことをクイズ形式で回答するスタイルは、多くの人が楽しめると思います。(高校2年・男子・山口)
  • 『月曜から夜ふかし』(日本テレビ)
    • 唯一、毎週欠かさず見ているバラエティー番組です。インタビューテーマの選定がとても巧妙で、素材を活かす技術の高さや話の引き出し方の上手さ、特定のテーマに絞らないところが強みだと思います。視聴者を飽きさせない工夫がされていて、いつまでも続いてほしい番組です。(中学3年・女子・東京)
    • ツッコミが的確で思わず笑ってしまいました。最近は学校で疲れてしまうことが多かったのですが、そんなことも忘れてしまうくらい楽しかったです。ただ家族と視聴している時、少し過激な表現に空気が凍る時があるので、もう少し控えてほしいとも思います。インタビューを受ける機会が多くある都会は本当に羨ましいです。面白い回答ができる自信はありませんが、私もインタビューを受けてみたいです。(高校1年・女子・岐阜)
  • 『ニノさんとあそぼ』(日本テレビ)
    とにかく「おもしろい」の一言です。バラエティー番組の罰ゲームは最近“痛い系”が多いですが、この番組のように“編集での罰ゲーム”の方が普通に面白いです。家族団らんの時間なので罰ゲームにも配慮してほしいです。また最後のゲストは阿部詩さんでしたが、アスリートは減多にバラエティー番組に出ないので尺が長い方が視聴者的には面白いと思います。(中学2年・男子・東京)

  • 『日テレ系「クイズフェスティバル2024秋」~豪華芸能人が平成の名物クイズに挑戦SP~』(日本テレビ)
    人気俳優・タレントが“おバカな回答”を連発していて、久しぶりに腹を抱えて笑った。最近は知識量を問うばかりのクイズ番組が多く、“おバカ”が光るクイズ番組が少ないと感じている。『クイズ!ヘキサゴン』(フジテレビ)など平成に放送されていたものを視聴したいので、春・夏・秋・冬のドラマが始まる時に制作してほしい。(高校2年・女子・青森)

  • 『世界頂グルメ』(日本テレビ)
    ベトナムが「日本と比べて激安」と紹介されていたためか、画面にはひたすら「日本円で170円」「水1.5Lで60円」などと表記されていたが、現地通貨でも表記する方がいいと思う。なぜなら為替で価格は変わるし、なによりも現地を尊敬することにつながると思うからだ。“激安”と表記すると“安いから行く”ことを助長してしまうと思うが、海外に行くときは相手国を尊重していないと大変失礼だと思う。いま日本に来ている旅行者たちにも、日本での様々な支払いが安いからという理由で来てほしくないと、僕は思う。(高校3年・男子・東京)

  • 『ザ!世界仰天ニュース』(日本テレビ)
    少し前に放送された番組とコラボしていて、面白そうだと思い視聴しました。テロップやイラストがなかったり、いつもは見えない「VTR開始まであと〇秒」が見えたりして新鮮でした。(高校3年・女子・熊本)

  • 『帰れマンデー見っけ隊!!』(テレビ朝日)
    サンドウィッチマンの伊達みきおさんが自分自身や家族にお土産を買う姿に親近感を覚えた。また女優の菜々緒さんも役柄できついイメージがあったが、とても前向きで協調性もあり優しい人柄だと思った。バラエティーは芸能人の素顔の魅力を再発見できる。(中学2年・女子・秋田)

  • 『ザワつく!金曜日』(テレビ朝日)
    昭和の歌謡曲やニュース、道具などが紹介される時があり、とても興味深く勉強になります。最近はクイズ企画が多く、出演者の生活や人間関係を垣間みることができるトークが好きな私としては少し物足りないと感じています。トーク中心で出演者の個性が際立つ番組が見たいです。(高校1年・女子・愛知)

  • 『ネプリーグ』(フジテレビ)
    解きやすいクイズが多くて見続けやすいと思った。難しいクイズや補足情報は現役の塾講師が説明を加えていてためになった。一番好きなのは、塾の社会科の講師が優勝者への賞品についてプレゼンするところだ。視聴者も詳細な情報を知って買ってみたいと考えると思う。(高校2年・女子・東京)

  • 『この世界は1(ワン)ダフル』(フジテレビ)
    ナンバー1だけを紹介するバラエティーはこの番組だけだと思うし、どれもドラマのような話で楽しかった。俳優さんは力が入りすぎていて、そんなギャップもおもしろかった。(中学1年・女子・神奈川)

  • 『ポケモンとどこいく!?』(テレビ東京)
    最近は声優が顔出し出演していることが多く、僕はアニメを見てどの声優かを当てたりするのでうれしい。声優のアフレコを見て他の出演者が「セリフを言うとき表情が変わる」と言っていたが、小学生の頃に音読で「気持ちを込めて」と言われたこととつながった気がした。(中学3年・男子・東京)

  • 『芸能人格付けチェック』(朝日放送テレビ)
    視聴するたびに独創的なチェックを用意していて飽きることがない。弦楽器やロックバンドの見極めでは、プロと大学生・プロと小学生といったように年齢差があってユニークだと思った。格付けマスターが不正解の部屋にわざと入るモーションもいつもより多くて良かった。また昔はGACKTさんが正解を出し続けていたが、今のように全員が平等に正解したり間違えたりを繰り返すほうが良いと思った。(高校1年・男子・兵庫)

  • 『まいど!ジャーニィ~』(BSフジ)
    9月22日の放送回には外部ゲストがいなかったので、MCのメンバーやみんながラフにやっている感じが伝わってきてとても面白かったです。また8月の夏休み特別編では外ロケをしていましたが、定期的に外ロケの企画を放送してほしいです。(中学3年・女子・神奈川)

【自由記述】

  • 『それSnow Manにやらせて下さい』(TBSテレビ)のファッションショー企画で、出演したタレントが視聴者に向けて後日、「いつになったらバラエティーを見るリテラシーが育つの?」と苦言を呈していた。そのような言葉をタレントに言わせてしまう番組は、改善するべき点があると思う。(高校2年・女子・東京)

  • 『その道のプロが選ぶ本当のNo.1 プロフェッショナルランキング』(TBSテレビ)で、Number-iの平野紫耀さんとDA PUNPのKenzoさんが3位にランクインしているのにも関わらず、その2人だけダンス映像が放送されず不快な気分になりました。ダンスは人によって感じ方が違うものなのでランキングをつけるのは面白くないと思います。(中学3年・女子・神奈川)

  • 私は『24時間テレビ』(日本テレビ)が嫌いです。特に嫌いなのは障がい者に関する特集です。障がい者の実情を伝えて偏見や差別をなくしていくことはとても大切だと思いますが、『24時間テレビ』は障がい者を利用して視聴者の感動を誘っているようにしか見えません。何かに挑戦する企画はわざわざ障がい者でなくてもいいと思います。今のままでは障がい者が見世物になってしまうと思います。(中学3年・女子・東京)

  • 最近は忙しくてテレビやラジオに触れる機会があまりなかったが、バラエティー番組で新ドラマの番宣を多くやっていて、ドラマをいくつか録画した。視聴するのが楽しみだ。(高校1年・男子・兵庫)

  • 僕がドラマ『素晴らしき哉、先生!』(朝日放送)を視聴しなかった理由は、世間では教員が足りず働き方もブラックだと言われているのにこのタイトルが「いかにも先生っていいですよ」と言わんばかりではないか、と感じたからだ。テレビ番組は影響が大きいので、世の中が望むものを制作することもあるのだろうか。(高校3年・男子・東京)

  • 学校の同級生と秋のドラマについて話をした。今期は見たいドラマがあまりなく、各局のおすすめドラマの紹介ページがほしい。(中学2年・女子・埼玉)

  • 最近は原作である漫画や小説があったうえで実写化しているドラマが多いように感じますが、私はオリジナルドラマを見たいです。(高校2年・女子・愛媛)

  • ドラマの劇伴にクラシック音楽が流れていましたが、曲名が分からず改めて聴くことができませんでした。挿入歌や劇伴の曲名をエンドロールや公式サイトに記載してほしいです。(高校1年・女子・愛知)

  • 小中学生が目標や夢に向かってスポーツや資格取得などを頑張る番組を、毎週あるいは毎日放送してほしい。定期的に放送することで、番組を見るたびに「自分も頑張ろう」と思うきっかけになると思う。(中学2年・女子・鳥取)

  • スポーツ番組の解説について、特定の選手やどちらかのチームに偏った解説をするよりも、試合全体を冷静に解説してくれる人が増えるといいなと思います。荒木大輔さんの大リーグ解説は分かりやすく、先月電話で話をした祖母も同じ意見で嬉しかったです。(中学2年・女子・東京)

【青少年へのおすすめ番組】

  • 『拝啓 十五の君へ ~30歳になった私からのメッセージ~』(NHK総合)
    • 自分はいま16歳で、30歳になった時どのような姿なのか想像もできないが、将来に向けた努力は報われることを示唆しているような番組で元気をもらえた。(高校1年・男子・長崎)
    • いま自分には悩みがある。しかし今回出演した大人たちのように、自分が30歳になった頃に「あの時たくさん悩んでよかった」と言えるような大人になりたいと思った。(高校2年・女子・東京)
  • 『がっちりマンデー!!』(TBSテレビ)
    • スタジオでの会話が商品を冷やかすような表現が多く、信憑性に欠けると感じました。商品の良さが伝わりづらく、ウェブ広告以上テレビショッピング未満だと思いました。(中学2年・女子・東京)
    • 珍しい商品や話題の商品を紹介する番組は多くあるけれど、開発に至った経緯や開発者への直撃インタビューなども含めて1つの商品を丁寧に説明しているところが、他の番組にはない特徴だと思います。また闘病中である経済アナリストの森永卓郎さんが出演していて驚きました。アナリスト視点の感想も聞くことができ、時事的な話題をバラエティー感覚で楽しく学べるので、是非今後も視聴していきたいです。(高校3年・女子・熊本)
  • 『ちびまるこちゃん』(フジテレビ)
    『ちびまる子ちゃん』を見ると「明日から学校か」と憂鬱になってしまいますが、心温まるストーリーを毎週家族で楽しみにしています。(高校3年・女子・栃木)

  • 『Aぇ!!!!!!ゐこ』(毎日放送)
    近畿大学の相撲部の特集で、出演者たちが基礎的な練習を体験したときに「一番難しい」とリアクションしたのが意外だった。相撲部のキャプテンは4人で体当たりしても倒れない体幹を持っていてすごさが伝わってきた。「すり足行進」も迫力満点でプロになることはとても大変だと分かった。(高校1年・男子・兵庫)

  • 『発見!タカトシランド』(北海道文化放送)
    歩いているところからさらっと番組が始まって、さらっと番組名をいうところがめずらしいと思いました。お笑い芸人がMCをしているのでトークがとてもおもしろかったです。(中学1年・女子・神奈川)

  • 『冨永愛の伝統to未来』(BS日本)
    冨永さんの立ち姿は綺麗だと思いましたが、10月の放送にしては服が夏らしくて季節に合わない気がしました。また足が細くて驚きました。収録は暑い夏だったのかなと思いますが、座った作業が多いので肌の露出は避けてズボンの方が良かったと思います。放送時間は短くてあまり苦痛もなく見る事ができました。僕の住んでいる山梨県の伝統文化も紹介してほしいです。(中学1年・男子・山梨)

◆委員のコメント◆

【最近見たバラエティー番組について】

  • 『それSnow Manにやらせて下さい』(TBSテレビ)のファッションショー企画についての報告に“バラエティーを見るリテラシー”という言葉があったが、これは大切なテーマだ。そもそも学校現場でのリテラシー教育ではパソコンやSNSの使い方を学ぶのが主流だし、家庭で学ぶのも難しい。番組制作者は、視聴している子どもたちが“バラエティーを見るリテラシー”を持っていないことを前提に番組を放送するべきだと思う。

  • 「バラエティー番組のファッションチェックは辛口でOK」という考えは、先頃亡くなったタレント・ファッション評論家のピーコさんらの影響だと思うが、一定以上の年齢層では暗黙の了解になっているところがある。しかし若い世代はそうは思わないので、世代によって受け止め方は違うのだと思った。

  • 『日テレ系「クイズフェスティバル2024秋」~豪華芸能人が平成の名物クイズに挑戦SP~』(日本テレビ)と『ネプリーグ』(フジテレビ)を視聴した高校2年生のモニター2名がそれぞれ「最近は知識量を問うばかりのクイズ番組が多い」「解きやすいクイズが多く見続けやすい番組だった」と指摘していて、『東大王』(TBSテレビ)的なクイズ番組には2人とも食傷気味なのかという印象を受けた。昨今の中高生モニターは全般的に「ためになる番組」「役に立つ番組」を求める傾向が強いが、受験を控えた高校2年生がそういう年頃なのか、あるいはクイズ番組の潮目が変わりつつあるのか、今後も注視していきたい。

  • 『この世界は1(ワン)ダフル』(フジテレビ)についての報告があった。最近は学校教育などで運動会の徒競走や通知表がなくなるなど、「競争は必ずしも良くない」という風潮があると感じているが、その中であえてナンバー1を紹介する番組を制作したことは大変良いことだと思う。バドミントンのオグシオペアやバレーボールの大林素子さんの話にもあったが、ナンバー1になるには当然それに相応する努力をしていて、その上での成功体験や喜びを知ることも人生で大切なことだ。

今後の予定について

次回は11月26日(火)に千代田放送会館BPO第一会議室で定例委員会を開催します。また、11月28日(木)には鹿児島市内で、鹿児島地区放送局の番組制作者らと意見交換会を行う予定です。

以上

第332回

第332回 – 2024年10月

「調査報道に対する地方自治体元職員からの申立て」審理…など

議事の詳細

日時
2024年10月15日(火)午後4時~午後9時
場所
千代田放送会館7階会議室
議題
出席者
曽我部委員長、鈴木委員長代行、廣田委員長代行、大谷委員、
國森委員、斉藤委員、野村委員、松尾委員、松田委員

1.「調査報道に対する地方自治体元職員からの申立て」審理

申立ての対象となったのは、サンテレビが2023年9月26・27日に放送した夕方ニュース番組『キャッチ+』(キャッチプラス)で、ふるさと納税PR事業のために兵庫県下の地方自治体が出店したアンテナショップで、この自治体の元課長が現職時代に不正行為をはたらいていたという内容の調査報道ニュースを放送した。申立人は元課長で、放送内容は虚偽であり名誉を毀損されたと主張している。
9月26日放送の前編では、アンテナショップ元店長たちの内部告発をもとに、元課長が代金を支払わずに商品を飲食していたと報道した。9月27日放送の後編では、情報公開で得た資料と元店長たちの証言などをもとに、元課長の指示により、家族や知人に公金で高級牛肉などが送られていたと伝えた。
申立人の元課長は、放送などでの謝罪、インターネット上での当該ニュース動画の削除などを求めている。
被申立人のサンテレビは、元課長は電話取材に対し全てを否定したが、発言に具体的根拠はなく、元店長らの証言や伝票のコピーなどの物証からみて、放送内容は真実であり、少なくとも真実であると信じるに足る相当の理由があるとしている。また、地方自治体の管理職の地位にある公務員が、公金が投入されたアンテナショップで行った不正行為を放送したもので、公共性があり、公益を図る目的で放送したと主張している。
今回の委員会では、起草委員から提出された委員会決定案について議論した。

2.「警察密着番組に対する申立て」審理

申立ての対象となったのは、テレビ東京が2023年3月28日に放送した『激録・警察密着24時!!』で、人気漫画・アニメのキャラクターを連想させる商品に関する不正競争防止法違反事件を取り上げ、警察の捜査の模様や2021年7月28日に執行された会社役員ら4人の逮捕場面などを放送した。
これに対し、番組で取り上げられた会社役員らは、番組の放送時点で逮捕された4人のうち3人が不起訴処分になっているにもかかわらず、その事実に言及せず、また「人気キャラクターに便乗して荒稼ぎ」「被害者面」「逆ギレ」といった過度なナレーションやテロップを付けて放送するなど、4人の名誉を著しく傷つけたなどとして申立てを行った。さらに、捜査員同士の会話や会議の様子は事後に撮影されたものであるのに、捜査の時系列に沿っているかのように番組内で構成されており、視聴者を混乱させ、許容される演出の範囲を大きく逸脱しているなどと主張している。
被申立人のテレビ東京は、不適切な放送内容が複数あったとして、お詫び放送やウェブサイトでのお詫び文掲載のほか、警察密着番組の制作中止や関係者の処分を行った。さらに再発防止策として番組チェック体制の強化や社内教育・研修の拡充などを進めていくとしている。
申立人側は、お詫び放送等の対応に一定の評価をしているものの、警察署内での事後撮影をめぐる見解の相違やテレビ東京が番組制作過程を明らかにしなかったことに納得せず、双方の交渉は不調に終わり、6月の委員会で審理入りすることが決まった。
今回の委員会では、起草委員作成の「論点と質問項目」案について議論した。

3. 最新申立て状況

事務局から最新の申立て状況について説明した。

以上

第199回

第199回–2024年10月

テレビ東京『激録・警察密着24時!!』について審議

第199回放送倫理検証委員会は、10月11日に千代田放送会館で開催された。
テレビ東京は、2023年3月28日の『激録・警察密着24時!!』の中で人気漫画・アニメを連想させる商品に関する不正競争防止法違反被疑事件に密着し放送したが、逮捕された4人のうち3人が不起訴になった事実を伝えなかった等、複数の不適切な内容があったと2024年5月に公表し謝罪した。委員会は、当該放送局に報告書と番組DVDの提出を求めて討議した結果、放送倫理違反の疑いがあり詳しく検証する必要があるとして7月の委員会で審議入りを決めた。今回の委員会では担当委員から意見書の原案が提示され議論した。
毎日放送は、2024年7月17日に放送した『ゼニガメ』の中で、出張買取業者が奈良県内の家屋の清掃や遺品整理を行った際、金庫から金の延べ板が見つかり現金で買い取る様子を紹介したが、実際は買取業者が事前に用意した物であることがわかり、事実と異なる放送があったことを公表し謝罪した。その後さらに同じ業者を取材した2023年11月と2024年5月の放送分でも、事実と異なる内容があったことが判明し、毎日放送は9月4日に「一部事実と異なる内容があった」とする調査結果を発表し謝罪しているが、制作スタッフ側の関与は認められなかったとしている。委員会は議論の結果、放送倫理上の問題がなかったかを検証する必要があるとして9月の委員会で審議入りを決めた。今回の委員会では関係者に対するヒアリングの予定などが報告された。
TBSテレビが2024年6月19日に放送した『東大王』の特別番組「東大王VS難関中学 関東名門校SP」の中で、「野々村親子と学ぶ 業界No.1!味の素SP」というクイズコーナーが約30分間にわたってあり、視聴者からBPOへ「番組か広告か分かりづらい」という意見が寄せられた。当該放送局から提出された報告書を基に討議したが、審議入りはせず議事概要に意見を掲載することで終了した。
NHKのラジオ国際放送問題について議論した。
9月にBPOに寄せられた視聴者・聴取者意見などが報告された。
北東北地区(青森、秋田、岩手)で開催する意見交換会の実施要項と事前アンケートの集計などが報告された。

議事の詳細

日時
2024年10月11日(金)午後4時~午後7時
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、
大石委員、大村委員、長嶋委員、西土委員、米倉委員

1. テレビ東京『激録・警察密着24時!!』について審議

テレビ東京は、2023年3月28日に放送した『激録・警察密着24時!!』の中で、人気漫画・アニメ「鬼滅の刃」を連想させる商品をめぐる愛知県警の不正競争防止法違反容疑の強制捜査を取り上げ、逮捕された4人のうち3人が不起訴になったことを伝えず、また事後撮影した映像を密着取材したかのように編集して放送した。委員会は7月に審議入りし、関係者からのヒアリングを済ませており、今回は担当委員が作成した意見書の原案をもとに審議した。各委員から様々な意見が出され、議論が交わされたことをうけて第2稿を作成し、次回の委員会で継続審議することを確認した。
なお、この番組はBPO放送人権委員会でも審理されている。

2. 毎日放送『ゼニガメ』について審議

毎日放送は、2024年7月17日に放送したローカルバラエティー番組『ゼニガメ』で、出張買取業者に密着取材する企画を放送した。奈良県内の家屋の清掃や遺品整理を行った際、金庫から金の延べ板が見つかり業者が現金で買い取る様子を紹介したが、実際は業者が事前に用意した物であることが明らかになり、事実と異なる放送があったことを翌7月18日に公表し謝罪した。さらに、2023年11月と2024年5月の放送分でも同じ業者が土地や建物を遺族とおぼしき人物から現金で買い取る様子を放送していたが、実際はロケ以前に業者が買い取っていたこと、遺族として登場した人物も買取業者が事前に依頼していたことなどが判明した。毎日放送は9月4日に「一部事実と異なる内容があった」とする調査結果を発表し謝罪しているが、制作スタッフ側の関与は認められなかったとしている。委員会は9月に審議入りし、当該放送局から提出された資料に基づき担当委員が議論を重ねた結果、ヒアリングの方向性がほぼ固まってきたことなどが報告された。関係者に対するヒアリングを10月中に行い、次回の委員会までに意見書の骨子案を作成することになった。

3. TBSテレビ『東大王』について討議

TBSテレビは2024年6月19日(水)19時から3時間にわたる『東大王』の特番「東大王VS難関中学 関東名門校SP」を制作。番組は3部構成で、中学受験で出題された問題を東大王チームが解くコーナー、動物園にいる動物を表す難読漢字をクイズにした番組名物の「難問オセロ!」コーナーと続き、最後に「野々村親子と学ぶ業界No.1!味の素SP」と題したクイズコーナーが放送された。
クイズは冷凍ギョーザや中華合わせ調味料など味の素の6商品を紹介して出題する形式で、正解の解説には味の素の社員が登場。画面左上には「東大王×No.1づくし!味の素」のテロップを表示し、味の素を冷凍食品界の王者と紹介。No.1商品と称する冷凍食品について3題を出題した後、何れも売り上げNo.1と銘打った中華合わせ調味料、和風だし、洋風インスタントスープに関するクイズを出題。クイズに優勝したチームには味の素商品の詰め合わせセットが贈られた。このコーナーの放送尺は約30分間だった。

放送後、BPOに視聴者から「クイズコーナーで味の素の商品に関する問題や解説を長時間にわたって取り上げていた。番組か広告か分かりづらい点、ステマなのかどうか分からない点において番組に疑問を持った」という声が寄せられた。これを受けて委員会は、TBSテレビに対して報告書を求め、10月4日に当該放送局から報告書が提出された。
報告書によると、当該コーナーは商品誕生の試行錯誤が学べる新企画として制作現場が立案したコーナーで、第1弾の明治に続く2回目の放送だった。制作にあたって味の素から対価は受け取っておらず、企画中に検討された企業PRにつながるような内容は全て取り上げず、番組側がクイズにしたいと考えた要素だけで自主的に構成された番組であるとしている。
一方で、放送中26分間にわたり画面左上に「東大王×No.1づくし!味の素」のテロップが出続けた点や、商品を賞賛するばかりの放送内容を「番組かCMか分かりづらい」と受け止めた視聴者がいた点については、結果的に反省すべき事だとしている。
当該コーナーは、放送後TBSテレビの考査局から「慎重さが求められる事案」との指摘を受けたが、放送前の段階で番組プロデューサー陣は問題があるとは思わず考査部門には相談していない。TBSテレビは、制作現場の番組と広告放送の識別の甘さを改めるべく、今後勉強会の開催やヒヤリハット事例集をまとめるなどして周知・徹底を図りたいとしている。

委員会は、本事案について10月11日に討議入りを決定。民放連の「番組内で商品・サービスなどを取り扱う場合の考査上の留意事項」に照合すると共に、番組か広告放送かの問題で放送倫理違反に問われた過去の委員会決定の事案と本事案とを比較して問題点を整理した。その結果、以下のような厳しい指摘が相次いだ。

  • 視聴者に身近な商品を取り上げれば視聴率につながると、制作現場が警戒心も後ろめたさもなく当たり前に考えていることに本事案の問題の根深さを感じる。

  • 1社提供で番組本編も提供社のことを取り上げているケースは、放送倫理違反であるにしても、視聴者は番組本編も広告だろうという意識で見るので実は影響はそんなに大きくない。むしろ、提供社でもない企業の事を殊更に取り上げる方が、その企業の担当者と何か裏取引があるのではないかという不信感が視聴者に募る。本事案はまさにそういう構成だ。

  • テレビショッピングかと思う程、芸能人らが褒めて美味しい美味しいと繰り返しており、視聴者からは番組か広告か分かりづらくステマかもしれないという意見が届いた。番組で取り上げた企業から対価はもらっておらず、自主的に構成した番組なので問題があるとは思わずそのまま放送したというテレビ局の対応を是認してしまっていいのか。

  • 民放連の「番組内で商品・サービスなどを取り扱う場合の考査上の留意事項」は、取り上げた企業から対価をもらっていなくても、番組制作や考査にあたっては、視聴者に広告放送であるとの誤解を招く内容・演出になっていないか常に留意する必要があるとしている。だからこそ、これまでの委員会決定で指摘したとおり番組考査が大事なのだが、TBSテレビの報告書を読む限り、制作現場は考査の必要性を全く意識せずに放送に至っており問題だ。

  • 番組か広告放送かの問題を巡って、地方局で放送倫理違反を問われるケースが相次いで以降、全国の地方局は番組と広告の境目を常に意識し苦労している。キー局がその点を全く意識せずに番組を制作しているというのが信じられない。これまで委員会決定を通じてBPOが訴えてきたことがまるで伝わっていない。これまでの委員会決定及び委員長談話の対象は全て地方局の事案であり、放送局間で公平な取扱いをしているのかも気になるところだ。

  • 「味の素」という企業名を書いたテロップが出続けていたり、商品を売上げNo.1と強調し味の素の商品を激賞したりしており、視聴者が広告ではないかと感じるのも致し方ないところがある。

  • 番組か広告放送かの問題で審議入りをして放送倫理違反を問われたある放送局の番組は「おいしさの追求」と銘打って企業の肯定的な側面の紹介に終始していた。本事案も番組コーナーのコンセプトはほぼ同じなので同様に審議入りすべきだ。

こうした厳しい意見が相次いだ一方で、本事案は、番組全編を通して一企業を取り上げているわけではない点や、番組のフォーマットであるクイズ形式に取り上げた企業の商品情報を落とし込んでいる点において、審議入りの判断をするまでには至らないという意見が出た。番組全体ではなく番組の一部で企業の商品やサービスを取り上げたケースにおいても審議入りの対象としてしまうと、キー局はもとより地方局も今後の対応に苦慮するのではないかといった意見も出た。
また、TBSテレビが報告書で、制作現場の番組と広告放送の識別の甘さを改めるべく、今後勉強会の開催やヒヤリハット事例集をまとめるなどして周知・徹底を図りたいとしていることから、本事案は、今後のTBSテレビの自主的な対応に任せるということで討議を終了し、審議入りは見送った。

4. NHKのラジオ国際放送問題について議論

NHKは、2024年8月19日にラジオ国際放送などの中国語ニュースで中国籍の外部スタッフが、沖縄県の尖閣諸島の帰属などをめぐって、原稿にはない発言を行った。NHKは9月10日に「ラジオ国際放送問題への対応について」という文書を公表した。また、委員が作成したメモとNHKが公表した文書を資料としてこの問題について議論したが、委員会としてはこれについて取り上げるという判断には至らなかった。

5. 9月の視聴者・聴取者意見を報告

9月に寄せられた視聴者・聴取者意見のうち、タレントが80キロ超のチャリティマラソンに挑む番組企画について、台風が接近し影響が懸念されていたにもかかわらずマラソンを中止しなかったことについての批判や、そもそも一人のタレントに80キロ超のマラソンを課す番組企画は無謀だといった声が寄せられた。この他、女性芸人が護身術を学んだ後に痴漢にあった場合どんな反応を見せるかという番組コーナーについて、性犯罪を思い起こさせるような演出は悪ふざけの度が過ぎるといった意見が寄せられたことなどが事務局から報告され、議論した。

6. 北東北地区意見交換会の開催について

放送倫理検証委員会は、2024年10月30日に青森、秋田、岩手の東北3県の放送局を対象に盛岡市で意見交換会を実施する。事務局から当日の実施要項や事前アンケートの集計結果を説明した。

以上

第271回

第271回-2024年9月24日

視聴者からの意見について…など

2024年9月24日、第271回青少年委員会を千代田放送会館BPO第一会議室で開催し、欠席の榊原洋一委員長を除く7人の委員が出席しました。進行は吉永副委員長が代行しました。
7月後半から9月前半までの2カ月間に寄せられた視聴者意見について担当の委員から報告がありました。
9月の中高生モニター報告のテーマは「終戦・戦争関連番組(ドラマ・ドキュメンタリーなど)について」でした。
委員会ではこれらの視聴者意見や中高生モニター報告について議論しました。
最後に今後の予定について確認しました。

議事の詳細

日時
2024年9月24日(火)午後4時00分~午後6時30分
放送倫理・番組向上機構BPO第一会議室(千代田放送会館7階)
議題
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
今後の予定について
出席者
吉永みち子副委員長、飯田豊委員、池田雅子委員、佐々木輝美委員、
沢井佳子委員、髙橋聡美委員、山縣文治委員

視聴者からの意見について

7月後半から9月前半までの2カ月間に寄せられた視聴者意見について担当の委員から報告がありました。
バラエティー番組で、新型コロナが猛威を振るっていた当時にテレビのロケ現場で行われていた厳格な感染対策を揶揄(やゆ)するドッキリ企画を放送したところ、肯定的・好意的な意見も一部あったものの、多くの視聴者から「『感染対策は不要だ』『感染対策をする人々を嘲笑してよい』という誤ったメッセージを伝える懸念を感じた」などの批判的な意見が寄せられました。
担当委員は「この企画を放送してはならないとは言わないが、多くの死者が出た問題であるし、医療関係者や持病を持つ人たちに対しては配慮が欠けていたのだろうと思われる」と報告しました。別の委員は「(当時の)日本では、同調圧力の恐ろしさのようなものを感じていた人もいたわけで、それを笑いの手段として持ってきたことにはそれほど違和感を覚えなかった」と述べました。また、「(感染症にかかりやすい)小児がんの子どもたちがいるところなどは、今でも厳しい感染対策を強いられている。そこを揶揄されたと感じれば反発はあるだろう。この企画自体を非常識とは思わないし、実際に(今から振り返るとその当時は)滑稽な情景が国内にもあった。しかし、それを滑稽な状況として(番組の企画で)演出するには時期が早過ぎたのではないか」という意見も出されました。
西日本のある放送局のニュースサイトで、刑事裁判の判決を伝えるなかで性的暴行の被害者である12歳女子児童の供述調書の内容が掲載されたことについて視聴者から、「あまりに詳細に報じている。本人は苦しい思いをして、裁判のために信頼できる人に打ち明けた事柄だろう。裁判(公判)が公開なのは仕方ないが、その内容をメディアが社会にばらまく必要があるのか。まさにセカンドレイプだ」と厳しい批判が寄せられました。
担当委員は「指摘された内容はキー局のニュースサイトにも掲載されていて、いまでも読める」としたうえで、「本人に直接聞いたわけではなく、供述調書の内容というひとつのクッションが入っているので報じたのかもしれないが、(被害時に)12歳といういちばん難しい年ごろだということも考えると、もう少し想像力を働かせて配慮すべきだったのではないか」と説明しました。ある委員は「いま(キー局のサイトを)見ているが、被告人質問での検察官と被告人のやりとりも採録されている。公開の法廷における発言であったとは言え、女子児童にとってはデリケートな内容を含んでおり、こちらも書き過ぎかと感じる。報じるにあたってもうちょっと配慮があってもよかったのではないか」と述べました。
このほかに大きな議論になる番組はなく、「討論」に進むものはありませんでした。

中高生モニター報告について

9月のテーマは「終戦・戦争関連番組(ドラマ・ドキュメンタリーなど)について」で、合わせて13番組への報告があり、複数のモニターが取り上げた番組は6つありました。
「青少年へのおすすめ番組」では『第44回全国高等学校クイズ選手権 高校生クイズ2024』(日本テレビ)に4人から、『サザエさん』(フジテレビ)に3人から、『昔はおれと同い年だった田中さんとの友情』(NHK総合)と『#8月31日の夜に。』(NHK Eテレ)および『日曜ビッグバラエティ ニッポンの空を守る仕事人【日本全国の空港で激レア映像大公開SP】』(テレビ東京)にそれぞれ2人から、感想が届いています。

◆モニター報告より◆

【終戦・戦争関連番組(ドラマ・ドキュメンタリーなど)について】

  • 『映像の世紀バタフライエフェクト「オリンピック 聖火と戦火」』(NHK総合)
    パリオリンピック開幕と世界で多くの戦争が起きている現状が重なり、番組タイトルに惹かれた。視聴後はよりオリンピックへの興味が湧いた。開会式には平和・ジェンダー平等などのメッセージを強く込めているように見えたが、同時に他の国で戦争が起こっていることに違和感を覚えた。オリンピックの効果や意義は何かを考える必要があると思った。(高校3年・男子・埼玉)

  • 『NHKスペシャル「原爆 いのちの塔」』(NHK総合)
    • 原爆の悲惨さをネット配信で世界に広めたりして、核廃絶を訴える番組に変えるべきだと思う。中高生を対象とするならYouTubeでも配信するべきだと思う。また僕は臆病で戦争の番組を夜に見るのは怖いので、明るい時間に放送してほしい。(中学2年・男子・東京)
    • 中高生でも分かりやすい表現や言葉で制作され、映画を見ているようでした。ただ資料の字幕が、白い紙の上に白い文字を使用しており、自分は理解できたけれど祖父母の年代だと見づらいと思います。このテーマの番組は世代を超えて同じものを見る必要があるので、字幕の色や大きさは工夫するべきだと思いました。(中学2年・女子・東京)
    • 番組冒頭に火傷で顔がただれてしまった人の写真が映しだされた。その他にもショッキングな映像があったが、ありのままを知ることができて良かったと思う。漫画「はだしのゲン」で私の原爆に対するイメージが形成されていたが、専門家の客観的な見解やドラマ・映像・写真から現実的な迫力を感じた。(高校2年・女子・青森)
  • 『NHKスペシャル「新・ドキュメント太平洋戦争1944 絶望の空の下で」』(NHK総合)
    たくさんの人の手記が登場し、同じ出来事でも色々な人の思いが交錯していたと分かる一方で、主要人物についてはもう少し掘り下げてほしいと思いました。また場面転換が多く少し混乱してしまいました。(高校1年・女子・愛知)

  • 『NHKスペシャル「“一億特攻”への道 ~隊員4000人 生と死の記録~」』(NHK総合)
    • 私は終戦間際に原子爆弾の被害に遭った長崎で生まれ育ち、平和学習を重ねてきました。社会科の授業で「平和を語り継ぐとき、厳しい表現で伝えるべきか」が話題になったとき、私は「戦争は生ぬるいものではないし、実際に心身ともに傷ついた方も大勢いらっしゃるので、厳しい表現のほうが戦争の実情を知ることができる」と思っていましたが、番組を視聴して考えが変わりました。番組には戦時中の映像やラジオ音声がそのまま使われており、心が痛んだり目を背けてしまったりすることもあり、向き合いたくても向き合いづらい部分もあるのではないかと思いました。戦争の伝え方は、今後考えていきたいことの一つになりました。(中学3年・女子・長崎)
    • 上層部にとって若者兵はあくまでも駒の1つでしかなかったことが伝わってきた。この上層部の態度には強い憤りを感じたが、一億特攻という思想に対して国民のだれも違和感を抱かなかった当時の環境に我々は目を向け、日本人特有の同調圧力といった性質を反省するべきだと思う。(高校1年・男子・兵庫)
    • 特攻を支えていたのは日本人の「精神」であり、アメリカの「数」に対して「精神力」で対抗するのだという意識だったと番組で紹介していて、日本に昔からある「武士道」と似ていると思いました。(高校2年・男子・神奈川)
    • 特攻隊員の紹介が「10月30日、1機目は18歳の加藤さんで、2機目は廣田さん…」「一番端に写っているのが兄…」と、今まで見たことのある映像とは全く違う重いものだった。戦死した人にも人生があったし家族もいて、その一人ひとりに焦点を当てていて余計に心に刺さった。今までこんなにテレビ番組を見るのが辛いと思ったことはないくらいだった。同じ映像でも切り口によって見ている人には違う捉え方になる。これから新しい映像や資料は出てこないだろうけれど、切り口を変えることで後世に響く番組を作ることはできるのだと思った。(高校3年・男子・東京)
  • 『NHKスペシャル「“最後の一人を殺すまで”~サイパン戦 発掘・米軍録音記録~」』(NHK総合)
    戦争の映像を見たことはあったが、今までと違ってずっと重い気分になる番組だった。なぜかというと個人名や肉声があったからだと思う。人が亡くなるニュースは人数で表されるが、一人ひとりにそれまでの人生がある。自分は今までリアルとして捉えていなかったのだと思った。(中学3年・男子・東京)

  • 『クローズアップ現代「終わらない戦争(2) “生きていることが疎ましい” 知られざる戦渦の中絶」』(NHK総合)
    中絶手術は麻酔なしで行われ悲鳴が上がったという相馬医師の手記はとてもリアルで、女性の辛い気持ちが痛いほど胸に刺さりました。戦争にはいろいろな顔があるけれど実は全然知らないので、もっと子どもたちにも教えていくべきだと思いました。戦争系の映像はショックすぎて昨今ではあまり流されませんが、このような戦争があってたくさんの過ちがあり苦しんだ人が大勢いる、その人達がつかみ取った自由の中で今私たちが生きている、という事を忘れてはいけないと思いました。(高校3年・女子・奈良)

  • 『昔はおれと同い年だった田中さんとの友情』(NHK総合)
    • タイトルから内容を想像しやすかったです。また主人公と私の年齢が近いので、抱えている悩みに共感しやすかったです。戦争の話はテレビでは聞き飽きたけれど、語り部の話を私も聞いてみたいと思いました。(中学2年・女子・秋田)
    • 私が小学生の時に、戦争について小学校に話をしに来てくれた人がいたが、当時はまだ第二次世界大戦について習っておらず詳細な話の内容も覚えていなかったから、今回ドラマという形でもう1回聞くことができてよかった。ドラマの公演会前の物語部分をもう少し短くした方が、集中して見ることができるなと思った。(高校2年・女子・東京)
  • 『つなぐ、つながるSP 科学が変えた戦争1945⇒2024』(TBSテレビ)
    • 実際に原爆が落とされた映像を見て、こんなにも一瞬で町が変わってしまうのだと思った。昔は飛行機のような形だったけれど、今は小さなドローンが人の命を奪ってしまうことに驚いた。(中学2年・女子・鳥取)
    • 罪のない人達が次々と殺されていき、それでもまだ核を使い続けていることが許せないと思いました。私は戦争をすべきではないと思うし、憲法9条の改正に反対です。改正されると日本も戦争に参加することになり、多くの犠牲者を出して同じ過ちを繰り返してしまうかもしれません。いま世界で戦争が続いているので、この問題をもっと真剣に考えるべきだと思います。(高校1年・女子・岐阜)
  • 『徹子の部屋 「戦争」を忘れない~櫻井翔が聞く黒柳徹子の記憶~』(テレビ朝日)
    黒柳徹子さんが戦争についてゲストに話を聞いた過去のシーンが流れました。30~40年前まで芸能人の中にも当たり前に戦争体験者がいたなんて想像もつきませんでした。淡谷のり子さんの特攻隊のエピソードに黒柳さんも涙している姿が一番印象的でした。過去の映像を見ながら戦争を振り返ることができるのも長寿番組だからこそだと思います。(高校3年・女子・熊本)

  • 『池上彰の戦争を考えるSP2024 ~なぜ、世界から戦争はなくならないのか~』(テレビ東京)
    • どんな理由があろうと戦争は起こしてはいけないものだと思いました。また原爆の被害は、当たれば死に、生き残ってもつらい後遺症に苦しむ、というひどいものです。日本はただ一つの被爆国として非核三原則を推していかないといけないと思いました。(中学1年・男子・山形)
    • 世界から戦争をなくすためには歴史に学び、それはこの先の戦争の危機を予測し戦争を未然に防ぐことにつながるという池上さんの言葉があった。私の周りにいる大人は「戦争の歴史を学びなさい」と言ってはいたが、学んだ後のことまで教えてくれる人はいなかったので、歴史を学ぶことの意味が初めて分かった。(中学1年・女子・鹿児島)
    • 池上彰さんを知っていたので番組を視聴しましたが、私の同級生は池上さんを知らない人が多く、戦争番組には興味がないので1つも見ない人がほとんどです。若者にもっと見てもらった方がいいので、若者に圧倒的な知名度がある人や、中高生がリポートする企画などがあった方がいいと思います。(中学3年・女子・神奈川)
    • 旧日立航空機立川工場変電所の銃痕や現在の防衛省の下にある大本営地下壕跡など、東京都に残る戦争の遺跡を初めて見ました。実際に亡くなった方がいた場所で歴史を述べていて、いつも以上に内容を深く受け止めました。東京裁判についても初めて詳しく知り、もっと学校の授業でも取り上げて深く学ぶべきだと思いました。(高校2年・女子・愛媛)
  • 『託されし人たち ~被爆79年 約束の時~』(テレビ新広島)
    ある家族伝承者の「あの時に聞いておけば良かった、と思うことだらけ」という言葉に、記憶を伝承していく尊さと、避けて通れない難しさがあると痛感した。広島市の伝承者養成の取り組みを知り、また元々太平洋戦争に関心があることも相まって、自分もいつか伝承者になりたいという思いが生まれた。被爆地に限らず自分が住む県や他の地域でも、次世代に語り継ぐ人を養成してほしい。(中学2年・女子・埼玉)

【自由記述】

  • 過去のモニターリポートをウェブサイトで読んで、戦争関連のドラマやドキュメンタリー番組が毎年少ないことに気が付きました。私は、NHKは戦争関連の番組を多く放送しており内容も良いと思いましたが、民放の番組は少なくがっかりしました。消えゆく記憶を残すためには全ての放送局が大々的に放送すべきだと思いました。(高校2年・男子・山口)

  • 大量の終戦番組がどのように保管されているのかとても気になります。これまでの貴重なインタビューなどを“再利用”しないと、いずれ終戦番組を放送できなくなる日がくることは必至です。放送局あるいはどこかにまとめて保管されているのでしょうか。(中学3年・男子・千葉)

  • インターネットの検索サイトで『火垂るの墓』と入力すると、予測変換ワードの一番上に「放送禁止」の言葉が出てくる。子どものうちからアニメーションで戦争について学ぶのは大切だと思うので、ぜひ8月の上旬に放送してほしい。(高校2年・女子・青森)

  • 特に民放のニュース番組で、SNSでバズった記事や投稿を返信(リポストやコメント)つきで紹介するコーナーが最近増えているように思う。SNS上での返信には多くの考え方がありインタビューなどより気軽に取得できるが、テレビよりも身近な立場の人がいることで、自分の考えが知らないうちにコントロールされているような感覚になり怖く感じる。(中学2年・男子・東京)

  • ラジオはコーナーを決めて放送しているけれど、3カ月に1回くらい、いつものコーナーではなくフリートークだけを放送してほしい。ファンは特別感があって嬉しいし、新しいリスナーも番組や出演者について知ることができていいと思う。(中学2年・女子・鳥取)

  • テレビから得られる情報はフェイクニュースがなく信用されているので、テレビ局がニュースをSNSに投稿してほしい。(高校1年・男子・長崎)

  • 7月に報告したラジオ番組『又吉・児玉・向井のあとは寝るだけの時間』のテレビ版(NHK総合)を視聴した。「親近感がわくラジオ放送」が実現できているのは、1つの机を囲んで3人が座っているからだと思った。テレビ番組を見た後に、この時収録されていたラジオを再び聴くと、3人が話しているところが想像できてとても面白かった。(高校1年・男子・兵庫)

【青少年へのおすすめ番組】

  • 『昔はおれと同い年だった田中さんとの友情』(NHK総合)
    年を取った田中さんと少年がだんだんと仲を深めていく様子を見て心が温まりました。最近、子どもの騒音問題を度々耳にしますが、田中さんと少年のような関係が築ければいいのになあと思いました。(中学3年・女子・東京)

  • 『#8月31日の夜に。』(NHK Eテレ)
    自分と同世代が「死にたい」「生きるのがつらい」と投稿していて驚いた。曲紹介中に都内のLIVE映像があり、「今同じ月を見ている仲間がいる」と思えることで救われるし、同じ時間を生きていることが分かる方法は良いと思った。こんな番組を見たのは初めてだったので来年も見てみようと思う。(高校3年・男子・東京)

  • 『第44回全国高等学校クイズ選手権 高校生クイズ2024』(日本テレビ)
    • 小田原城や日本一のつり橋でのクイズといった体を張る企画は斬新だと思ったが、クイズ番組の域を超えていてバラエティー色が強すぎた。数少ない人気のクイズ番組なので、今まで通りクイズに特化した番組構成でよかったと思う。(高校1年・男子・兵庫)
    • 1年に1回のこの番組をとても楽しみにしていました。長時間のクイズ番組を見る同世代は少ないと思うので、SixTONESが出演することで若者の視聴率が上がればいいなと思います。途中の体力を使う場面では男性と女性の体力の差を感じ、クイズ番組で必要な演出だったのかについて疑問が残っています。(高校3年・女子・奈良)
  • 『サザエさん』(フジテレビ)
    オープニングで福井県が紹介されていて、自分の住んでいるところが紹介されたら嬉しいだろうなと思った。『ワカメ夢の二階家』ではワカメが「お兄ちゃん(カツオ)とHさん(花沢さん)は結婚するには成績が釣り合わない」と言っていた。はっきり口にするのは違和感があるし、小さい子どもに“結婚の釣り合いの基準になる”と伝えるべきではないと気になった。(中学3年・男子・東京)

  • 『日曜ビッグバラエティ ニッポンの空を守る仕事人【日本全国の空港で激レア映像大公開SP】』(テレビ東京)
    聞いたことがない言葉が沢山出てきたけれど、その都度詳しく紹介していて分かりやすかった。特に税関の仕事が面白かった。今年の1月に飛行機が炎上する事故があったので、今回のような番組を見ると少しでも安心して乗ることができると思う。(中学2年・女子・鳥取)

  • 『与次郎駅伝』(秋田テレビ)
    小学生や会社チームの団結がすごかったです。いつもの街並みが、駅伝になると華やかで活気にあふれていてよかったです。(中学2年・女子・秋田)

  • 『新 窓をあけて九州「いのちのバトン」』(長崎放送)
    長崎県諫早市では年間三千頭ほどの猪が駆逐され皮が捨てられるが、それを革小物にしようとする考えがすごいと思った。「命をつなぎたい」という思いを胸に手作業で作っており、尊敬できる働き方だと思った。(高校1年・男子・長崎)

  • 『ナマ・イキVOICE』(鹿児島テレビ放送)
    鹿児島県内の店だけを紹介しているので、気になる店を見つけたときに行きやすい。出演者の移動や実際に食べる姿を見て、自分も食べに行っている気分になれるのが良かった。(中学1年・女子・鹿児島)

  • 『DRAMATIC BASEBALL 2024 巨人 VS 阪神』(BS日本)
    「巨人対阪神の伝統の一戦」とアナウンサーが言っていた。どういう意味なのか分からなかったので調べたら、主にマスコミが対阪神タイガース戦をこう表現していることが分かった。他のチームでは“伝統の一戦”と表現しないので興味深かった。またピッチャーの名前の下に“防御率”“勝”が表示されていたが、野球を知らない人でも楽しめるように分かりやすい説明があると嬉しい。(中学1年・男子・山梨)

◆委員のコメント◆

【終戦・戦争関連番組(ドラマ・ドキュメンタリーなど)について】

  • 中学3年生から「厳しい表現では戦争について知ることを避けてしまう人も多くなるので、よりたくさんの人が知るようにもっと優しい表現にするべきだという議論が社会科の授業であった」と報告があった。ドラマや映画ではかなり凄惨なシーンもあるが、ドキュメンタリーの“現実”としての凄惨なシーンは「見たくない」という声が多くなっていると思う。

  • 『NHKスペシャル「“一億特攻”への道 ~隊員4000人 生と死の記録~」』(NHK総合)で特攻隊員の年齢や実名とともにその人生を取り上げていたのは、視聴した高校3年生にとって大きなインパクトがあったようだ。特攻隊員が本当に生きていたことや、戦争の悲惨さを実感できたのだと思う。

  • 『池上彰の戦争を考えるSP2024 ~なぜ、世界から戦争はなくならないのか~』(テレビ東京)のように、歴史を学んで今後の危機を予測したり現在のウクライナでの戦争と比較したりするなど、現代との連続性を強調する番組は若い視聴者からすると取っつきやすいのだろう。一方で『NHKスペシャル「“一億特攻”への道 ~隊員4000人 生と死の記録~」』(NHK総合)のように歴史の検証にしっかり焦点を当てた番組は若者が我が事として捉えにくいという面は否めないのかなと、リポート全体を通して思った。

【青少年へのおすすめ番組について】

  • 『#8月31日の夜に。』(NHK Eテレ)について。「9月1日は子どもの自殺が多い」と報道されることがよくあるが、これは1977年~2017年までのデータで、最近のデータは反映されていない。この番組は危機感を煽るような趣旨の番組ではないが、自分が番組制作者と議論するときには「ことさらに“9月1日は~”と煽らないでほしい」と伝えるようにしている。

【その他(終戦・戦争関連番組のこれからについて)】

  • 今の中高生は戦争報道に対して「怖い」「嫌だ」「むごい」など拒否する傾向があるようだが、その一方で残酷さを売りにした映像コンテンツ・ゲームなどに触れる機会も多い。若い世代にとってそのバランスはどうなっているのか気になるところだ。

  • 残酷なシーンのあるコンテンツやゲームに日常的に触れている若者は、戦争報道にはそこまでの拒否反応がないのではないか。戦争報道を「怖い」という若者は、普段から残虐なコンテンツに接触していないと思う。

  • アニメで人の首が飛ぶシーンを見るのは平気な若者でも、ドキュメンタリー番組では「ガチなのはやめて」という感覚なのでは。原爆被害者の映像などにもホラー映画のような怖さを感じてしまうのかもしれない。しかしそういった残虐な出来事が戦争では本当に起きるということも、知っておかなければいけないと思う。

  • 残虐な映像を見た若者が心理的に病んでしまう可能性もあるので、そこは十分に気をつけなければならない。

  • 原爆資料館やひめゆり平和祈念資料館などでも、残虐な映像や展示では社会科見学でも来てもらえないといった悩みを抱えていると聞いた。犠牲者一人ひとりの名前を出してリアリティーを伝えるといった形にトレンドが変化しているようだ。

  • 我々が子どもの頃は、学校教育などでも戦時中の惨い映像を見せられてきたが、怖くても目を背けないで見るべきだという思いもあった。しかしそういった残虐な映像は苦手だという視聴者に配慮して戦争関連番組を制作しなければいけないとなれば、戦争の実態を報じるハードルは今後高くなっていくのだろう。もちろん“ガチの死体”や“人が殺される”ということに拒否反応を持つのは正常だ。子どものころに戦争体験者の言葉から想像する戦争はとても恐ろしかったし、残虐な映像がなくても伝えられることもある。これから先、テレビやラジオの表現のなかで、戦争のリアルさや怖さを青少年にどう伝えていくのかは大きな課題であり、考え続けていくべきテーマだと思う。

今後の予定について

次回は10月22日(火)に千代田放送会館BPO第一会議室で定例委員会を開催します。

以上

2024年9月に視聴者から寄せられた意見

2024年9月に視聴者から寄せられた意見

自民党総裁選や兵庫県知事をめぐる報道に多くの意見が寄せられました。

2024年9月にBPOに寄せられた意見の総数は2,193件で、先月から1,341件減少しました。
意見のアクセス方法は、ウェブ 85.8% 電話 12.8% 郵便・FAX 1.4%
男女別は、男性 52.1% 女性 26.1% 無回答 21.8%で、世代別では10代 1.7% 20代 10.9 30代 19.7% 40代22.8% 50代 20.4% 60代 13.1% 70歳以上 2.6%
視聴者意見のうち、個別の番組や放送局に対するものは当該局へ個別に送付します。9月の個別送付先は25局で、意見数は670件でした。放送全般に対する意見は100件で、その中から13件を選び、会員社すべてに送りました。

意見概要

番組に関する意見

自民党総裁選をめぐる報道や兵庫県知事への不信任決議をめぐる報道にさまざまな意見が寄せられました。
ラジオに関する意見は37件、CMについては7件でした。

青少年に関する意見

2024年9月中に青少年委員会に寄せられた意見は62件で、前月から23件減少しました。
今月は「要望・提言」が32件と最も多く、次いで「表現・演出」が17件で、以下、「編成」「言葉」などが続きました。

意見抜粋

番組に関する意見

  • 自民党総裁選の話題と比べると立憲民主党代表選の取り上げ方が小さいと感じる。同時期に行われるからこそ同様に取り上げてほしいと思う。

  • 自民党総裁選の報道で、特定の候補の扱いが大きかったり、特定の候補に対して批判的なコメントが目立ったりと、全員を公平に取り上げているとは思えなかった。

  • 連日ニュース番組も情報番組も自民党総裁選とメジャーリーグの話題ばかりだ。

  • 兵庫県知事に対する百条委員会や不信任決議案などをめぐる各社の報道内容は一方的な批判が多いと感じている。背景を含めて事実関係を詳しく正確に伝えてほしい。

  • 兵庫県の元幹部が自死したとされる問題に触れコメンテーターから、“追い込んで殺した”という趣旨の発言があり不穏当ではないかと感じた。

  • 毎年恒例の大型チャリティー番組。台風が接近し強風と大雨の予報が出る中で、トラックを周回させてまでマラソンを行う意味があるのだろうか。

  • 大型チャリティー番組のマラソン企画の中で、ランナーである女性タレントの身体を歩道の観客が触っていた。何らかの予防策を立てられないだろうか。

  • 人気タレントの夏休みに密着する番組。SNSでの発言により活動自粛中のタレントが収録現場にはいたはずなのに放送を見たら出演場面がまったく無くて驚いた。

  • 8年前に解散した人気アイドルグループについて、楽曲を使わない、歌唱の映像を使わないなどの不自然な扱いがいまだに続いていると感じる。

  • 「Z世代」などの言葉で若い世代をひとくくりにすることに抵抗感がある。どこかネガティブなニュアンスを感じるし、多様性をうたう時代の発想ではないと思う。

  • 事件のニュースで、目撃者の通報の模様や容疑者の供述内容を声優やアナウンサーに演じさせることが多い。現場の緊迫感や容疑者の言い分の理不尽さを際立たせる目的で行われていると理解するが、一方で、視聴者の怒りの感情や恐怖を煽る結果になっているとも感じる。

  • 各社でドラマのシナリオ大賞を実施しているが、バラエティー番組やアニメなどの企画を公募するコンテストがあってもよいと思う。

青少年に関する意見

【「要望・提言」】

  • ドラマで子どもが性的虐待を受けるシーンがあり、子役と成人俳優が同じフレーム内で撮影されていた。こうしたシーンはその必要性をよく検討したうえで、子役と成人を別撮りするなど、子役の精神面に配慮して撮影されるべきだ。

  • バラエティー番組で、護身術を習った翌日に暴漢に襲われるというドッキリがあった。夜道で暴漢に抱きつかれる状況は、女性ならだれもが想像する恐怖であり、視聴者にトラウマを与える可能性さえある。こうした影響を考慮した番組作りを心掛けてほしい。

  • ドラマの中で、ヘルメットをかぶらずに自転車を運転するシーンがあった。深夜ドラマだが、子どもたちが見ることもある。悪影響を与えるので、このような演出はやめるべきだ。

【「表現・演出」に関する意見】

  • 高校生を対象にしたクイズ番組で、解答する前に80mの全力疾走が課されたため、先に答えが分かって走り出した女子の参加者が、遅れて走り出した男子に走力で負け、敗退してしまった。男女の体力差を補うよう競技内容が工夫されるべきだ。

  • バラエティー番組のことわざ「七転び八起き」をテーマにしたドッキリで、細身の男性アイドルを転ばせていた。床のシーツをいきなり引っ張る転ばせ方で、危なっかしくて笑えない。危ないことは面白いことではない。

【「編成」に関する意見】

  • 土日の朝9時以降は、子どもたちが水泳や体操などの習い事に出かける時間帯だ。しかし、日曜日の午前9時台に子ども向け特撮ドラマが数年前から放送されている。以前のように、午前9時以前の時間帯に放送すべきだと思う。

【「言葉」に関する意見】

  • 報道番組で、画面右上のタイトルに「“パワハラ知事”迫られる判断」と出ていたが、「パワハラ」は失礼ではないか。マスコミがそろって知事をいじめているようで、子どもには見せられない。

第198回

第198回–2024年9月

毎日放送ローカルバラエティー番組『ゼニガメ』が審議入り

第198回放送倫理検証委員会は、9月13日に千代田放送会館で開催された。
テレビ東京は、2023年3月28日の『激録・警察密着24時!!』で放送した人気漫画・アニメを連想させる商品に関する不正競争防止法違反容疑事件の密着取材の中で、逮捕された4人のうち3人が不起訴になった事実を伝えなかった等複数の不適切な内容があったと2024年5月に公表し謝罪した。委員会は、当該放送局に報告書と番組DVDの提出を求めて協議した結果、放送倫理違反の疑いがあり詳しく検証する必要があるとして7月の委員会で審議入りを決めた。今回の委員会では担当委員から当該放送局の関係者らにヒアリングした結果が報告された。
毎日放送は、2024年7月17日に放送した『ゼニガメ』の中で、出張買取業者が奈良県内の家屋の清掃や遺品整理を行った際、金庫から金の延べ板が見つかり現金で買い取る様子を紹介したが、実際は買取業者が事前に用意した物であることがわかり、事実と異なる放送があったことを公表し謝罪した。その後さらに同じ業者を取材した2023年11月と2024年5月の放送分でも、事実と異なる内容があったことが判明し、毎日放送は9月4日に「一部事実と異なる内容があった」とする調査結果を発表し謝罪しているが、制作スタッフ側の関与は認められなかったとしている。委員会は議論の結果、放送倫理上の問題がなかったかを検証する必要があるとして審議入りを決めた。
7月と8月にBPOに寄せられた視聴者・聴取者意見などが報告された。

議事の詳細

日時
2024年9月13日(金)午後4時~午後6時50分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、
大石委員、大村委員、長嶋委員、西土委員、毛利委員、米倉委員

1. テレビ東京『激録・警察密着24時!!』について審議

テレビ東京は、2023年3月28日に放送した『激録・警察密着24時!!』の中で、人気漫画・アニメ「鬼滅の刃」を連想させる商品をめぐる愛知県警の不正競争防止法違反容疑の強制捜査を取り上げた。この放送で、逮捕された4人のうち3人が不起訴になったことを伝えず、また取り上げた会社が強制捜査後も商品を中国に発注していたと放送するなどして、捜査対象の会社側から「そういう事実はない」と指摘され、そのことを認めている。委員会は、すでに当該放送局から提出された報告書と番組DVDを踏まえて議論したのちに前回7月の委員会で、複数の問題点があるのではないかとして審議入りを決めた。今回の委員会では、テレビ東京や番組制作会社などの関係者からヒアリングした結果を担当委員や事務局から報告した。そしてヒアリングで明らかになった番組制作の工程や背景などが説明され、他の委員からの質疑とともに議論した。今後は意見書の原案の作成を進める。
なお、この番組はBPO放送人権委員会でも審理されている。

2. 毎日放送『ゼニガメ』について審議

毎日放送は、2024年7月17日に放送したローカルバラエティー番組『ゼニガメ』で、出張買取業者に密着取材する企画を放送した。奈良県内の家屋の清掃や遺品整理を行った際、金庫から金の延べ板が見つかり業者が現金で買い取る様子を紹介したが、実際は業者が事前に用意した物であることが明らかになり、事実と異なる放送があったことを翌7月18日に公表し謝罪した。さらに、2023年11月と2024年5月の放送分でも、同じ業者が土地や建物を遺族とおぼしき人物から現金で買い取る様子を放送していたが、実際はロケ以前に業者が買い取っていたこと、遺族として登場した人物も買取業者が事前に依頼していたことなどが判明した。毎日放送は9月4日に「一部事実と異なる内容があった」とする調査結果を発表し謝罪しているが、制作スタッフ側の関与は認められなかったとしている。委員会は、当該放送局から提出された報告書と番組DVDを踏まえて議論した結果、放送倫理上の問題があったのかどうかを詳しく検証する必要があるとして審議入りを決めた。

3. 7月の視聴者・聴取者意見を報告

7月に寄せられた視聴者・聴取者意見のうち、東京都知事選挙の投開票があった7月7日に放送された番組が、投票用紙への名前の記入方法や整理券をなくした場合の本人確認に関して誤った情報を伝え、翌週の放送で訂正したことについて多数の批判意見が寄せられたことが事務局から報告された。また、日本時間の同月14日に米国のトランプ前大統領が銃撃されたことを伝えた番組で、出演者が「(トランプ氏にとって)プラスのアピールにもなりかねない」と話したことについて批判する意見が寄せられたことなども報告された。

4. 8月の視聴者・聴取者意見を報告

8月に寄せられた視聴者・聴取者意見のうち、バラエティー番組で新型コロナ感染予防対策を茶化して笑いものにしていたことに批判が多数寄せられたことが報告された。また、情報バラエティー番組の司会者がオリンピックのメダリストの容姿を動物に例えるという不適切な発言をしたことについての批判や、ドキュメントバラエティー番組で元首相銃撃事件を再現ドラマ形式で特集したが容疑者を擁護するような内容になっていたとの批判、ラジオ国際放送などの中国語ニュースの中で中国籍の外部スタッフが沖縄県の尖閣諸島は中国の領土などと原稿にはない発言をしたことについての批判が数多く寄せられたことなどが事務局から報告され、議論した。

以上

2024年9月13日

毎日放送ローカルバラエティー番組『ゼニガメ』が審議入り

毎日放送は、2024年7月17日に放送したローカルバラエティー番組『ゼニガメ』で、出張買取業者に密着取材する企画を放送した。奈良県内の家屋の清掃や遺品整理を行った際、金庫から金の延べ板が見つかり業者が現金で買い取る様子を紹介したが、実際は業者が事前に用意した物であることが明らかになり、事実と異なる放送があったことを翌7月18日に公表し謝罪した。さらに、2023年11月と2024年5月の放送分でも、同じ業者が土地や建物を遺族とおぼしき人物から現金で買い取る様子を放送していたが、実際はロケ以前に業者が買い取っていたこと、遺族として登場した人物も買取業者が事前に依頼していたことなどが判明した。毎日放送は9月4日に「一部事実と異なる内容があった」とする調査結果を発表し謝罪しているが、制作スタッフ側の関与は認められなかったとしている。委員会は、当該放送局から提出された報告書と番組DVDを踏まえて議論した結果、放送倫理上の問題があったのかどうかを詳しく検証する必要があるとして審議入りを決めた。

第331回

第331回 – 2024年9月

「調査報道に対する地方自治体元職員からの申立て」ヒアリングを実施…など

議事の詳細

日時
2024年9月10日(火)午後3時~午後8時
場所
千代田放送会館7階会議室
議題
出席者
曽我部委員長、鈴木委員長代行、廣田委員長代行、大谷委員、
國森委員、斉藤委員、野村委員、松尾委員、松田委員

1.「調査報道に対する地方自治体元職員からの申立て」審理

申立ての対象となったのは、サンテレビが2023年9月26・27日に放送した夕方ニュース番組『キャッチ+』(キャッチプラス)で、ふるさと納税PR事業のために兵庫県下の地方自治体が出店したアンテナショップで、この自治体の元課長が現職時代に不正行為をはたらいていたという内容の調査報道ニュースを放送した。申立人は元課長で、放送内容は虚偽であり名誉を毀損されたと主張している。
9月26日放送の前編では、アンテナショップ元店長たちの内部告発をもとに、元課長が代金を支払わずに商品を飲食していたと報道した。9月27日放送の後編では、情報公開で得た資料と元店長たちの証言などをもとに、元課長の指示により、家族や知人に公金で高級牛肉などが送られていたと伝えた。
申立人の元課長は、放送などでの謝罪、インターネット上での当該ニュース動画の削除などを求めている。
被申立人のサンテレビは、元課長は電話取材に対し全てを否定したが、発言に具体的根拠はなく、元店長らの証言や伝票のコピーなどの物証からみて、放送内容は真実であり、少なくとも真実であると信じるに足る相当の理由があるとしている。また、地方自治体の管理職の地位にある公務員が、公金が投入されたアンテナショップで行った不正行為を放送したもので、公共性があり、公益を図る目的で放送したと主張している。
今回の委員会では、申立人・被申立人双方へのヒアリングを行った。終了後、本件の論点を踏まえて審理を続け、担当委員が決定文の起草に着手することになった。

2.「警察密着番組に対する申立て」審理

申立ての対象となったのは、テレビ東京が2023年3月28日に放送した『激録・警察密着24時!!』で、人気漫画・アニメのキャラクターを連想させる商品に関する不正競争防止法違反事件を取り上げ、警察の捜査の模様や2021年7月28日に執行された会社役員ら4人の逮捕場面などを放送した。
これに対し、番組で取り上げられた会社役員らは、番組の放送時点で逮捕された4人のうち3人が不起訴処分になっているにもかかわらず、その事実に言及せず、また「人気キャラクターに便乗して荒稼ぎ」「被害者面」「逆ギレ」といった過度なナレーションやテロップを付けて放送するなど、4人の名誉を著しく傷つけたなどとして申立てを行った。さらに、捜査員同士の会話や会議の様子は事後に撮影されたものであるのに、捜査の時系列に沿っているかのように番組内で構成されており、視聴者を混乱させ、許容される演出の範囲を大きく逸脱しているなどと主張している。
被申立人のテレビ東京は、不適切な放送内容が複数あったとして、お詫び放送やウェブサイトでのお詫び文掲載のほか、警察密着番組の制作中止や関係者の処分を行った。さらに再発防止策として番組チェック体制の強化や社内教育・研修の拡充などを進めていくとしている。
申立人側は、お詫び放送等の対応に一定の評価をしているものの、警察署内での事後撮影をめぐる見解の相違やテレビ東京が番組制作過程を明らかにしなかったことに納得せず、双方の交渉は不調に終わり、6月の委員会で審理入りすることが決まった。
今回の委員会では、テレビ東京から提出された再答弁書の概要・ポイント等を担当調査役が説明し、委員からの質問等に対応した。

3. 最新申立て状況

事務局から最新の申立て状況について説明した。

以上

2024年8月1日

2024年度「高校生モニター会議」

◆概要◆

2024年8月1日、新型コロナの影響で5年ぶりに対面でのモニター会議を開催しました。今回は高校生モニターのみの参加でしたが、モニター会議は委員との交流の場であると同時に自分たちの意見を委員や放送局に直接伝える機会であり、またテレビ局内の見学や意見交換会を通じてメディアリテラシーを涵養(かんよう)する貴重な場でもあります。今後のより有意義なモニター活動に繋げていってもらえればと思います。
当日は、今年度の高校生モニター12名と、BPOからは榊原洋一青少年委員会委員長、吉永みち子副委員長、飯田豊委員、池田雅子委員、佐々木輝美委員の5人が日本テレビに集まりました。オリエンテーションを終えたモニターと委員ら参加者は、日本テレビ社屋内の社員食堂でランチを済ませた後、同社の報道フロアとニューススタジオおよびバラエティー番組のスタジオを、同社の社員の説明を聞きながら見学しました。ウッチャンナンチャンの南原清隆さん他が生出演する『ヒルナンデス!』のエンディングをスタジオ内で見ることができ、興味津々といった様子でした。
続いて高校生モニターと番組制作者との意見交換が行われました。今回は日本テレビの『月曜から夜ふかし』の矢野尚子チーフプロデューサー、沢田健介プロデューサー、徐真然プロデューサーと、進行役の菅谷大介アナウンサーにご参加いただき、同番組のミッションや裏話などの興味深い話を聞いた後、質疑応答で盛り上がりました。
後半には高校生モニターと青少年委員会委員との意見交換が行われました。それぞれの自己紹介のあと、「今のテレビと昔のテレビ、どちらが面白いかについて」「放送局にどうしても伝えたいこと」などについて意見交換しました。
本日参加してくれた高校生モニターたちは様々な視点からしっかりとした意見を述べ、高校生としてはとてもハイレベルなモニターたちでした。今後の毎月のBPOへのモニター報告に引き続き期待したいと思います。

第1部 日本テレビ『月曜から夜ふかし』制作者との意見交換会

①制作者 自己紹介

〇矢野尚子チーフプロデューサー(以下、矢野CP)
「この番組は、いま社会で起きていることを、報道以上に奥深くお伝えできる番組だと思っています。私は元々報道志望で日本テレビに入ったんですが、報道局には行けず『ザ!世界仰天ニュース』や『はじめてのおつかい』などいろいろな番組を制作していました。途中から10年間報道の仕事もしたあと、バラエティーに帰ってきてこの番組の担当になりました。報道的視点も織り交ぜながらいい番組ができたらなと思ってやっていますが、報道番組や情報番組などでインタビューしていた人たちとは違う人たちが、『月曜から夜ふかし』には出てきます。「世の中にはこういう人もいるんだな」「いろいろな方の生きざまを見ることができて、そして皆さんすごく楽しく人生を力強く生きているな」ということをお届けできる仕事はとてもやりがいがあるし、視聴者に見てもらって楽しんでいただけたり何か考えるきっかけにしていただけたりしたら、すごくうれしいと思っています。」

○沢田健介プロデューサー(以下、沢田P)
「2011年に日本テレビに入って、今14年目です。生まれは茨城の田舎だったのでテレビがエンターテインメントの全てで、こういう派手なところで働けたらいいなと思ってテレビ業界に入りました。番組を作りたくて入社しましたが、最初は営業に配属されてCM枠をスポンサーに売る仕事を6年間やって、その後バラエティーに異動してきました。『月曜から夜ふかし』を担当して5~6年経ちますが、マツコ・デラックスさんに「おまえはどんな生き方をしてんだ」と、いじられる生活をずっとやっています。マツコさんはテレビで見るのと同じ温度で僕ら制作スタッフにも分け隔てなく話してくれる方で、そんな人と一緒に仕事ができるのは楽しいなと思っています。『月曜から夜ふかし』にはミッションがあると思っていて、「この番組だけはきれいごとを言わないでおこう」と心に決めて、番組独自の角度で物事を切り取っています。番組内では言っていませんが、どんなマイノリティーでも平等に扱おう、ちょっと社会が触れづらい人やわざわざ取り上げないと思われるような人も積極的に取り上げていこう、自分たちの周りにいないようなタイプの人も取り上げていこうと。マイノリティーだからどうとかじゃなくて、どんな人も楽しく生きているということをこの番組は絶対伝えていこう、そこは強い気持ちを持ってやっています。」

〇徐真然プロデューサー(以下、徐P)
「中国・上海出身で2016年に日本に来て、令和元年に日本テレビに入社しました。中国の医大を卒業して研修医として働いていましたが、『月曜から夜ふかし』が好き過ぎて、海を越えて文化を超えてここに座ることになりました。中国にいたときの日本のイメージは「わびさび」とか「桜がめちゃくちゃきれい」とかしかなかったのですが、『月曜から夜ふかし』を見るとみんなトイレにも行きますし、酒をがんがん飲んでいます。日本人にもそういう人がいるんだ、とちょっと安心しました。『月曜から夜ふかし』は人間の素性とか、国籍なき人間性が表れていますので、すごく素敵な番組でぜひ参加したいという思いでいました。」

②番組の紹介、制作の体制について

(徐P)  『月曜から夜ふかし』はご当地番組です。「方言の問題」や「山手線の駅の中で一番降りたことが少ない駅はどれか」などの企画があります。また時期に合わせた「街録」も定番企画になっていて、春はお花見や上京した人へのインタビュー、夏は海辺ニュース、秋は食欲の秋でグルメなどがテーマです。“桐谷さん”など名物素人企画もあります。私の企画では、なぜ『月曜から夜ふかし』が中国人にそんなにウケるのかや、中国の“やばい人”も紹介したいと考えています。
『月曜から夜ふかし』の新しい企画からオンエアまでの流れですが、まず全体会議でディレクター、プロデューサー、リサーチャー、作家が企画を出します。そこで「面白いですね、やりましょう!」となったらロケに入ります。1回のオンエアに関わるスタッフの構成ですが、ディレクター・LDが15~20人、プロデューサーが5~6人います。演出が2人、総合演出が1人です。そこに音効、カメラマン、美術などたくさんの方の力が合わさり、1回のオンエアに関わる潜在的なスタッフは100人ぐらいです。1回のオンエアには大体3つVTRがあって、2つは街録で1つは地方ロケです。『月曜から夜ふかし』の街録は打率が低くてすごくしんどいです。10人声をかけた中で1人ぐらいしか答えてくれませんし、また10人答えてくれたうち1~2人しかオンエアされないときもあります。1回のオンエアで声をかけている人の数は1,000人ぐらいいます。ネット上で「『夜ふかし』本当にラッキーですね。毎回奇跡が起こるんですね」という言葉を見ますが、ラッキーではなく、本当にこつこつ数で勝負しています。つぎに、ロケの素材を編集ソフトで編集する作業は、業界用語でオフラインと呼びます。オフラインでは素材を編集して、そこから“唇”とかテロップ入れ、美術調整などをしてVTRを仕上げて、収録に臨みます。収録は基本的にオンエアの1週間前ですが、収録後に足りない分があれば追撮で人に声をかけて…という作業を繰り返しています。オンエアは月曜日ですが、”ミックス“と呼ばれる作業はオンエア前の金曜日です。ミックスではナレーションなどを最終的にチェックし、その他の微調整も行います。ここまでが一連の作業です。

③他の番組ではやらない『月曜から夜ふかし』ならではの特徴、番組のミッションについて

~VTR視聴~ コーナー企画「視聴者のお悩みを聞いてみた件」

運転免許試験に全然受からない長野県在住の男性(20)に取材。仮免で18回、本免で11回落ちているこの男性から「番組で応援してほしい」とメール投稿があり、その勉強の様子や得意な絵について放送したもの。

(沢田P) これは視聴者投稿企画だったのですが、ディレクターは取材で本人に会ったときに「もしかしたら障害のある人なのかもしれない」と気づきました。そこで一度立ち止まったわけです。試験に落ち続けることに障害の影響も少しはあるかもしれないことを考えると番組では扱えないかもねと、いろいろと議論をしていました。でも、とにかく御本人が番組に出たいと言っていて、そして親御さんも是非この挑戦を番組で取り上げてほしいと言っていると。それを聞いたときにハッとしました。何を僕らは手前で立ち止まっていたのか。何かいけないことでもあるかのような議論をしてしまったけど、そんなのって全く必要なかった。単純に、彼の個性的な才能とか、勉強を一生懸命頑張れる彼の才能に焦点を当てて番組で取り上げようと決めました。こういうことをやれる番組ってそんなに多くはなくて、「マイノリティーだから何だっていうんだ」「みんな違ってみんないいよね」と心に決めている番組だからこそできたことだと思います。この放送で傷ついた人は誰もいないし、彼の様子を見たらむしろ勇気をもらうというか、自分も明日頑張ろうって思える。これが『月曜から夜ふかし』の一番大事にしていることが表れたVTRだと思います。
もう一つ例があります。番組では美容整形も扱っていますが、実はこのジャンルはテレビで扱いにくいと言われています。「美容整形できれいになりました、悩みが解決しました」というと全員が成功すると思われてしまうんですが、二重手術で失明する可能性などいろいろなリスクを抱えているからです。でも弊社の考査部のメンバーと協議をしながら、どうすれば美容整形の良さと怖さが両方伝わって、しかもエンターテインメントとして面白くできるかみたいなことを考え尽くして、番組にずっと協力してくれている“フェフ姉さん”の「韓国の歩き方」という形で放送しました。リスクもエンターテインメントにして詳しく説明するなど、普通では扱いにくいジャンルを『月曜から夜ふかし』で放送できた良い例だと思っています。

④モニターからの質問

Q.(高校3年・女子・熊本) 徐さんへの質問です。日本テレビに入社するのはすごく難しかったと思うし、希望する部署にもなかなか配属されないと思うんですけど、どういう経緯で『月曜から夜ふかし』に携わることになったのですか。
A.(徐P) 当時は日本語も上手ではなかったので、入社面接で内定をもらうために「中国とのビジネスで日本テレビに貢献できます!」と言って内定をいただきました。入社後は研修がたくさんあるのですが、どこに行っても「私、『夜ふかし』が好きです!『夜ふかし』がやりたくて、海を越えて日本に来ました!分かりますよね?『夜ふかし』です!!!」と。『月曜から夜ふかし』は結構大変な番組で、新卒や1年目で配属されることは結構珍しいのですが、私の勢いと本音を見せて、そのまま配属されました。

Q.(高校2年・女子・青森) TikTokやYouTubeショートなどのSNSに番組の“切り取り動画”が無断転載されています。デメリットだけじゃなくて、勝手に宣伝してくれるメリットもあると思いますが、どう考えていますか。
A.(沢田P) SNSで違法に転載されることによって、コンテンツを作った人や出演した人に本来配分されるべきお金が配分されていないことが、僕がプロデューサーとして唯一申し訳なく思い、またモヤモヤしているところです。正直、制作したものはできるだけ多くの人に触れてほしいなと思っていますが、頑張って作った人や出演してくれた人に、たくさん見てもらったことを還元したいと思っています。
(矢野CP) 出演者は「『夜ふかし』なら良いですよ」と言ってくださっていますが、思わぬ形でずっと流れ続けてしまうと、勇気を持って出演したのに不本意なことになってしまいます。私たちもとても心を痛めているし、プラットフォームの方々にもその責任を感じてほしいと思っています。

Q.(高校2年・男子・神奈川) インタビューの難しさと大変さを感じましたが、テロップやマツコさんのリアクションなどでその人の特徴的な部分を面白がることは、本人に許可を得ているのですか。
A.(沢田P) すばらしい質問ですね。番組の放送枠が深夜から夜10時の全国ネットの枠に移動したことによって、見る人が格段に増えました。番組の影響力が上がるとなったときに一番気にしたのは「放送によって悲しい思いをする人がいないこと」です。そこで番組としてやり始めたのは、マツコさんや村上信五さんのリアクション、演出的なテロップやナレーションを編集で入れたら、必ず取材をした方にその内容を相談して、了承いただけたものだけ放送するということです。番組制作スタッフの労力はとても大きいですが、そこまで丁寧にやって放送しています。もちろん「それはさすがにやめてください」と言われることもあります。でもその積み重ねをしているから何とかここまでやってこられている。「悲しい思いをする人がいないこと」を大事にしているので、そうやって番組を作っています。

Q.(高校3年・女子・奈良) いつも中国のコーナーがとても面白いなと思っています。アメリカや他の国でも、とても個性豊かに自由に生きている人がいるので、いろんな国でもロケをされたらいいなと思っています。
A.(徐P) ありがとうございます!次の企画書の中に一番でかいフォントで書きます!
(沢田P) 番組の放送後、中国でびっくりするほどたくさん見られているんです。違法な方法ではあるので、もろ手を挙げて良いとは言えないですが、すごい反響なんです。こういった日本のバラエティーという独自の文化が海外でヒットしてほしいという気持ちは強くあって、その足がかりになれる番組だなとも思っています。ドラマや映画などといったストックコンテンツは海外に出ていきやすいですが、こういったバラエティー番組が海外でヒットする例はあまりないので、今いろいろと考えているところです。

Q.(高校3年・女子・熊本) 私自身、中学生のときに比べてテレビを視聴する回数が減りました。近年“テレビ離れ”という言葉をよく耳にしますが、ここ10年ほどで番組制作に対する思いや視点の変化はありましたか。
A.(沢田P) それは毎日、本当に考えています。2011年に入社したときと比べても、1回の放送に対しての視聴者のリアクションがすごく少なくなってきていて、毎日とても寂しい思いをしています。非常に残念だし何とかしなきゃいけないけど、どうしようもないみたいな思いもあって。こうなってしまった理由は幾らでもありますが、自分たちで何とかしなきゃいけないと、本当にいろんな手を尽くしています。
(徐P) 最近の視聴率は実際にとても低い数値ですが、実は、中国からは日本のコンテンツはそう見えてはいない。日本のコンテンツは国際的な舞台で戦うときに依然として強いんです。クリエイティブな人がたくさんいて、それでも地上波でそんなに膨大な利益を出していないのはすごく残念だと思うし、これからはビジネスモデルを変えていくべきだと思っています。ぜひ楽しみにしてほしいです。
(矢野CP) テレビにしかできないことって絶対あって、報道や災害時の放送、YouTubeでは難しい規模のドキュメンタリー、あとはとにかく面白いものを100人がかりで作るとか。テレビにしかできないものをしっかりと作れば、それは必ず届くと信じています。これからも何が求められるかを考え抜いて、多くの方に「たまにはいいよね」と思ってもらって、そして“たまに”が重なって「何か見ちゃうよね」となるような、視聴者に近いメディアでいられるといいなと思っています。

Q.(高校3年・女子・熊本) さきほど、徐さんがおっしゃっていた「ビジネスモデル」が気になっていますが、今の時点で具体的な展望はありますか。
A.(徐P) 社内にはいろいろな部署がありますが、現状ではまだ、そこで働いている皆さんと何をどこまでできるのか、できないとしたら理由は何なのか、を探っている段階です。
(沢田P) テレビって1億2,000万人に同時に届けられるメディアとしての広告価値があったんですが、それに代わるようなビジネスモデルを今テレビ局は持っていなくて、それをみんなで必死に探しています。例えば映画や、テレビ発のオーディション番組で新しいスターとともに利益をつくっていくなど、多角的に仕掛けていって、どれが未来の基軸になるかを探っているような段階です。

Q.(高校1年・男子・長崎) 単純な質問ですが、番組のネタって切れたりすることありますか。
A.(徐P) もちろん非常にあります。ご当地問題ももう12年もやっていて何もないし、心理テストももうないし。「街行く人のお豆腐グルメ」といった変化球も視野に入れたりしています。
(沢田P) 一番時間をかけているのはそこで、「来週何を放送しよう」「再来週は何を放送しよう」って日々考えています。毎週ネタをつくっています。テレビマンがほかの仕事の人たちと違って一番長けているのは“発想”という部分かもしれません。

⑤委員長から

(榊原委員長) とても印象的だったのは、やはり人手とお金とアイデアのかけ方がSNSとは全然違うというところです。是非アイデアをどんどん出して、中国だけでなく世界中の人がお金を払って見るようなコンテンツを制作してほしいと思いました。

(菅谷アナウンサー) 『月曜から夜ふかし』は非常に人気がありまして、オリンピックのウラでも高視聴率を獲得していて、単純計算にして600万人ぐらいが見ています。東京ドームで1試合野球をやると5万人が見ますが、120試合やってようやく600万人、その数の人が1時間のうちに一斉に見るということです。そんな状況だからこそ、誰もが楽しめる、誰もが傷つかない番組を考えなければいけないのだというところが、今日の3人の話だったと思います。本日はありがとうございました。


第2部 BPO青少年委員と高校生モニターとの意見交換会

【テーマ1】 今のテレビと昔のテレビ、どっちが面白い?

 中高生モニターの毎月の報告の中には「前の番組の方が…」「昔の番組は…」という言葉がよく出てきます。“今”と“昔”で、どちらのテレビの方が面白いと感じているのでしょうか?高校生モニター12人と委員5人に挙手してもらうと…以下の結果となりました。

「今のテレビの方が面白い」…5人、「昔のテレビの方が面白い」…12人

「今のテレビの方が面白い」と思う人の意見

  • (高校2年・男子・神奈川)まず前提として、動画で簡単に自分の見たいものを見ることができる今と、僕が生まれる前のテレビしかなかった昔とでは、面白さの感じ方が違うと思います。それでも、昔よりも出演者の体のことや権利を考えて改善を重ねた結果が、今のテレビだと思っています。最近、学校ぐるみだとか、僕たちの身近なところで撮影する番組が増えてきたので、そういうところで僕は今のテレビが面白いなと感じています。
  • (高校2年・女子・愛媛)昔の番組の再放送と比べると、今の番組の方が全然安心して見られます。さきほど話が出た体についての権利もそうですが、私は争い系や戦争系があまり好きではないので、今の番組の方が安心できるし面白いなと感じます。
  • (榊原委員長) 今の方が断然良いですよ。昔のテレビは14インチが一番オーソドックスだったし、モノクロしかないし、23時になるとテストパターン(試験電波放送)になって番組が終わってしまった。またチャンネル数も少なかった。昭和30年代はそんなもんでした。比べるどころじゃなく、質、量ともに今の番組の方が面白いです。
  • (高校1年・男子・兵庫) SNSやYouTubeが台頭してきたあと、テレビは良い影響も悪い影響も受けているとは思うんですけれど、良い番組が増えたのかなと思っています。例えばオーディション番組は昔あまりなかったなと思うし、SNSでアイドルグループが普及した影響かなと思うので、そういった番組は良い影響を受けていると思います。

「昔のテレビの方が面白い」と思う人の意見

  • (高校3年・女子・奈良) 昔と言っても十数年前、『宝探しアドベンチャー 謎解きバトルTORE!』(日本テレビ)という番組がありましたが、とにかくセットがすごかったイメージがあります。タイムリミットまでにクイズを解かないと壁に挟まれるとか、球を穴の中に入れられないとミイラにされるとか、今考えてみるとあのときの大規模セットはやっぱりテレビにしかできなかったのかなと思います。今の番組は街頭インタビューとかが多くて、そういうのはYouTuberや一般人も最近出ている良いマイクでできますが、あの大規模セットはすごく良かったなと思います。
  • (高校1年・男子・長崎) 僕は『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!絶対に笑ってはいけないシリーズ』(日本テレビ)がなくなったのが一番寂しかったです。あんな大規模番組が年末にあるのはとても楽しみだったのになくなってしまったから、昔の番組の方が面白かったと思います。
  • (高校2年・女子・青森) やっぱり年越しは『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』を見ながら、年を越したタイミングを分からないまま時計見たら「あ、もう年越しているわ」みたいな、そういう年越しが好きでした。笑ったら本当に叩かれるので、やっぱりコンプライアンスとか時代には合っていないのかもしれないけれど、笑いのレベルは高かったのでもう一回見たいなという気持ちはあります。
  • (佐々木委員) 僕は学園モノ(ドラマ)が大好きでした。『これが青春だ』(日本テレビ)とか『青春とはなんだ』(日本テレビ)など、熱血教師の番組があった。それを見て「じゃ、今日は遊ぶか!」みたいに真似をする先生もいて、そういう型破りな先生が大好きで、だから私は学校へ行くのが楽しかったんです。今はそういう番組がなくつまらないかな。陰湿ないじめとかスクールカーストといったテーマが多くて、暗くなっているようにも思います。最近でいうと『ドラゴン桜』(TBSテレビ)のような番組がいっぱいあれば、全国の中高生ももっと頑張れるんじゃないかなと思っています。
  • (高校1年・女子・岐阜) 昔のドラマでは『GTO』(関西テレビ放送)は笑えるところや面白いところが多いです。今のドラマも面白いですが、今ではあまり感じられないことが『GTO』では感じられて面白いです。例えば校内の喫煙シーンがあったりして、何かちょっと不思議な感じがします。
  • (高校3年・女子・栃木) 最近ゴールデンに放送されているバラエティー番組『それSnow Manにやらせてください』(TBSテレビ)について。昔、Paravi(動画配信サービス)で配信されていた頃はメンバーが体を張るような地方ロケが多かったんですが、最近はスタジオのダンス対決とかでちょっと軽く済ませている感じがあって。昔みたいな大規模ロケや、地域の人との交流が増えればいいと思います。
  • (飯田委員) 年越し番組の話がありましたが、僕も個人的には、昔の方がよかったとは思います。若い頃は、大みそかに『絶対に笑ってはいけないシリーズ』を友達の家で見ていましたが、番組自体の面白さの水準は別にして、家族や友人みんなで盛り上がれるという経験がなくなってきたのは確かです。あるいは『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』の放送翌日、学校に行く電車の中で友達と番組の話題になることが普通でしたが、今はそういう経験があまりないというのが、昔と大きく違うところですね。
  • (吉永副委員長) 私はテレビがない時代、ラジオしかなかった時代を知っています。テレビが初めて「家に来た」とき、すべての情報がテレビから得られるようになったという強烈な印象が残っています。それからしばらく、テレビがすごい試行錯誤をして面白い番組を手探りでたくさん作っていった、そのバイタリティーや面白さを感じていました。もう一つは自由度。昔は本当に不適切極まりないものが平気で放送されていて、『8時だョ!全員集合』(TBSテレビ)にもPTAが毎回文句を言っていましたが、それでもみんな「あれが面白いんだよね」と逆らって見ていたわけです。昔のテレビの方が圧倒的に自由度は高かった。また出演者についても、30年前は何を言っても構わないという「表現の自由」に傾いていた感じがしますが、今は「これを言ったらまずいんじゃないですか」というのがどうしても先にきます。“思いやりの社会”ではしかたないですが、コンテンツの幅がすごく狭くなっている印象です。昔の番組の方がエネルギッシュでした。

昔の“面白さ”と今の“面白さ”、これからの番組で両立できると思いますか?

  • (高校2年・男子・神奈川)  大規模な番組は当然お金がかかるし、視聴率が取れないと元が取れないと思うんですが、そのためにはもう少しテレビの方に興味関心が向けられなければならないと思います。SNS利用者が自由に発言できる今だからこそ、テレビという大勢の人に発信するメディアの自由度が低くなっているんだと思います。最近だと『新しいカギ』(フジテレビ)は本当に見ていて面白くて、「学校かくれんぼ」の企画も大掛かりかつ安全なものだし、こういった番組が増えたらいいんじゃないかと思います。
  • (高校3年・女子・熊本) 視聴者が求めるものと番組が提供したいもののバランスが大切なのかなと思いました。例えば『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ)は世界中に出ていくのをコンセプトにした番組なのにコロナの時期はそれを批判されて、国内の企画で従来の番組らしさを追求するのはとても大変だったと思います。でもこの番組に限らずどの番組も、世間の声を受け止めようとし過ぎて臆病になっている感じにもなっていて。世間の声を受け止めてこそ視聴率につながるのかもしれないけれども、あまり受け止め過ぎて本来できていたことができなくなっているんじゃないかなと思います。コンプライアンスとか気にしすぎずに、もう少し踏み込んだことしてもいいんじゃないかと思います。
  • (高校1年・男子・長崎) SNS上だけで有名な人、例えば大掛かりなことをする有名なYouTuberをテレビに出したら、SNSとテレビがどちらも良い関係で発展できるのではないかと思います。
  • (高校3年・女子・奈良) 放送メディアって災害やニュースを伝えるのも大きな役目だと思うんですが、大切な娯楽でもあると思っています。例えば『月曜から夜ふかし』を仕事や学校終わりに見て明日からまた頑張るとか、そういう人がたくさんいると思うんです。例えば20~40代が昔見ていた番組、テレビが娯楽だった時代の番組を再放送やアレンジ放送をして、親子で「昔はこういう番組があったんだよ」という話ができたら、家族団らんにもなって楽しいかなと思います。
  • (池田委員) 様々な視点から意見を出してくれてありがたいです。多くの人が挙げてくれた放送とネットとの連動は大きな課題で模索が続いているところです。SNSやYouTubeをたくさん見ているデジタルネイティブ世代のみなさんから、どんどんアイデアを出してほしいと思っています。

【テーマ2】 放送局にどうしても伝えたいことは?

放送局に対して、こう改善してほしい、こうあってほしい、こう変わってほしいなど、どうしても伝えたいことについて高校生モニターに意見を述べてもらいました。

  • (高校1年・男子・長崎) 最近アニメを見始めたんですが、アニメでは1期・2期があるにも関わらず、テレビでは2期からしか見られないことがあります。テレビでも1期から放送してほしいです。
  • (高校2年・男子・神奈川) インターネットの記事で、番組の収録中に出演者がケガをしたことや、番組への批判が出演者に直接寄せられていることを最近見ました。出演者が自殺してしまったケースも以前あったと記憶しているので、踏み込んだ番組は面白いかもしれないですが出演者への影響も考え続けてほしいです。
  • (高校3年・女子・熊本) 13年前に放送された『家政婦のミタ』(日本テレビ)がとても印象に残っています。リアルタイムで見たときは小さかったのでシリアスな場面にヒヤヒヤしたけれど、最近配信サービスアプリで視聴したときには家族や人としての在り方を考えさせられる番組だと思いました。インターネットで調べて「今の時代にそぐわない」という意見や「暴力的なシーンが多いから地上波では再放送できない」という情報も見ましたが、私のように良いと思っている人に向けた再放送も検討してほしいです。例えば深夜帯にひっそり再放送するなど、何か手を打っていただければなと思います。
  • (高校3年・女子・奈良) まずは食事の時間帯にグロテスクな映像を流さないでほしいです。例えば『世界の果てまでイッテQ!』で急に蛇やカエルが出てきますが、個人的にカエルが苦手なのでワンクッション欲しいなと思います。また私は国際情勢に興味があるんですけれども、昔から続いているパレスチナ問題などでも今は情報がどんどんアップデートされているので、今起きている複雑な国際情勢を簡単に解説してくれる番組を作ってほしいです。
  • (高校2年・男子・山口) 先日、東京都知事選挙がありました。過去最多の56人が立候補しているのをテレビがどのように報道しているのか見ていましたが、本当は56人を平等に報道するべきところを、人気のある4人がピックアップされていてそれ以外には見向きもしない。テレビとしてあまりよくないところが出ていたなとは感じました。テレビで報道されずYouTubeで配信していた人が1~2万票獲得していて、SNSもテレビに負けない強いネットワークなんだとすごく感じました。
  • (BPO事務局長) 選挙というのは誰でも立候補できますし、公職選挙法に基づく“政見放送”では、放送を希望した51人の主張がそのまま放送されました。メディアの役割は、都政を担う可能性のある人の人となりや政策を、限られた時間の中でできるだけ分かりやすく伝えることだと思います。そうすると候補は絞らざるを得ません。一方で、今回の選挙についてはメディアに多くの意見が寄せられましたし、メディアはそこから多くを学ばなければなりません。モニターの皆さんにもどんどん意見を出していただきたいし、そうして出していただいた意見が、テレビの選挙報道を変えていくと思います。
  • (池田委員) 選挙報道について法律の面でお話をすると、放送法では“政治的な公平”が求められています。「公平に放送してください」と法律は謳っています。ただそのときの公平が何を意味するかというと、量の公平ではなくて質の公平なんです。量の公平というと、例えば56人の候補者に全員同じ時間ずつ話をさせろということ。しかし質の公平については、各放送局それぞれの判断に任されています。主な候補者として4人選ぶか6人選ぶか、何をどう議論するのか、ピックアップして何かを語らせるのかは各放送局で考えて判断することなんです。“政治的な公平”とは、質的公平だということを補足しておきますね。
  • (司会・BPO事務局) 選挙報道について、事務局長は放送局の記者の立場で、そして池田委員は弁護士の立場で話してくれましたが、SNSも含めて多くの情報に触れている高校生の皆さんはまた違った感想を持ったかもしれません。「不思議だな」「なぜだろう」と感じたことが、今後の放送を変えるべき“種”になるかもしれないので、これからもいろんな人の話を聞きながら放送に関する考えを深め、私たちに伝えてください。

【本日のまとめ】

(吉永副委員長) この5年間、新型コロナの影響でモニターの皆さんとリアルで対面することがなかったので、今回実現できたとことを大変うれしく思います。「百聞は一見にしかず」と言いますが、放送の現場を実際に見て、これだけ多くの人が必死に放送を作り上げていることを知った後では、また少しテレビとの距離感が変わってくるのかなと思います。『NHK紅白歌合戦』の視聴率が80%で日本国民のほぼ全部が『紅白』を見ていたような“テレビの時代”から、今は視聴率10%取れたら御の字という世界に変わってきて、それが本当に私たちにとって幸せなのかどうかという検証はすごく大事だと思います。ちなみに私は元々新聞業界にいましたが、今は新聞を読んでいない若い人たちがたくさんいて、先日も毎日新聞が富山県内での配送を休止するとの報道にびっくりました。配送していた部数を聞いたら840部だったということですが、他県もそんなに変わらないそうです。新聞業界も危機に瀕しています。新聞社にも社会部もあれば外信部もあるし、紙面には政治面も家庭面も健康面もある。でも総合的に私たちにきちんとした情報を届けてくれる新聞も、あしたの運命はどうなるか分からないよう状況になっています。話は戻って、総合的に情報を伝えるテレビもまた、通信との関わりの中でどうしても厳しい状況になっています。NHKは人口が減れば当然予算も減ります。民間放送においても、企業は「10%しかテレビを見ていないならば、通信の方に広告を出します」という話になりますよね。大きなお金をかけてたくさんの人を使って素晴らしくクオリティーの高い番組を提供したいという気持ちがあっても、物理的に不可能になってしまうということが、これから先あり得るのです。このような状況で、今まで持っていたパワーをどう維持するのかが、放送の世界にとって大きな試練になっていくと思います。皆さんがこれから生きていくうえで、しっかりした情報をたくさん得るということはとても大切です。今の状況がこれから長い人生を生きる皆さんにとって本当に幸せなのか、どうしたら自分たちのきちんと知る権利を確保して間違った判断をしないようにできるのか、を是非考えていってください。このモニターをしてくださったご縁もありますので、これからも放送について、厳しくも温かい愛情のある目線でレポートを送っていただければなと思います。

(榊原委員長) “自由”で“平等”であるということは、“みんな同じということではない”ということです。みなさんが一番見たい番組もそれぞれ違うわけで、「ドラマが見たい」「“ガキ使”が見たい」という欲求が全部満たされるかというと、放送業界のキャパシティーとして時間も人も足りないのが現状です。一方で、現在SNSが流行っているとはいえ、先ほど『月曜から夜ふかし』は毎週600万人が視聴しているという話がありましたが、公共的に情報を流すものとしては現在でもテレビが圧倒的に強いですし、1つの放送局でもそれだけの影響力があります。この影響力というのは、先ほど言った自由や平等、報道の自由やあるいはいろいろな情報を得る権利などに関わった人びとが、鋭意努力した結果だと思うのです。みんなそれぞれ見たいものは違いますが、どのようにバランスをとっていくのかということが重要です。BPOは若い世代の意見を各放送局に届け、ウェブサイトにも載せています。みんながある程度満足し、大きな不満がなく争いもなく、情報を自由に見ることができ、発信する方にも自由度がある。そういう放送を保障していく活動をしていかなくてはいけないと思っています。またモニターの皆さんも、テレビやラジオのモニターではありますが、実際にはこういう大きな国や集団の在り方みたいなものを、ここで垣間見ることができるのかなと思っています。私が若い頃、情報はテレビの報道から入ってくることが多かったのですが、今はインターネットやSNSとどう折り合いをつけていくかという時代です。モニターの皆さんに若い世代を代表して意見を言っていただくことは、現在の番組作りだけでなく、将来成人して社会の構成員になったときにどういった考えを持つかにおいて大変重要です。皆さん個人にとっても、重要な経験になると私は信じています。今日は遠いところからも来ていただいて、本当にありがとうございました。


モニターへの事後アンケートより

【日本テレビ社内見学 について】

  • 『ヒルナンデス!』の生放送中にスタジオに入ったときは、裏で働いている人の多さに驚いた。番組の裏の部分(特にカメラや照明など)を見ることができたことや、自分が興味のあったニュース番組の席に座れたことは、とても良い経験になった。(高校1年・男子・兵庫)
  • まさか生放送中のスタジオに入れるなんて思ってもいなかった。『ヒルナンデス!』のスタジオでは出演者の声が小さくあまり聞こえなかった。音声さんは重要だと身をもって感じた。伊藤遼アナウンサーが、私たちが後ろを通るときに「こんにちは」と言ってくれた。めちゃめちゃ好きになった。(高校2年・女子・青森)

【日本テレビ『月曜から夜ふかし』制作者との意見交換会 について】

  • コンプライアンスが厳しい令和にこの番組が生き残った理由は、相手の気持ちをよく理解することだと分かりました。これは自分にも必要なことで、相手の気持ちを分かっていなければ相手を傷つけてしまう可能性があるので、大切にしていかなければならないと思いました。(高校2年・男子・山口)
  • プロデューサーが一人で一つの番組を担当するものだと思っていましたが、他の方も含めて100人以上という多くの方が携わっており、驚きました。本当に努力の結晶でできている番組だと思います。私の将来の夢の一つに「番組プロデューサー」があります。私はみんなで一つのものを作ることが大好きです。テレビ局で働くこともいいなと思いました。改めて番組プロデューサーという仕事も人々を笑顔にできてすてきだなと感じました。(高校1年・女子・岐阜)

【青少年委員との意見交換会 について】

  • 同世代のモニターからの意見はとても興味深いもので、とても良い刺激になった。“今のテレビ”と“昔のテレビ”の比較では、人によって異なる“面白さ”や“安全・倫理”といったものに対する見解を聞くことができた。自分は「今のテレビの方が面白い」と言ったが、「『ガキ使』が面白かった」「昔のテレビは面白いが過激である」といった意見には納得できた。また、そこに対する委員の先生方の意見が的確で、それぞれの方々が持つ肩書からくる深いものでもあり、テレビに対して一段と興味を持った。(高校1年・男子・兵庫)
  • 話し合うことでテレビにとって大切な部分にはなったのではないかなと思います。特に大きな何かが動くという訳でもないけれど、テレビの本質を再認識することができたんじゃないかなと改めて感じました。(高校2年・女子・愛媛)

以上

2024年8月に視聴者から寄せられた意見

2024年8月に視聴者から寄せられた意見

パリオリンピックについて、出来るだけ多くの種目をテレビで見たい、などの意見が寄せられたました。

8月にBPOに寄せられた意見の総数は3,534件で、先月から652件減少しました。
意見のアクセス方法は、ウェブ 93.4% 電話 6.2% 郵便・FAX 0.5%
男女別は、男性 43.6% 女性 33.8% 無回答 22.6%で、世代別では10代 1.3% 20代 12.9% 30代 24.1% 40代 25.4% 50代 19.6% 60代 8.8% 70歳以上 1.3%
視聴者意見のうち、個別の番組や放送局に対するものは当該局へ個別に送付します。8月の個別送付先は31局で、意見数は2,139件でした。放送全般に対する意見は136件で、その中から13件を選び、会員社すべてに送りました。

意見概要

番組に関する意見

パリオリンピックについて、できるだけ多くの競技種目を放送してほしい、競技ごとの放送時間を正確に詳しく伝えてほしい、また、オリンピック番組中であっても強い地震の発生などはカットインして伝えてほしい、などさまざまな意見が寄せられました。
ラジオに関する意見は29件、CMについては6件でした。

青少年に関する意見

8月中に青少年委員会に寄せられた意見は85件で、前月から2件減少しました。
今月は「要望・提言」が60件と最も多く、次いで「表現・演出」が16件で、以下、「編成」「食べ物」などが続きました。

意見抜粋

番組に関する意見

  • パリオリンピック。テレビで放送する競技もあれば放送の無い競技もある。すべての競技を放送してほしいと思う。

  • オリンピックの番組表。日本選手の活躍が期待される競技が書かれていた。その競技を今か今かと楽しみに待っていたが、番組表にはない別の競技を長々と見せられた。番組情報は正確に詳しく伝えてほしい。

  • オリンピック期間中に震度6弱の地震が発生した。オリンピック番組を放送中であっても、カットインして災害の情報を伝えるべきではないか。

  • 情報番組のMCがオリンピックのメダリストの容姿に触れて不適切な発言をした。怒りがこみ上げた。

  • オリンピックが終わりパラリンピックが始まったが競技を中継する番組が少ない。また報道・情報番組での取り上げ方が小さいと感じる。もっと大きく取り上げてもいいのではないか。

  • 台風・大雨のニュースで、外出を控えるよう注意を呼びかけているにもかかわらず、アナウンサーやレポーターが強い雨風にさらされて中継しているのはなぜなのか、理解できない。

  • 元首相に対する銃撃事件をドキュメンタリーに仕立てた番組。内容が容疑者への同情を誘うかのようにも見えたし、いずれ始まるだろう裁判員裁判へ影響があるのではないかと心配になった。

  • ラジオ国際放送などの中国語ニュースの中でスタッフが「尖閣諸島は中国の領土」などと不規則発言をした問題。常習的に行っていなかったかなど徹底的に調査してほしい。

  • バラエティー番組で新型コロナ感染予防対策を茶化して笑いものにしていた。家族や知人を亡くした人や後遺症に苦しんだ人たちが見たらどのような気持ちになっただろうか。

  • 食べ歩きやグルメ紹介などの番組で、リポーターやスタジオの出演者、アナウンサーまでが口の中に食べ物を入れたままコメントをしている。行儀悪い。子どもが真似をしないかと心配になる。

  • ネットの影響なのだろうか、テレビの画面上で様々な色や大きさの文字があふれている。読み取るのに苦労するし、もとの映像を覆い隠してしまっている。災害やニュース速報が画面上部に出ても文字が重なって見にくい。

  • 通販番組でよく「番組終了後30分以内のご注文がお得」と案内するが、同じ内容の番組がキー局だけでなくBSでもローカル局でも流れているようだ。「30分以内」という締切りは本当にあるのだろうかと疑問を感じる。

青少年に関する意見

【「要望・提言」】

  • 新婚夫妻が登場するバラエティー番組で、下ネタや夜の生活の話を面白おかしくする人がいて、子どもが見てしまい気まずくなった。番組で話す内容をよく考慮して制作してほしい。

  • バラエティー番組で、新型コロナ対策を揶揄(やゆ)するドッキリ企画があった。いまでも感染に気をつけながら命を守っている医療現場に対して無神経でふざけた内容だ。「不適切だった」と番組で訂正する必要があるだろう。

【「表現・演出」に関する意見】

  • 報道番組の「体臭・スメハラ(スメルハラスメント)特集」で、女性アナウンサーが別の人の臭いを嗅いで不快な顔をした。指示されて演出としてやっているのだろうが、こういうことが子どものいじめにつながると思う。

  • バラエティー番組で、歌うときに音程を外した出演者を「改名」と称して魚の名前で呼んでいた。子どもも見る番組なので、これを真似て友達におかしな「あだ名」をつけるかもしれない。不愉快な気分になった。

【「編成」に関する意見】

  • 夜9時前放送の世界の衝撃映像を紹介するバラエティー番組で、人が殺されるシーンが繰り返し流れたが、小学生も見る時間帯だ。このような内容は夜9時以降にすべきではないか。

【「食べ物」に関する意見】

  • バラエティー番組で、大食いタレントをゲストに迎えての企画があり、大きな食材をひと口やふた口で無理やりに食べる場面があった。見ていて嫌悪感を覚えたし、子どもが真似たらどうなるだろうかと思った。

第330回

第330回 – 2024年8月

「調査報道に対する地方自治体元職員からの申立て」審理…など

議事の詳細

日時
2024年8月20日(火)午後4時~午後6時
場所
千代田放送会館7階会議室
議題
出席者
曽我部委員長、鈴木委員長代行、廣田委員長代行、大谷委員、
國森委員、野村委員、松尾委員

1.「調査報道に対する地方自治体元職員からの申立て」審理

申立ての対象となったのは、サンテレビが2023年9月26・27日に放送した夕方ニュース番組『キャッチ+』(キャッチプラス)で、ふるさと納税PR事業のために兵庫県下の地方自治体が出店したアンテナショップで、この自治体の元課長が現職時代に不正行為をはたらいていたという内容の調査報道ニュースを放送した。申立人は元課長で、放送内容は虚偽であり名誉を毀損されたと主張している。
9月26日放送の前編では、アンテナショップ元店長たちの内部告発をもとに、元課長が代金を支払わずに商品を飲食していたと報道した。9月27日放送の後編では、情報公開で得た資料と元店長たちの証言などをもとに、元課長の指示により、家族や知人に公金で高級牛肉などが送られていたと伝えた。
申立人の元課長は、放送などでの謝罪、インターネット上での当該ニュース動画の削除などを求めている。
被申立人のサンテレビは、元課長は電話取材に対し全てを否定したが、発言に具体的根拠はなく、元店長らの証言や伝票のコピーなどの物証からみて、放送内容は真実であり、少なくとも真実であると信じるに足る相当の理由があるとしている。また、地方自治体の管理職の地位にある公務員が、公金が投入されたアンテナショップで行った不正行為を放送したもので、公共性があり、公益を図る目的で放送したと主張している。
今回の委員会では、起草準備委員会作成の論点と、ヒアリング時の申立人・被申立人への質問項目をあらためて確認し、ともに承認された。次回委員会で申立人・被申立人双方へのヒアリングを実施する。

2.「警察密着番組に対する申立て」審理

申立ての対象となったのは、テレビ東京が2023年3月28日に放送した『激録・警察密着24時!!』で、人気漫画・アニメのキャラクターを連想させる商品に関する不正競争防止法違反事件を取り上げ、警察の捜査の模様や2021年7月28日に執行された会社役員ら4人の逮捕場面などを放送した。
これに対し、番組で取り上げられた会社役員らは、番組の放送時点で逮捕された4人のうち3人が不起訴処分になっているにもかかわらず、その事実に言及せず、また「人気キャラクターに便乗して荒稼ぎ」「被害者面」「逆ギレ」といった過度なナレーションやテロップを付けて放送するなど、4人の名誉を著しく傷つけたなどとして申立てを行った。さらに、捜査員同士の会話や会議の様子は事後に撮影されたものであるのに、捜査の時系列に沿っているかのように番組内で構成されており、視聴者を混乱させ、許容される演出の範囲を大きく逸脱しているなどと主張している。
被申立人のテレビ東京は、不適切な放送内容が複数あったとして、お詫び放送やウェブサイトにお詫び文を掲載したほか、警察密着番組の制作中止や関係者の処分を行った。さらに再発防止策として番組チェック体制の強化や社内教育・研修の拡充などを進めていくとしている。
申立人側は、お詫び放送等の対応に一定の評価をしているものの、警察署内での事後撮影をめぐる見解の相違やテレビ東京が番組制作過程を明らかにしなかったことに納得せず、双方の交渉は不調に終わり、6月の委員会で審理入りすることが決まった。
今回の委員会では、テレビ東京の答弁書に対する申立人側の反論書について、その概要・ポイント等を担当調査役が説明し、委員からの質問等に対応した。

3. 最新申立て状況

事務局から最新の申立て状況等について説明した。

4. その他

意見交換会について、来年2月に開催する方向で準備を始めていることを事務局から報告した。

以上

2024年8月9日

2024年 8月9日

8月13~16日の視聴者意見応対業務について

8月13日(火)から16日(金)までの間、次の対応といたします。

  • 視聴者意見の電話による受け付けを休止します。
  • ウェブサイト、郵便物、ファクスは通常通り受け付けます。

2024年7月に視聴者から寄せられた意見

2024年7月に視聴者から寄せられた意見

東京都知事選挙の投票日当日に、候補者名記入の表記等について誤った内容を放送した番組に対し、多くの意見が寄せられました。

2024年7月にBPOに寄せられた意見の総数は4,186件で、先月から2,342件増加しました。
意見のアクセス方法は、ウェブ 92.7% 電話6.8% 郵便・FAX 0.5%
男女別は、男性 50.0% 女性 29.1% 無回答 20.1%で、世代別では10代 1.3% 20代 10.9% 30代 21.6% 40代 23.7% 50代 23.1% 60代 10.3% 70歳以上 1.7%
視聴者意見のうち、個別の番組や放送局に対するものは当該局へ個別に送付します。7月の個別送付先は32局で、意見総数は2,565件でした。放送全般に対する意見は167件で、その中から16件を選び、会員社すべてに送りました。

意見概要

番組に関する意見

東京都知事選の投票日当日に、候補者名の漢字かな表記について、また投票所入場券を持参しなかった時の対応について、誤った情報を伝えた番組に対して多くの意見が寄せられました。
ラジオに関する意見は8件、CMについては18件でした。

青少年に関する意見

2024年7月中に青少年委員会に寄せられた意見は87件で、前月から12件増加しました。
今月は「要望・提言」が32件と最も多く、次いで「表現・演出」が28件、「報道・情報」が9件と続きました。

意見抜粋

番組に関する意見

  • 東京都知事選当日の午前中の番組で、2つの間違いが放送された。ひとつは候補者名を投票用紙に記入する際の漢字・かな表記についての間違いで、もうひとつは入場整理券を忘れた際にマイナンバーカードなどによる身分証明が必要になるという間違いだ。番組終了までの間にひとつめの表記の間違いについては訂正があったが、もうひとつの方は触れられなかった。何が正しいことなのか十分に伝わっていないのではないかと感じた。

  • 都知事選の投票をめぐり間違いを放送した番組だが、次の放送回で改めてレギュラー出演者のアナウンサーが謝罪していた。アナウンサー任せにせずメインの司会者なり番組の幹部なりが謝罪すべきだったのではないか。

  • 都知事選が終わり報道のあり方に疑問が残った。ほとんどの番組が特定の4人の候補しか紹介しなかった。また投票日前の報道が不十分だと感じた。告示から投票日までの間に候補者の主張を広く知ることが出来るような報道をテレビ・ラジオに期待したい。

  • SNSなどで話題の動画を集めた番組の中で、猫が屋根に飛び移ろうとして失敗し、何度も落ちる映像が放送された。かわいそうで見ていてつらくなった。こうした動画はテレビで放送しなくても良いのではないか。

  • バラエティー番組のクイズコーナーで「織田信長に仕えた初のアフリカ出身の侍の名は」という問題を出していたが、侍という身分を与えられていた史実は確認できないはずだ。放送前に綿密にチェックしてほしかった。

  • 二刀流メジャーリーガーが日本のテレビ局の報道によって自宅の場所を特定され、購入したばかりなのに売却を検討しているとの報道を見た。真偽は不明だが、対象が著名人だとしても秘密にしておきたいことやプライバシーを暴露することの影響がいかに大きいか、テレビはよく考えるべきだ。

  • アメリカの前大統領が演説中に銃撃されたという速報を受けて、スタジオのМCやコメンテーターは、前大統領の無事や安全を気遣うよりも先に、大統領選に有利に働くかもしれないなどという趣旨のコメントしていた。不快だった。

  • 高校生が集団で激辛のチップスを食べて救急搬送された。激辛チャレンジの番組は出演者の胃腸などに大きな影響を及ぼしているのではないかと心配になった。

  • 通販番組などで「送料無料」と安さをアピールしているが、実際には販売元が送料を負担するか販売価格の中に入れ込むかしている。「送料無料」という表現だと、あたかも無料で配送する運送業者が実在するかのように誤解されてしまうのではないか。

  • 子どもの虐待死や交通事故死、災害死といった凄惨なニュースを読み上げたアナウンサーが、次の瞬間には満面の笑顔で嬉しそうにスポーツや芸能ニュースを読み上げるのを見るとモヤモヤする。間に別のニュースを挟む、読み手を変えるなどの工夫があってもいいと思う。

  • テレビ局はコア層を重視していると聞くが、若年層向けの番組よりも若年層の流行を年配者に紹介する番組の方が多いのではないか。また、同じ時間帯に各局とも似た内容の情報番組やバラエティー番組を放送しているが、ターゲットとする層が固定されるとそれ以外の人は見るものがなくなってしまうと思う。もっと多様な番組を放送して視聴者層を広げてほしい。

青少年に関する意見

【「要望・提言」】

  • 昨今は児童ポルノに関する規制が厳しくなっているが、未だに男児の入浴シーンが放送されていることに驚く。女児はだめだが、男児はよいとでもいうのか。大事なところは隠したりぼかしたりしているが、ほぼ全裸の男児を映すのは児童ポルノ以外の何ものでもないだろう。

  • 一般の番組の合間に流れるホラー映画のCMをやめてほしい。昼間にテレビを見ていた子どもがこのCMを見てしまい、怖がってひとりでトイレや寝室に行けなくなった。見ない選択ができるようにしてほしい。

【「表現・演出」に関する意見】

  • 報道番組で「熱中症予防のため屋外での活動を控えましょう」と呼びかけているが、長時間バラエティー番組では、100kmサバイバルマラソンを放送していた。見ていた子どもに「この人たちは外で走っていいのか」と問われ、答えに窮してしまった。

  • 長時間チャリティー番組のなかの福祉番組に思うところがある。日本では、障害者が「できない」ことにスポットを当て、できなくても暮らせるような福祉を行っている。この番組では、スポ根的で普通の人がしない努力を障害者に課す。過去には感動を与えるつもりか、身体の不自由な子どもをプールに浮かべて、アーティスティックスイミングをさせた。本当に日本の福祉に必要な番組なのか。

【「報道・情報」に関する意見】

  • トランプ前大統領が狙撃されたシーンが生々しすぎる。血が流れるところをそのまま映すのではなく、ぼかしを入れたほうがよいのではないか。子どもも見るので少し配慮が必要だろう。

  • 報道番組で、小1女児が自宅で虐待死した事件に関して、その子の上級生の小学生にインタビューした。友だちを亡くした子どもにマイクを向けた無神経さに不快感を覚えた。

【「編成」に関する意見】

  • 子どもが見たがるディズニー作品などの長編アニメをなぜ、子どもが寝る時間である「夜9時から」放送するのでしょうか。わたし自身、10代の子どもですが、夜9時ごろからだと親に「寝なさい」と言われます。このようなアニメの夜の時間帯での放送について検討をお願いします。

第270回

第270回-2024年7月23日

視聴者からの意見について…など

2024年7月23日、第270回青少年委員会を千代田放送会館BPO第一会議室で開催し、榊原洋一委員長をはじめ、オンライン参加の1人を含む8人の委員全員が出席しました。
6月後半から7月前半までの1カ月間に寄せられた視聴者意見について担当の委員から報告がありました。
7月の中高生モニター報告のテーマは「最近聴いたラジオ番組について」でした。
委員会ではこれらの視聴者意見や中高生モニター報告について議論しました。
最後に今後の予定について確認しました。

議事の詳細

日時
2024年7月23日(火)午後5時00分~午後7時00分
放送倫理・番組向上機構BPO第一会議室(千代田放送会館7階)
議題
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
今後の予定について
出席者
榊原洋一委員長、吉永みち子副委員長、飯田豊委員、池田雅子委員、
佐々木輝美委員、沢井佳子委員、髙橋聡美委員、山縣文治委員

視聴者からの意見について

6月後半から7月前半までの1カ月間に寄せられた視聴者意見について担当の委員から報告がありました。
関東地方向けの報道情報番組で、公立高校の進学校に男女別学がある埼玉県で共学化に向けた議論が本格化していることを特集。視聴者から「男子校への偏見が強く、男女別学が悪者とされるような取材、報道だった」などの意見がありました。担当委員は「(共学化)推進の立場、反対の立場の双方をバランスよく(番組に)取り入れている印象だった。指摘されるような偏向報道とはいえないだろう」とコメントしました。
世界の興味深い映像を集めたバラエティー番組で、中国で猫が階段の上から向かいの建物の屋根に飛び移ろうとして繰り返し失敗する動画を紹介したところ、視聴者から「動物虐待を助長している」という趣旨の意見が寄せられました。担当委員は「放送された映像だけからは直ちに虐待とはいえない。(当該動画の放送されていない部分を指摘した)ネット動画などを知った視聴者からの批判が集中したのではないだろうか」と報告しました。
トーク・バラエティー番組で、後輩芸人に面と向かって自分の芸風を強く揶揄(やゆ)された先輩芸人が、後輩の頭髪をつかんで押し倒すシーンが3回続いたことに、視聴者から「暴力映像を見せられ、不快だった」などの批判的な意見が寄せられました。担当委員は「先輩芸人は言葉による反論だけでは面白くないと感じて行動に移したものの、2回繰り返して後輩の反応をみて、3回目はとくに自らの行動をセーブした印象だ。1回目と2回目は暴力的に見えるので、(視聴者の)批判が来たことは仕方ないだろう。しかし、3回目も含めてこれらは『芸人同士の芸のうち』ではないかと感じた」と説明しました。
ほかの委員から特段の発言はなく、このほかに大きな議論になる番組もありませんでした。「討論」に進むものはありませんでした。

中高生モニター報告について

7月のテーマは「最近聴いたラジオ番組について」で、モニター全員から合わせて28番組への報告がありました。聴取方法はリアルタイムが13人、アプリ(radiko、NHKラジオ らじる☆らじる)などを利用したタイムフリーが17人でした。複数のモニターが取り上げた番組は『不二家presents Snow Manの素のまんま』(文化放送)で「出演者が話したいように話していて、友達の会話を盗み聞きしているような気持ちで聴きやすかった。会話が編集されているように感じないのもいいなと思った」「スタッフとメンバーの仲の良さが伝わる、穏やかで平和な番組だ」「もっと双方向の番組にすれば、リスナーとの距離感が近くなってより楽しむことができるのでは」といった声が届いています。
「自由記述」には「通学の時間帯にニュース番組を増やしてほしい」「5分番組だと通学時間に聴きやすい」「クラシックの指揮者は個性豊かでおもしろい人が多いので、出演する番組を制作してほしい」「3時間あまりにわたって野球やサッカー、競馬の中継をするのはやめてほしい」「ラジオの番組表をインターネットなどで手軽に見られるようにしてほしい」などの意見が届いています。
「青少年へのおすすめ番組」では『大追跡グローバルヒストリー』(NHK総合)に6人から、『沼にハマってきいてみた ブレイキン沼』(NHK Eテレ)に4人から、『はじめてのおつかい 笑って泣いて 夏の大冒険スペシャル2024』(日本テレビ)に3人から、『羽鳥慎一モーニングショー 夏のゴールデン3時間スペシャル!』(テレビ朝日)と『Aぇ!!!!!!ゐこ』(毎日放送)、『クラスメイトの女の子、全員好きでした』(読売テレビ放送)にそれぞれ2人から、感想が届いています。

◆モニター報告より◆

【最近聴いたラジオ番組について】

  • 『さくらひなたロッチの伸びしろラジオ』(NHKラジオ第1)
    初めてラジオを聴きました。テレビとは違い、音声や出演している人のワイワイしている様子がとても楽しかったです。ただ中学生の私は楽しめましたが、弟がいる身からすると小学校中学年くらいにはまだ早い気がします。みんなで楽しめる小さい子向けの番組も作るべきだと思います。(中学1年・男子・山形)

  • 『梶裕貴のラジオ劇場』(NHKラジオ第1)
    声優が出演している番組なので、アニメに関する話が多いと思いました。ラジオドラマもすごく豪華で、また何本も聴くことができて、すごく満足しました。(中学1年・女子・神奈川)

  • 『又吉・児玉・向井のあとは寝るだけの時間』(NHKラジオ第1)
    推測できない3人の会話にいつも引き込まれるので“声だけ”のメディアであるラジオの特性を生かしている番組だと感じる。またラジオ番組の良さはパーソナリティーのトークセンスに依存しているので、パーソナリティーが1人の番組は日によって内容の充実度に差があるが、この番組は3人で安定した会話ができていると思う。(高校1年・男子・兵庫)

  • 『東京03の好きにさせるかッ!』(NHKラジオ第1)
    ゲストのや団と東京03の“芸人仲間特有の仲の良さ”を感じられる番組でした。ゲストの面白い話を、東京03の高いトークスキルや笑い声でより一層明るく楽しい雰囲気にしていたので、自分も聴いていて自然と楽しくなりました。芸人たちの日常の話も聴くことができてとても満足しました。(高校2年・男子・神奈川)

  • 『国語辞典サーフィン』(NHKラジオ第1)
    初めて聴いたラジオ番組。普段使っている言葉を改めて知ることは、知らない言葉を知るより好きだ。またパーソナリティーが2人なので会話形式になっていて、一緒にいる感じがしてよかった。(高校3年・男子・東京)

  • 『朗読』(NHKラジオ第1)
    高校の昼放課(昼休み)に聴くことが多いです。音響効果がついていないので、気が散らず、物語の世界に入り込むことができます。自分が知っている文学作品の朗読も聴いてみたいので、作品をリクエストできる制度があってもいいと思います。(高校1年・女子・愛知)

  • 『ボキャブライダー』(NHK ラジオ第2)
    不特定多数の聴取者に向けて、学生でも社会人でも使えるように例文が作られていた。僕にとってのラジオは車に乗っている時に流れてくるものなので、スペルを言ってくれるのは良いと思う。5分だと通学時間に聴けるのでより良いと思った。(中学3年・男子・東京)

  • 『ベストオブクラシック』(NHK FM)
    私は読書や作業をしながらラジオを聴くことが多いです。『ベストオブクラシック』やニュースを選びます。音だけの情報で演奏を聴いているので、息づかいや強弱が伝わりやすくとても勉強になります。radikoで検索するとクラシック音楽の番組が少ないので、指揮者による音楽番組ができないかなと思いました。指揮者は個性豊かでとてもおもしろい方が多いので、きっと楽しい音楽番組ができると思います。(中学2年・女子・東京)

  • 『なかじまみか ことの葉がたり』(青森放送)
    日曜の午後4時半、休日が終わろうとしている時にゆったりとした時間を味わうことができた。お便り紹介最後の「紹介し忘れているものはないかな」という言葉に、すべてを伝えきりたいという意思が伝わってきた。郷土について歌っている歌を流したり、観光農園のブルーベリー狩りをおすすめしたりと、これこそが地元のラジオだという安心感があった。(高校2年・女子・青森)

  • 『まめだすトーク』(秋田放送)
    私の歌の先生でもある声楽家の齋藤琴美さんと生徒の三浦央典さんが出演していました。史典さんは秋田の人々のお世話になり育ててもらったので、その恩返しをするために秋田で活動していきたいと話していました。都会へ出ていく人が多いのに素晴らしいと思いました。(中学2年・女子・秋田)

  • 『パンサー向井の#ふらっと』(TBSラジオ)
    番組の冒頭で話していたプライベートでの出来事の話が、メッセージ募集のテーマに自然につながっていて、さすが芸人さんだと思いました。テレビと違ってラジオのように声だけのほうが、私たちが日々何気なく交わす雑談のように感じられます。また聴取者の声が番組内で頻繁に取り上げられていて、私も応募してみたいと思いました。(中学3年・女子・東京)

  • 『King & Prince 永瀬廉のRadio GARDEN』(文化放送)
    ラジオを聴いたのは初めてだったのですが、ラジオでしか聴けない永瀬廉の低く落ち着いた声は「もっと聴いていたい」と思うくらい聴きやすかったです。スタッフと話している様子から和気あいあいとした現場なんだと分かって、聴いているこちらまで楽しくなりました。(中学3年・女子・神奈川)

  • 『不二家presents Snow Manの素のまんま』(文化放送)
    • もっと双方向型の番組にすれば、リスナーとの距離感が近くなってより楽しむことができるのではないかと思います。(中学3年・女子・長崎)
    • 出演者が話したいように話していて友達の会話を盗み聞きしているような気持ちになり聴きやすかった。会話が編集されているように感じられず、編集もいいなと思った。(高校2年・女子・東京)
    • 番組の最後にメンバーの食レポがあり「好きな芸能人が食べていたスイーツを私も買ってみようかな」という気になります。(高校3年・女子・栃木)
  • 『レコメン!』(文化放送)
    ボーカルダンスユニットのM!LKは知っていましたが、今回出演した吉田仁人は知りませんでした。でも聴いているうちに吉田仁人のことを知っているような感覚がしてきて、それは普段テレビなどでは感じないような感覚でした。話している人の考え方や感じ方を共有したり、感情を深く読み取ったりできるラジオは、すごく興味深いと思いました。(高校2年・女子・愛媛)

  • 『ナインティナインのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)
    トーク系のラジオを初めて聴きました。普段ハキハキ喋るタレントの声が、ラジオではワントーンくらい低く、逆にそれが耳に入ってきやすく気軽に聴くことができました。地声で話しているのが普段の様子に近い感じがして新鮮でした。(高校3年・女子・熊本)

  • 『ももいろクローバーZのSUZUKIハッピー・クローバー!TOP10』(エフエム東京)
    世代を超えてさまざまな曲を知ることができて良かった。最近「Y2K」という2000年代の物や事柄が流行になっているが、昔の曲を流すことで今の若者の間で人気が出て、その曲を知ってもらう機会にもなると思う。(中学1年・女子・鹿児島)

  • 『ONE MORNING』(エフエム東京)
    テレビ番組では取り上げないような少しマニアックなトピックスを、大学の准教授や出版社の副編集長などが紹介したり分かりやすく説明したりしてくれるため、聴いていておもしろい。(高校2年・女子・東京)

  • 『SCHOOL OF LOCK!』(エフエム東京)
    多くのインフルエンサーが先生として出演していて、また夜遅くからの放送なので、学校や部活から帰ってきた多くの中高生から大きな支持を受けているなと感じています。掲示板の投稿を読み上げるコーナーでは、先生である出演者が寄り添い本気で相談にのるところが魅力です。学校の先生や親に言えない悩みを気軽に言える場はなかなかないので、これから先もこの番組で救われる中高生は増えると思います。(高校3年・女子・奈良)

  • 『ビジプロ』(InterFM897)
    ゴミ焼却炉や半導体を設計した乙部信吾氏(株式会社LIGHTz代表取締役)を招いていました。radikoで聴いた日にちょうど東京工業高等専門学校の見学に行っており、自分が進みたい進路が見えてきたような気がして、より一層興味が深まりました。ラジオなので想像しながら、よりリアルな風が感じられました。(中学2年・男子・東京)

  • 『Good Luck!Morning!』(エフエムナックファイブ)
    小学校2年生の時から中学校に入るまでこの番組を聴いていました。朝一番に曲を流してくれるため、一日のモチベーションを上げてくれる気がします。またお天気コーナー(6時台)のウェザーニュースの方の解説がとても分かりやすいです。専門用語よりも一般的に使われる言葉が多い印象です。(中学2年・女子・埼玉)

  • 『BAY SIDE FREEWAY』(ベイエフエム)
    1年ほど毎日楽しく聴いています。昨年の夏にお小遣いで買ったラジオで初めて聴いた番組で、爽やかな雰囲気の聴き心地がよく、それ以来今でも聴いています。勉強しながらラジオを聴くことが多く、疾走感のある曲が流れるとやる気が湧きます。パーソナリティーの進行もテンポがよく飽きずに最後まで楽しめます。またリスナーとの距離の近さも魅力で、コンサートのような一体感が楽しめます。高校生になったら自分も番組に投稿してみたいです。(中学3年・男子・千葉)

  • 『ミュートレック』(山梨放送)
    僕はラジオを聴いたことがありません。天気予報や交通情報が多く、集中して1つの番組を聴くのは慣れていないので大変でした。いろいろなジャンルの曲が流れていて新たな発見があると思いました。また、番組が始まってすぐに“かけつけ3曲”となっていて、3曲終了後には番組開始から9分過ぎていました。そこから番組紹介や挨拶が始まりましたが、僕は遅いと感じました。(中学1年・男子・山梨)

  • 『カトリーナの全部全力!』(CBCラジオ)
    30分という短い時間でしたが、内容の濃い番組だなと感じました。アジサイの話題ではおすすめのアプリやきれいな写真の撮り方について話していたので、時間がある時にぜひ実践したいです。(高校1年・女子・岐阜)

  • 『石川家のフフラジ』(山陰放送)
    夫婦のラジオ番組は聴いたことがなかったので、斬新なアイデアだと思った。半分以上はフリートークなので、夫婦ならではの話があって面白い。夫婦の悩みをリスナーが解決したり、夫婦にまつわる数字クイズ(結婚して何年目?相手の身長は何センチ?)を出したりするなど、もっといろいろなコーナーがあってほしい。(中学2年・女子・鳥取)

  • 『KRY Morning Up』(山口放送)
    毎朝学校へ行く前に30分程度聴いていますが、とてもさわやかで気持ちが良いです。特にオープニングの曲は朝にぴったりで、また高橋裕アナウンサーが、豆知識や山口県内のほっこりしたニュース、おもしろいニュースなどを紹介してくれるので、家を出る前の30分間にぴったりだと思います。リスナーのメールも一人ずつしっかりと読み、その内容についてもきちんと語っているので、とても良いなと思います。(高校2年・男子・山口)

【自由記述】

  • ラジオの番組表を見る機会が少ないので、テレビやインターネットで手軽に見られるようにしたら良いと思う。「注目の番組」だけでもよいので、自分の住んでいる地域以外の番組を放送したり見逃し放送をしたりしてほしい。(高校1年・男子・長崎)

  • ラジオはアプリで聴くことができるが、“アプリを入れさせる”ための工夫をしないとリスナーは減ると思う。サイトで一回だけ聴ける、アプリで他の地域の番組も聴ける、などのサービスを入れると、聴く人も増えるのではないか。(高校2年・女子・東京)

  • 好きな人もいるので一概には言えないが、ラジオで3時間程にわたって、野球やサッカー、競馬の中継をするのはどうにかしてほしいです…。(中学2年・男子・東京)

  • 『きっちりおじさんのてんやわんやクッキング』(BS朝日)をたまたま見たらとても面白かった。普通の料理番組は、作るものが決まっていたり材料があらかじめ計ってあったりするけれど、この番組では自分で作る料理を決めてから道具や材料を買うので、違う面白さがあった。特に買い物のシーンが面白かった。(中学2年・女子・鳥取)

  • 『あなたの代わりに見てきます!リア突WEST.』(朝日放送テレビ)は外国の知らなかった一面を見ることができてとても面白いです。ゴールデン帯の番組では見ないような編集も、意外性があってとてもよいです。(高校2年・女子・愛媛)

  • 『THE MUSIC DAY』(日本テレビ)にK-popアイドルがたくさん出ていて、日本のアイドルももっと出してほしいと思いました。他国より自国の出演者のほうが少ないのはおかしいと感じました。(中学3年・女子・神奈川)

  • 見逃し配信サイトを使ってドラマを見ていますが、放送から一週間以内の配信期間では少し短いと感じます。せめて二週間くらいは配信してほしいと思います。(高校3年・女子・栃木)

  • 最近バラエティー番組を面白いと思うことが減ったと感じています。食べ物系の話題が多いし、出演者が同じ人ばかりな気もします。規制が厳しく、なんだかなあと思ってしまいます。もっと視聴者を笑わせたい!!という攻めた番組が見たいです。(高校1年・女子・岐阜)

  • 1991年の普賢岳大火砕流で多くのマスコミ関係者が命を落としたと学校の授業で知り、心が痛んだ。災害が起きると現地を取材している映像を今も見るが、どのような対策を行っているのか気になった。(高校1年・女子・愛知)

  • 連日の都知事選についてのニュースでは4人が主に報道されている。56人すべてが真面目に取り組んでいるようには見受けられないが、広く報道してほしいと思った。(高校2年・女子・青森)

  • 東京都知事選挙ではネットのすごさに驚きました。テレビであまり取り上げられていなかった石丸伸二氏やひまそらあかね氏など、ネットで人気のある人が多く得票し、投票率も前回から5%上がったからです。これからテレビよりネットの方が影響力を持っていくのだろうと思いました。(高校2年・男子・山口)

【青少年へのおすすめ番組】

  • 『大追跡グローバルヒストリー』(NHK総合)
    • 本能寺の変によって九州の政治が荒れ、その結果日本人が外国まで行ったという物語の繋がりがとても面白かった。番組で紹介した日本人のうち一人は、恋をしてメキシコに残る決断をしたと知って、昔の日本人は割と自由人だったんだなと感じた。今より過酷な時代だと思うが、羨ましいと思った。(高校3年・男子・埼玉)
    • 日本史を個人の視点で見るこの番組は、戦いで何人死んだとか“数”でしか表されないところにそれぞれの人生があったことが改めてわかり、重く感じた。(高校3年・男子・東京)
  • 『島根マルチバース伝』(NHK総合)
    若者のリアルを見たかったので視聴しました。ハッピーエンドで終わると思いきや、モヤモヤして結論がハッキリしていないところがリアルだなと思いました。島根県出身の佐野史郎が標準語で話していて、せっかくなら出雲弁で話してほしかったと思いました。(中学2年・女子・東京)

  • 『沼にハマってきいてみた ブレイキン沼』(NHK Eテレ)
    • ダンスを踊ったり見たりすることが好きなので、三重高校の部活の練習量やチームワークの図り方などにもスポットを当ててほしかった。中学生になってから忙しくて番組を見ていなかったが、土曜日に放送していると知って見やすくなったと感じた。(中学2年・女子・埼玉)
    • ブレイキンの技の紹介は、今までニュースで少し見たことがある程度の私にとっては純粋な驚きでした。A-popも全く知らなかったので日本のサブカルチャーの進化に驚きました。番組の取材がとても丁寧で、Lil Kongさんの日々の練習や工夫、競技への愛や思いに胸を打たれました。(中学3年・女子・東京)
  • 『氷上の大移動~チベット・天空の村~』(NHK BS)
    投石して羊の群れを制御するなど、知恵を駆使し大量の羊を放牧する姿がかっこよかった。凍った湖の上で羊を移動させるシーンは美しい湖面が幻想的で、自分と同じ年齢の人も羊をかつぐなどの大変な努力をしていて、自分が小さく見えるとともに、彼らの連帯感と責任感に感動した。(高校1年・男子・兵庫)

  • 『はじめてのおつかい 笑って泣いて 夏の大冒険スペシャル2024』(日本テレビ)
    • 幼いころから見ています。安全面に対する不安が払拭しきれていないなと思いましたが、何かがあった時にすぐに動けるスタッフがいることを視聴者に伝えると安心して見られると思いました。(高校3年・女子・奈良)
    • 「子どもが頑張っていてかわいい」と思う人もいると思うが、子どもの失敗を“かわいい”扱いにしているのはおかしいと思う。子どもの失敗や転んでいる姿を放映するのは、子どものことを考えているのか。よく今まで続いてきたなと思った。(高校2年・女子・東京)
  • 『東大王「東大王VS難関中学!関東名門校SP」』(TBSテレビ)
    中学受験をする人が私の周りにはあまりいないので「さすが東大を目指す人が多い名門中学校の入試だな」と思うと同時に、教育の地域格差についても考えさせられました。(高校2年・女子・愛媛)

  • 『クラスメイトの女の子、全員好きでした』(読売テレビ)
    • 主人公が変な髪形で最初から面白いなぁと思いました。オープニングで登場人物の紹介がありましたが、読んでいる暇もなく終わってしまったので登場人物が把握できませんでした。僕は野球を見るのが好きなので、あるOBの選手のたとえ話が出てきた時、その選手が頭に浮かびました。こういうちょっとした笑いも良かったです。(中学1年・男子・山梨)
    • 面白いだけではなくてさまざまな要素があって予想しづらく、次回がとても楽しみになる内容でした。「ベルマーク1000枚集めたらキスしてあげる」というところに“昭和”や“中学生の恋愛”を感じました。(高校2年・男子・山口)
  • 『発見!仰天!プレミアもん!!!土曜日はダメよ!』(読売テレビ)
    関西ということもあってか笑いを取るのが非常に上手く、46分があっという間に感じられた。誰かを傷つけることなく純粋に笑いを取る。ちょっと大人になると伝わる、ややブラックなユーモアでニコニコ。そんな笑いの「テレビだからできるかたち」がこの番組にあると思う。(中学3年・男子・千葉)

  • 『都知事選開票特番 選挙FLAG』(TOKYO MX)
    56人全ての候補者の公約を紹介していてすごいと思った。都民参加型のパブリックミーティングで、都民が考える「都政の課題」を話していて、おもしろい企画だと思った。(高校2年・女子・東京)

◆委員のコメント◆

【自由記述について】

  • 高校1年生のモニターから「ラジオの番組表を見る機会が少ないので、テレビやインターネットで気軽に見られるようにしたらいい」という意見があった。これはたぶん多くの若者が感じていて、かつ放送を身近に感じるための最大の障害だと思う。テレビにも通じる話だが新聞離れの影響は甚大で、新聞を購読していなくても昔はテレビ情報誌やYahoo!の番組表などは若い人に見られていたと思うが、今の中高生はわざわざYahoo!の番組表にアクセスすることはほとんどないし、そもそもラテ欄は一覧性があってこそ意味があるのにスマホの特性と非常に相性が悪い。画期的な発明が待たれるところだと感じている。

【青少年へのおすすめ番組について】

  • 『大追跡グローバルヒストリー』(NHK総合)に関する報告が多く、こういった知的な番組に高い関心があるのだなと思った。

  • 高校2年生のモニターから『はじめてのおつかい 笑って泣いて 夏の大冒険スペシャル2024』(日本テレビ)に関して「子どもの失敗をかわいいという扱いにしているのはおかしいと思う」という報告があった。こども本人の目線での感想を書いてくれていて、とても新鮮だと感じた。

今後の予定について

8月の委員会は休会とし、次回は9月24日(火)に千代田放送会館BPO第一会議室で定例委員会を開催します。

以上

第197回

第197回–2024年7月

テレビ東京『激録・警察密着24時!!』が審議入り

第197回放送倫理検証委員会は、7月12日に千代田放送会館で開催された。
テレビ東京は、2023年3月28日の『激録・警察密着24時!!』で放送した人気漫画・アニメの商品に関する不正競争防止法違反容疑事件の密着取材の中で、逮捕された4人のうち3人が不起訴になった事実を伝えなかった等複数の不適切な内容があったと2024年5月に公表・謝罪した。委員会は、当該放送局に報告書と番組DVDの提出を求めて協議した結果、放送倫理違反の疑いがあり、詳しく検証する必要があるとして審議入りを決めた。
6月にBPOに寄せられた視聴者・聴取者意見などが報告された。

議事の詳細

日時
2024年7月12日(金)午後5時~午後6時40分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、
大石委員、大村委員、長嶋委員、西土委員、毛利委員、米倉委員

1. テレビ東京『激録・警察密着24時!!』について審議

テレビ東京は2023年3月28日に放送した『激録・警察密着24時!!』の中で、愛知県警が強制捜査をした人気漫画・アニメ「鬼滅の刃」を連想させる商品に関する不正競争防止法違反の被疑事案を取り上げた。2024年の5月になってテレビ東京は記者会見などで、この放送で「4人が逮捕された」ことは伝えたが、うち「3人が不起訴になった」ことは伝えなかったことを認めた。また放送に登場した会社が強制捜査後も商品を中国に発注していたと放送したが、番組側はこの事実を確認しておらず、会社側から「そういう事実はない」と指摘されたことも認めている。委員会は、テレビ東京から提出された報告書と番組DVDを踏まえて議論したが、複数の問題点があるのではないかという意見が出された。そして放送倫理違反の疑いがあり、取材・編集の各段階について検証する必要があるとして審議入りを決めた。今後、番組関係者らからヒアリング等を行う。なおこの番組はBPO放送人権委員会でも審理されている。

2. 6月に寄せられた視聴者・聴取者意見を報告

6月に寄せられた視聴者・聴取者の意見のうち、東京都知事選の放送をめぐって「特定の候補者の当選を目的とした放送があった」、「小池氏vs蓮舫氏」の対決に注目した報道については「あたかも二人しか立候補していないような放送ではないか」といった意見や、日本テレビのドラマ『セクシー田中さん』をめぐる日本テレビの報告書について「故人の原作者に罪をなすりつけているようだ」といった意見に加えて、「インターネットの方にこそ多大な前科がある」とするSNSの問題点を指摘する意見があったことを事務局から報告。またクイズ番組で特定の商品に関する取り上げ方をめぐって「番組か広告かわかりづらい」といった視聴者意見についても報告した。

以上

第329回

第329回 – 2024年7月

「調査報道に対する地方自治体元職員からの申立て」審理…など

議事の詳細

日時
2024年7月16日(火)午後4時~午後6時半
場所
千代田放送会館7階会議室
議題
出席者
曽我部委員長、鈴木委員長代行、廣田委員長代行、大谷委員、
國森委員、斉藤委員、野村委員、松尾委員、松田委員

1.「調査報道に対する地方自治体元職員からの申立て」審理

申立ての対象となったのは、サンテレビが2023年9月26・27日に放送した夕方ニュース番組『キャッチ+』(キャッチプラス)で、ふるさと納税PR事業のために兵庫県下の地方自治体が出店したアンテナショップで、この自治体の元課長が現職時代に不正行為をはたらいていたという内容の調査報道ニュースを放送した。申立人は元課長で、放送内容は虚偽であり名誉を毀損されたと主張している。
9月26日放送の前編では、アンテナショップ元店長たちの内部告発をもとに、元課長が代金を支払わずに商品を飲食していたと報道した。9月27日放送の後編では、情報公開で得た資料と元店長たちの証言などをもとに、元課長の指示により、家族や知人に公金で高級牛肉などが送られていたと伝えた。
申立人の元課長は、放送などでの謝罪、インターネット上での当該ニュース動画の削除などを求めている。
被申立人のサンテレビは、元課長は電話取材に対し全てを否定したが、発言に具体的根拠はなく、元店長らの証言や伝票のコピーなどの物証からみて、放送内容は真実であり、少なくとも真実であると信じるに足る相当の理由があるとしている。また、地方自治体の管理職の地位にある公務員が、公金が投入されたアンテナショップで行った不正行為を放送したもので、公共性があり、公益を図る目的で放送したと主張している。
今回の委員会では、起草準備委員会作成の論点と、ヒアリング時の申立人・被申立人への質問項目について議論した。今回の議論を踏まえた修正点等を起草委員が整理し、次回委員会で確定させる。

2.「警察密着番組に対する申立て」審理

申立ての対象となったのは、テレビ東京が2023年3月28日に放送した『激録・警察密着24時!!』で、人気漫画・アニメのキャラクターを連想させる商品に関する不正競争防止法違反事件を取り上げ、警察の捜査の模様や2021年7月28日に執行された会社役員ら4人の逮捕場面などを放送した。
これに対し、番組で取り上げられた会社役員らは、番組の放送時点で逮捕された4人のうち3人が不起訴処分になっているにもかかわらず、その事実に言及せず、また「人気キャラクターに便乗して荒稼ぎ」「被害者面」「逆ギレ」といった過度なナレーションやテロップを付けて放送するなど、4人の名誉を著しく傷つけたなどとして申立てを行った。さらに、捜査員同士の会話や会議の様子は事後に撮影されたものであるのに、捜査の時系列に沿っているかのように番組内で構成されており、視聴者を混乱させ、許容される演出の範囲を大きく逸脱しているなどと主張している。
被申立人のテレビ東京は、不適切な放送内容が複数あったとして、お詫び放送やウェブサイトにお詫び文を掲載したほか、警察密着番組の制作中止や関係者の処分を行った。さらに再発防止策として番組チェック体制の強化や社内教育・研修の拡充などを進めていくとしている。
申立人側は、お詫び放送等の対応に一定の評価をしているものの、警察署内での事後撮影をめぐる見解の相違やテレビ東京が番組制作過程を明らかにしなかったことに納得せず、双方の交渉は不調に終わり、6月の委員会で審理入りすることが決まった。
今回の委員会では、被申立人であるテレビ東京から提出された答弁書の概要・ポイント等を担当調査役が説明し、委員からの質問等に対応した。

3. 最新申立て状況

事務局から最新の申立て状況等について説明した。

4. その他

事務局から来年1、2月を念頭に意見交換会の準備を進めていることを報告した。

以上

2024年7月12日

テレビ東京『激録・警察密着24時!!』が審議入り

テレビ東京は2023年3月28日に放送した『激録・警察密着24時!!』の中で、愛知県警が強制捜査した人気漫画・アニメ「鬼滅の刃」の関連商品に関する不正競争防止法違反の疑いがある事案を取り上げた。2024年の5月になってテレビ東京は記者会見などで、この放送で「4人が逮捕された」ことは伝えたが、うち「3人が不起訴になった」ことは伝えなかったと認めている。また放送に登場した会社が強制捜査後も商品を中国に発注していたと放送したが、番組側はこの事実を確認しておらず、会社側から「そういう事実はない」と指摘されたことも認めている。委員会は、テレビ東京から提出された報告書と番組DVDを踏まえて議論したが、複数の問題点があるのではないかという意見が出された。放送倫理違反の疑いがあり、取材・編集の各段階について検証する必要があるとして審議入りを決めた。今後、番組関係者らからヒアリング等を行う。なおこの番組はBPO放送人権委員会でも審理入りが決まっている。

2024年6月に視聴者から寄せられた意見

2024年6月に視聴者から寄せられた意見

東京都知事選に関する報道に対してさまざまな意見が寄せられました。

2024年6月にBPOに寄せられた意見数は1,844件で、先月から166件増加しました。
意見のアクセス方法は、ウェブ 84.8% 電話 14.2% 郵便・FAX計 1.0%
男女別は、男性 59.7% 女性 23.2% 無回答 17.1%で、世代別では10代 1.2% 20代 8.6% 30代 20.0% 40代 21.5% 50代 22.4% 60代 14.9% 70歳以上 3.6%
視聴者意見のうち、個別の番組や放送局に対するものは当該局へ個別に送付します。6月の個別送付先は38局で、意見総数は592件でした。放送全般に対する意見は180件で、その中から12件を選び、会員社すべてに送りました。

意見概要

番組全般にわたる意見

6月20日告示7月7日投開票の東京都知事選に関する報道に対して、候補の紹介のあり方や出演者のコメントなどを含めてさまざまな意見が寄せられました。
ラジオに関する意見は29件、CMについては12件でした。

青少年に関する意見

6月中に青少年委員会に寄せられた意見は75件で、前月から15件増加しました。
今月は「要望・提言」が26件と最も多く、次いで「報道・情報」が18件、「表現・演出」が15件と続きました。

意見抜粋

番組全般

  • 選挙報道にあたっては、投票率を上げるために「選挙に行きましょう」「投票しましょう」という呼びかけをしてもよいのではないか。低投票率を嘆いて批判するだけでは改善しない。投票を促すようメディアが積極的に呼びかけてほしい。

  • 都知事選報道。特定の2人の一騎打ちの構図に仕立てた報道が多いように感じる。全員をまんべんなく紹介することは難しいかもしれないが、もう少し工夫ができないものだろうか。

  • 都知事選、ほとんどの番組は50人を超える候補者のうち特定の4人の紹介にとどまり、他の候補には触れていないと思う。ネットを見ればいいと言われるかもしれないが、テレビなどでももっと情報を提供してもよいのではないか。

  • スタジオの出演者が特定の候補者について何らかのコメントをする際には、公平性やバランスに配慮するなどの慎重さが求められるのではないかと感じた。

  • 殺害された高校生の顔写真を何度も繰り返し使用するのはなぜだろうか。加害者側よりも使用の頻度が高いと感じる。死者の名誉は守らなくてもよいのか疑問に感じるし、残された家族の気持ちを思うといたたまれない。

  • 分布を緑色と赤色で分ける図が使われていたが、色覚異常を持つ自分にとっては分かりにくい画面だった。図表などを画面で使う際には、通常の人とは色の見え方が違う人に対する配慮をしていただきたい。

  • 人気ドラマの再放送の一場面で、出演者だった元アイドルグループ5人の顔写真が黒塗りされていた。ひどい。メンバーを傷つけるだけでなく、他の出演者や関係者に対して失礼だと思う。いまだに忖度が続いているのか。

  • 原作者が死亡したドラマについて、当該放送局と出版社の調査結果が公表されたが、改めて第三者機関が検証を行う必要があると感じた。

  • 毎年恒例の大型チャリティー番組の放送決定が発表されたが、昨年明るみになった不祥事についてのお詫びを、番組出演者であるアナウンサーにさせたことについて、局は本当に反省しているのだろうかと違和感を覚えた。

  • インターネットで視聴者や聴取者と交流をすることが可能になった。放送は一方的に情報を伝達する媒体だが、オンライン上でコミュニティーをつくり、交流する場を設けて視聴者・聴取者との連携を図ると面白いと思う。間接的に制作に参加できることで番組に対する熱意や愛情、信頼関係が生まれるだろう。ビジネスとしても成立するのではないか。

青少年に関する意見

【「要望・提言」】

  • バラエティー番組のドッキリ企画で、放尿を模した行為をするのは非常に不快だった。子どもが模倣していじめをする可能性がある。いじめを助長するような放送はやめてほしい。

  • 報道番組の企画で入浴を特集し、小学生の男の子の尻に薄いぼかしを入れて放送した。女の子にやったら大騒ぎだが、男児相手なら問題なしとするのは男性軽視であり、「男なら見られてよい」との間違った認識を社会に広めてしまう。

【「報道・情報」に関する意見】

  • 報道番組で、高齢者による交通事故で友だちがはねられるのを見た6歳女児にインタビューした。心のケアが必要な相手に事故の様子を尋ねるのは酷ではないか。トラウマになるのではないかと思う。

  • 報道情報番組で、公立高校に男女別学がある埼玉県で共学化の議論があることを特集。男子校への偏見が強く、番組では女子校の共学化には触れない。男女別学、共学双方のメリット、デメリットを議論しないので、別学が悪者にされた印象だ。

【「表現・演出」に関する意見】

  • バラエティー番組で、出演者の先輩芸人が後輩芸人に強く揶揄(やゆ)されたことに立腹して、後輩の髪の毛をつかんで引き倒した。後輩芸人が暴力を受ける様子はとてもかわいそうで不快だった。

【「言葉」に関する意見】

  • 「やばい」(の語源)は江戸時代の犯罪者の隠語だ。いまではだれもがどこでも使うが、かつては時代劇で極悪人が使うイメージがあって、普通の人が使う言葉ではなかった。テレビではせめて、CMやアナウンサーのコメントで連発するのは控えてほしい。

【「食べ物」に関する意見】

  • バラエティー番組で、トレーニング中の俳優や芸人の背中に熱々のおでんを置くドッキリがあった。やけどを負わせる気か。食べ物を粗末にして笑いを取ろうとするのはいかがなものか。

第269回

第269回-2024年6月25日

視聴者からの意見について…など

2024年6月25日、第269回青少年委員会を千代田放送会館BPO第一会議室で開催し、榊原洋一委員長をはじめ、8人の委員全員が出席しました。
5月後半から6月前半までの1カ月間に寄せられた視聴者意見について担当の委員から報告がありました。
6月の中高生モニター報告のテーマは「最近見たドラマについて」でした。
委員会ではこれらの視聴者意見や中高生モニター報告について議論しました。
最後に今後の予定について確認しました。

議事の詳細

日時
2024年6月25日(火)午後4時00分~午後7時00分
放送倫理・番組向上機構BPO第一会議室(千代田放送会館7階)
議題
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
今後の予定について
出席者
榊原洋一委員長、吉永みち子副委員長、飯田豊委員、池田雅子委員、
佐々木輝美委員、沢井佳子委員、髙橋聡美委員、山縣文治委員

視聴者からの意見について

5月後半から6月前半までの1カ月間に寄せられた視聴者意見について担当の委員から報告がありました。
別々のバラエティー番組に、出演者が「鼻フック」で約600キロの軽トラックを引っ張る企画と水をたたえた透明のバケツのなかで息止めの我慢比べをする企画があり、視聴者からそれぞれに批判的な意見が寄せられました。担当委員は「いずれの企画についても(視聴者が)不快感や嫌悪感を抱いたようだ。危険性を懸念する声が多かったが、(特殊な器具を使わないと子どもが)簡単には模倣できるものではないし、危険性についても(制作側が)きちんと計算しているように見受けられた」と報告しました。
夜の報道番組で、高齢者が運転する車に横断歩道ではねられた小学生と相前後して渡っていた6歳女児に、母親付き添いのうえで事故の状況をインタビューし放送したことに、「事故を間近で目撃した女児に話を聞くのは酷ではないか。トラウマになると思う」などの視聴者意見が寄せられました。担当委員は「インタビューの質問に一定の配慮はうかがえたが、事故を目撃した直後だと考えると、『記憶の想起』という懸念は避けられないと思う」と指摘しました。
ある委員は「この女児の発言があって、車が来ていることに気づいた子とそうでない子がいたことがわかった。保護者は『(横断歩道の信号が)青でも、車が突っ込んでくることがあるからね』と注意できるようになる。最低限の報道する意義は保たれていると思った」と述べました。また、「メディアスクラムにならないよう、現場の取材者たちが配慮したとみられる点はよかったと思う」との意見も出されました。
しかし、別の委員は「(事故捜査の必要から)警察が子どもを聴取することがある。(報道機関が子どもに直接取材しないで)警察が事故の経緯を発表すれば十分ではないだろうか」と述べました。この点について委員のひとりは「報道のための一次情報はすごく大事だ。警察を介して二次情報になって出てくるものは『加工』されている場合がある。一次情報の取材と、子どもの保護、とくにトラウマを防ぐこととのバランスを考えるのが大事なのだろうと思う」としました。
このほかには大きな議論になる番組はなく、「討論」に進むものはありませんでした。

中高生モニター報告について

6月のテーマは「最近見たドラマについて」で、28人から合わせて20番組の報告がありました。視聴方法はリアルタイム6人、録画12人、見逃し配信8人、回答なしが2人でした。
「青少年へのおすすめ番組」では『テレビ朝日開局65周年記念 夜の巷を徘徊する 2時間特別編』(テレビ朝日)を最も多い8人が取り上げたほか、『ヴィランの言い分』(NHK Eテレ)、『一流料理人さん!休日食べる激うまメシ教えてください』(テレビ東京)、『ライオンのミライ☆モンスター』(フジテレビ)、『ももいろインフラ―Z』(TOKYO MX)に複数のモニターから感想が届いています。

◆モニター報告より◆

【最近見たドラマについて】

  • 『連続テレビ小説「虎に翼」』(NHK総合)
    主人公の猪爪寅子(伊藤沙莉)は生理(月のもの)が重く、それにより寝込むという描写があった。今まであまり触れられてこなかった話題なので驚いたが、共感でき嬉しくもあった。また声優を積極的に起用していてとても良いと思った。演技が上手で声も聞き取りやすく、感心するばかりである。(高校2年・女子・青森)

  • 『大河ドラマ「光る君へ」』(NHK総合)
    今回はCGの演出が特によかった。例えば二条の館が燃えているシーンでは、死ぬためにたたずむ藤原定子(高畑充希)のすぐ近くに炎があるような演出で、逃げるよう説得する清少納言(ファーストサマーウイカ)との会話に緊迫感を持たせ、さらに視聴者に臨場感を与えていた。また「枕草子」を読み上げたときは“春はあけぼの~”の場面では桜を、“夏は夜~”の場面では蛍の光を再現して情緒あふれるシーンを演出し、華やかな平安の都を描く『光る君へ』のテーマと一致しているように感じた。(高校1年・男子・兵庫)

  • 『むこう岸』(NHK総合)
    「ヤングケアラー」という言葉は聞いたことがあるが、詳しくは知らなかったので勉強になった。人生は少しの気づきで変わることが分かった。ドラマの中で、ヤングケアラーは今どのくらいの割合でいるのかが知りたかった。(中学2年・女子・鳥取)

  • 『岸辺露伴は動かない』(NHK総合)
    初回から見ていて短編小説も読んでいます。小説にある不気味さが映像でイメージ通りに演じられていて、制作者が多くの情熱を費やしているんだろうなと思っています。原作者や視聴者が納得できるドラマ作りの工程の難しさや問題点を考えると、時間とお金のバランスが大切なんだろうと家族で話しました。(中学2年・女子・東京)

  • 『正直不動産2』(NHK総合)
    主役だけでなく多くの脇役にもフォーカスを当てており、人それぞれの想いが分かりやすかったです。Z世代の十影健人(板垣瑞生)が正直営業やカスタマーファーストの影響を受け、徐々にお客様に寄り添い成長していく姿にとても感動しました。(高校2年・男子・山口)

  • 『アンチヒーロー』(TBSテレビ)
    • 元々法律に興味がありましたが、我々視聴者側に語りかける番組宣伝動画をYouTube上で見て「ドラマを見てみたい」という興味がわきました。明墨弁護士(長谷川博己)が検察側の不正を暴き、被告人の冤罪を証明していくのは痛快でおもしろかったです。(高校2年・男子・神奈川)
    • 野村萬斎の語りの演技は狂気を感じるものだった。また最後の結末により現実味を持たせるためか、最後の35分がノンストップだった構成はとても良かった。これによりスリルを感じることができた。暗い照明や言葉から怖さを感じる構成になっていた。(高校2年・女子・東京)
  • 『不適切にもほどがある!』(TBSテレビ)
    令和の時代のおかしな点に“昭和のおじさん”だからこそ気付ける、という点が「なるほど」と思えて新鮮でした。私たちが昭和の常識をおかしいと思うように、昭和からタイムスリップした人は令和の常識をおかしいと思う、と私自身考えたことがなかったので、ドラマを通して考えさせられました。深刻な話をしていてもいきなりミュージカルのように歌い出すので、笑いながら軽い気持ちで見ることができるのが良かったです。(中学3年・女子・神奈川)

  • 『花咲舞が黙ってない』(日本テレビ)
    • 宣伝を見てもあまりそそられなかったのですが、見てみるととてもいいドラマだと気づきました。銀行関係のドラマは若者にとって魅力的でないことが多いので、PRの工夫が必要だと感じました。インサイダー取引が行われていたのですが、経済に興味のない人は専門用語で立ち止まってしまうと思います。専門用語を簡単で一般的な言葉に変えると、より多くの人がストーリーを理解して楽しめるのではないかと思います。(高校3年・女子・奈良)
    • 2015年版(主演・杏)と2024年版(主演・今田美桜)の各1話を見比べました。個人的に気になったのは花咲舞の人物紹介のところで、今作では先輩にミスを注意されたときに「お言葉を返すようですが」というセリフで言い返していたので、わがままで変な正義感を持っている人物のようになってしまってモヤっとしました。一方でとてもいいなと感動したのは、前作で花咲に寄り添う相馬健を演じていた上川隆也が、今作に叔父役でカムバックしたところです。前作で花咲の父役を演じた後に他界された大杉漣への細かい配慮だと思いました。昔からのファンを大切にしているドラマだと思いました。(高校3年・女子・熊本)
  • 『セクシー田中さん』(日本テレビ)
    リアルタイムで視聴していました。ストーリーが分かりやすく結末もはっきりとしていたので、面白く視聴しました。作品の展開の変更については、後から調べると確かに変わっている部分はあったと思いました。テレビ局側は視聴率が取れないと商売として成り立たないのは知っていますが、やはりストーリーについてのすり合わせをしっかりしないと今回のような悲惨な事態になってしまうと思います。しっかり意見共有をして制作してほしいです。(中学3年・男子・千葉)

  • 『特捜9 season7』(テレビ朝日)
    一話完結式なので、もし見られなかった回があっても次の回を見るのに支障がないところが気に入っています。最近の社会問題をテーマにした回ではいろいろなことが学べて考えさせられることが多い反面、間違った知識を取り上げたり誇張した表現をしたりしてしまうと、誤った認識や偏見が広まり、傷つく人が出てしまうのではないかと思いました。(高校1年・女子・愛知)

  • 『Destiny』(テレビ朝日)
    大学時代から35歳の大人までを演じる役者がすばらしいと思いました。最初は「この人が犯人だ」と確信していましたが、物語を進めていくうちにいろいろ考察することができ、多面的な見方をすることができました。ラブサスペンスドラマはこのようなところが見どころの1つだと改めて実感しました。(高校1年・女子・岐阜)

  • 『イップス』(フジテレビ)
    • 篠原涼子とバカリズムのテンポのはやい掛け合いが面白くて、一時間があっという間に過ぎてしまった。トリックの内容が割としっかりしていて、自分が化学で習った簡単な知識だけで理解できる点も面白いと思う。(高校3年・男子・埼玉)
    • 『古畑任三郎』(フジテレビ・1994年~)のように犯人や犯行の様子がはじめに描かれているので、刑事側が犯人にたどりつくまでの過程を見ることができ、通常のミステリードラマとひと味違って面白いです。また一話完結で犯人役に豪華俳優陣が出るので、どんなゲストが出るのか毎週楽しみです。いつもミステリー作家の黒羽ミコ(篠原涼子)が犯人にたどりついてしまうところが特に面白いです。(高校3年・女子・栃木)
  • 『ブルーモーメント』(フジテレビ)
    気象にとても関心があるので、知っている用語が作中に出てくると気持ちが高ぶった。また用語解説もあったので自分の解釈が合っているのか確かめられ、とても勉強になった。こういった専門的なドラマはもっと増えてほしい。(中学2年・女子・埼玉)

  • 『大奥』(フジテレビ)
    見はじめた理由は「歴史が好きだから」と「キャストの中に応援している人がいたから」でしたが、クライマックスに近づくにつれてどんどん面白くなりました。良かったポイントは「登場人物の繊細な心情や人物同士の距離感の変化」で、登場人物にたくさん共感しました。また衣装と装飾の美しさも際立っており、スタッフのこだわりを感じました。(中学3年・女子・長崎)

  • 『君が心をくれたから』(フジテレビ)
    主人公(永野芽郁)とその愛する男性(山田裕貴)の2人が自分の力を信じ、互いに支えあうことをあきらめない姿に元気をもらえた。また撮影場所が長崎で行ったことがある場所だったので、「これほど綺麗に撮れるのか!!」と撮影技術にも感心してしまった。(高校1年・男子・長崎)

  • 『おいハンサム!!2』(東海テレビ)
    ストーリー展開が全体的にゆったりとしていて私たちの日常に近く、ドラマでトラブルが起こると身近に感じられてより没頭してしまいました。お父さん(吉田鋼太郎)の愛のこもった説教は、毎回すべての人に響く言葉だったと思います。一つ残念な点として、シーズン1の方がストーリーは面白かったと思います。シーズン1では、三姉妹それぞれが複雑な恋愛事情や人間関係を抱えていましたが、シーズン2では環境保護などのSDGsにまつわる話題が含まれていました。SDGsはとても大切なトピックではありますが、私としては、姉妹の周りで起きる人間関係のもつれや、恋に悩みながらも家族の愛を受けて生き方を模索する姉妹の姿に魅力を感じていたので、ドラマにまで環境保護を推奨するメッセージを込めないでほしいと思いました。(中学3年・女子・東京)

  • 『アンメット ある脳外科医の日記』(関西テレビ放送)
    ドラマを見るのが初めてだったので60分見るのは大変でした。声が出ない演技やいら立ちをぶつける俳優の演技にはすごく引き込まれました。また手術が決まるシーンの音楽には緊迫感があって、これから手術が始まるんだと予告するような音楽でした。心に残る音楽はドラマには必要だと思いました。(中学1年・男子・山梨)

【自由記述】

  • 恋愛以外の高校生の学校生活を描いたドラマが見たい。(高校1年・男子・兵庫)

  • 最近のドラマは“記憶喪失する”話が多いと感じるので、昔のようにもっと感動したり笑ったりできるようなドラマを是非作ってほしいです。オリジナルの新しい物語が見たいです。(高校1年・女子・岐阜)

  • ドラマは内容に応じて放送時間帯が決まっているのだと思うが、たまに「夜9時に放送してよいのか」「小学生も起きているのでは」と感じることがある。(高校2年・女子・東京)

  • ドラマは連続するものが多いので人気タレントが出演すると多額の費用がかかる。人材育成も踏まえて新しいタレントを多く起用するのも良いと思う。(高校1年・男子・長崎)

  • ニュース番組に、季節の話題などを各地方の方言で伝えるコーナーがあったら地域性が出て良いと思う。(中学2年・女子・鳥取)

  • 最近のテレビ番組は表現を規制する動きが多すぎると思います。エンタメの表現を規制しすぎてしまうと更にテレビ離れが進んでしまうので、テレビの表現の自由を保護し尊重する動きが進んでほしいと切に思います。(中学3年・女子・東京)

  • 最近はTVerなどの見逃し配信やNetflixなどの有料配信アプリを使って番組を見ることが多く、前日に放送された番組を学校で話題にすることがなくなってきたと感じます。おすすめ番組を紹介したとしても「このアプリで見ることができるから見てほしい」となり、来週を楽しみにするという場面がなくなっています。リアルタイム視聴で一度見てしまえば終わりというより、「何度も見返したい」という気持ちから録画や見逃し配信を選択する人が増加しているのではないかと思います。(高校2年・女子・愛媛)

  • 水原一平氏の報道について。水原氏は確かに犯罪に手を染めたかもしれません。しかし彼にも人権があるはずで、プライベートな部分までメディアに取り上げられてしまうのはかわいそうだと思います。(高校2年・男子・神奈川)

  • 私の好きなバンドが、リリースした楽曲「コロンブス」のMVは文化的な背景に問題があったとして、それを削除しました。帰国子女の友達に聞いて、コロンブスは奴隷商人だったこと、またそれによってアメリカのコロンブス・デーが薄れてきていることを知りました。日本ではアメリカ大陸を発見した偉大な人と習っていたので、世界についてもっと学ばなければいけないと思いました。(高校3年・女子・奈良)

【青少年へのおすすめ番組】

  • 『テレビ朝日開局65周年記念 夜の巷を徘徊する 2時間特別編』(テレビ朝日)
    • ロケ感のない自然な感じに驚きました。話や場所がどんどん進まない感じが、独特で良いなと思いました。他にはないような番組だと思いました。(中学1年・女子・神奈川)
    • マツコ・デラックスが夜の宮島を観光していました。観光紹介は日中の映像が多いので景色が新鮮でした。突然お店やテレビ局を訪問していて、驚いたり興奮したりする人の反応が楽しいです。(中学2年・女子・秋田)
    • 普通の番組ではカットされてしまいそうな旅の中の小さな出来事も生かされていて、そういった編集されすぎていない感じが見ていて疲れず、落ち着いた気持ちで楽しむことができました。(中学3年・女子・東京)
  • 『ライオンのミライ☆モンスター』(フジテレビ)
    • 陸上1500mで、競技歴1年半でU-20世界選手権6位になったミライモンスターの澤田結弥さんを、田中希美選手と並べて「ミライモンスターとモンスター」と伝えていて、番組名も取り込んで上手だと思った。足の速さを分析していて、股関節の可動域が広く歩幅が大きいことが理由らしいので、自分も速く走りたい時には意識したい。(高校3年・男子・東京)
    • 出演者の経歴から実際のレースのシーンまで見られるのがいいと思います。序盤で分かりやすく端的に紹介するのは、視聴者を惹きつけ飽きさせない工夫だと思います。また同一分野の選手を連続して放送するところも、視聴者を離さない魅力だと思います。(高校3年・女子・熊本)
  • 『一流料理人さん!休日食べる激うまメシ教えてください』(テレビ東京)
    僕は番組の途中にCMが入るのが大嫌いなのでテレビはだいたい録画で見ますが、この番組は最初に本編が固まっていて一気に見られるところがいいと思いました。ずっと食事だけでは飽きてしまうので、チョコレートプラネットのトークなどをもっと増やすと飽きずに面白く見られると思います。(中学2年・男子・東京)

  • 『ABCドキュメンタリースペシャル 子どもが欲しい ~#精子提供 私たちの選択~』(朝日放送テレビ)
    自分の精子を提供するのはいけないことだと思いました。また、脅されて強制的に取られる可能性もあると思うので、気をつけたいです。(中学1年・男子・山形)

  • 『ももいろインフラ―Z』(TOKYO MX)
    • 渋谷の地下の貯水施設は実際目にしないし、こういう情報番組でしか知ることができなかったので良かったです。区行政がどういう仕事をしているのか考えもしなかったし知らなかったが、池袋駅利用者を取り込む豊島区の都市計画なども仕事だと知り、面白く感じました。(中学3年・男子・東京)
    • 渋谷に行ったことはありませんが、坂と谷の図面がとても分かりやすかったです。東京のインフラの紹介が中心ですが、47都道府県のインフラを紹介してくれると嬉しいです。(中学1年・男子・山梨)
  • 『第7回NAGASAKIブラス&マーチングフェスティバル』(長崎放送)
    主に中学生・高校生による演奏で、楽しんで見ることができた。上空から見た人の配置などが分かり、実物を見るのとはまた違った楽しみ方をすることができた。(高校1年・男子・長崎)

  • 『KICK OFF! KAGOSHIMA』(鹿児島放送)
    浅野哲也さんが鹿児島ユナイテッドFCの監督に8年ぶりに就任して、J2残留のため意識改革から始めていた。監督が代わるだけで選手たちの意識や練習が変わるので、監督の存在感と影響の大きさを感じた。試合で得点を取れずに終わっても選手たちが向上心を高く持ち続けていてカッコよかった。(中学1年・女子・鹿児島)

◆委員のコメント◆

【最近見たドラマについて】

  • 『連続テレビ小説「虎に翼」』(NHK総合)を視聴した高校2年生から「オープニングタイトルを番組のエンディングあたりに放送した回があり面白く感じた」という報告があった。いま学習の世界では、ある授業の構成が分かりやすいからといっていつも同じように教えると飽きられてしまうという理由から、意外な流れを持ってくるといった“ランダム性”が重視されている。番組制作でもマンネリ化を防ぐためにさまざまな変化球を投げると視聴者に刺さるのだなと思った。

  • 不動産営業や気象関連の仕事を扱うドラマの報告があったが、中学生の「職業体験」の授業などで関わる機会も多くないだろうから、ドラマのテーマとして興味深かっただろう。例えば実際の不動産営業の業務にはドロドロとしたシリアスな場面も多くあるが、ドラマでは笑いも含めた人間ドラマとして描かれていて、明るい気持ちで学ぶことができたのだと思う。このようなテーマの取り上げ方として、ドラマはとても面白いと思う。


【青少年へのおすすめ番組について】

  • 『ももいろインフラ―Z』を視聴した中学3年生の報告に「渋谷の地下の貯水施設について知ることができてよかった」とあったが、社会インフラやテクニカルなことに興味があるのだと感じた。以前、青少年委員会の調査研究で地方の放送局にヒアリングをした際にも、中高生を対象にした放送局見学では、中継車など放送インフラに関する説明は人気だという声が多くあった。こういった分野に関心のある中高生は多いのだろうと思う。

今後の予定について

次回は7月23日に千代田放送会館BPO第一会議室で定例委員会を開催します。また8月1日に中高生モニターのうち高校生のモニターたちに都内に集まってもらい、委員との意見交換会(高校生モニター会議)を開催することになりました。

以上

第196回

第196回–2024年6月

日本テレビのドラマ『セクシー田中さん』調査報告書について議論

第196回放送倫理検証委員会は、6月14日に千代田放送会館で開催され、5月にBPOに寄せられた視聴者・聴取者意見などが報告され議論を行った。

議事の詳細

日時
2024年6月14日(金)午後5時~午後7時
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、
大石委員、大村委員、長嶋委員、西土委員、毛利委員、米倉委員

1. 5月に寄せられた視聴者・聴取者意見を報告

5月に寄せられた視聴者・聴取者意見について、フックのついたロープを鼻の孔にかけて軽トラックをけん引するバラエティー番組について「企画内容が危険で楽しめなかった」等の意見が多数寄せられたことが報告された。また、警察の捜査に密着取材した番組についての「取材中に逮捕された人がその後不起訴になっているのに、そのことに触れずに番組を放送しており推定無罪の原則に反しているのではないか」といった意見や、路線バスとして使われている車両を貸し切ってグルメスポット等を巡る番組に対して「貸切バスに乗っているのに番組タイトルで路線バスをうたうのはおかしい」「実在しないバス路線をいかにも運行しているかのように扱っている。戸惑う人が出るのではないか」といった意見が寄せられたことが事務局から報告され、議論した。

2. 日本テレビのドラマ『セクシー田中さん』調査報告書について議論

日本テレビが2023年10月期に放送したドラマ『セクシー田中さん』の原作者が亡くなった事態を受けて設置された社内特別調査チームから、調査報告書が5月31日に公表された。放送されたドラマの内容自体に放送倫理上の問題があるわけではないが、委員会としてはドラマ制作の過程で問題がなかったかどうかについて関心を持ってきた。委員会は、かねてより放送局が自主的・自律的に問題を検討し解決への道を探ることが望ましいと考えており、今回の問題についても、日本テレビの調査を待つこととし、今般公表された調査報告書を議論した。主な意見や感想は以下の通り。

  • この報告書の直後に出た小学館の調査報告書と比較すると、当たり前だが自社寄りの内容になっているという気がするが、今回の問題の理解が深まった。著作者人格権という大がかりな話というよりは、単純に仕事の仕方やサポートが不十分であったことなどが問題だったのではないかという印象を抱いた。
  • 原作者と制作の間の交渉に立つ出版社は、ドラマ制作が漫画の売上げにつながるという利益を有しており、出版社が原作者のライツの代理人としてふさわしいのかという問題にもきちんと取り組む必要があるのではないか。原作者の権利をどう守っていくべきかを議論するきっかけになってほしい。
  • この報告書は、原作者を措いて脚本家をディフェンスしているように読み取れるところがある。
  • 出版社と放送局、原作者と脚本家は、レイヤーが分かれていて、最終的に原作者と脚本家がぶつかり合ってしまったところがあるのではないか。本来ならば、原作者にも脚本家にもエージェントが必要なはずだ。
  • 問題点は「原作に忠実に」という点と、原作が完結していないので「ラストはオリジナル脚本になる」という点で、それをどう扱うかが両者の間で詰め切れておらず、すれ違いがあったことが問題である。
  • 脚本チーム、コアメンバーは、いったいどのような権限を持ち、何をやっていたのかが、報告書を読んでもわからなかった。
  • ドラマ化には改変ありきで進んでいることが問題ではないか。漫画原作の良いところは、絵コンテが出来ているようなもので、キャスティングにも反映しやすい効率的な側面がある。しかしコマ割りや表現は考えに考え抜いて作られているのだから、演出家や脚本家などの現場がそれをちゃんと尊重して制作するという枠組みを作ってほしい。
  • 少女漫画の「キャンディ・キャンディ」について原作者の権利が争われた事件などで、著作者人格権は強く守られているはずなのだが、現場ではいろいろなプレーヤーの立場によって、その捉え方が違うと感じる。
  • 原作者は、当然出版社が自分の利益を代表してテレビ局と交渉してくれるだろうと思っているはずだが、大きな組織の利益に抱え込まれている気がする。
  • 報告書を読んで、つくづく原作者として守りたいものがある場合には、最初にそれを文章で書いて、これが守られなければ、原作の使用許可をいつでも撤回できるとして、判子を押さないとだめだと感じた。
  • 制作チームのフォローアップ体制を構築し、問題事例を継承してもらいたい。
  • 二次元と三次元なので改変は起こるものだが、みだりに変えるのではなく必然性が説明できる改変にするべきだという事を基本の教育としてほしい。
  • ドラマの制作現場の事はよくわからないが、作っていくうちに想定外の展開があったり、演者が関わる事で新しいものが生まれたりと、ある種の生き物のようなところがあると想像できる。最初に契約を作ることは難しいという人がいるが、そういう部分もあるのかもしれない。
  • プロデューサーの優しさだとは思うが、制作者サイドの意見を咀嚼して脚本家に伝えているけれど、生き物であれば、咀嚼をせずに脚本家に対し原作者から出ている厳しい意見をちゃんと伝えるべきではなかったか。
  • 商業的二次利用をする際は、原作者の著作者人格権のもとでするのが原則で、原作者がノーと言えば使えないのだが、報告書ではややあいまいにしていて違和感がある。
  • 不信感がつのってきたところに撮影日程で明らかに虚偽を伝えられて、決定的に信頼関係が損なわれた。報告書の他の事実関係に埋もれてしまっているようだが、これだけ取ればそれこそ倫理的に問題だし、うそをつかずに誠実に対処する事が今後も大事だと思う。
  • 日本のエンターテインメント業界の契約体質が非常に関係している気がして、条件は制作開始前に一定程度枠を決めて書面化しておかないといけないのではないか。
  • ある程度の条件を互いに都合の良い解釈をしている可能性があり、この業界の根本的な問題点のような気がする。

以上